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蘇る70年代ビンテージペダル

 実家に転がっていたBOSSのエフェクター(ペダル)3台。昔はペダルって言い方もなかったけど、いずれも70年代後期~80年代初頭あたりのもの。自分はかれこれ音楽は30年ブランクがあったので、まあティーンエイジャー時代にアナログシンセに挿して遊んでいたやつです。
 このブログでも前に書いたけど、どれも電源が入らなくて、ああ電子スイッチとかコンデンサーあたりがイカレたか、いつか修理を……なんて思ってた。それで、先日ちょっと一台の裏蓋を明けて基板を見てみたんですね。わかりやすく電解コンデンサーの液漏れとかあるんじゃないかと思って。意外に、コンデンサはセラミックのやつばかりで、見たところ傷みもないし、かなり高密度に部品実装してあるし、これは修理するには非常に手間が掛かるなあと思って、ほぼあきらめて裏蓋戻した。
 ここでふと、もしかしたら入出力のジャックにプラグ(ケーブル)を挿したら、ちゃんと電源入るんじゃないかと、まさかなあ……と思って試したら。電源LED、入ったー!(笑) おい、そういう仕組みだったっけ?すっかり失念していた……。

 ということで、めでたく「コーラス」「フランジャー」が蘇りました。正確には故障もせず40年「持って」ました。「イコライザー」だけは、かなりLEDが暗い、動作は不安。
 なんと本物の80sビンテージ、アナログエフェクターです。これはベリやムーグ(あえてモーグと書かない)のモジュラーに挿して使わなければ、という使命感に今燃えています。
 いやはや、びっくり。この時代の日本の電子楽器・機器は異常な品質でしょ、これ。まあ、毎日40年使い倒していたわけではないので、そこは割り引きたいが、普通故障しますからね。電源も入れてなかったわけだし。
 なかなかの嬉しい驚きの夜でした。

TR-8の不思議な挙動

 ドラムマシンTR-8ですが、不思議な挙動をすることが発覚。どうもDAWから送られてくるMIDI信号を、時々「無視」しているようで、演奏させていると、なぜか時々一拍分くらい無音になります。そんな馬鹿な……と思われるかもしれませんが、結構頻発していて、5分の曲なら必ず1回、あるいは2回起こることもある。必ず再現する現象です。場所は不定。
 USB-MIDIの悪影響かと思っていたが、DINのMIDIに変えても全く同じ。これは何か?
 むろんDAWやインターフェースには問題がない(他のハード音源は正常にドライブしているので)

 どうやら、DAW画面で打ち込んだリズムパターンだと、この現象は起こらない。ではどういう時にか、というと、TR-8側で直にリズムパターンを打ち込んで、それをMIDIでDAW側に一度吸い上げた場合。それをプレイバックすると、この奇妙な現象が起きるようだ。

 なんでこんな面倒なことをするかというと、TR-8のリズムのゆれを最大限再現したいので、こうしています。実際ピアノロールを見ると、なんともいえない微妙なズレがデータに発生していて、TR-8のアナログエミュレーションはかなり優秀であることがわかります。
 どうも、バグっぽいデータまでMIDIで送ってしまっているんじゃないかと思うんだけど、まだ確かめていない。
 さすがに元になったTR-808も、時々リズム演奏が「お休み」するという話は聞いたことがないので、何らかの不具合じゃなかろうか。MIDIデータを16進数で見れば良いのだろうけど、流石にそこまでは手が回りません。まあDAW側のMIDI制御が悪いのかもしれないが。
 この件、また何かわかったら書いてみます。

moog mother-32導入

 アナログシンセmoog mother-32を導入しました、今月初旬に。こいつはセミモジュラーになっていて、内部結線ですぐ音が出るんですが、必要に応じてパッチングでより複雑な音色が作れるようになっている。

 やっぱり冨田勲先生が愛用していたメーカーだし、いつかは……なんて思っていたが、もうベリのsytem100を導入した勢いに任せて、今しかない、と。

 で、早速制作に使ってますが、実際にオシレーターの音をヘッドフォンで直に聞いて、ツマミを回して音作りをして気付いたのは、出音が上品・上質ってことです。Youtube動画だけでは気付けなかった。高品位という感じとは違うんですね、アナログだから。貴族的でもない、正にアメリカのアッパークラスな感じ。
 冨田先生はクラシック畑の方でもあられたので、それも影響して気に入られたのかもしれません。まあローランドなんかはこれに比べたらチャキチャキの平民だな(w)。

 1 VCOだったりENVもAD(S)だったり、仕様は絞ってますが、パッチセクションに面白い機能があったりして、これ1台で音作りの小宇宙を形作っている感じ。全体的な使用感はまさに「楽器」で、パラメータの動きも非常に音楽的で感心してます。このあたりは流石天下のmoog。

 ただ感心してばかりもいられない、どうやらMIDIチャンネルの設定がどうしても出来ない(w)。たぶんバグで、ファームウェアの2.0が公開されているが、まだ未適用。やっぱりアメリカ製品はどこか心配…。
 こいつも当然外部のモジュラーと連携できるので、その辺りも挑戦していきたい。(CV信号の仕様が違うのでアッテネーター等がいるようだ)

 最後に、やっぱりモーグじゃなくムーグだと思いますよ。Sorry, Dr.Moog. It’s a bleating of cows in Japan.

 それでは皆様よいお年を。

中華アンプの品質やいかに

 アマゾンや楽天で売られている中国製激安オーディオアンプ、人呼んで中華アンプ。いやまあ、品質といってもそりゃあれだろう、と言われそうですが、評価欄を見ていると「値段の割りには……」というのが多い。下手をすると日本製のお高いオーディオアンプよりも……なんてのもある。サクラが多いにしても、星一つは大抵故障系だし、こうなると一体どんな音なのか興味が出てくるのが人情。
 迷いに迷って、とうとう誘惑に負けて買ってみました。値段を聞いて驚くなかれ2180円、これで12V2AのACアダプター付き送料込み。20W+20W出力で、入力はRCAのLR一系統のみ、USBもBLUETOOTHもなし。下手するとACアダプターだけで1500円とかするから、一体原価幾らだこれ。一応バス・トレブルの音質調整ができる。
 箱から出すと、本当に小さい。昔の畳んだガラゲーくらいしかない。筐体はアルミ製なので重量感はある、というかこの系統の中華アンプは元々車載用らしい。

 で、若干の期待と不安感を抱きつつ、CDプレイヤーに繋いで、YAMAHAの無印系25cmウーファー3ウェイのスピーカーを接続。音を出すと……

 あーこれは酷い(笑)。なんか期待通りのオチで申し訳ない……。これ、ハイファイとか筐体に書いてあるけど、そもそもオーディオアンプの音ちゃうよ。荒っぽい、とにかく大きな音が出ればいい、歪みとか原音再生とか何も考えてない、拡声器(のアンプ)だわこれ。中学時代に放送部で、学校の放送機材をさんざん弄り倒した人間が言うんだから間違いない。運動会なんかで使うアレですわ……。

 今回買ったのは中華アンプの中でも最低価格のもので(大抵ACアダプターは別売)、日本製のパワーICを使った製品も多少あるらしいが、こりゃオーディオアンプとはいえないものばかり、と思った方が良さそう。やはり評価欄はサクラばかりか。
 ハイファイオーディオアンプとして買おうと思っている人がいたら、止めましょう。まあ自分はACアダプターが使えるのでいいかと思った。

 やっぱり日本製オーディオアンプやスピーカーの音は全然違いますね。民生用としては、今でも世界最高品質なんだろうな(超お高い貴族価格の海外製品を除けば)。

BabyFace ProFS使用感

 明けましておめでとうございます。皆様本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 Babayfaceですが、購入後毎日音楽制作に使っていますが、非常に調子はいいですね。ちょっとノイズが出ていた時があって、それもDAWで特定トラック再生時のみ(ボーカルとか)だったので、ヘッドフォンのATH-M50xの寿命かと思ったら、普通にASIOのバッファサイズが小さすぎただけだった(汗)。ゴソゴソ……みたいなヘッドフォン内部で何が動くような音でした。設定に余裕を持たせたら消えました。

 全帯域に渡って再生音が高品位になったので、大変見晴らしが良くなった感じ。結果ミックスの全体像がすぐ把握できるので、時短になりました。問題点がどこかすぐわかる。昔の環境だとどうも変だがどこかな……なんて色々とアナライザーで調べてようやくわかるものが、音の被りなんかもすぐ見つけられたりする。こういう方向で効果があるとは意外でした。

 あと電源の問題。とりあえずつなぎっぱなしはアナログ回路の劣化を招くと思うので、制作開始時に電源オン、一日の終りにオフしてる。
 Babyfaceは電源スイッチがないので、USBケーブルを延長ケーブルに繋いで、途中で繋げればオン、外せばオフの状態にしてある。こうすると本体やパソコンにいちいち抜き差ししなくて済む。
 延長ケーブルは50cmで800円くらい。100均にもあるが、そっちは接触不良も多いしすぐオシャカになったりするので。
(バスパワーをやめてACアダプターにすれば、たぶんそっちでオンオフできるかと思う)

 こいつはかなり音量パワーがあるので、ヘッドフォンもスピーカーもその点は注意が必要ですね。下手をすれば故障を招く。ボリュームはかなり控え目で安全ゾーン。

RME BabyfaceProFS導入

 制作環境アップグレード第2弾として、オーディオインターフェースの「RME Babyface Pro FS」を導入しました。YAMAHA/SteinbergのUR242からのリプレース。

 セットアップしてひと通りリファレンス音源や弊社音源を聞いてみたが、GENELEC8020で鳴らすと驚くべき透明度と密度であきらかに「いい音」(リスニング的に)なので意外。もっと厳しい、小姑(or小舅)サウンドになるかと思った(皆さんご存知のように、本題はアラ探しなので)。
 全帯域に渡って高品位になった感じです。バランスもフラットで疲れない。たぶんGENELEC+RMEの組み合わせは、相性的なものがあるならかなり良いと思われる。

(ただウーファーが4インチなので、ベースの音は流石にちょっと不自然。なんとか小さな口径で聞かせているのでこれは仕方ない。音はしっかり見えるので、こういう音だと覚えれば大型SPに持って行っても破綻のないミックスができるでしょう。←従来もそうしてた)

 ヘッドフォンで鳴らした場合ですが、SHEREのSRH440-Aだと、これまで一枚掛かっていたベールが取れた感じで、(少なくとも完成音源は)リスニング的に「いい音」になりました。ある意味心配だがこれでいいのか? 透明度や密度の印象は上記と同じ。自分はいつもこいつは作曲~アレンジの段階で使ってる。(だからあまり「聞こえ過ぎる」のは良くない、耳が疲れるので)

 オーディオテクニカのATH-M50xだと、以前に増して音の情報量が溢れんばかりになって、これは流石に小姑サウンド(w)。いわゆる耳に痛い音だったりします、これでミックスの時アラ探しにするわけ。(だから、これはリスニングに向かない、たぶん耳に有害)

 Babyface、なかなか満足できる製品です。よくこんな新書版サイズの筐体にこれだけの品質と機能を詰め込んだものだと思う。ドイツの底力恐るべし。

 ただこいつバスパワーで動くんだけど、電源スイッチないんですね(w)。あとさすがに極限まで小型化されてるので、スイッチ類も整理されていて、TotalMixFxというパソコンアプリでルーティングやコントロールを行う設計なんだけど、やっぱりジャーマン思想で作られているので操作しづらい。
 あとヘッドフォンアウトが2つあるんだけど、片方はイヤフォンに最適化されていて、そっちはヘッドフォンでは音が変で使えませんでした。これは残念。

 ウチのような打ち込み制作中心、あるいは宅録でボーカル+ギターくらいしか録らない人ならこれはベストバイですね、RMEとしてもかなりのサービス製品に思えます。
(色々レビューも見まくったが、Windows用のドライバも優秀らしい)

GENELEC 8020DPM導入

 音楽制作のモニター環境を改善すべく、まずはスピーカーにGENELEC 8020DPMを導入しました。フィンランドのメーカーだったのですね。
 早速セットアップして音を聞いてみたが、YAMAHAのMSP3に比べて明らかにステレオイメージや音の解像度が高くなりました。あと低音が締まってよく「見える」ようになった。ミッドはそれほど変化なし、ハイは上品になった印象。

 ただ音が良くなっているのは事実だがそれほど劇的かというと、それほどでも……という感じはする。MSP3は値段の割りにかなり頑張っているんじゃないかと却って思った。

 8020の箱の中にポエムのカードが入っていて、ちょっと笑ってしまった。ちゃんとしたフィンランドの詩人の作だそうです。

 4インチウーファーなのに意外と小ぶりで、下手したら3インチのMSP3より容積小さい。GENELECのスピーカーは独特の丸みを帯びた形が特徴ですが、思ってたほど格好悪くなかった、好印象。

 オーディオIFの電源をうっかり後入れして、いきなりポップノイズを発生させてしまった。なかなかのパワーなのでギョッとした。

 ニアフィールドモニタとして今後制作に活躍させまっせ。

(1月リリース予定の弊社最新音源を聞いてみたが、アラは見えず。これはMSP3+ATH-M50xでミックスダウンしたもの。やっぱりCDに焼いて大型ステレオコンポ含む色々な環境で、最終調整しているのが効いている)

注)現状、オーディオインターフェースはSteinberg/YAMAHAのUR242です。近日アップグレード決行。

宅録ボーカルと部屋鳴りのこと

 いつもボーカル収録は宅録機材持ちのボーカリストさんにお願いしているのですが、毎回惜しいなあと思ってしまう点があります。(うちの場合は楽曲ごとに違う方で、それは様々な条件をもう慎重に選定しているわけです)
 で、それは何かというとレコーディング時の「部屋鳴り」。ミックス用語でいうとアンビエンスですが、読んで字のごとく部屋の反響ですね、これが歌と一緒にマイクに入ってくるんです。こうなってくるとミックスに非常に苦労します、というか大抵は没にせざるを得ない、どんなに良いテイクでも。それほどボーカル収録にとっては大敵、いっそノイズのようなものと考えても良いかもしれません。
 仮歌くらいならまだ良いのですが、世間で商用リリースされている曲で部屋鳴りがしている音源はないはずです(よほど特殊な録り方をしているのではない限り)、当然メジャーはブース等完備のスタジオで録ってるし。
 ボーカルはアンビエンス・反響等ゼロの「デッド」な収録が基本で、ここからミックスで人工的に任意の残響(リバーブ・ディレイ等)を加えていくわけです。部屋鳴りが入っているとこれがうまく行えませんし、どんなに誤魔化してもわかる人にはわかります。

 なので、ご依頼する前に散々音源を聞いて「これ大丈夫かなあ」と悩んだり、最近はメッセージで直接確認したりします。どんなに良いボーカルさんでもこの対策が出来ていないとご依頼できないので、やっぱり非常に惜しい。なので対策していない方は是非対策して欲しい、というのが当方の切なる願い。
 「部屋鳴り」でググると対策法を乗せたページがすぐ見つかるので、割とお金を掛けなくても対策できるようなので。(ただその分試行錯誤で時間はかかるが)

 この部屋鳴りは、結構無頓着な方が多いです。特にライブハウス等が活動の主体という方に多かったりする。本歌用のボーカル収録を宅録でしないから、という理由もあるでしょうね(スタジオで録ったりね)。

 あとこの機会に書いておくと、マイクとオーディオI/Fの機種名をプロフィールに書いておいて欲しい。うちは各々1万程度のもので充分と考えています、今はどちらも低価格高性能なものがほとんどなので。
 それよか歌の実力の方がはるかに大切、100のうち99は歌の実力でしょう、それは。

(以前マイクやI/Fのことを尋ねたら怒り出した人がいた(汗) ライブへ呼ぶんじゃないんだから、納品物に直接影響する機材はそれは大切でしょう…)