月: 2017年12月

作曲を始めて変わったことや何やら

 年末だし、最近思っていることをつらつらと書いてみよう。

 作曲を始めて――といってもボカロ曲書いていた時代は無我夢中だったから(五里霧中か)あまり変化らしい変化はない。ただやっぱり、昨年の夏くらいから、そろそろ売れる(値段のつく)ような曲を書いてみよう、ということをやり始めて、コンペにたくさん出すようになって、自分が変わったなあと思うこと。

 まず、ダメなサンプリング音源の見分けがつくようになった。ぶっちゃけ安いやつは大抵ダメ。値段でいうと、定価50ドルとか50ユーロくらいを境に、それ以下のはちょっと聞いた時はいいかな?と思っても、よく聞くと「うーん」ってなっちゃう。やっぱりどこかで手を抜いてるんですね、悪いマイクやプロセッサーを使っているとか、録ったあとのトリート(EQやらコンプやらの処理)でも手を抜いたり、それで総合的にクオリティが下がってしまう。デベロッパーも商売だから仕方ないんだけど、あとまあ、エンジンのスクリプティングもおざなりだから、本物感が遠のく。

 これは結構哀しくて、昔なら安い音源でも喜んで使っていただけど、早い話耳が肥えてしまって、もうクオリティの低いものは使えなくなってしまった。趣味でやっている分なら十分なんだけど、もうそういう世界には戻れないw まあ耳が良くなったわけで、プロを目指すなら喜ぶべきことですけどね。
 音楽マニアとしては自分の耳に自惚れていたが、作る側に回ったらハードルが更に上がってた。

(安くても良い音源はありますよ、そういうデベロッパは良心的、そして勝負価格帯のやつは激ハイクオリティだったりする。
 そしてソフトシンセでは不思議と、アラが見えたっていうプロダクト皆無。例えば日本製のフリーシンセ、世界のSynth1は今も昔もやっぱりいい音です。開発者様が無茶苦茶センス良いからかと)

 あ、上に書いたのはいわゆる「楽器」音源の話で、よくあるグラスを叩いて音階作りましたとか、金属オブジェクトでどうこう、みたいなのは入りません。こういうのは安くても割とちゃんと作ってる印象。ただ、その手ってネタ重視で、実際曲の中で使えるかっていうと、まず無理。浮いてしまう。でもつい買っちゃうんだよなあw
(音楽は「楽器」でやるものです。当たり前だけど、これも気付いたことだな。楽器という道具は偉大です。ここには形のないソフトシンセも入る、言い換えれば今のシンセはみんな楽器として成立してる、芸術品です)

 あとね、ある程度分量を書くことで、コード進行感が身に付きました。例として音楽理論的にいえば、トニック(T)→サブドミナント(SD)→ドミナント(D)→T進行の気持ち良さとか、D→SDって進んだ時のブツ切れ感とか。もちろん曲調とか展開によっては敢えて行ってもいいんだけど、基本不自然に感じるようになった。知識としてじゃなく、肌感覚でわかるようなったので。これは大きい。
 アレンジしてて音が一音間違っているとすぐわかったりとか。アヴォイドノートだったりすると「音が当たってる」ってなったり。これも肌感覚。
 いわゆる半音進行の気持ち良さは、ボカロ書いている時から割と。ツーファイブ進行も、ジャズ良く聞いてたので普通に最初から。

 もひとつ、コード進行は「進行」というだけあって、必ず幾つかつながって形になるものだから。コード単体で存在してるんじゃなく、流れがあって音楽になっていく。このあたりも肌感覚かなあ。

 音楽におけるリズムの重要性は、最初から気付いてました。
 ここで名言を吐くぜ!
「人生に必要なSixteen beatは、全て、CASIOPEAから学んだ」(ドン!)
 ジャパフューなめんなよ、あ? お前どこ中よ?

 こんなところかなあ。リズムアレンジはほんとフュージョンから一杯教えられたなあ、ここは音楽理論関係ない世界なんで。(音楽理論はリズムのことは本当に何も言ってないので、これは「音楽」理論という以上、大きな欠陥だと思っています)
 リスニングオンリーの時代から、自分はそういう分析的な聞き方をしてましたので。なんでこの曲はこんなカッコいいのか、そうかこの楽器のリズムがこうなってるからか、みたいな。理論わからなくてもこれは分かります。

 もうちょっと人生論みたいなことを書けば、少しはカッコツケになったか?w
 あ、音楽始めてから夢見は本当にいいですよ。下手をすると夢の中でもアレンジ考えていたりして。いや松下幸之助に洗脳された昭和の社畜か、みたいな。

 あとね、誰も興味のないオレ情報を書くと、今年になってジーンズのウエストが10代20代の頃と同じまで下がりました。体重も当時のベストウエイト。身体が軽くてノリノリです(笑)。
 いやー、シリアスに音楽作ってるんで。贅肉なんてひとりでに落ちてしまうんだよね……(年末にひと笑いして頂けましたか?寒くなったって?w)。
 これは毎日身体作りを欠かさないからだなあ、あと健康大切、体調が一定でないと良い曲は書けません。朝と晩で曲への感じ方が違ったら良くない。

 来年は、アーティストさん・歌い手さんから直接依頼とかしてもらえたら嬉しいな、なんて。大それたことを密かに考えてます。めっさいい曲書きますよ(スリスリ)。身許のしっかりした方なら大歓迎。
 そういう風に少しは思ってもらえるよう、がんがん精進しよう。

 それでは皆様よいお年を。
 来年も張り切って参りましょう。Happy Composing!

ギター音源「Scarbee Funk Guitarist」の謎

 また出た「謎」シリーズ。(違うか)

 Native Instruments の Kompleteバンドルに入っている表記のギター音源。単品でも売ってるが、ほとんどの人がバンドルで入っているから、ちょっと使ってみる、って感じではなかろうか(サンプル数:オレ1名)。
 ひとことで言うと、キメキメのカッティングギター(ストラト)をフレーズ単位で作れる、なかなか便利なヤツである。便利ではあるが、少し扱いが厄介なので、やっぱりほとんどの人が「面倒くせえなぁ~」と思って、そのままそっ閉じで終わるのではないだろうか(w)。
 デフォルトのカッティングパターンが「’70 Disco Party」だったりするので、そういう感じの曲に合う、そういうパターンが多く入っている音源だと思われている。ところがどっこい、違うのも沢山あって普通のPOPSにもちゃんと使える。
 プリセットだけじゃなく、自分でも自由にパターン組めるからね。コードもこれでもか!って位たくさん入っていて、自由度が高い。その関係で操作が少しややこしい。

 こいつが癖があると思うのは、例えばDisco Partyのプリセットをロードすると、デフォルトで一緒にサンプリングのコード一式までロードされちゃう。これが結構重いから、SSDならともかくHDDだと待たされて、極めてうっとうしい。切り替える度にこれだから、皆「こりゃ使えないわ」と思って、放り出すんじゃないだろうか。

 実は、パターンとコードセットは別々にロードできるからね。ちょっとタブをクリックするだけです。こうするだけでパターンを切り替えながらのブラウズが極めて楽になる。放り出した方は、一度試してみてください。

 たぶんScarbeeは、Disco Partyならどうせこんなコード使うだろ?そしてお前らはパターン聞きながら曲書くんだろ?……と思ってこんな仕様にしたんではなかろうか。自分のような曲の書き方だと、極めて余計なお世話である。w 全部コード入れ直しだから。
 これを避けるTIPSも持っているが、まあ詳しい使い方は Youtube で 親切なSLEEP FREAKSさんの解説ビデオでも見て下さい(笑)。
(なに?教えろって? コード選択画面でA/B/CってあるボタンのBとかを押すだけですわこれで真っ新な鍵盤にコードを割り当てていける)

 例によって、ここまで前置きで、今回の本題はこれからです。
 下の画面を見て下さい。これがFunk Guitaristのコード選択画面です。
 ほんと、よくこれだけ集めたな、ってくらい様々ポジションとボイシングのコードが並んでますね。これはDbメジャー(トライアド)を選んだところ。
 しかし……よーく見て下さい。右の選択画面でなんか足りないコードがありませんか?

 そう…作曲勢の方はもうわかりましたね。
「Augment(オーギュメント)」がない!(ドドーン)
 …おい、嘘だろ(笑)。先月これに気付いて(遅いわ)、ほんとパソコンのディスプレイを穴があくほど凝視したわ。見落としじゃないかと10分くらい。いやー驚いた。念のため、コラ画像じゃないからね!

 オーギュメント、日本語だと増三和音というやつです。増毛とはたぶん関係ありません。増えるのは5thの音の高さ。
 例を挙げれば、ド・ミ・ソのソの音を半音上げてソ#にします。ド・ミ・ソ#です。かなり不安定な、不安感のある響きのコードです。クラシック方面では不協和音といわれます。
 ところがこれ、現代のポップスではよく使うコードなんですね。例えば「ゆず」の曲なんかにもちょくちょく出てきます。
 いかんよね、ゆずみたいな曲書きたい時に困るじゃん、これじゃ。

 なんとか回避策はないかと、最初は考えました。作曲の世界には代理コードという考え方があって、様々な理由から本来のコードと同じような響きを持つコードを使うことがあります。一番簡単な例はハ長調における、Cの代わりにEmとかAmとか。構成音が共通してますからね。違う調から持ってくることもあります(だんだんオシャレ度が増しますが、使い方にセンスがいるようになってくる)。

 しかし!オーギュメントの代理はオーギュメントしかない(ババーン)。
 特殊コード故の特殊事情。
 なんとかギター独自のボイシングで逃げられないかと思ったんですが、無理でした。そんなことを考えないといけない時点でギター音源失格です。

 おいおい、まいったな。
 なんでオーギュ(略)がない?
 そこで、Scarbeeのサイトでサポート宛に英語で質問を投げてみました。
「ワタシ、ニホンジン。ふぁんくぎたニAugガナイ。リユウオシエロ」
 嘘です、ちゃんと書きました。送った直後に、「おれたちはKomplete方面のサポートはしないぜ。それはNIに聞けや」って注意書きを見つけました。
 仕方ないなあ。今度はNIに同じ質問を投げてみました。なんと、ドイツNI社は日本法人があって、日本語で質問できるんです。Komplete売れまくっているからな。

 質問したら次の日に回答来たよ。
 ・当該製品にAugはありません。
 ・将来、サポートされる予定もありません
 ・コードごとにサンプリングしている製品なので、自分でAugを作ることもできません
 とのこと。嗚呼、やっぱり。こっちの見落としじゃないんだ。バグでもない…

 OMG、万事休す。
 なんでかなあ。Augはギターだと響きが悪いってこと?(しかも変な押さえ方になりがち) しかしオクターブやパワーコードまでサポートしておいてこれはおかしい。
 なんとなく、だけど、単に「忘れてた」んじゃないだろうか(w)。向こうのブラザーやアニキは、クールに見えて肝心のところで頭がファンキーだったりするからなあ(汗)。たぶん数限りなく指摘が行っていると思うけど、最初に聞いたときは、”Dove face under beans attack”、つまり「鳩が豆鉄砲を食らった顔」をしたと思うね。

 Funk Guitaristって意外と使えるよ、って意図で書きだした記事なのに、なんだか致命的な欠陥を指摘する結果になってしまった(笑)。
 あ、自分は、曲にAugが出てきたときは、とりあえず前回は主音をオクターブで弾くことで逃げました。CaugならCのオクターブ指定。もうコードじゃないんだけど、幸いというか他のパートが盛り上がっていると、ほぼわかりません。ある意味リズム主体の音源なので。コード感がいきなり薄くなるのは隠しようがないがw
 次はせめて主音と5th#の音くらいは、もうひとつ楽器をロードして鳴らすべきだな。これでもギターのボイシング的にはもう無茶苦茶です。
 あとは和音の構成音さえ弄れるメロダイン上位版(魔法の音程修正ソフト)を使って強制的に書き換えるしかないわ。あれも音質は良くないらしいが…。

 Funk Guitaristって検索しても日本語のブログとかほとんど見つからないからね。ほんとユーザーがいないんだろうな。
 ただ今回、英語で検索してみたら、以下のNIのフォーラムが見つかった。

https://www.native-instruments.com/forum/threads/scarbee-funk-guitarist-has-no-augmented-chords.322730/

 ここでやっぱり、なんでこの製品はaugがないんだ、って質問した人いて、んだんだ困ったもんだ、的展開になってる。海外でもみんな参ってるみたいだ。
 で、やっぱり解決策は、上に書いたような感じで締められています。

 ねえSCARBEEさんよ、忘れたんだろ? YOU、白状しちゃいなよ。
 Kompleteに入るような海外の有名音源でも、意外と穴がある!という話でした。まあほんとのとこ、これ位ならまだマシで、この前見つけた別の音源のやつは目が飛び出るほど酷かった。これはまたいつか。

WordPress苦労話

 しっかしWordpressのテーマ設定苦労しましたわ。
 WP自体はサーバー会社の簡単設定でワンタッチでインストールできたんだけど、テーマがね。公式のやつ色々試してみたんだけど、どれもイマイチで。
 ようやくMusikという音楽クリエイター向きのカッコイイテーマが見つかって、色々コンテンツ調整して、最後にブログのテスト投稿したら、エラー吐きやがる。いや、アルファベットだけではテスト投稿しててそれは問題なかったんだけど、漢字が入ってくると途端にエラー。
 海外のテーマだから、マルチバイト文字回りのテストがあんまりやってなくて、まあこんなもんですね。
 どうしても回避策が見つからず、他のテーマにしようかととっかえひっかえやってみたが、結局これが一番オキニだったので、結局デバックしたよ(笑)。
 エラーメッセージにあるfunctions.php 258行目の sprintf() を削って、ただの文字列の連結にします。この関数はPHPのリファレンス見るとマルチバイトにきちんと対応していないようだ。同じ個所で躓いている方は試してみてください。
 この行でブログ最終行のヘッダーを作ってる(名前、日付、分類等)。

 といっても、WPもテーマも始終バージョンアップしてるんで、ほとんど役に立たんわな。今回色々ググってみたが、古い情報が一杯出てきて、自力で調べて修正した方が早かった。フォント指定なんて、テーマのソースを全部書き換えろ、って指南さえある始末。
 今は子テーマ、というかテーマによってはメニューから追加CSSで簡単に書き換わりますからね。(Musikもそう)
 もっとも、書き換えための要素指定は自分で調査しないといけないが。これはブラウザの機能でいけますね。

 ということで、めでたくMusikでテーマ決まりです。
 というテスト投稿なのであった。

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謎は全て解けた? アビーロードスタジオ

 実は、前回のアビロ(なんちゅう略語や)のミキシングの謎、書いて次の日に原因がわかりました。使用前・使用後にあまり差がないというアレですね。

 わかってみれば簡単で、要は「使用前」音源もアビロで録ったから、ということです(w)。そりゃそうか、と思うわけですよ。設備の整ったスタジオで激高いマイク・マイクプリ・ケーブル、コンソール、他プロセッサーで録っているんですわ。エンジニアのマイキングも普段通りでしょこれ。しかもちゃんとマルチトラックで録っている(でないとそのあとミキシングできないし)。
 というか、最低限のプリミックスやトリートはしているはずです。でないと音源にならないので。そこからしてレベルが高い(オソロシイ話です)。

 ハイレベルの「使用前」音源にハイレベルの正規ミックスしても、その差はあまり感じられないのは当然といえば当然。いやはや、恵まれているところはそれなりの悩み(?)があるもんですわ。
 たぶんユーザーの音源をどれか借りて載せれば良かったんだろうけど、権利関係で煩わしいことを避けるためでしょうね(演奏してるミュージシャンも無論プロと思われます)。もっと下手ミックスの使用前音源を用意すればいいんだけど、ここの大看板しょってるとそういう訳にもいかないのかもしれない。
(熟達したセッションピアニストは、もう身体に運指やコード進行が染み付いているから、めちゃくちゃ弾こうしてもできないそうですね。それと同じことがここのエンジニアにも起こっているに違いないw)

 今は日本も昔の有名スタジオなんかとっくに潰れてしまっているそうですが、現在残っているところは、それこそアビーロードスタジオとも戦えるクオリティのスタジオでしょう。この世界もグローバリズムといえそうですが、苛烈な時代です。
 経営が成り立っているところは、よほどオーナーやエンジニアが優秀でビジネスのセンスもある場所ばかりと思われます。

 話は少しずれるけど、スタジオも優秀、ミュージシャンも優秀、制作環境は整っている(ハードさえあきらめれば低廉)、良い音楽聞きたいリスナーもたくさんいる、なのに音楽ビジネスが全くダメなのはどういうわけか。これは世界中でそうですが。
 日本だけとっても、非常に才能あるミュージシャンは一杯いるのに、その曲が本当に音楽を聴きたい人のところまで届いていない(あ、自分のこと言ってるんじゃないよ。凄い方が多すぎです、あっしは修行中のおっさん)。どこかで目詰まりを起こしているんですね、きっと。

 これについては、いつか改めてまた。(といっても音楽業界を語れるほど内情知っているわけじゃないがw)