月: 2021年11月

「見つけて群馬」「翼の王国」カラオケ配信スタート

 JOYSOUNDのうたスキミュージックポストで、当方で制作させて頂いた曲のカラオケ配信が始まっています。

「見つけて群馬」(ヒカリ真王子)
https://musicpost.joysound.com/music/musicId:138603

「翼の王国」(ナギサ)
https://musicpost.joysound.com/music/musicId:111058

 以下は当方の楽曲ではありませんが、ヒカリ真王子さんのデビュー曲です。

「江の島つむぐ雨」(ヒカリ真王子)
https://musicpost.joysound.com/music/musicId:136311

「これがわが社の黒歴史」ヤマハ編

 数日前夕方にTV付けたらNHKで流れていた番組、これってピアノや楽器類が映っているしヤマハじゃないか、と思ったらやっぱりそうだった(w)。NHK攻めてるなあ、まあこれに出られる企業は現在は絶好調なわけですからね。(今回2回目で、第一弾がバンダイだったらしい)

“総合楽器メーカー”の黒歴史から、今を生き抜くヒントを探る!
神田伯山のこれがわが社の黒歴史
11月23日(火・祝)[総合]後6:05
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=31753

 以下内容ウロ覚えなのでご容赦。

 電子楽器=エレクトーン(TM)の発売後、海外製半導体の品質の悪さに何度も泣かされてきたそう。そこでいっそ内製してしまえと、ヤマハの半導体事業が始まった。半導体技術の第一人者である西澤潤一教授に教えを乞い立ち上げ成功。電子楽器も高度化し、’80年代にはFM音源搭載のデジタルシンセサイザーDX7などのヒットで絶好調。(当ブログ読者なら皆さんご存知、もちろんヤマハ製のカスタムLSIが使われていた)
 このFM音源チップはパソコンにも採用され、特にWindows95旋風からのマイクロソフトとの協業で売れに売れた。楽器も右肩上がりだったが、それを遥かに上回る利益をもたらした。
 ここまで良かった。この時点で半導体事業をヤマハの主軸に据えようとしていたそう(既に少子化で楽器事業は頭打ちだった)。

 そこへ今度はインテルが、自社のパソコンにチップを組み込みたいと言ってきた。そこで800億円掛けて浜松に最新鋭半導体工場を建設したが……。稼動直前になって、インテルが「もう要らん」と。ソフトの高度化でチップがなくても高品質な音が出せるようになったから。
 さあ大変、他のメーカーを当たるも価格面で折り合いが付かず、半導体を供給していたセガなどのゲーム機に掛けたが、プレステとの競争に敗れてこれも駄目。結局工場で何も作るものがないまま、1年後に工場ごと売却。特別損失250億円、リストラ500人というヤマハ最大の危機を招いてしまう……。(インテル詐欺ってる! Intel Insane)

 当時は地獄だったそうですが、ここからどうやって立ち直ったかというと、それは意外な製品がきっかけでした。それは……携帯電話、ガラゲー全盛時代が始まろうとしていたのです。もう皆さんお分かりでしょうが、着メロの需要にFM音源チップがずばり応えられたのです。ある時期のガラゲーは全てFM音源チップ入りといっても過言ではありません。これでV字回復を遂げるのですが、さらに着メロそのものにもヤマハのビジネスが生かせたのですね。これだけで1000億円規模の商売だったらしい。
 この大事件を教訓に、ヤマハはチップの研究設計だけを行い、製造は他社に任せる、いわゆる「ファブレス企業」の走りになりました。また半導体事業は、今はネット回線用ルーター事業に活かされているとか。選択と集中は社是らしいですからね。

 ヤマハの社長がSGギターで「ギュウーン」なんてクランチ系サウンドでコード鳴らしながら登場したり(現社長は楽器プレイヤー)、なかなか楽しい番組でした。たぶん収録場所はヤマハの楽器ショールームだったと思う(笑)。

売れる要素とは何か

 何が売れるのか、どうやったら売れるのか、ネット時代→コロナ禍でますます五里霧中の音楽業界ですが。莫大なプロモーション費を掛けても今はもう「それだけ」では売れないってことは、皆様ご存知の通り。(まあその点は昔も同じだが、現代はいよいよその傾向が強い、ゴリ押しって言われちゃうしね)

 それに関連して、某大手レコード会社関連サイトのコンテンツで読んだ話。(なので、たぶん確度は高い…) 誰でも知っているレベルの、ある著名歌手。その人を担当したディレクターかプロデューサーのインタビューだったのですが、実は中々芽が出ず、デビューまで9社も音楽事務所の所属を断られたとか。それで次ようやく決まったのですが、デビュー曲からすぐ売れて大人気、その後紅白に何度も出場するようになった。
 後年のことを知っていると、これだけ売れる要素があるのに……と思ってしまうのですが、デビュー前はまだ磨かれていなかったかもしれないし、断った事務所もたまたま似たような歌手が所属していたのかもしれない。
 しかし9社断られても、あきらめなかったディレクターと作曲家は偉かったんだなあ、というのが正直な感想(もちろんご本人が一番凄いが)。原石とはいえ実力には絶対の自信があったんでしょうね。
 だから売れる要素を見抜くのは本当に難しいし、それができるのは並大抵の眼力の持ち主では無理、ってことでしょう。(そしてしつこく「営業」し続ける根性、粘り強さも必要)

 これで思い出したけど、ビートルズもデビュー前にイギリスの主だったレコード会社のオーディションを、「全て」落ちていますからね(w)。EMIが最後に合格させた、って話が昔は言われたけど、これは嘘で、なんと最初に受けたのがEMI。2周目で受かったというのだから(笑)、マネージャーにEMI側が忖度した可能性もある。(有力レコードチェーンの責任者だったので←リバプールだけで9店)
 これもビートルズの真価を見抜いていたマネのブライアン・エプスタインが偉かったんだなあ、ということですね。

 どうやったら売れるのか、考え続けて行動し続ける者だけが、答えを知ることができる(あるいは知る権利を得られる)ってこともかもしれません。

演歌は終らない

 現代演歌がムード歌謡や歌謡曲まで取り込んだジャンルになっていることは、以前少し書きました(なんせ後者二つは消えてしまった分野……)。そして演歌自体も、和服姿の歌唱が似合う伝統的な曲から、もっと昭和歌謡なんかに近いもの、お洒落アレンジなものも結構ある。みんな知らないだけで、音楽マニアが聞いても実は面白いんです。演歌歌手の皆さんの歌唱は非常に精緻で、僕らがイメージする「ボーカリスト」「シンガー」に一番近いのは、実はR&B系よりも、現代日本では演歌歌手ではないかと、自分は確信しています。幅広い曲調に対応できるところなんかは、正に。

(昭和の演歌でジャズ系のバックバンドが多かったのは、演歌歌手の精緻で極限の表現力を支えられるのは、テクニカルなジャズミュージシャンしかいなかった、という理由もあったでしょう)

 これだけ面白いジャンルなのに、なぜか時々、いやちょくちょくか、「演歌に親を●されたのか?」って位の人を、年代を問わずに見かけますね(w)。「演歌なんて……」「あんなものもう終り」「消えていく運命」と言いたい放題。
 なんなんですかね(汗)。演歌に彼氏彼女取られた? 演歌聞いたら背が3cm縮んだ? 演歌で金運下がった? きっとどれも違うでしょう。なぜか理由はわかりませんが、イメージだけで演歌を悪く言う人がいることは本当に不思議。

 思うにお笑い芸人が散々ネタにしてきたのと(宣伝にはなるが諸刃の刃)、主に’80年代以降のバラエティで演歌をバカにするのが一種のドグマになってしまって、皆マインドコントロールされているのではないかと。
 ちょうどバブルが始まる位の段階で、音楽も世の中も大きく変わったことは事実なので、その「変わる前」の世界に属する(あるいはミームが色濃い)演歌は、異質で時代遅れのものとして叩かれてしまった。それが、今もいる反演歌リスナーに強く影響しているように思えます。

 もう一度言いますが、現在演歌は(も)良い曲一杯あるよ。20代の歌手も出てきています。一度色眼鏡を外して、まずはサブスクなどで聞いてみることをお勧めします。J-POPにはない失われた歌謡曲の世界も、きっとそこで見つかるはずです。
(昭和歌謡がブームになっているようですが、やはりイマドキの曲にない世界がウケているのでしょう)

奏法キースイッチを素早く入力する方法

 また音楽制作者の皆様向けの記事。

 サンプリング音源に必ず付いている、アーティキュレーション(奏法)の切り替えスイッチ。多くは音源の音域外の音程を叩くと該当の奏法に切り替わるようなっていますね。例えばヴァイオリンでC1ならサスティン、D1ならトレモロ……みたいなやつ。
 これ、結構入力が面倒なんですね。スコア派の自分としては、毎回ピアノロールに切り替えて、低い方へスクロールして、音源の画面を見ながらこの奏法はどの音だっけ……なんてやっている。

 噂ではメジャーなDAWにはこれに対応した入力機能を持つものもあるそうだけど、ウチのABILITYには付いていない。それでなんとか素早く入力する方法はないか考えてみた。
 例えばポップス楽曲テンプレートの該当トラックに、最初からいくつか主要キースイッチを入力しておく。最初の小節が望ましい。(トラック例:ストリングス、ブラス等)
 コメントで奏法名を入れておき、これを毎回コピペして使えば時短になる。

 あともうひとつ、MIDIキーボードという文明の利器があるから、こいつで入力するのも速い。該当小節の前に来たら、MIDIレコーディングにしてキーボードをポンと叩く。
 キーボードには手製のオーバーレイを作ってそこに奏法名を書いておくという方法もある(自分はまだそこまではやってないが)。
 いっそA4の紙に書き出しておいてクリアケースに入れておいても良いか。

 いかがでしょうか。自分もまだ試行錯誤中なので、また良い方法があったらシェアしたいと思います。

ダイナミックEQの質感

 マルチバンドコンプとダイナミックEQは動作が非常に似ていて、というかほぼ同じと言っていいと思うんだけど、それでも実際に使用してみると、結果としての質感がかなり違いますね。(前者は特定帯域を圧縮する、後者はただゲインを下げる)
 これはサイドチェインで使った場合だが、やっぱりダイナミックEQの方が自然な仕上がりになる。ジグソーパズルをかちっとハメ込んだ感じ、とイメージして頂ければ良いかも。

 といっても、ウチの場合はほぼマルチバンドコンプは使わなくなった。打ち込みで生楽器アンサンブル&バンドサウンドを再現していく音楽制作なので、音圧対策には良いが結果が不自然になりがちなプラグインは、自然と使わなくなりました。
 そもそもちゃんとアレンジすると、2mixで14LUFSくらいの音圧はすぐ出ますからね。フルオケ曲で何もしなくても13-12まで行ってしまうこともある。
 ということで、自ずとこのテのチート(?)プラグインを使う時は、問題の出たミックスを解決する場合になるのだけど、トラックとしては普通に良いが、音域的にどうしても重なってしまう場合。どっちかのパートを動的に抑えないといけない。……こんな時、最近はダイナミックEQにしています。ウチは普通に「Waves F6(RT)」ですね。

 例えば女性コーラスとエレピの白玉。美味しい音域が重なりがちですね。EQで削るのも限界がある。こんな時はサイドチェインでコーラスの信号をエレピのF6に送り、声が出ている時だけ該当音域を動的に3dbくらい削ってやる。非常に自然に溶け込みます。
 これがマルチバンドコンプだとそこまで自然でもない。(まあ好みの領域であることは認めますが)

 しかしF6も操作がなかなか複雑で、うかうかしているとただの静的EQとしてしか動作していない状態になる。あれは動作するとちゃんとモニタラインが「へこっ」と下がるので、目視で確認は必須ですね。

 ダイナミックEQは昔はなかったと思う(手コンプならぬ手EQで下げてたエンジニアもいたかも?w)、こいつはプラグイン時代の文明の利器といえそうです。