月: 2023年2月

2月の雑記

 複数のバラエティ番組で最近見た光景で、Z世代にレコードを掛けさせようという企画。まあかなりイジワルです。予想通りというか、プレイヤーのアームを垂直にグイッと持ち上げたり、レーベルの上に針を落そうとしたり、まず回転数というのがわからないらしい(w)。音楽やっている人だったらかなり知っているだろうけど。
 で、何かやらかす度にスタジオのおじさん・おばさんは絶叫なんですが、TVの前で自分も絶叫してました(w)。何が凄いって、3曲目掛けてと言われて、違う場所に針を落してそこじゃないと言われると、彼らはレコードが回っている状態で、そのまま横に平行移動しますからね(笑)。むろん「ガガガ……」と凄い音がしてスタジオ阿鼻叫喚。
 流石にディレクターに指示されたのだろうと思ったが、気付いた。彼らにとって、これは「スワイプ」なんです。違うか。

 Paypalの凄まじいバグで確定申告作業中にかなり悩んだ。世界中で使われているオンライン決済手段がこんなことでいいのか。1月中にPaypalから取得した過去の決済データCSVが、なぜか日付順じゃなくランダムだったんですね。これは過去にもあり気にしてなかった。実際、会計ソフトが自動ソートするし。ところが、データ入力が全て終り、月ごとの残高確認をしたら、全然合わない。見直していったら、なんと元の残高データがメタメタだった(w)。慌ててデータを再取得したらピッタリ合ってた。ついでに日付順だった。最初のデータは何らかの理由で不具合があったようです。決済機関なのにこの会社大丈夫か。

 ふと思い立って、オーディオI/Fのアウトをリスニング用のアンプに入れてみたら、音質はどうなるか実験してみた。I/Fは余っていたTASCAMのUS2x2。これはエントリークラスのもので、あまり使ってなかった。I/FにパソコンをつないでWAVを流すと、最初はかなり輪郭がボヤけた音で、これは使えないとなった。ただ、この時はPHONEアウトの信号だったんですね。後日LINE OUT(普通はパワードスピーカーを繋ぐところ)を繋いだら、これは驚きのクリア音質。特に低音が締まっていて、情報量も多いしまさにモニター品質。どうもPHONEアンプは品質を落としていたみたい。これなら直接WAVを鳴らしてリファレンスの一つにするのも可能だなと思い始めている。(他にも色んな環境で聞いてますよ)
 だから、エントリークラスのI/Fでも、PHONEじゃなくメインアウトの信号でヘッドフォンをドライブした方がいいかも、可能なら。

モジュラーシンセ話2

 現在のモジュラーシンセの演奏形態は、MIDI等で制御してきっちり書き譜の楽曲を演奏させる、あるいは鍵盤等で信号を送って演奏する、というのとは、別の方向があるようです。
 16~64ステップくらいのミニマムデータをシーケンサーで走らせるなどして、それにランダムだったりカオス的変調をかけて、音程・リズム・音色すべてで、偶然性を取り入れた自動演奏を楽しむ、という方向。
 いわばモジュラーシステムで内部完結する、シンセ・オートマトン化ですね。どうも流行りはこっちらしい。
 シンセの音色を楽しむのが主眼であれば、楽曲的な部分はそれほど重要ではないわけで、このほうが面白いアウトプットが出たりするんでしょう。

 あとKORGのVolca Modularの宣伝文で知った口だが(w)、イーストコースト・シンセシス、ウエストコースト・シンセシスという分類があるらしい。前者は減算方式のシンセ、後者は加算方式のシンセスタイルなんだって。前者の代表はmoogでみんなが知っているアナログシンセはこっち。後者は倍音の少ない波形を変調して複雑な音色を作り出す。FMシンセもこっちかな?

 で、最近の流行は、オートマトン化したモジュラーでウエストコーストスタイルの音を出す方式っぽい。あまり楽曲の中でがっつり使うという人はいないようだ。(そういう実用性は低いので)

 そんな訳で、いかに凝ったCV/GATE信号を自動出力するか、というコントロールモジュール系が結構アツいらしい。VCOなんかより高額で売られている。なんせアナログ信号なので、ぐにゃぐにゃの曲線信号も自由に扱える。これに凝ったパッチングを組み合わせて、予想もできない音のストリームを生み出すのが主流(?)っぽい。

 まあ、こうなるといわゆる楽曲制作とは完全に違う方向ですね。もし自分も作曲してなかったら、そっちに走ってたでしょうが、ウチは頑固に多重録音でモジュラーを使っていきまっせ。

モジュラーシンセ話

 モジュラーシンセを取り入れて音楽制作していますが、音は存在感満点で、従来のデジタル/ソフトシンセとはかなり雰囲気が変わりますね。もちろん使う方も意識して使っているからブラシーボ効果もあるんでしょうが、いまの時代、モジュラーにはやっぱり“マジック”があると思う。

 原始的ともいえる構造でパッチングしないと音が出ない、しかもモノフォニック(単音)という、シンセの原点にあった楽器は、ご承知のようにその後の歴史の中で埋もれ、打ち捨てられていったわけです。ポリフォニック化、音色メモリの導入などで、どんどん便利になり「キーボード」化するシンセ。その後完全デジタル化され、ますます利便性は高まっていく。
 そのうち、パソコンの高性能化でハードさえ捨ててソフトシンセが隆盛を極める。ただ、その発展の中で、こう言ってはなんだけど「楽器性」みたいなものはどんどん希薄になり、(悪い意味で)「道具」になり下がっていたんじゃないか。

 ソフトシンセはそりゃ便利だよ、プリセットも使い切れないほどあるし、どんな音色パッチも記録しておけるし、処理容量の許す限り何本でも立ち上げられる。でも、つい出来のいいプリセットばかり使ってしまい、世界中でシンセの音色・質感が均一化してしまったんじゃないか。本来音作りの幅はソフトシンセの方が広いはずなのに、モジュラーの音が今は個性的に感じられる(自分で作るしかないんだし)。
 シンセの原点、原始時代のシンセが、最も濃厚に楽器性を持っていた、というか楽器そのものだった、というのは面白いところだと思います。
(シンセ発展史の中で、一度moogなんて潰れていますからね。他にもアナログシンセを作っていたメーカーが姿を消している、また復活したりしてるが)

 一周、どころか2周3周して、またモジュラー(アナログシンセ)が面白い時代が到来していると思います。
 まあ色々書いたが実用(制作)に使うには、やはり難しい面もあるから、誰にでも勧められるわけじゃないが。

オリジナル楽器シリーズ2

 今回は失敗談。ツリーチャイム(またはウインドチャイム)ってありますね。スチールパイプがずらっと吊るしてあって、鳴らすとシャララ……って独特の音がするやつ。あれをそのまま作るのはつまらないので、水晶を吊るしてみたらどうかと思い、こんなものを買った。

 なんと、風水グッズの水晶。100g幾ら(かなり低価格)で売っています。中国産。

 事前に、水晶を叩くとどんな音がするか、Youtubeで調べてみた。モノによっては、「キーン」みたいな澄んだ音が出るらしい。これを狙っていた。

 だが、届いた水晶を手にもっていざ打ち付けてみると、「カチ。カチ」
 色気もなんにもない音でした。正にザ・石って感じ。糸で釣って当ててみたが、同じ。
 この水晶、さすがにグラム売りだからちょっと小さいんですね。Youtubeで見た奴は、それこそサインペンみたいなサイズだった。
 ということで失敗。

 そこでプランB(ちゃんとあるんだよ)。容器に入れて、マラカスやシェイカーみたいに振ってみてはどうか。名前も考えた。クリスタラカス(w)。ちょっと粒が大きいので、ザラ・ザラという感じではあるが、これは一応予想通り。プラスチック容器、ガラス瓶、木製の皿と試したが、やはり一番響きがいいのが木製のもの。深皿で流すとザーッ、ザーッみたいな音だが、アフリカやラテンパーカッションでこういう音がするのはありますね。音は荒いがスネアのブラシ奏法のようなイメージで使えるか?

 更にこのままでは悔しいので、プラ容器の底と蓋にアルミホイルを敷いて、電極を出してオーディオI/FにHi-Zで繋げてみた。圧電効果で振ると電気が流れるはず、という予想(アコギのピエゾマイクはこの原理)。まさかなあ、と思ったが、実際微弱ながら信号が出て、WAVに記録できました。強くふると「ザッ」「ザッ」みたいなノイズが入る。ただこれも味も色気もない、ただのノイズではある。楽音として使えるかというと、ちょっと疑問。もう少し大きな信号にしたいので、今度はアルミ板で試してみるつもり。

オリジナル楽器シリーズ

 楽器というものおこがましいが、簡単なオリジナル楽器を試作してみた。こんなやつ。

 見ての通り、ギターのピックアップでスプリングの振動を拾って電気信号に変えるシステム。その名も「スプリンガー」(笑)。
 かなり夏休みの自由工作感が漂う外観ですが、まあこれで一応役には立つ。というか、予想以上にちゃんと振動を拾ってくれて、個人的には満足している。

 音は、実機のスプリングリバーブをぶっつけた経験がある人ならわかると思うが、強く叩くと「ガーン」「ドオーン」みたいな感じ。普通に弾くと「ビイーン」みたいな鳴り。かなり強いテンションが掛かってる。

 予想外に面白いのは、スプリングをスクラッチしたとき。ギュイギュイ鳴ります、何かに似てると思ったら、ラテンパーカッションのギロ(Guiro)かな。代用として使えそう。

 更に、金属製の物で叩く・擦るってことをすると、磁界に作用するのか、スプリングに当たる度にいい感じのノイズが入る。

 出力は、オーディオI/Fのインプットにギターと同じHi-Zでつなぐ。信号レベルはエレキギターと同じ。(写真のは、アコギ用のピックアップだが要は同じ)

 振動を直接電気信号に変えているので、エフェクターの掛かり具合も大変良く、まあこれは他の電気・電子楽器と同様。
 無電源なのに、面白い電気楽器だと思っている。実際アバンギャルド・ノイズ音楽等でスプリングは演奏されることもあるらしいですね。
 まあ効果音発生装置とか、そっちの方向だなこれは。
(材料は通販やホームセンターで揃えた。「?」型の金具は洋灯吊っていうんだって)