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「東京待ちぼうけ」Amazonで1位

「東京待ちぼうけ」ですが、昨日のアマゾンデジタルミュージックランキング(演歌・歌謡曲・その他邦楽)で5位を獲得しました。同ロックで18位。
 そして、新着ランキング(演歌・歌謡曲・その他邦楽)で堂々の1位。終日この状態だったようです。現在の新着で2位。
 皆様の変わらぬ暖かい応援に感謝します。

14番目のツンデレ

 ようやく荒井(松任谷)由実さんの「中央フリーウェイ」をCDで堪能(アルバム「14番目の月」収録)。以前も書いたがシティポップの名曲です。
 お洒落でシックでたまらんですわ、不安定なメロディラインがふわふわした恋のときめきを暗示してるんだな、とか。アレンジのセンスの良さはもう言うまでもないし。
 一個、ミキシングで思ったのは、結構パーカッションが大きめにしてあるな、ってこと。ビブラスラップなんて「カーン」って入ってる。

 アルバムのレコーディングメンバーを見てのけぞったよ、ギターは松原正樹さん&鈴木茂さん、パーカッション斉藤ノブさん。キーボードはもちろん松任谷正隆さん、細野晴臣さんが面白い楽器で参加してる曲もある。後年の作品で名スタジオミュージシャンを起用していたのは知ってましたが、この頃からもうそうだったんですね。
 コーラスは山下達郎さん、吉田美奈子さん、大貫妙子さん…他にも凄い名前が並んでいます。いやちょっと待て…w

 いやー、これはもっと早めにちゃんと聞いておかないといけなかった。自分みたいな(元?)音楽マニアって、根っからのひねくれ者で、みんなが聞いてるユーミンなんて今更聞けるか……なんて思ってるんですよ。なるべく人が知らない曲を聞いて名曲名演を発見したい、みたいなね。身に覚えがある人もいるでしょ?(笑)やはり人がいいっていうものは一回は聞いて確かめるべきですわ。
 とりあえず、ちゃんとCDボックス買いました。「荒井由実 / Yumi Arai 1972-1976(5CD+DVD)」

 その中で最初に聞いたこのアルバム「14番目の月」ですが、良曲揃いでうかうかしていると頭から聞いて止められず全部聞いてしまいます。1曲目冒頭の松任谷正隆さんの強力なピアノ、こりゃマイケル・マクドナルドあたりを彷彿とさせる音。
 そしてユーミンの歌詞とメロディのコンビネーションの非凡なこと。時に、その歌詞には文学的ともいえる美しいイメージが散りばめられ、聞いていてドキっとさせられます。ほんと今更だけど、目も眩むような才能の輝き。これで二十歳そこそこだったのだから、なんと形容すればいいのか。1976年、ため息が出ます。

 このアルバムの発売直後くらいにお二人はご結婚されるのですが、最初ユーミンさんは結婚後引退を考えていたらしい(wikipedia情報)。ここだけは自分をおわかりでなかったと思う、このレベルのクリエイターがおいそれと引退できるわけがない。その後の活躍はもう言うまでもないですね。
(お二人はだから、もちろん音楽家として全てを認め合ってご一緒になられたのでしょう、ロマンチックなお話です)

 アルバム「14番目の月」はしかし、決してシティポップ作品というわけでないのです。バラエティに富んだ曲が入っています、売れ線系ロックもあり、フォーク的なアプローチもあり、クラシカルな曲もあり。もちろん全体的に統一感はありますが。非常にお洒落な感じなのは事実、これ’76年に聞いた人はどう思ったんだろう。このセンスには、虜にされたんじゃないだろうか。

 さっきパーカッションのミックスのことを書いたけど、(フィーチャリング)ピアノの録り方もいまと違っていて、そこは違和感がある。なんとモノラルで録っているんですね(今は普通ステレオ収録)。当時はまだスタジオの録音機材はアナログテープの時代で、16chか下手をすると8chかもしれない。それでトラック数が足りなくなると、トラック間でピンポン録音して空きを増やしたそうで。その分、音は悪くなったりする。(実際、このコーラスはそうだな、とわかる箇所ある)今はデジタルでトラックは事実上無制限ですが、そんな事情でトラック数節約のためかもしれない。

 ところで、アルバムで一番意外だったのは、ユーミンさんの声がチャーミングでカワイイってこと(w)。口はばったいけどこりゃツンデレお嬢さん系ですね、かなりデレ成分の濃い。(←少なくともこのアルバムでは?)

 ボックスの他の4枚を聞くのが楽しみになってきた。また何か発見したら書きます。音楽制作をやっている人間だったら、今の音楽から失われたものが見つけられると思います。(配信なんかで聞いたらダメよ)

Zガンダム~主題歌の秘密

 今回は「機動戦士Zガンダム」の主題歌の話。いわゆるアニソンですね。当時は珍しかったと思うけど、OP曲が前期と後期で変わるのですね。(EDは通期同じ)

 前期が「Ζ・刻を越えて」という曲で、歌は鮎川麻弥さん。驚くなかれ、これ作曲はニール・セダカ。そう、あの往年の洋楽の大スターです、「おお!キャロル」や「恋の片道切符」の。びっくりでしょ?(作曲家としても活動) しかも当時も思ったけど、このテーマ曲、アレンジが滅茶苦茶カッコイイんですわ。キメキメのシンセのリフが入るわ、ストラトのカッティングにハイパワーのブラスセクションがくるわ、今聞いても(テンポこそやや遅いが)ハマってる。歌詞は富野監督節が炸裂ですね。(アレンジは渡辺博也さん)。
 エヴァンゲリオンも主題歌が滅多やたらにカッコよくてアニソン革命起こしたと言われてるが、そんな面でもやっぱりゼータの方が早い。
 ED「星空のBelieve」もやっぱりニール・セダカ。これまた非常にEDに似つかわしい曲でスルメ曲。
 当時はわからなかったけど、今にしても思えばこれまたバブル時代の予算のなせる業だと……。

 と、まあそんなことを思っていたんですよ、つい先日までは(w)。今回この記事を書こうとWikipediaを調べてみたら驚愕の事実が。この2曲、ニールセダカ作曲ではあるものの、なんと彼の過去のアルバム曲だったというのです(!)。ええ~?そ、そんな……。これだけ大プロジェクトのアニメに、そんなリサイクルを? いくらなんでもガセだと思ったが、曲名をYoutubeで調べたら、なんと「その曲」がありました。ずばり、ゼータのOPとEDでした。ひ、ひでえ……(笑)。どうしてこうなった。
 当時の事情は関係者にしかわからないけど……。普通はこういうことはしないよなあ、と。なんか余程の事情か?

 完全な憶測だけど、曲の発注が締め切りまでタイトで(業界でありがち)、向こうさんが無理だから過去曲でどう?って言ってきた可能性はある。ニールセダカ起用は、富野監督のリクエストだったと、どこかに書いてありました。監督世代だと、セダカはずばり青春の音楽だったでしょう。
 ま、原曲はアニソンぽさもキメっぽさもないから、これはアレンジャーの方の腕が素晴らしかった、というしかないのではないでしょうか。完全に世界レベルのアレンジと演奏っすよ。(Bメロのブラスのクレッシェンドなんか最高!)
 いやーバブル怖いね、この時代はフュージョンも世界進出していたし、日本の音楽が一個頂点を極めたのは間違いない。

 で、まあ以上が前期OPの衝撃の事実ですが。実はこれだけでは終らない。後期ED曲「水の星へ愛をこめて」も、今回ゼータを見てて仰天モノでした。歌は、当時新人アイドルだった森口博子さん(デビュー曲)。いえ、そこは衝撃ではありませんよ、有名な話ですから。

 実はこの曲、今の自分の耳で聞いて判ったのですが、いいですか、もろに「ムード歌謡」なんですよ。いやあ驚いた。この(ちょっと素朴さ漂う)センチメンタルで日本人好みのメロディ、そして歌詞といい、アレンジといい、完全にムード歌謡の世界です、これ。ガンダムファンの間では歴代一の名曲との呼び声高いそうですが(実際、NHKの人気投票で1位をとっている)、まさかここにムード歌謡が登場するとは。
 Youtubeのバンダイ公式でゼータ見てて、突然この曲が始まったときの驚きといったら。まあ腰が抜けそうでした。
 そして、なんとこちらの曲こそが、ニールセダカの書き下ろし曲、正真正銘ゼータのために作られた曲だったのです。ぬおお。
 つまり、ムード歌謡っぽい曲が上がってきたので、それっぽい歌詞とアレンジがついて今の曲が完成した、ということだと思います。(作詞は大御所・売野雅勇さん、編曲はこれまた大ベテラン馬飼野康二さん。磐石の布陣、お二人とも歌謡曲の世界の達人です)
 こういう発注をしてこうなったのか、それとも……って話は関係者に聞いてみないとわかりません。それでもこれはまた当時驚天動地の新OP曲だったと思います。
 一度、このOPを当時見た覚えがありますが、ED曲感が凄く強くて、非常に違和感がありました。少なくともロボットアニメのOP曲という感じはゼロ。これを平気で流すってのは、あるいは引き寄せるってのは、やっぱり富野監督という人は今更ですが只者じゃないなあ、と。

 そして、このアニメ界のムード歌謡、よく聞くとメロはどこか’50~60年代洋楽に通じるものがあるんですよ。それこそ「恋の片道切符」じゃないけれど。だから、確かにセダカの世界でもあるんですね。ムード歌謡は日本にローカライズされた洋楽だったのだから、それも納得できます。(こんなところでも自説を補強できた)
 ゼータは1985年だから、ムード歌謡衰退期にこんな良曲が誕生し、そして今でも歌い継がれているとは。なかなか稀有な話です。(森口博子さんは、この曲を含むガンダムのカバーアルバムが大ヒット中なのは、ご承知の通り) ムード歌謡は死なず、アニソン界で脈々と生きていた、というわけ。

 以下、蛇足。この「水の星に……」は、明らかに劇中に登場する敵方の強化人間の少女、妖しい魅力のフォウ・ムラサメをイメージした曲(今でいうと綾波レイ)。主人公カミーユとは出会った瞬間大恋愛w、敵味方だから悲恋ですが、「ねえ、頼める?……キスして」「あぁ」なんてシーンもあって、おじさんは「なんだこれ甘酸っぺー!」ってなったよ(笑)。アムロとララァは手も触れ合ってなかったのに……うーん80年代だね。
(フォウは、人でありながら人であらざる者、そして儚い生死の狭間を生きる者だから、やはりモラトリアムだ)

謎のフィルムケース

 それこそ40年位前からオーディオ用のコードやプラグ類、ACアダプタなんかを入れている木製の引き出しケースがあって、先日その中で黒い35mmフィルムケースを見つけました。……といっても今の若者はもうわかんないだろうけど、昔はフィルムに映像を焼き付ける写真機というものがあって(w)、写したフィルムをカメラ屋さんで現像して紙に焼き付けてもらわないと写真見られなかったんだよ。信じられないでしょ? 35mmフィルムには12枚・24枚・36枚撮り用があって……おっと脱線w まあ、そのフィルムを入れておく小さなプラケースですよ、円筒形の。
 そういやこれ40年前から入ってるがなんだっけ?wと、手に取ってみたら、なんかシャカシャカ音がするんです。てっきりプラグか何か入っているのかと思ったら違う。蓋を空けてみたら、なんだかビーズ状のものがたくさん入ってる。しばし考えて、とにかく蓋をして、もう一度振ってみた。シャカシャカ……なんかこれパーカッションのシェイカー類みたいだな……と思ったところで記憶が蘇った。これ、40年前に作った手製のシェイカーだ!(笑)
 いやいや、冗談でなくマジですよ、これをマイクで録音してシェイカーの代わりにしてたから。当時はカセットデッキ2台のピンポン録音ですよ、ってこれも若い子にはわからんが説明省略!(笑) とにかくそんな感じで、音楽?らしきものを作ってた記憶。といっても断片ばかりで全く形になりませんでしたが。音遊びといった方がたぶん正しい。あと当時の戦力はRolandのモノシンセとカシオトーン、あとオンボロのバイオリンベースとエレキギター、ガットギター。BOSSのエフェクター少々、無線用リバーブ、ギターアンプ、あと何があったかな……、あっソニーのパッシブミキサー。(尚ギター類はお下がり)

 そんなことを一挙に思い出して、懐かしくこの小さなフィルムケースを眺めてました。昔も結構がんばってたんだな、と。
 まあ曲作ってたというより、色々な音を出してエフェクターで加工して喜んでいたり、シンセも音作りの方が楽しかったし、どちらかといえば当時はミックス・音響勢だったといえるかもしれません。
 当時からすれば今の制作環境は隔世の感、もう天国以上でしょこれは。時代の流れというのは面白いですね。

ストリングス問題

 本物のストリングスなのに、なぜか打ち込みに聞こえてしまうという問題。自分には結構前からあるんですね。TVやYoutubeなどでオーケストラの弦やスタジオ弦が映っているのに、なぜか打ち込み(サンプリング音源)に聞こえてしまうというアレです。
 最近耳が良くなったからなのか? はたまた? とりあえず昔、音楽マニアだった時代にはそんな現象はなかったのですが。
 なんでこんなことが起こるのか、ちょっと考えてみました。

 まず前提として、打ち込みのストリングスの音を知っていないと、こんなことは感じない、というのがあります。なので音楽制作をしている人間特有の問題なのかもしれません。

 「ストリングス音源」の音というのは、もちろん音源作製の段階で音質的にも音程的にもかなり処理されているので、かなり整った音ということになります。ここが乱れていたら音源として売り物にならないので。(逆に、フリー音源や超安価なスケッチ音源などでは、かなりおろそかにされている。最も手間もお金もかかる部分)
 またレガート等各種奏法も網羅しているので、これらを自然に組み入れるソフトウェア・エンジンも完備し、それで全体として非常に美しいストリングス・サウンドを実現しているわけです。今の主要音源は全部そう。
(とはいえ、いわゆるシンセストリングスではないので、生サンプリング特有の微細な「乱れ」はある。そこがリアルさに繋がる)

 問題は、本物のストリングスがなぜ音源のように聞こえてしまうのか。今回考えてみて思い至ったのですが、それはつまり生ストリングスがずばり音源並の精度の演奏に近づいている、もうそのものになっている、ということではないかと。つまり、奏者の方々が非常に正確な演奏をするようになった、ということ。これしか考えられないですからね。もちろんトップレベルのプロ限定ですが。

 思い起こしてみれば昔の弦は、大抵は今のように正確無比な演奏ではなかったのです。ピッチが悪かったり、リズムが乱れていたり、それが普通にプロのスタジオ演奏でもあった。また音質的なところでも、いまのような超ハイファイ録音というわけでもないから、それが生々しいリアリティに繋がっていた。
 今は演奏正確だわ録音は完璧だわで、皮肉なもので(?)音源に近づいてしまっている、ということではないでしょうか。それで生なのに音源に聞こえてしまうわけです。

(商用音楽でサンプリング音源が全盛になった時点で、大半のスタジオ弦奏者は職を失いました。今残っている弦の皆さんは、音源以上のクオリティで演奏できる人ばかり、ということに当然なります)

 こう考えるとかなり面白いところです。ここで制作屋としては、逆に音源を生々しく聞かせるにはどうしたらいいか、という難題にもぶち当たるんだけど、このあたりの話はまた今度(w)。

オーディオ機器復活

 今の自分の制作のご依頼だと、ミックスもマスタリングも一緒に頼まれることが多いのですが、そうすると最終的な音の調整が無論難関になります。それは音圧だったり音質だったり色々な意味でのバランスだったり……。制作用モニタースピーカーで調整できたらそれで完成ではなく、最終的にはCDに焼いて様々なオーディオ機器で再生して確認しています。ラジカセ、ミニコンポ、仕事部屋のステレオコンポ等……。

 で、その中に実家のステレオコンポがあって、これはミニコンポではなくフルサイズでン十万もしたセットなので、当制作スタジオ(?)ではラスボス的な再生装置なのですが(w)、こいつが実は古い。考えたらもう40年経っているんです。ところがこれが現役なのですね。さすがにレコードプレイヤーはアームがイカれたし、カセットデッキ2台は既に撤去済みですが。アンプとスピーカーはピンピンしてますねえ。最盛期の日本のオーディオメーカーの実力恐るべし。
 とはいえ最近はガリも酷いし、うかうかすると片方スピーカーだけ音が途切れるし、これはいよいよリプレースの時期か、と思ってました。で、一応駄目もとでスピーカーケーブル替えてみたら……完全に蘇りました(笑)。おい、ケーブルが断線しかけてただけかい、っていう。

 まあただ、ちょっと手持ちのケーブルがお安いやつだったんで、音質が如実に痩せて悪くなっちゃったので、少し奮発して元のレベルに戻すか、って計画中。ケーブルは意外と音質に影響します、コストの割りには影響力大きい。そして確実に劣化するので消耗品でもある。
 ちょっとメンテすればまだまだ使えそうなので安心した。音楽制作での利用だと、超ハイファイを目指すのではなく、リスナーの家庭にある再生装置を想定しなければならないから、この体制はなかなか良い。
(思い出した、CDプレーヤーはもう30年持ってますね。化け物かい)

ファーストガンダムの音楽

 TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(1979年)、いわゆるファーストガンダムをYoutubeで無事見終わったけど、改めてみるとBGMも素晴らしいですね、これ。
 当時はまだサンプリング音源も(+ハードサンプラーも)ない時代なので、レコード会社のスタジオには生の弦やブラスが待機しており、当然作曲家はそれらを好きなだけ使うことができた。いや、むしろ使わなければならなかったでしょう、良い劇伴を作るためには。
 電気ピアノ(ローズ)はあったけど、ちょうどここへシンセなんかも入ってきてた時代なので、シンセドラムも入ったり、それでいてティンパニや女性コーラスもいる。生楽器主体ではあるが、なかなか面白いサウンドになっています。考えたらこのアニメの放映もギリで70年代なんですね。ちゃんと時代の音になっている。
 弦の低いところで迫力あるリフを奏でたり、ブラスやトランペットの流麗なフレージングとか、アニメの様々なシーンを盛り立てるBGM群。名曲揃いといえるのではないでしょうか。
(音楽は大ベテランの渡辺岳夫さん、松山祐士さん)
 ちゃんとスタジオストリングス、スタジオブラスの音になっている、これがもっと編成が大きくなるとまた違う音。
 懐かしいなあとか、興味が湧いてきた、なんて方は、一度どこかで是非。

(おまけ:確か効果音作りにシンセが使われた始めた時代の走りで、ガンダムのビームライフル発射音などはARP2600で作っていた、と聞いた。これは「宇宙戦艦ヤマト」も同じ)

(おまけ2:この直後1980年頃からハードサンプラーが導入され出して、だんだんスタジオが生の弦や菅を使わなくなるんですね。失業者が多数出たわけで、皮肉なものです)

カーペンターズ「遥かなる影」を聴く

 今回はカーペンターズのオリジナルアルバムを徐々に聞いていくシリーズ、第何回目だっけ。そろそろいくかと、大ヒット作「遥かなる影」を聞きました。

 到底2作目とは信じられない出来、もうこの時点で彼らの音楽は完成していたんですね。原点とかそういうんじゃなく、もうグループとしての音楽性が高いレベルに到達してる、固まってきてる。恐るべき新人だったといえるでしょう。
 有名な話だけど、アレンジは全てリチャード・カーペンターがやっていた。これはA&Mレーベルオーナーのハーブ・アルパートが許可を出したから。こんなのは前代未聞でしょう。

 そのアレンジだけど、当時斬新だったと思うけど、クラシカルな楽器、オーボエやフルートなども取り入れ、アコースティックでありながらポップな、そして重厚でゴージャスな世界を作り出すことに成功しています。もちろん弦や管も入れています。みんなが思い浮かべるカーペンターズ・サウンドですね。
 また、カレンの声質に合わせて、エレピは当時一般的だったフェンダーローズではなく、ドイツ製のウーリッツァーを使用、渋い色彩感を醸し出しています。曲によってリチャードは生ピアノも演奏。
 アコ楽器を大フィーチャーしているだけに、非常に美しい音楽的ダイナミクスがあって、ぶっちゃけ耳が全く疲れない。やっぱり音圧戦争は害悪でしかなかったのではないか。

 今の曲と当時の曲でかなり違うなあと感じるのは、コーラスワークの存在感ですね。これはカーペンターズだけではないけど、当時はかなり多声コーラスを楽曲の随所に取り入れていた。もうマルチトラック録音が一般的だったので、カレンとリチャードが多重録音でコーラスまでやってしまう。
 今はここまでがっつりとは入れない曲が多い。このあたりは流行り廃りかもしれませんが。

 ベストトラックはやっぱり「遥かなる影」かなあ。あとカヴァーだけど「ラブ・イズ・サレンダー」も良かった。逆にワーストはビートルズカバーの「ヘルプ」(笑)。だって曲調が似合わないんだもん。
(その「遥かなる影」で、リチャードが落ちサビあたりで少しピアノをミスるんだけど、このテイクがそのまま採用されています。これはもちろん他の演奏が良かったからでしょう)

 アルバム最後の「アナザーソング」は事実上インストだけど、これは元々インスト出身の兄妹の面目躍如。ドラムは当然カレンでしょう(Wikipediaで確認、カレンでした)。なんと楽器同士のバトルまであります、これは必聴だなあ。この曲を入れたのは二人の意地かもね。カレンという人は、なんとドラムが本業でボーカルは片手間だったんですからね、元々は。

 この作品で全米1位の大ヒットを記録するんだけど、そりゃそうだよな、って納得の内容でした。アメリカンポップスのひとつの雛形を作り上げたともいえる、非常な良作でした、まあ今更ではありますが。

(「アナザーソング」ですが、英語版Wikipediaに、ヘンデルの「メサイア」のコード進行を取り入れている、と書いてある(!))

Please Mr.Postman

 先日、ふとカーペンターズの曲のことを思い出し、まさかPVはないよなあとYoutubeを調べてみたら、なんとそれらしきものが出てくるじゃないですか。

 でもまだ1970年代中期だし、確かにチラホラPV作られていたのは事実ですが、これはよくあるフェイクPV(ユーザが勝手に作ったもの)じゃないかと疑いながら見ていたんです。ところが、カレンとリチャートが映るところで、カレンがちゃんと曲に合わせて歌っているところから、どうやら本物らしい、と気付きました(確証はないが)。

 それにしてもディズニーランドかよ……カレンがミッキーマウスやドナルドダックと手を繋いでランラン歩いてるよ(w)。たぶん西海岸にある本家ディズニーランドでしょうか。夢の国だけに風景はあんまり変わってないから、つい最近撮影されたといっても信じてしまいそう。
 ……にしても、これはあんまり曲と合ってないよなあ。なんか、USPSの兄ちゃんとカレンが歌いながら踊るPVをどこかで見た気がするが、ただの妄想か(w)。

 この曲、歌唱もアレンジも素晴らしいし、どう考えてもカーペンターズのオリジナル曲ですが、なんと元は英国グループの曲。それを初期ビートルズがカバーして、そしてカーペンターズも、という流れ。これを超えるカバーは絶対出てこないと思えます。
 歌詞も可愛いですよね、これ。女の子が彼氏からの手紙を待っている曲。メールの時代では成立しない内容だなぁ。