月: 2024年3月

見逃しがちなトラックのノイズ

 商用リリース用マスター音源の大敵、ノイズ。といってもDEW RIDGE RECORDSのように制作の全工程を管理していると、意外とノイズを最初から排除できるんですね。

 ウチなんかはレコーディングといっても、ほぼ電子楽器のライン録りばかりなので、歪みもノイズもまず発生しません(レベル管理をきちんとすれば)。やり直しも簡単だしね。
(アナログシンセの音が暴れる、ってのはまた別の話)。

 ただモニタしつつ完璧に録音しても、ミキシングの後半になってノイズに気付くことがあり、大抵次の2パターン。

 一つ目は、ミキシング時に、ピーキーで高域が強い音が重なって波形が合成され、ノイズになる場合。これ以前も書いたけど、発見したら該当音を瞬間的に絞るとか、その種の対策をとる。(時々幽霊の声が入っている……と話題になる曲があるが、この波形合成が原因でしょう)

 二つ目は、ボーカルトラックでありがちな、リップノイズ。これ、意外とやっかいなんですよ。唇を開くときにかすかに入る「チッ」みたいなノイズですね。今のマイクやI/Fは高性能だから、宅録に不慣れなボーカルさんだと、こんな音も拾ってしまってることがある。
 それも、生トラックのままなら目立たないとしても、コンプ2段掛け……なんてことをしていると、増幅されてはっきり耳で聞こえるノイズに化けます。
 これも見つけたら波形編集等で削るしかない。

 どちらのノイズも、一般リスナーは気付かないかもしれませんが、音楽業界の人ならわかってしまうから、消しておかないと恥ずかしい思いをします。

 現代の制作環境は、音がクリアになった分ノイズには厳しいといえるかもしれません。

Gemini君は使える子だった?

 GoogleのAI・Geminiのことを書きましたが、ふと思い立って、プログラムのソースコードを作れるか試してみた。一応、ネット記事情報ではかなり使えるレベルらしい。

 元々の経緯としては、DAWのMIDIトラックのベロシティで、オーディオトラックのボリュームを変化させるプラグインが欲しかったわけです。しかもそれは、VSTでもAAXでも同様に動いて欲しい。つまりABILITYとProToolsで同じ動作をさせたいわけです。
 まずはそういうプラグインがないか捜しました。

 都合よくBlue Cat Audioに、Gain Suiteというフリーのボリューム制御プラグイン(なんとVST/AAX同梱)がありましたが、惜しくもこれはベロシティでなく、MIDI CCでボリュームを動かすものでした。
 理屈の上ではこの前段にベロシティ→CC変換を入れれば良いはずですが、残念ながら間に合うものは見つからず。

 更に調べていくと、やはりAAXのMIDI周りプラグインはVSTに比べて貧弱なようです。
 そこで、ダメ元で、Gemini君にソースコード作成をお願いした……というわけです。

プロンプト
ProToolsで使える、ベロシティをCCに変換するプラグインのソースを作れ

(まさか、こんなニッチなもの、できないよなあ……)と思ってました。ところが予想を裏切って、数秒後にC#のソースを出してきたんです。驚いたのなんの(w)。

(注:音楽業界の皆さんへ。ここでいう「C#」はキーではなくプログラミング言語の名前です)

 流石にすぐ動くものではなく、そこから手を入れないといけないものですが、まあサンプルプログラムとしては上出来な代物でした。ちゃんとAAXのSDKを使えなんて注意書きまである。

 バグを持ってないかは不明ですが、こんなニッチなニーズまで対応できるとなると、プログラマもかなり職を奪われてしまうのでは……と心配になった次第。
 生成AI、凄すぎですな。今後10年で世の中がすっかり変わってしまうのではないでしょうか。

TikTok強制買収

 TikTokが安全保障上の脅威だというので、アメリカの下院で強制買収(売却)法案が通ったという話。一見いつもの言いがかりに見えますが、実は結構真実を衝いているかもしれません。TikTokってほぼアルゴリズム(AI的なやつ)で表示される動画が決まる世界で、運営側が意図すれば陰謀論的な動画をどんどん見せて、世論誘導だって可能でしょう。それでなくても、特定の政党や候補者に嫌悪感を与えるようにマインドコントロールすることだってできるはず。
 実際、この法案が審議されているとき、TikTokが米ユーザに反対依頼を一斉プッシュ通知したらしいですが、それがまた議員さん方のゲキリンに触れたらしいです。民主主義への介入だというんですね。

 まあその反面で、中国も確かに酷いが、アメリカもなかなかって見方はやっぱりできる。形式的には、上手くいっているドル箱企業を強奪しようっていうことですから。というか属国日本から見るとアメリカこそが世界一の強権国だなあ。普通はまずアルゴリズムの透明性を高めろとか、オプトアウトさせろとかの要求から始まるはずだから。
 中国もあきれて強盗じゃないか、とコメントしてたが、心の中で同意したよ(w)。

 新日鉄のUSスチール買収もどうやら強制終了らしいし、なかなかどうしてアメリカ政府というのはやっかいな存在です。

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GoogleのAIで遊んでみた

 世間的にはChatGPTのようですが、元来素直じゃない性格なので、しばらく前GoogleのAI・Bardで遊んでました。

 どれくらい忖度するか確認するために、わざとアメリカのややこしい問題の質問をぶつけてみたら、見事に全部スルーするんですね。

「バイデン大統領の寿命は?」
――私はただの大規模言語モデルなので医療問題はごにょごにょ……

「トランプはなぜ逮捕されないの?」
――私はただの大規模言語モデルなので政治問題はごにょごにょ……

「ケネディを暗殺したのは本当にオズワルド?」
――色々な説はあるが公式にはオズワルドで(以下略)

 あまりの見事な日和方にだんだんイライラしてきて(w)、もっとどぎついやつをぶつけてみた。

「もしCIAとFBIが戦ったらどっちが勝つ?」

 まさか答えないだろうと思ったら、CIAの人員は何人でFBIはこれだけで、配置は……みたいにちゃんと考察して、CIAが有利という結論を嬉々として出しました。てか答えるのかよ!?(w) 忖度の基準が不明ではあります。

 そんな弱気のBard君もベータ版から目出度く本式サービスに昇格して、先頃Geminiと改名されました。アインシュタインを黒人にしたりとなかなかお茶目な芸を披露していますが、どれくらい進化したかな?と映画のシナリオを書かせてみた。

プロンプト(指示文)はこんな感じ:
 ミッキーマウスとドアラが月の砂漠でガチンコバトルした。
 そんな映画のシナリオを作れ。

以下、かなり笑えるストーリーが出来たので紹介します。

ミッキーマウス vs ドアラ 月の砂漠ガチバトル

舞台設定

人類が月面に居住区を築き、資源採掘を始めた未来。しかし、謎の生命体「ルナモンスター」の出現により、月の平和は脅かされていた。陽気な笑顔で敵を翻弄する特殊工作員ミッキーマウスは、ルナモンスター討伐のために月へと派遣される。一方、ルナモンスターの群れを率いる謎の存在「ムーンラ」は、月の裏側に巨大な要塞を築き、侵略計画を進めていた。

戦闘開始

月の砂漠に降り立ったミッキーは、ルナモンスターの奇襲攻撃を受ける。圧倒的な力を持つルナモンスターを前に、ミッキーは苦戦を強いられる。

ミッキーの戦術

持ち前の機転と巧みな戦術でルナモンスターを翻弄するミッキー。月の重力を利用した奇襲攻撃や、月面基地の資源を活かした武器で反撃する。

ムーンラの正体

戦闘の最中、ミッキーはムーンラがかつて地球で人気を博したドラゴンズのマスコット「ドアラ」であることに気づく。ドアラは月の裏側に存在する古代文明の遺跡で謎のエネルギーを浴び、狂戦士に変貌していたのだ。

ミッキーの勝利

激しい戦闘の末、ミッキーはムーンラを倒し、ルナモンスターの脅威を阻止する。しかし、月の裏側の古代文明の謎は依然として残っていた。

戦後

地球に戻ったミッキーは、月の裏側の古代文明の調査隊に参加することを決意する。彼はドアラとの戦いの記憶を胸に、新たな戦いに挑む。

エンディング

ミッキーとドアラの戦いは、月の平和を守るための戦いだった。二人の戦いの記憶は、未来 generations に語り継がれていく。

補足

本作は架空の物語であり、実際の宇宙開発とは関係ありません。
宇宙開発は人類の夢です。ミッキーとドアラの戦いは、宇宙開発の夢を象徴する物語です。
未来は希望に満ちています。ミッキーとドアラの戦いは、未来への希望を訴えるものです。

その他

ミッキーは特殊工作員として様々な武器や道具を使用する。
ドアラはルナモンスターを操ってミッキーを攻撃する。
戦闘シーンは迫力満点に描写する。
ミッキーとドアラの友情も描写する。

3つくらいアイディアを出したが、1番のこれが一番上出来でありました。B級ハリウッド映画ならこれでなんとかなりそうです。ちなみに他にもミッキー・ドアラの対決ものを指示してみたが、必ずミッキー=正義、ドアラ=悪役になるようです。

結論:今のところAIは暇つぶしには最適。

注文の多い風邪薬

 すでに花粉症が始まっていて、もう風邪か花粉症の症状かよくわからん状態ですが、一応風邪薬が効くのでちょくちょく飲んでいます。(運よく今年はほぼ熱っぽさはない)
 で、この頃感染症対策もあり風邪薬をネットで買っているんですが、少し前に比べると非常に面倒になっているんですね。
 検索してボチッ、では買えません。画面の質問に答えないと。それも前々回はせいぜい3項目くらいだったのに、一昨日買ったら11項目ありました(盛ってるんじゃないぞ)。
 しかも、質問に答え終わっても、そのままオーダー完了にならないのです。店側の薬剤師が回答を見て、販売して問題ないと判断したら、はじめて完了になります。この作業に1日くらい掛かる。

 なんでだろう、と思ったら、いま社会問題になっているオーバードーズ(過剰摂取)を避けるためのようです。だから続けて大量には買えないようにもなっている。

 ITで便利になる一方でもなく、不便になることもあるんだなあと変に感心した出来事でした。

Sonnox Reverbの音を曇らせた犯人は?

 久々にミックスで嵌ったので、また記録がてらに投稿。

 ボーカルミックスをしていたのですが、Sonnoxの「Oxford Reverb」を導入したのでテンションが上がっていたんですね。アルゴリズミック・リバーブの名作で、その音は非常に肌理が細かく美麗、「濡れた」感じの高品質な反響音がします。特にボーカルに使うと効果バツグンで、歌声の良さを一段も二段も引き上げてくれます。

 実は機能制限版がインタネのABILITYにも付属していますが、VSTだしABILITY専用版なのでProToolsでは使えないのです。それで今回正式版を購入しました。当然、プロツーではAAX版を使うことになります。

 プリセットは「JUST REVERB」を使い、そのままだと残響がやや長いので適宜絞れば、もう大抵のプレートリバーブでは太刀打ちできない、それはそれは美しいボーカルリバーブが掛かります。もちろんFXトラックを立ち上げSENDで送ってる。

 やはりProToolsで聞くSonnox Reverbの音は格別だなぁ、と感動していましたが、それだけと芸がないので、DelayもFXにインサートした。プロツー付属のTAPE DELAYだと音が変わりすぎるので、Reel Tape Delayを入れた。見た目から前者は楽器用らしいが、後者はスタジオ用で、音質変化は少なくうまく馴染んでくれました。

 ……と、ここまでは良かったが、ミックス終えてマスタリングして、CDに焼いて色々な環境で聞いてみると、どうもボーカルの音質に違和感がある。中域~高域あたりに聞きなれない「ボヤけ」があるようだ。
 アレンジの関係で楽器パートに被っているのかと、色々と調べて最後に気付いたのが。そうです、馴染んだと思っていたReel Tape Delayが犯人だったのです(w)。

 こうやって順番に書くとすぐ犯人はわかるが、作業中はなかなか気付かない。結局、WavesのH-Delayを代わりに入れて、ボヤけが霧散したのだけど、やっぱりDAW付属プラグインは、クリティカルな用途ではあまり使用しちゃいかんと思った次第。ボーカルのような重要パートにはなるべく別売り単品のプラグインを使った方が、経験上も吉のようです。

(逆に重要度の低いパートなら、軽いし付属プラグインは使うべきですね)