月: 2022年12月

moog mother-32導入

 アナログシンセmoog mother-32を導入しました、今月初旬に。こいつはセミモジュラーになっていて、内部結線ですぐ音が出るんですが、必要に応じてパッチングでより複雑な音色が作れるようになっている。

 やっぱり冨田勲先生が愛用していたメーカーだし、いつかは……なんて思っていたが、もうベリのsytem100を導入した勢いに任せて、今しかない、と。

 で、早速制作に使ってますが、実際にオシレーターの音をヘッドフォンで直に聞いて、ツマミを回して音作りをして気付いたのは、出音が上品・上質ってことです。Youtube動画だけでは気付けなかった。高品位という感じとは違うんですね、アナログだから。貴族的でもない、正にアメリカのアッパークラスな感じ。
 冨田先生はクラシック畑の方でもあられたので、それも影響して気に入られたのかもしれません。まあローランドなんかはこれに比べたらチャキチャキの平民だな(w)。

 1 VCOだったりENVもAD(S)だったり、仕様は絞ってますが、パッチセクションに面白い機能があったりして、これ1台で音作りの小宇宙を形作っている感じ。全体的な使用感はまさに「楽器」で、パラメータの動きも非常に音楽的で感心してます。このあたりは流石天下のmoog。

 ただ感心してばかりもいられない、どうやらMIDIチャンネルの設定がどうしても出来ない(w)。たぶんバグで、ファームウェアの2.0が公開されているが、まだ未適用。やっぱりアメリカ製品はどこか心配…。
 こいつも当然外部のモジュラーと連携できるので、その辺りも挑戦していきたい。(CV信号の仕様が違うのでアッテネーター等がいるようだ)

 最後に、やっぱりモーグじゃなくムーグだと思いますよ。Sorry, Dr.Moog. It’s a bleating of cows in Japan.

 それでは皆様よいお年を。

TR-8 お知らせ2つ

 ウチのRoland TR-8ですが、先日書いたとおり最後のUSB-MIDI接続機材だったものの、使用中に突然Windowsがブルースクリーンになりました(呆)。あーあ。前回とエラーメッセージが違うので、こいつだけが原因というわけではないんでしょう。結局ウチのパソコンでは不安定でUSB-MIDIは使えないという結論に。
 ドライバ最新だけど、仕方ないんだろうな。Winアップデートで動かなくなることは色々な周辺機器でよくある話だし。ただ単に相性が悪いってこともある。
 で、大人しくDINのMIDIに変えました。これでド安定してますね。気付いたんだけど、最近の機材はMIDI THRU端子がなくても、MIDI OUTからTHRUした信号を出す/出さないを選択できるんですね。

 以上悲しいお知らせですが、次は嬉しいお知らせ(?)。
 実はTR-8は単一ドラムキットでなく、16種類キットが入っているんですね。確かTR-909系のキットもあったと思ったけど、この中に、ちょっとキッチュな感じのキットもあって(3番とか)、これを選んで各インストの音色を調整すると、なんとCR-78系の音になることが判明。さすが同一メーカーの製品。あのカワイイ音が好きなので別のドラムマシン捜さないとなあ……と思っていたが、こりゃいいっすわ。ドラムマシンの決定版ですね。

 おまけ。アマゾンみてると、ひと昔前は結構高かったMIDIケーブルが、今かなりお値打ちに出てるけど、これって結局みんな同じトラブルで需要が高まっているのかも?
 カラーのケーブルもあるけど(やや高い)、自分は普通の黒ケーブルの、両端の端子部分にコクヨのカラーシールを貼ってテープ補強してます。これでごちゃごちゃにならずに済む。
 以上、ちょっとした制作屋のTIPSでした。

ユーミンさんの50年

 NHKで放映された「松任谷由実 ~私と荒井由実の50年~」を偶然見ることができました。
 なんと、ユーミンさんはデビュー50周年なんですね。18歳でデビューだったそう。
 タイトルに荒井由美が入っているのは、意外ですが、ご本人のお言葉では、自分は荒井由美を未だに超えられていない、ということのようです。「エッセンシャルなもの」があって、そこがポイントらしい。

 貴重な映像・写真が流れていましたが、荒井由美時代でいうと、やはりバックに気鋭のロックバンド・キャラメルママが付いたことが大きく取り上げられていました。
 また、アルバム「14番目の月」に入っている「中央フリーウェイ」、この曲はとても重要だったそうで、「この曲があったからここまでこれた」という程のもの。
 コードを探りながらピアノを弾いていて、「この曲はどこに行っちゃうんだろう」(弦央註:調性のことだと思われます)と思っていたが、強引に戻してみたらそれで合ってしまった(註:元の調に)。だから、理論的に計算したのではなく、感覚的に決めたコード進行らしいです。凄いなぁ。(1976年発表、シティポップの嚆矢にして完成形)

 で、このアルバムで”荒井由美時代”が終り、松任谷正隆さんとご結婚されるわけですが……。式の写真を見ながら、「互いの才能を独占したいから結婚した」って当時言っていた、というお話。口はばったたいが、本当に凄いご夫婦です。
 あと、「中央~」でベースを弾いたLeland Sklarのインタビューも流れていました。現役でセッションマンを続けているようで、仙人みたいな風貌になっています。
 曲もアレンジも素晴らしい、ファンタスティックだ、という話のあと、「目をつぶると、オーシャンパシフィックウェイをコンティネンタルで走っているような気分になる」とのこと。言い得て妙。

 また、ユーミンさんは時々夫以外のプロデューサーと組まないのかと質問されるが、として、1曲だけならまだしも、アルバムとなるとお互いのエネルギーを合わせてぶつけていかないと完成しない、その場合夫以外考えられない、ということだそうです。
 番組の最後では、ヤマハのAI・ボカロ技術で再現した荒井由美の歌声とユーミンさんが共演した新曲「Call me back」も流れていました。ちょっとボカロっぽさを残した感じで、それが却って良い結果になっているように思えました。

 まだギリでNHK+で無料配信されているので、皆様もぜひ。(22日夜まで)

https://www.nhk.jp/p/ts/R6R5RGQNJZ/episode/te/J5QXQ92XX1/

USB-MIDIの限界

 MIDI接続というと、昔は5ピンのDINケーブルで行うが常識でしたが、最近はUSBで繋ぐだけでMIDI接続できる機器が増えてきました。
 ウチもKORGのmicroKEYを始め、最近増えた各種ハード音源もUSBでつなげていました。ディジーチェーン接続しなくていいし、MIDIチャンネル設定も不用なので、これは便利と喜んでいたのですが。

 頻発するようになったのですよ、Winユーザが絶対見たくない画面ナンバーワン、「死のブルースクリーン」が…。あれが出ると10秒ほどのカウントダウンのあと、そのまま強制リセットなので。何も打つ手なし、正しく座して死を待つのみ。しかも、決まって各種機器の電源を入れた直後~5秒ほどの間に出るので、因果関係は明白。
 作業中のデータがあればそのままグッバイ、万一ハードディスク書き込み中だったら…。考えただけで怖ろしい。

 たぶん、USBの繋げすぎで何らかのポート競合が起こって、そのままシステム巻き込まれて死んでるっぽい(英語のメッセージでもそれらしき文言が出てた)。
 音源のほかは、プリンタ・ディスプレイ、外部SSDとかあと若干の機器だけど、10個近くになるともう不安定でダメですね。落ちない時でも、なぜか認識できないポートが出たりしました。
 なんとか騙し騙し使えないかと思ったが、さすがにブルスク4回目であきらめた。

 で、結局どうしたかというと、昔ながらのDINのMIDIで繋ぎなおしたんですね。これがもう抜群の安定度で、青画面一切出なくなりました。やっぱり枯れた技術というのは有難いものです。
 TR-8だけはUSBにしてるけど、これは安定していて問題ないようです。こいつはパラ出力で全パート一括オーディオで送信できるから、やっぱりUSB。

 ということで、皆様もUSBの繋げ過ぎにはお気をつけて。ある程度増えたらMIDIの方が安全かも。
(ウチは、Babyface Pro FSがMIDIドライバになっています)

愉快なProTools

 ProToolsに新たなバグ発覚。
 今は大抵どのDAWにもオーディオデータのリズム補正機能がついていますが、ProToolsにもエラスティックオーディオという名前で組み込まれています。
 ところが先日これを使ってボーカルのリズム遅れを一箇所修正したら、そこから後のボーカルデータが、実に奇妙な具合に「変調」されちゃって。単音のボーカルがところどころハモっちゃってる(w)。たぶん、補正前のデータが悪影響したんだろうが、声が重なって聞こえるので、かなり驚いた。
 もしかすると設定が悪いのかもしれないが、一応マニュアルや関連サイトは参考にしているので。

 これ、ボーカルだからすぐわかったのだが、例えばリズムギターだったり、ピアノのちょっと複雑なパターンだったりしたら、すぐには気付かない可能性がある。打楽器なら単に演奏を間違えたんじゃないか、と思ってしまうかも。

 冗談半分で、20年位前の海外ソフトみたいだ、って書いてきたが、あながちハズレでない気がしてきた。音質は抜群にいいから世界中のスタジオでデファクトスタンダードになっているんだけど、なかなか困ったアメリカ品質のソフトです。Windowsみたいなものと思って騙し騙し使っていったほうがいいかもね。
 良いところも書いておくと、やっぱりレコーディングとかWAV周りの操作や機能では便利なものが多いので、その部分は納得です。

 相変わらず終了したあとに再度「自動起動」することが3回に1回くらいあるし、一体どれだけバグ取りをサボったら今時こんな商用ソフトが出来るんだ、って位に酷い(w)。むしろβ版だと思ったほうがしっくりくる。
 こりゃ到底他の人には勧められないなあ。導入するとしたら、絶対他のDAWとの併用が条件ですね。ウチもそうしてるし。ProToolsのお陰で、ABILITYがいかによく出来た信頼性のあるソフトかってことがわかったよ。困ったもんだ。

モジュラーシンセの音色記録法

 モジュラーシンセは本当に原始的ともいえる構造なので、プリセットなんて便利なものはありません。音色を変更しようと思ったらツマミを回してパッチングして……という作業を繰り返していくわけです。
 ここで問題となるのが、作った音色をどのように記録しておくか、ということ。一期一会で音色を楽しむだけならともかく(それもまた良い趣味だが)、ウチの場合は制作に使うので、どうしてもあとで再現する必要が出てきます。たとえばラフを作って、あとで本番のレコーディングが必要になった場合。ミックスが終わってから演奏を一部修正したい…なんて時もあります。
 昔は、パッチング用の記録シート紙があって、それをコピーしてそこに筆記具で書いておく、という方式が使われていたらしい。(今でも機器構成が決まっているセミモジュラーでは使われている)

 ただ、モジュラーシンセの場合は構成も千差万別だから、記録シートから作って……というのも現実的じゃない。そこでどうするかということですが。
 もう気付いた方もおられるでしょうが、そう、スマホで撮影しておけばいいのです。文明の利器は怖ろしいな。昔は紙に手で書いてたのに。冨田先生の時代はどうされてたのかと思ってしまう(助手がいたので、さすがにその辺りは振っていたか。まあ冨田先生なら全部憶えていても不思議ではありませんが 汗)

 スマホで撮る時も、角度を変えて2枚くらいは撮影したほうがいい。結線が邪魔でツマミの位置がわからない時がある(w)。
 ウチの場合は、撮った写真はすぐPCに転送して、DAWの楽曲ファイルと同じところに入れています。

 写真を見ながらツマミの位置などを合わせても、完全に同じ音色にはなりませんが、元々アナログシンセはそういうものなので、そこは割り切っています。ギターだって次の日は音が変わっていることはよくある。生楽器は全部そうですね。

(なんか、モジュラーのパッチングや機器構成を再現・記録できるサイトもあるらしい。ただこれ2度手間だし、スマホ撮影の手軽さには敵わない)

ベリンガーTD-3使用感

 ベリンガーのアナログベースシンセTD-3をしばらく前に入手、ボチボチ使ったりしてた。これもクローンで、RolandのTB-303が元になっています。簡単に使用感などを書いてみたい。

 まず、クローンといいながら、あまり音は303と似てないというか……まあ、Rolandの公式再現系TB-03やTB-3などはさすがに本物感満載だけど、TD-3はあしざまに書けば二日酔いになった303って感じ。本物は理屈抜きでグッとくるが、こいつは音がヨタっているんですね。Youtubeを見てそんな感想を持ったが、実際に鳴らしてみても同じ感想だった(w)。

 じゃあなんで入れたかというと、やっぱりアナログシンセであり、MIDI/USBで接続ができて、しかもCV/GATE OUT端子があるんですね。つまりMIDI-CV変換器になるってこと。シーケンサー付きで、外部オーディオ入力まである。この価格で機能満載は面白いと思ったから。
 ヨタってると書いたが、ベリの人もこりゃ失敗したと思ったか、本物にはないディストーションまで内蔵してる(BOSSのDS-1がモデル)。こいつを入れると、なんとか聞けるレベルまで改善します。
 まあ考えたらあまり自分はキリキリのアシッド系の音が欲しいわけじゃないんで、ヨタった(=ソフトな)音でもウチの場合は却って利用範囲は広いと思った。
 合わなかったらすぐ売り飛ばそうかと思っていたが、結局残すことにした。

 MIDI-CV変換ができると書いたが、ベースシンセなので音域の上限があります。中央Cの上のBが限界で、そこから先は変換しません。本体の音も鳴らないようだ。
 USB接続で、パソコンからSynthTribeというユーティティプログラムを起動すると、各種設定や、シーケンスパターンの編集ができます(超便利)。このプログラムはベリが無償公開してる。
 色々と書いたが、非常によく出来たガジェットシンセだと思います。
 シーケンスパターンを鳴らしながら、カットオフやらレゾナンスを動かすと、それはお馴染みの気持ちいい音になります。ディストーション弄るのも良い。
 全般的には、テイストレスでダーティな感じの音といえるでしょう。アナログ特有の不安定さもあり、これは流石にソフトシンセやデジタルシンセでは出せない味。

 当然ながら、アナログシンセ同士、モジュラーのSystem100とも接続できるので、そのあたりも拡張してみたい。