月: 2020年1月

クレカトラブル

 もう四半世紀も前、自営業になる前に、会社勤めでないとクレカ審査が通りにくいと聞いていたのですが、自分の場合案外簡単に通ったりして、その後追加で取ったときも落ちたことはないし、かなり優良顧客なんだろうな、と思ってた(全然儲かってないが、支払いが遅れたことは一度もない)。
 ただ、去年の秋に期限を迎えたカードが1枚あって、その後新しい期限のカードが送られてきたので、通販サイトに登録したら、なぜか使えない。限度額に引っかかったのかなあ?と思って翌月、翌々月くらい試したのだがまだ駄目。カード情報確認しても合ってるし、なんだろうな、と思っていたら。
(カードが限度額かどうか、電話して確認するの滅茶苦茶面倒なのでね、あれ時間掛かるし)

 本日、ふとクレカの裏面を確認して判明。セキュリティコードが新しくなっており、古い番号を通販サイトで入力たから撥ねられていた(w)。例の、クレカ番号とは別にある3桁のやつです。そういえば昔も一度更新されたことがあったなあと思い出した、これって変わらない時もあるんですけどね。カード保護のために定期的に変わるのですね、だんだん面倒になりますわ、個人でカード番号漏れないように気をつけていても、通販サイトやカード会社本体から番号が大量流失するんだから。

 まあ今はだから保険なんかもついていて、それもカードの年会費に含まれているんだけど(楽天カードなんかは年会費ないか)、悪いことをする奴らさえいなければ、こんな面倒なことをしなくて済むのに。まあ性善説ではビジネスは成り立ちませんから、仕方ないわなあ。

 電子マネーが出始めたときに、クレカは全て駆逐されるかと思っていたら、クレカは「掛け払い」なので結局生き延びましたね。それどころかクレカで電子マネーを購入できる始末(w)。このレガシーシステムは意外としぶといようです。
 自分もしぶとく生き延びて音楽作っていきますぜ(強引に自分の話に結びつけるやつ)。

ソニータイマーは都市伝説か?

 ソニーの電化製品に内蔵されているという自動故障誘発タイマー、いわゆるソニータイマーですが、確かに自分も思い当たるフシはあって、かつて買った「DoDeCaHorn」というラジカセが、本当に1年経って保証期間切れ直後に故障しやがりまして。結構奮発したのに、修理すると高いのでそのまま不燃ゴミに出しましたが(今なら引き取りになるのかな?)

 あと、友人の家にあったソニーの大型TVが滅法調子が悪かったらしく、何度修理に出しても次々に故障して手を焼いたそう。これはたまたまそういう個体に当たってしまった可能性が高いけど。

 もっとも、本当にソニータイマーという部品が入っているわけではなく、部品の耐久性が低かったりすると、ちょうど1年とかの期限で故障するのでしょうね(ただ、工学理論的にこういう設計にすることは可能なので…)

 大昔のソニー製品はそういった意味では本当に優秀で、親父が(主に短波で日経を聞くために)持っていた「Skysensor 5800」という多バンドラジオなんて、軽く10年は持って、ガリもほぼ出ず20年以上動いてたと思う。
 これで海外の短波局に受信報告書を国際郵便で送って「ベリカード」とか貰ってたなあ(なつかしー、なんのことかわかる貴方は昭和世代ですね?笑)

 ある時期のソニーは品質管理を随分ないがしろにしていて、それが「ソニータイマー」と揶揄されるような短寿命の製品乱発になっていた可能性があります。
 「ソニータイマー」伝説をソニー幹部が公式に否定して以降、買ったラジカセは結構5年以上持っているしな。

 かつては世界制覇をしたソニーを始め日本の電機メーカーも、今では見る影もないですが。こういう品質管理、メカニック、ファームウェアの設計製造の優秀さは、日本の電子楽器メーカーが、今では一番色濃く伝統を受け継いでいるかもしれませんね。

 再び日本の製品が世界で輝くときが来るだろうか……。三菱重工のジェットなんかボロボロでいつまで経っても完成しない、一方ホンダジェットは量産・売れまくっている、なんて状態を見ると、政府と癒着結託するような大企業は駄目で、ベンチャー気風や独立独歩の企業からこそ、つまりお役人や政治家の目の届かないところから、そういうイノベーションは始まるのかもしれません。
(インテルの最初のCPU設計に参画したのは、日本のビジコンという中小企業のエンジニアでした。インテル自体もド田舎のポンコツ半導体会社だった時代)

 まあとはいえ、今のソニーは金融屋だったりコンテンツ屋だったり……そっちがほぼ本業なようですね。時代に合わせて変っていくべきところは、躊躇せずそうすべきということですか。

(ソニーのオーディオ用電子タイマー、これが本当本家本元の「ソニータイマー」が実家から出てきて、電源を入れたらなんと動いたので、驚きのあまりつらつらと書いてみましたw こいつ、ガチで40年前の製品だぞ……。
 ちょっとカッコイイこと言いますと、自分の中の音楽への想いもこんな感じですね。ちょっとカッコイイこと言いました)

TIPS: 日本が誇るDAW”ABILITY”高音質化

 たぶん日本全国で10人くらいしかユーザーがいないDAW、(株)インターネットのABILITY(Pro)――のチョイTIPS。……いや、いくらなんでもそんなことはないと思うが、毎日毎日起動して使い倒している人は本当にそれ位かもしれない(?)。そりゃCubaseなら100人単位でいるでしょうがね……。

 といっても一口メモみたいなもん、これがね、ミックス前に自分は必ずバウンス(オーディオ書き出し)して、そこからミックス作業に入ることにしているんですが、この書き出しファイル形式を48kHz/24Bitから48kHz/32bit(浮動小数点)にしたら、かなりはっきりとわかる位、音がクリアになって驚いたって話なのですわ。ここを読んでる方で何人ユーザーがいるか知りませんが、もしやってない方がいたら、ぜひ。というか、しばらく前のアップデートで32bit書き出しがデフォ値になったようなんだけど。
 32bitにすると音割れも原理的になくなりますが、それ以上に音質改善効果がありました。やはり24bitだと、まだ音質変化があるようで。最終的にCDフォーマットにする場合は44kHz/16bitで書き出しになるのですが。欠点としてはファイルサイズが増大するくらい。
 自分は2mixも勿論48/32で、マスタリング終わりでようやくCDフォーマットやmp3に書き出しです。

(この2mixも、48/24だと音が変ってしまう時は顕著だったが、48/32にした途端、DAWネイティブで鳴らしたそのまんまの状態の書き出しになった。驚きの白さTOP。いや洗剤か)

 ABILITYも3.0になってたぶんソフトをゼロから書き直しって位根本的改良を行ったようですが、オーディオエンジンも刷新されて元々高音質化しています。そこへ持ってきてこれは鬼に金棒(?)。
 そうそう、3.0の人柱期間も無事終って、また元のように安定した動きになってきました。たまに突然落ちることもあるが、まあ実用上は差し支えない安定度。なので2.0から上げてなかった方も安心してどうぞ。

 こいつは自分のような楽譜主義者にはうってつけのDAWなので、今後も頑張って欲しい。逆にDJさんには使いにくいかもしれない。
 まあ、ABILITYはガチ作編曲勢向けのDAWですわ、昔から。
(こいつの遠い先祖は、Rolandの「ミュージ郎」とかに付属していたソフトらしい)末永く、地道に活動しつつ使っていきますよ、この歳になると自分の分ってわかりますからね(w)。違うか。

デモ曲公開・Orchestral AOR第2弾

「透きとおる夜に」

 また出たフルオーケストラAOR(結構1年振り?)。前回のがケレン味たっぷりのアレンジだったので、今度は真正面からフルオケと向き合ってみました。オペラでもなし、いわゆる超豪華ストリングスセクション風でもなし、本来のオーケストレーションです。

 今回はシンガーソングライターのTATSUYA SAIKIさんに歌って頂きました。例によって類似曲が全くない中、楽曲からよく表現を汲み取って独自の歌唱に仕上げて下さいました。青春な感じの熱さと、真逆のクールさもあります。有難うございます。

 フルオケの弦とPOPSのストリングスは、同じ弦でも全く違いますね。生ギターとエレキギター位離れてる。あと目の前にフルオケが居る、ってくらい具体的にイメージするとアレンジがしやすいようです。

続・お宝雑誌発掘

 実はひとつ前に書いた80年代の音楽雑誌「KB Special」の件、翌月号も見つかりました(1988/6)。2号続けてCASIOPEAの最新アルバム「EUPHONY」が特集されていたのですね(それだけ音楽的にも面白い作品だったといえそう)。
 紙面に登場されているのは……

 当時のトレンディードラマに出ていた俳優さんです、って言ったら今の若い子は信じますね(w)。
 もちろんリーダーでギタリストの野呂一生さんです。今も昔もカッコイイ。ここで色々書くのも恐れ多いですわ……。文字通り日本を代表するミュージシャンのお一人です。

 ギターのコードプレイで、テンションノートがハイに行くほどコードの機能が強くなるって話。キーボードとの比較で、どうしてもボイシングに制限が出てくるので苦労するって話。作曲のとき、転調はするが基本となる調の調性感は大切にしているって話。あまり転調してやろうと思って転調しないそうです、あくまで楽曲の流れを見て、一時転調とか臨時転調とか。(やっぱり、これがカッコイイのですね)
 前回も出てきた「m7(b13)」は野呂さんが発明された表記とのこと。

 実はこの特集だけでなく、別の新製品紹介のページでYAMAHAのMIDIギターシステムG10のレビューがあり、そこで野呂さんが実際の利用者として登場されています、
 このG10、「EUPHONY」の中でも使われていたのですね。「SENTIMENTAL AVENUE」や「SOLID SWING」でTX802やRoland D-50をドライブしていたとのこと。G10は純粋にMIDIコントローラーに絞った製品で、今のようにピックアップでギターとしても使えるものではなかったようです。またハマリングオン等、細かいテクは拾えなかった。ただしチョーキング等でクォータートーンを出すのは可能だったらしい。

 この号、表紙は坂本龍一さんでした。当時からオーケストラと共演するスタイル。もうこれだけでも30年以上の積み重ねがあるってことになりますか。

 そしてKORGからは驚異の新製品が……!

 うーん物凄い時代だったよ、80年代。実はこの頃の音楽雑誌は一杯実家に取ってありました。また面白い記事があったらシェアします。

新表記法: 4度堆積和音

 雑誌の音楽理論の記事を見ていて思ったこと。フュージョンやジャズはやはり4度堆積和音の利用頻度が高く、だからこれらの音楽をずっと聞いていた自分も、知らず知らすのうちに馴染んで好きになっていたんだな、と。
 ボカロ曲を書き始め、コードを自分で決められるようになって(最初は、なんとDAWの自動判定機能に頼っていた!←メロから判定)、結構初期からsus4コードが好きで、なんでこんなに惹かれるか分からなかった。結局既存のコード体系のなかで、一番4度堆積と親和性があるコードだからなんですね。なんせ4度の音がしっかり入っている。
 そしてこいつは、メジャーでもマイナーでもない不思議なフレーバーで、ちょっと浮遊感があり、オリエントな雰囲気もある面白いやつでもあります(作曲勢の皆様は先刻ご承知ですね)。
 昔のポップスなんかだと、「Csus4 | C 」みたいな進行が常套句だったのですが、自分は結構知らん顔して他のコードに進んじゃったりとか(笑)、理論知らないうちからやってましたが、これは正しかったのだと後に知りました。現代曲だとそういうのは結構ある、違うsus4が連続したりとか。もう独立した和音のようなっている。これなんかも、たぶん考え方としては4度堆積の方から引っ張ってきたと思っていいのでしょうね、あちらは明確なコードケーデンスもないから(むしろ既存のケーデンスに組み込まれていない、という言い方のほうが正しいか)、どうやら感覚的に使う世界のよう。非機能というより脱機能っていう感じですかね。自分も曲では結構こういう使い方です、昔よりは控えているけどw こうやってちょっと解析不能なところを作っておくと、やっぱり曲のアクセントになって面白いんですよ。

 まあそれはともかく(長い前置きだw)、音楽理論(コード理論)は3度堆積和音を主眼に考えられているから、ここに4度堆積を持ち込もうとすると、コードネームの表記に非常に苦労するわけです。それでも皆さん、なんとかかんとか既存の和音の展開形を使うことで、4度堆積を表現しているのですが、いかんせんやはりパッと見わかりにくい。譜面にコメントで書いておくという方法もありますが、できればそろそろ4度堆積を表すコード表記を考えてもいいんじゃないか、とふと思いました。まあこれが必要なのは、フュージョン&ジャズ業界が中心になるのでしょうが……。オンコードだのオミットだの、オプションがたくさん付いてしまう現状を、なんとか打破できないか、というひとつの試案です。

 例えばCからの4度堆積

    C-F-Bb

 こんな和音があったとします。既存の表記だと「C7sus4 omit5」ですね。
 これを、CM7とかCmとかと同じく、簡単に書きたい。
 だったらQUAD(ラテン語で4が語源)からもってきて、4度堆積和音には「Q」を付けてはいかがでしょうか。
 「CQ」です。若干アマチュア無線を思い出しますが、それならCMだってコマーシャルですからね。
 今のは3和音(トライアド)でした。4和音(テトラド)の場合は、「CQ#9」あたりがよろしいのではないでしょうか。4音目が#9になるので。

 この表記が良いのは、ひと目でベースになる音がわかること。CQならCだし、FQならFです。いかがですか?
 もしかしたら、というか絶対こういうことを考えている人は世界のどこかにいると思うのですが、自分が知る限りでは見当たらないので、とりあえず提唱してみました。
 今後4度和音が理論に組み込まれていく(というか、モード理論とかあるけど)過程があるなら、絶対に簡便なコード表記は必要になるはず。

 まあこういうのは広まらないと意味がないので、このローカルブログで言っていても仕方ないのですが(笑)、とりあえず、自分はこの表記で便利になるかどうか、自分で書いていく曲では使ってみてセルフ人体実験してみることにします。DAWのコメント機能でスコアに入れればいいだけだからね。何か新しい知見が生まれるかもしれないし、そうなったらまた報告します。

(世の中には5度堆積ってのもあるそうで、こっちは表記するとしたらPentaのPかな?)

(何か致命的に変なこと書いてないか、ちょっとドキドキ)(笑)

お宝雑誌が発掘された

 実家で古い雑誌を整理していたら、お宝(もちろん音楽的な意味で!)発見。
 ちょっと若手芸人感のあるこの方、どなただと思います?(色々と各方面で怒られそうだなぁ…)

 キーボーディストの向谷実さんでした!(すいませんすいません、土下座←大汗) 若い!細い!黒が似合う、カッコイイ。

 すごいなあー、弾いてるのモロにDX7ですね。ビンテージでも何でもない、現役機種だった頃だから。なんとこの雑誌、1988年5月号。リットー社の「KB Special」(今は休刊)。32年前ですよ。ほぇー。

 当時、CASIOPEAの最新アルバムだった「EUPHONY」にあわせての特集で、リットーの雑誌なので理論的に踏み込んだインタビューが載っています。それによると、「m7(b13)」がバンドサウンドにとって重要なファクターになっている、とのこと。4度堆積コードです。これは半音下降のような進行でdimの代わりに使っても、かなり上品で良い響きになる、と。
(しかし、当時読んでチンプンカンプンだったけど、まさか自分が理解できるようになるとは思わなかったw)

 他にも当時のCASIOPEAライブでのキーボード構成とか、巻頭にカラー特集で。まさにお宝中のお宝。こういうものは秘蔵して誰にも見せません(笑)。なんでも価値ある情報をシェアすると思ったら大間違いだよ。秘匿してライバルに差をつけろ!違うか。

 他の記事で、当時新進女性シンガーソングライターだった方のインタビューもあって、のけぞりました。LAレコーディングの6枚目新作アルバムの話。カラー写真、今と変ってないなー、驚異。32年経ってるのに、本当は絶対おかしいでしょ?
(しかしこのインタビュアーは、今読むと少し悪意がある気がする。ピアノは何曲弾いたの、とか、アレンジはどうしたの、とかやや詰問調。若手苛めって気もしないでもない。アーティストさんも大変だ。なおMajor7thコードがお好きということですw いいっすよねー)

 もう永久保存版ですね、ダンボール箱にしまい込んでいたので状態も良いです(外気に触れず酸化しない)。他にも清水信之さんや久石譲さんの連載とか、デヴィッド・ペイチとか。
 いやー、しかしびっくりしましたわ(w)。

(追記:まさかここを読んでいる人で向谷実さんを知らない人がいるとは思えないけど、日本を代表するミュージシャンの一人でっせ。最近では社長業の方でもよくメディアに出ておいでです)

ミキシングの低域処理

 ミキシングも慣れてくるとだんだんコツがわかってきて、作業手順なども効率化できるところはやって、スピードも上がってきます。この楽器のこの音域とボーカルは被るな、などとわかるようになってくる(アナライザーで調べてなくても、音を聞いてわかる)。
 ところが、いつまで経っても効率化できないのが低域の処理。普通のポップスの楽曲なら、ベースとキックドラム(バスドラム)の音の被り防止処理。これはいつもアナライザーとにらめっこしながらEQを調整し、音を聞いて確認し、の繰り返し。キックとベースの組み合わせによって、50-60Hzあたりでどちらかがピークになっているので、ピークは生かして被るところを下げる、という処理。下げすぎると迫力がなくなるし、上げすぎだと低域がボヤけてブーミーな感じになります。なのでカット&トライの連続です。アナログシミュ系コンプやEQなどの癖もあるし、なかなか一発では決まりません。

 これ、なんとかならないかと思って、その種の本を見たり、ミキサーの方のブログやら海外翻訳系の記事を見たりするが、どれも上のような泥臭い処理手順しか書かれていない。つまり、これは誰も効率化できない処理なのですわ(笑)。
 で、結局いつもミックスをモニタースピーカーで聞いたり、ラジカセやらコンポやら大型ステレオ、スマホで、……なんて総動員の事態になっちゃう。こうやってできるだけたくさんの環境で聞いてみる、という至極面倒な手順が、低域(+他の部分も)を確認する唯一の方法ということです。これ、第一線の専業ミキサーの方は必ず書いている方法なんですね。

 面白いことに、ハイ&ミッドは、モニターヘッドフォンでほぼきっちりバランスが取れるんですわ。ただ低域だけは、やはりスピーカーで確認しないとバランスを調整できない。非常に音のエネルギーが大きいので、大抵は上げすぎでボヨボヨした音になりがちです。
 ジャンルによっても低域の処理は違ってくるし(ロックやEDMならド迫力でいい)、このあたりはAI的なミックスプラグインが今後発展するにしても、結局人間が耳で最終確認しないといけないのでしょう。「方針」を決めるのは人間なので。

(スピーカーのことばかり書いたが、様々なヘッドフォンを試すってのも重要。ただ、リファレンスのモニタヘッドフォン&スピーカーできっちりバランスを取ると、大抵他のものでも良いバランスで聞こえます。流石にモニタはそういう目的で作られているだけある。粗捜し専用って感じ)

面白ソングの系譜

 今少し思っていることをつらつらと。昔は面白ソング系の歌がいくつかあって、確固たる市民権を得ていたと思うが、今はほぼ消えてしまったなあ、と。いわゆるコミックソングではなく、発想がコミカルで面白い歌ですね。それでいて真面目なテーマを歌っていたりして、一粒で二度オイシイ的な。こういうのは邦楽だと歌謡曲とか、ムード歌謡にはよくあったと思います。洋楽だと、具体例としては……うーん、あんまいい例ではないかもしれんが、J・ガイルズ・バンドのCENTERFOLDとかね。ビートルズのLSDのやつとか銀の斧とか、まあすぐ思いつくだけで幾つかある。
 いまのJ-POPは非常にシリアスで、生真面目になりすぎている感はあるかもしれません。ポピュラー音楽はエンタメだね、ってところを忘れかけている気がする。

 で、まあ、配信でとある曲を聞いたらこの面白ソングだったので感心した、って話なのですが。これってセンスいるよな、って思う。一歩間違うとただの悪ふざけになっちゃうし。
 実はこれ、プロトタイプを聞いたときは、あんまり買ってなかったのですね。これだと芸人さんだよなあ、なんて失礼なことを思っていた(笑)。ところが、ちゃんとプロデューサーさんが引き受けて仕上げると、これが見事にセンスのいい面白ソングになっていて驚いたと、そういう話なのですよ(w)。やっぱりどんな優秀なシンガーソングライターさんでもプロデュースは必要だなあ、って思った。(自分で出来る人はいいのですが、一般的に自分を客観視するのは難しいと思う)
 心が裸になっている歌は、やっぱり聞き手に色々と刺さりますね。

 あっ、面白ソングはほぼ専門にやっている方々もみえますね、しかも売れているし。とすると、あんまり心配する必要もないってわけか(w)。
(去年、自分も面白ソングを書かせて貰いました←リリース済)

 こういうのは歌詞も難しい、悪ふざけになったり、逆に説教っぽく?なったりしないよう、歌詞も「音」であることがわかっている必要がある、実際作詞してるときは考えてませんが、これは音・語呂が悪いなって言葉は避けるもんね。

 POPSはエンタメ、ってところは、いつも忘れないようしていたいと思います。

レビュー: リバーブ「80’s Spaces」

 このプラグイン、以前から気になっていたのですが、日本語のレビューが全く見当たらない上、結構微妙なデベロッパーと知られている(w)「Nomad Factory」のやつなので、どうしようか迷ってました(他社と共同開発らしい)。しかもYoutubeに上がっているユーザーレビュー動画まで微妙という、不安要素は満タン。ただサンプル音源を聞く限りなかなか良いし、英語のレビューで好意的なやつも見つかったので、試しに買ってみました。

 結果から言うとこれが当たりで、他のリバーブでこの辺りの年代を差したプリセットとかちょくちょくありますが、ああいうのとは一線を画すクオリティ。
 名前の通り、アーリー・デジタルとでもいうべき、’80年代のハードウェア・リバーブ機器からインスパイアされたもので、空気感や残響のフレーバーがよく再現されています。いわゆるエミュレーションみたいな内部回路動作まで同じ、ってものではなさそうですが、音が同じなら自分的には完全オッケー。
 80年代デジタルリバーブの帯域の狭いダークな感じの残響感、あれがカッコいいから欲しい、って人には最適。

 ぶっちゃけ当時の代表機種だったLEXICONのヤツなんて、メーカーによる完全再現プラグインがあるけど、一式揃えるとかなりの金額になっちゃう。

 そこへいくとこの「80s Spaces」は、複数の機種を再現しつつなかなかリーズナブルなお値段。最近夏・冬くらいにバーゲンしてるけど、そうするとお馴染みWaves価格まで下がります。なのでここが狙い目。

 以下、海外掲示板で見つかった、再現機種一覧。

– Iconic 20 (Lexicon 200)
– Iconic 24 (Lexicon 224)
– Iconic 48 (Lexicon 480L)
– Iconic PCM (Lexicon PCM 60 or 70)
– Event 3000 (Eventide H3000)
– Retro MX16 (AMS RMX 16)
– Japanese 90 (Yamaha SPX 90)

https://www.kvraudio.com/forum/viewtopic.php?t=496931

 プリセットもたくさん入っていて即戦力。軽いし、手持ちの中では今後もなかなか活躍してくれそうなヤツです。

 それにしても、当時のハードウェアの制約(メモリが少ない、CPUの能力が低い)が、時代のアイコンみたいなリバーブサウンドを生み出していたんだから、面白いもんです。