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時代の流れから影響大なもの

 ある曲を聞いていたら、効果音が入っていてふと思った。これ電話のダイヤルを回す音だけど、今の子はこの「ジーコ、ジーコ」って音何かわからないだろうな、と(w)。ダイヤル式電話機ってもの自体を知らない可能性もある、生まれてからプッシュホンしか見たことないとか。あれはダイヤルを回す間に色々と思ったりするのだけど(回して戻るまで時間掛かるしね)、このあたりの機敏も想像できないよな、とかね(相手が気になる異性だったりすると……)。考えたらこの「間」は、なかなか文学的でそれこそ歌にするには持ってこい。ワンタッチでどこでもすぐ「繋がる」時代ではなかったのですよ。昔は家に一台の電話機が普通だったから、相手の親が出たりね(笑)。

 ちょっと脱線したけど、電話というかコミュニケーション手段の描写というのは、時代の変遷で如実に影響をうける領域ですね。非常に身近でなくてはならないものだから。(電話すらない時代は手紙だったわけで……)

 まあダイヤル式電話が登場する歌は数あれど、拝聴しましたよ白いアルバムのラスト曲で。
 このアルバムがデビューから2枚目かあ、と思うと、(僭越ながら言わせて頂けば)かなり尖がっていたんじゃないでしょうか。名女性アーティストをプロデューサーに迎え、某アニメのあのポップな曲が60年代洋楽フレーバーないぶし銀のアレンジに……ってもあったし、それでいてアルバム後半にいくにつれ曲調が明るくなっていくんですね。アーティストさん自身が希望したプロデューサーだったとのこと、1枚目に続いてサウンドもアレンジも驚きです。こんな作品が35年前にあったのか……(おいおい、今更w)。

 しかしこれはジャケットから音が全く想像できませんでした。アングラっぽいモノクロームのカラーが似合う(あっ、でも白か)。1枚目がフルカラーなら、2枚目は白黒映画。
 80年代という枠には収まらない異端のアルバムでした。プロデュースについて、学ぶこと多々。いやはや勉強させて頂きました。

面白バンド、カーペンターズ?

 久々にカーペンターズのアルバムの感想、「PASSAGE」という1977年発売オリジナル作品です。ネタバレ前に(後述)、実は「Two Sides」という曲を目当てに買ったのですが、これが大当たり。参加ミュージシャンは驚くなかれ、リー・リトナーとジェイ・グレイドン。二人ともアコギを弾いているのですが、ぐっと抑えた甘いプレイ、素晴らしいとしか言いようがない。フュージョンとAORが最も新しく勢いがあった時代の、二人のキーパーソンのツインギター。カレンの歌声も後期なので最高に深みがあり、更にもう2本Eギターがアドホックに入ってくるんですが、まあシングルカットしなかったのが不思議なくらいの曲。カントリー風のAORといえるんじゃないかな、これは。

 カーペンターズは活動拠点がLAだったので、やっぱりLAのミュージシャンと交流があったのですね。これは嬉しかったなあ、カレンもドラマーとしてもかなりの腕前だったので、全盛期の彼らをバックに歌えて相当発奮したんじゃないかな?
 とりあえずこの1曲だけでお釣りがくるので、あとのことは目を瞑ろうという気になります(……そうなんです)。


 さて、ここからネタバレですよ。知っている方は知っているんだろうけど、このアルバム、リチャード・カーペンターが悪い意味でイタズラしまくった作品で(笑)、いやほんと、とにかくヒドイ。

 実は、自分はこれを今年の1月1日に聴いたのですが、とにかく元日からとんでもない目に遭いました。思えば去年の元旦はボズ・スキャッグスの「MIDDLE MAN」を聴いていい意味で腰を抜かしたんですが、今年は悪い方(?)で……。

 まず1曲目。聞き始めたら、なんか曲の定位がおかしいのです。ステレオじゃなくモノラル、それも完全なモノじゃなく、微妙に音の広がったモノラル。完全モノならそういう曲かと思うんですが、これじゃ、あれ?おかしいな?ヘッドフォンの不良かな?となる。それで何度もプラグを抜き差しして、曲聞いてるどころじゃないですよ。
 ヘッドフォン叩いてみたり、コードをくねくねさせてみたり、それでも直らず、そうこうしているうちに1曲目が終ってしまうわけです。で、2曲目。いきなり定位が普通のステレオに戻ります。……ん?
 あっ!やりやがったな、リチャード! なんと、ミックスでわざと擬似モノラルにしていたのです! な、なんちゅうことさらすねん。元旦からプラグ抜き差しして間抜けな心配してたこっちの気持ちは? ……ということです(笑)。ね、酷いでしょ(はぁ)。

 たぶん発売時は、世界中の音楽ファンが騙されたと思います。特に当時はアメリカを中心に大型ステレオコンポブームだったので、世界のオーディオファンがスピーカーやアンプの故障かと、ケーブルの具合を見たりスイッチを入り切りしたでしょう。それで2曲目で騙されたと気付くのです(笑)。リチャード、なんちゅう悪人や。
 これで終わりかと思っていると、これがね……。

 純然たるクラシックのような、男性声楽によるワーグナー風のオペラが始まったり(さすがに後半はカレンが出てくるけど、フルオーケスラ曲)、これなんとミュージカル「エビータ」のカバーなんですね。このオケはLAフィルだそう。(Overbudget Philharmonic=予算オーバー交響楽団という酷いクレジットになっているw)

 DJがラジオでリスナーと電話していたら、なんと、相手がワレワレハウチュウジンダ、だったりして(本当にこういう曲、ドラマ風。カバー)、映画「未知との遭遇」もこの近辺の年だったかな?まあ、しっちゃかめっちゃかな内容。よく発売できたなこれ、と心底あきれる。

 歴代のアルバムの中でもアメリカではかなり売れなかったらしいけど(笑)、それまで頑張ったからA&Mもご褒美代わりだったのかも。逆にジャぱんとエゲレスでは結構売れてしまったらしい……おい変態島国いい加減にしろ(笑)。両国とも性質の悪い音楽ファン多いな、すげえわ。

 ちょっと思ったが、これはビートルズにおける「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」にあたるアルバムじゃなかろうか。カーペンターズがこんな“ふざけた”バンドだったとは、ますます自分の中の評価が高まりました。名曲だけのグループじゃないですね、音楽マニアや作曲勢の皆さんなら、ぜひ聴いて欲しい作品です。

 自分にとっては、もうビートルズに肩を並べるような大きな存在だなあ、あきらかに。
 そのビートルズも悪ふざけという面ではかなりのものだったけど、プロデューサーが行き過ぎたやつは止めたはずです、当然。カーペンターズはリチャードがプロデューサーだから止める人がいないんだこれが(笑)。今回はプロデュースとアレンジに専念、楽曲は外注またはカバーだけ、思い切ったことにしてます。
(念のため、このアルバムはカレンも共同プロデュース)。

 フルオーケトラをバックにカレンが歌う曲もあと1曲入っているので、いわゆる名曲好きな方も楽しめます。

(いやもう、ビートルズでもここまで酷いイタズラはしてないぞ… ←しつこい)

’80年代音楽の秘密に迫る?

 最近ちょっとしたきっかけで、「’80年代風オーケストラサウンド」というキーワードが浮かんで、自分で思いついた癖に、それってどういうものなのか、考え込んでいた。
 試行錯誤もありつつ、しばらくしてはたと思いついた。
 ――ああ、これは“戦メリ”のことじゃないか(w)。って、実にそのものでした。

 ヤングは何が「w」かわからないと思うけど、この時代に『戦場のメリークリスマス』という映画(大島渚監督)があって、ビートたけしやデヴィッド・ボウイが出てたんですよ。特に出演と同時に音楽まで担当した“教授”こと、今や日本を代表する音楽家である坂本龍一さん(もう業界インサイダーなので、恐れ多いですが“さん”付けです、もちろん)。このテーマ音楽が素晴らしくて、インストなのに大ヒットしてしまった(そもそも日本でインストがヒットするのって稀ですからね)。カンヌ映画祭出品作品、そして音楽は日本人初の英国アカデミー賞・作曲賞。

 この、一見わけのわからない「80年代風オケサウンド」って概念を、それこそ80年代に完璧に実践されていたんですね、というか明らかにこれが本家本元ですが。
 ただ、今このテーマ音楽を聞いてみると、広義のオーケストレーションはもちろんされていますが、意外というか、ほぼ全編シンセがフィーチャーされてるんですね(たぶん全て手弾きの感じ?もちろんハードシンセ)。自分の印象だともっと生楽器が入っていたように思ったんだけど、それだけアレンジと演奏が巧みであった、ということなんでしょうね。(生ピアノはメロとユニゾンしてます)
 ほのかにエスニックで懐かしく、そして(当時最新の概念であった)環境音楽的な響きもある。ブライアン・イーノですね。

 まあそれはそれとして、なんで長々と書いているかというと、今回その戦メリのフルオーケストラ演奏を見つけました、ということを書きたくて。教授ご本人がピアノを弾いています。素晴らしいですよ、3回ガン見した。

Merry Christmas Mr. Lawrence – Ryuichi Sakamoto HD (02-08-13)

 かなりふわっとした認識で書くので、非常に心配であらかじめ妄言多謝ですが、フルオケにありがちな声部がどうこうという感じではなく、もっと音響的なところを主眼にしたアレンジに、少なくとも自分は聞こえます。「線」ではなく「面」のアレンジですね。ある意味、ポピュラー音楽(ジャズ理論をベースにした)的といいますか。作曲勢の方々にはたぶんわかってもらえると思いますが。

 バイオリンでかなり高い音域でハーモニーを作って、それこそシンセのパッドのような効果を作り出しています。こんな音が出るとは、という驚き。こういう冒険的なアレンジは失敗すれば被害甚大なわけで、この結果はさすが、としか言いようがない。
 だから「いかにも」な、ありがちなオケアレンジはやっていない。非常に実験的といえると思います。
 原曲から引き継いで、プチエスニックだったり環境音楽的だったり。今さら自分なんかが言っても仕方ありませんが、やっぱり教授は凄いってことです。
 だから、80年代的なオケサウンドを出したかったら、今みたいなところは最低限クリアしないといけない。かなり高度なチャレンジになりますね。幸い、こういう素晴らしいお手本があるので、僕らみたいな人間には有難い限りです。
(いやー、今回は書いてて冷汗が出た。これはもう、同じ日本にこんな音楽家がいて幸せってレベルだなぁ)

 最近、この曲をはじめ、ちょくちょく日本の80年代音楽を聞いているのですが、あまり表だって書いている人はいないけど、80年代音楽って日本の一つの頂点だったんじゃないか。(それ以降の音楽がつまらないと言ってるのではもちろんありません)。でも、音楽で世界進出もしていたし、売上的にも(まあ時代の流れはあるが)今とは全く違って、自分のような当時の素人からみても業界全体が活気に満ちていました。
 坂本龍一さん、YMOもそうだし、カシオペア、(T)スクウェアといったフュージョン勢、渡辺貞夫さん、日野皓正さん、このあたりはメインストリームジャズとも股にかけた活躍、もちろん冨田勲さんもいた。
 80年代のアイドル音楽も、非常にユニークで、今や海外の若者にYoutubeで再発見されて、一部でカルト人気がありますからね。(ついでにいうと、当時のアニメ劇伴も高い評価を受けている。作家の名前が通じるほどです)当時の日本のAORも素晴らしかったが、やっぱり海外で再発見されてたりする。

 これはちょっと、このあたりをはっきり意識しつつ、「今」曲を書こうという人間は、戦略的に振舞ったほうがいいかも。取り入れられるものは取り入れていく、自国の音楽を模倣するのは模倣といわれませんから、海外のをやるとモノマネといわれるが。
 もちろんただの模倣でなく現在の音楽に発展的に取り入れるってことです。
 あんまり80年代賛美はしたくなかったんですね、自分の青春時代を賛美してるよくいるおじさんみたいだから(笑)。だけど、考えれば考えるほど、これはただごとではない時代だったと思えてきて、こんな文章を書いてみました。

 やっぱり60~70年代洋楽(AORやフュージョン含む)の盛り上がりを受けての、80年代ジャパン音楽の活況と頂点、これは歴史的にみて正しい認識なのでは。
 この時代の音楽を指す良い言葉はないか考えたが、Japanese ’80(Eighties) として、Jeighties(ジェイティーズ)って造語はいかがでしょう。

 ここから、今の音楽制作者は何ができるか。できることはたぶんたくさんありますね、自分はそう思います。

Poem in May – Past and Future?

 ある歌を歌うことで、多くの人を魅了し、目頭を熱くさせ、心に暖かいもの湧かせることができる人。それはやはり、特別な人なんでしょうね。選ばれた星の元に生まれ、それだけでなく、いやそれ以上の特別な努力を人生においてずっと続けてきた人。だからこそアーティストであり続けることができる。

 様々な事情があって、かつては、どらら側にもわだかまりがあったのかもしれない。みな若く、時代は濁流だった。それでも大きな時間のなかで、それを溶け去らせ、いま吹き渡る風の中に聞こえる声々が、これが和解の宴だったと告げている。
 まさしく、歴史を動かしたパフォーマンスといえましょう。そして、こんな瞬間を呼び寄せることができたのも、ずっと音楽と向き合ってきたからこそ。
 ベテランアーティストの真髄を、垣間見るができました。

The song never die, the singer lives forever.

 以上は、SNSや公開された一部映像をみての感慨です。

 この時間、裏番組を見ていたなんて到底……しかも日本のAORセレブ特集だったなんて絶対……いえはしない(汗)。いやあ流石有名スタジオ、高価な機材が無造作に積まれてた(呆)。
 そもそもBS入らないし、まさか生とは思わないじゃないですか? 肝心な局面で、一番大事なシーンを逃すとは、きっとこれはオレがそんな星の元の生まれなんだろうなあ。地上波で再放送されることを祈るのみ。

 今はもう普段アニメも映画も見ない、音楽一辺倒の生活っすわ。

 まあそれはそれとして――。
 やはり、令和はバブル世代がひと暴れしないと始まらない時代になりそうですね。

We, the Bubble generation get hyperactive in this Reiwa period. Go ahead!

デモ曲追加・新概念「Cute AOR」

 新曲追加です、早速いきましょう。

「The days I believe」

 ’70年代ソウル色がありつつ、しかも全体としてはコンテンポラリーなAORを狙った曲。今回は「えかたん」さんに歌って頂きました。
 歌詞からはたぶん、「失意・敗北」からの「再生」みたいな方向だとわかっていただけると思いますが、非常に若い感性のかただったらしく、あんまり喪失感というところは出ずに、「未来・希望」な色が濃厚に出てて軽いショック(?)。ここのデモ曲は、歌って頂く方とのコラボレーションだと思っているので、こういう面白い化学変化なら大歓迎。

 で、このブログで何度か言っていた「Cute AOR」だとは想定してなかったのだけど、ボーカルのカラーで、まさに「それ」になってしまった感。

 ミックスは良い感じの仕上がり、結局最終的にはアレンジがしっかり考えてあれば、音圧も出るし帯域の被りもないし、どんどんやることが少なくなっていく。
 といいつつ、ハモンドオルガンです。低音が被りました、ベースとかなり。バスドラとの被りはいつものようにあらかじめ回避したが、最終工程までいって、まだなんか被っていると思ったら、ハモンドの低音が結構長い音符で鳴っているので、全編。音は目立たないのですが、存在感はしっかり。あまりEQを弄ると音質が犠牲になるので、今回はダイナミックEQで逃げました。ベースが鳴るとオルガンの低域だけEQを絞るようサイドチェイン。

 次の時代が、よき時代になることを願って。…なんて取ってつけたようなことを(笑)。もう平成なんかには任せておけない、昭和バブル世代が大暴れしますので。

ピンクのデビューアルバム

 また宛先不明が続きます、好きなことしか書かないサイトなので。

 しばらく前からの宿題だった(懸案とも言う?)、ピンク色のデビューアルバム、ようやくしっかり聞かせて頂きました。なんと36年前の作品です。時間が経つのはこんなに早い、まさかこのスケールの時間が自分の人生で普通になるなんて。時にバブル経済真っ只中、日本が一番平和で豊かだった1983年の世界……。

 1曲目を聞いた感想は、まず声がちゃんと出ていない。全体的に固く、歌を歌いきっていない。当時FMで聞いたときと同じ印象でした。とにかくボーカルが縮こまっている。ただこれは、スーパー著名プロデューサーを始め、超豪華ミュージシャンを揃え、20歳だったこのシンガーソングライターさん、さすがに緊張したのだろうな、と思ってました。アレンジも全曲このPさん、素晴らしい、というしかない。全然古びてないし。
 ところが……5曲目から印象が変わりました。あれ?ボーカルがかなり……声がしっかり出てるし、非常に伸びやかです。そのままそんな曲ばかり続き、そして11曲目で終わり。アルバム後半、かなりの力作楽曲が続きます(アレンジも相変わらず凄いが、多分それ以上に楽曲が素晴らしい。どう聞いても完全にパーフェクトなAORだし、歌詞もね(アルバム前半は、アイドルっぽいAORといえるかな?))。

 もしかして、最初は緊張したけど、慣れてきて本調子になったのかな?と思ったのが1周目でした。

 2周目を聞き出した途端、わかりました。これはプロデュース(の結果)だ! 最初の4曲くらいは、アイドルをいわば「演じて」(たぶん正確には「演じさせられて」)いるんだ、と。うひょー、こりゃびっくり。だから声が固い、そりゃそうです、本来の自分の歌声じゃないんだから。当時風にいえば「ぶりっ子」ですね、これはP氏か、あるいはおそらくもっと上からの方針では……。憶測ですよ、憶測ですが、たぶん某アニメから流れてきたファン向けに、こういう「演出」をした。
 当時はまだレコードの時代だったので、A面の4曲はアイドル風AOR+5曲目は本格AORにして、B面に繋げる。B面は5曲を本格AORにして、最後の曲だけまたアイドルAOR、それてA面の頭に繋げる流れ……。たぶんこんな戦略だったのではないでしょうか、だとしたら納得、まあ自分の見方に過ぎませんが。

 昔、メジャーバンド活動をしていた某声優さんの話だと、いわゆる「キャラ声」で歌うのは非常に難しいそうです。声を作ると音域が違ったりして、ベテランでも四苦八苦だそう。まして声優でもない二十歳のアーティストさんには……。こうして、このアルバムの何曲かで声が固い謎が36年振りに解けたのです(笑)(←笑、じゃーねーよw)

 いやー、こうして改めて聞くと素晴らしいですよ、このアルバム。以前キュートAORって書いたけど、それは前半だけですね、後半は完全にハイクオリティなAORっすわ、それこそ世界レベル。
 こんなに素晴らしいデビューアルバムだったのか。もっと早く気付くべきだった。しかし当時からこれAORって言われてたかなあ?、そういう評を見たことがなかったのだけど。やっぱりアイドルシンガーソングライターの……って流れだったと思う。アニメのせいでそう見られていたなら、ある意味不幸だったかも、ぶっちゃけ自分もそんな感じで見てたし。

 後半は歌詞の世界も切ない恋を描いたものが多いし、随分と大人っぽい曲を書く20歳だったのだなぁ……って、これが20歳ってトンデモねーっすわ。実質、18~19で書いた曲もあっただろうし。いやー、改めてガクブルっす。

 確かに、Pさんのアレンジとプロデュースは凄いっすよ、このアルバムの評には、大抵アレンジが良いから高品質な作品になった、というのがあったりしますが、駆け出しながら作家の一人としてこれだけは言いたい。元曲がダメならどんなにアレンジ頑張っても良い曲になりません。それは「華麗なアレンジを施された駄曲」になるだけです。
 万一売れても3年もしたら消えていくでしょう……このアルバム、何度もリマスターされて普通に今もアマゾンで売っています。「In Print」なんですよ。36年前のデビュー作がそのまま普通に買えるアーティストって、日本に何人いますか? それが答えです。
 時間が教えてくれるのは、Pさんのアレンジに「耐える」楽曲揃いだったということです。

 間違いなく80年代のAORを代表する名盤のひとつ、というか80年代音楽のひとつの金字塔といえるでしょう。
 こんなに凄い方だったのか、なんかスイマセンした……(なぜ謝るしw)。

 いやー、36年も経ってから気付くのもかなりアレだが、自分の場合は却って良かったかも。今だからここまで分かった、音楽的にも(楽曲、アレンジ、ミックス)、現代でも通じるヒントが一杯詰まってました。
 ミックスでいえばリバーブがアーリー・デジタルというか、当時の低ビットの感じですごく出てて、カッコイイ。シンセの音のセンスは、もう言うまでもない。
 いやいや、もう大変勉強させて頂きました。
 いつかこれを聞いて、80年代の日本は良かったなぁ、なんてみんな思う日がくるかもしれません、これから斜陽だからw せめて音楽だけは当時に負けないものを作っていきたいですね。

(毎回思うが、こんなことばっか書いてて大丈夫かな…抗議はウケツケマセーン、っておい)

(追記:なんか特に1曲目はそういうディレクションじゃないか(→声を張らない)という気がして再聴。たぶんそうですね…このように音楽の感想を言うのはとても難しい。まだまだ勉強不足、素直に反省)

キュートAORという新概念

 以前も書いたけど、AORには大きく分けて2派あると思ってて、ひとつは「不良中年」コース、もうひとつは「アダルトチルドレン」コース。前者はスティーリーダン、ボズ・スキャッグス等、まあいわゆるAORの本流かも。後者はクリストファー・クロスとかJDサウザーとか、こっちも勢力大きいですが。(←この分析が少々古いのは認めるw)

 AORってのは、もともと色々な要素を取り入れた音楽なので、ある意味根無し草でもあります。ジャズ、ロック、ラテン、R&B、ソウル…普通はそんなことをしたら到底聞けたものではない悲惨な代物になるはずですが(和洋中華の料理をごちゃまぜにしたところを想像して下さい)、それを非常なセンスで絶妙な配分で混ぜ合わせて、新しい美味しい料理を作ったのがAOR、って言い方ができると思います。

 その意味で、実はAORはわれらがガラパゴスアイランズ=ジャパンにとても合う音楽だと思うし、ジャズなら本場はアメリカ、ロックもそうか(まあ欧州もあるしな)、でもAORってあんまり地域性はなくって、フュージョンと同じで世界同時進行って面もあったので、そんなにオリジンコンプレックスに悩む必要もない、日本人としては。日本文化自体が、色々なものの融合だしね、識者の学説でも。

 で、思ったのですが、実は日本には独自に発達したAORの流派があって、それはここでは一応「キュートAOR」としますか。初期の「竹内まりや」とか、もうお一人、また名前出していいんですかねこれ…?(w)
 Youtubeで80年代や90年代のライブ映像見てて、これは思いついた。こういう可愛らしい感じのAORってのは、たぶん海外にはないでしょう。ある意味、日本のアイドル文化からの本歌取りです。ご存知のように、日本のアイドル自体が、特に昔のやつとか、海外でカルト人気があったりしますからね。あれは本当に日本独自のものなので。
 こういう感じのAORってのは、今はほぼ完全になくなってしまっているので、というかAOR自体がもうジャンルとしては消滅してますが(w)、伝統を絶やさないためにも、関係者の奮起が期待されます。いかがっすか?

 AORってのは、言ってしまえば幕の内弁当だと思うのですよ。和洋中華の料理が絶妙の組み合わせと配分で入ってるでしょ? 美味しいし、みんな大好き(笑)。
 そしてキュートAORは、女子がつくった手作り弁当ですよ。そぼろでLOVEって書いてあるような。男子からするとうへっマジかよ、って思うけど、内心にこにこだったりね(笑)。
 どうすか、こんな分析。

 ちょっと書き忘れてたけど、AORの成立にはもちろん従来の様々な音楽の融合もあったけど、それに加えて新しい音楽の要素、新しい楽器=シンセサイザーの導入は必須だったわけで、そこで日本の果たした役割は、実はとんでもなく大きいですからね。つい忘れがちになるけど、YAMAHA・Roland・KORGという三大電子楽器メーカーは、世界の音楽シーンに巨大な影響を与えましたから(それは今でも続いている)。
 その意味で、もうAORは日本が本場だろ!って、僕らとしては開き直ってもいいくらい(ついで言うとフュージョンもね)。それくらい、深くコミットできる音楽ってことです(=海外から物真似といわれる心配がない)。

 以下ブツブツ独り言っぽく…。
 まあね、80年代に白のフリフリ衣装で歌っていたような曲を、いま同じようにやれって言われても、というのはわかります。でもファンはそういうのが意外と見たかったりして? 還暦でセーラー服着て歌っている大歌手の方もいるので。皆大喜びしてますよ。

 以上、大変無責任な記事でした。ご利用は自己責任でお願いします(汗)。

デモ曲のミックス改良

 今回はミックスを改良した話。

 生楽器の音が非常によく録れているアルバムを聞いていて(演奏も良かった)、ふと自分のミックスが心配になって、この前書いた曲を聞きなおしてみた。
 するとまあ、こうして比べると低域スカスカのかなり不自然な音に聞こえて、ベースやバスドラがどうこうより、曲全体の空気感が変という感じ。意外とこういうのは気付かないんですね、特にミックス作業の直後は。

 思い当たるところがあって、今回は各トラックの低域をかなりバッサリとEQで削っていて、たぶんそのせいじゃないかと思えた。
 アナライザーで見ても全く信号がない音域なので、いいかと思って。このあたりの音は、目立たないのにエネルギーだけは高いので、うまく処理しないと最終的に音の透明感に影響したり、音圧が上がらなかったります。
 ところが、これが削りすぎるとやはり良くなかったようですね。

 そこでミックスに戻って、削りすぎていたところを戻して、ベースやバスドラも50Hzくらいから下はバッサリいったり、重なっているところはえぐったりしてたので、そのあたりも適宜戻した。あとストラトのエコーが深すぎ他、若干微調整。

 こうして作った新しい2mixに、前と同じ設定のマスターを通して作ったのが、以下のファイルです。
 諸般の事情でmp3ですが320kですし、良いヘッドフォンで聞けば、違いは結構わかると思います。イントロのところが一番分かりやすいと思う。

元ファイル「キミの彼氏はアコーディオン」(若干改良済)

低域EQを修正

 面白いことに、低域をバッサリ削った元のやつのほうが、やはり音圧は上がってるんですね、セオリー通り。ただその分前述のように不自然な感じになるので、やはり(音圧上げだけが目的でないなら)低域の極端なカットは禁物のようです。
(音圧の差は、冒頭のアコーディオンの「鳴り」を聞いて頂ければ、明白ですね)

 参考までに、今回のマスタリング処理で、使用しているプラグインチェインは以下の通りです。

(1)Waves API2500 Compressor
(2)PSP E27 Equalizer
(3)PSP Xenon Limiter

(1)で2mixをまとめつつ若干レベル上げ。
(2)でコンプ処理で失われがちな高域を持ち上げる。
(3)でいよいよ音圧上げ処理。

 API2500は結構はっきりとキャラのつくタイプのコンプで、アメリカンな明るい音になります(悪くいえばチャラい音?)。
 E27も実機のモデリングだそうですが、実機にはトランスが入っているそうで、独特のヌラヌラした音になります。非常に面白い。
 Xenonはオリジナル設計だけど、これまたアナログっぽいイイ感じの歪み成分が付与される感じ、これまた個性的なリミッターです。
 こいつらを通すと、もうDAWで完結しているとは思えないような、アナログ感満載の音になります、お聞き頂いたとおり。こういうところがマスタリングの面白さだったりします。

 で、今回はシンセベース(を、ベースアンプに通してある)とブレイク系の打ち込みドラムのリズムセクションだったので、こういう感じの少し暖かい歪み成分があるマスタリングにしてみましたが(インディーズ風?)、この前買ったWavesのAbbey Road TG Mastering Chainも、せっかくなので試してみました。

 名前の通り、ロンドンのアビーロードスタジオが監修して作られたプラグインです。同シリーズは非常に高品質のプロダクト揃い。
 マスタリングをこいつだけでやってみたのが、以下のファイル。いかがでしょうか? 設定としては前述のやつと似た感じにしたのですが、これは同じ音圧が出ているのにかなり透明感がある仕上がり、しかもアナログっぽいし、ちょっと市販のCDにも近づいた音です。(高域だけは上げすぎてたので若干絞った)

TG Mastering Chainで処理

 かなり優秀だと思いますわ、なかなか使えるやつだと思います。

 ミックスは油断してるとこういうことがあるから、常に気をつけていないといかんですね。

(おっ、でも今聞いたら、コンプを1段抜かした分、2mixのまとまりがなくなってる気がする。こういうの、無限にあるんですよミックス作業はw)

CDガラパゴス・ジャパン万歳

 最近、研究のためもあって、J-POPやシンガーソングライター系のCDをよく購入しているのですが、やっぱりCDはええわ~。まずちゃんと形になって音楽が「そこ」にあることの安心感。レコードに比べて小さいとはいえ、ジャケットも楽しめる。そして制作側の人間として重要なのは、レコーディングスタジオやエンジニアの名前、プレイヤーの名前も大抵明記されていること。
 もちろん、音自体これがアーティスト曲のリファレンスなのだし、余計なエンコーディングなどで劣化・変化する心配もない。PCトラブルで消失することもない(笑)。
 よく海外系の記事で、日本はいまだにCDが売れているガラパゴス云々~というのがあるが、なんで批判的にくるのかさっぱりわからん。むしろ劣化配信のmp3などで満足しているガイジンは、その程度の耳しかないのだし、それで満足できる音楽しか聴いてないという証拠だな。音楽の地盤沈下の一因だと思う、悪貨が良貨を駆逐したわけですよ。でも、そろそろちゃんと音楽に向き合った方が良い、世の中は金太郎飴みたいなマスプロダクション・ミュージックばかりではありませんから。良い音楽を良い音で聞けば、やはり音楽の素晴らしさが、無頓着な人にも絶対にわかるはず。

 なんか色々書いてますが、先日ここに書いていた大先輩のCDを、ようやく入手して聞いたのですよ。そしたらこれがね……驚きの結果に……。
 やっぱりあの1曲目より2曲目が、そして2曲目より3曲目が良かったのです。う~ん、CDで聞いてしまうと、全部の曲のレベルがグーンと上がって、その差は縮まらずむしろそのままでした、という。やはり制作側として嘘は書けませんから、これはそう申し述べるしかないのです。アーティストさんのオキニ曲問題は存在していたのか、と。
 3曲目、一番洋楽っぽい、というかもう洋楽そのまんま、どこかで曲が掛かってたらもうアーティスト名を調べたくなるような感じ、少なくとも自分にとっては。
 こちらの先輩は、ボーカルの中域~中低域あたりが、非常によいと思うのですが、そのあたりのフィーチャーされ具合もヒットポイント。(毎回上から冷や汗出るようなこと書いてるなぁw)
 ということで、またまたきっとお許しいただけると信じ、今回はこれにてアウトロ。

「シンガーソングライター」を超えて

 最近思っていること。一口に「シンガーソングライター」と言いますが、実はその範疇からはみ出すような活動をしている方々がいて、新しい呼称や概念が必要じゃないかなあ、ということ。
 たとえばシンガーソングライターと聞いて、世間が思い浮かべるイメージは、ピアノやギターを弾きつつ、自作の歌を歌う人のことでしょう。名前の通りだから、これで合ってますね。

 ここで、ソロの弾き語りでなくバンドがバックについた場合、そこにはアレンジという作業が介在してくるわけです。この場合大抵は、専門のアレンジャーに発注されるわけですね(バンドマスター(=バンバス)が兼ねていることも多々ある)。
 この段階ですでに、シンガーソングライター個人の範疇を超える作業が発生しています。世に出回っている彼ら/彼女らの曲は、実はアレンジャーとの合作ともいえるわけです。メロと歌詞だけでは曲になりませんから。

 ところが世の中には、このアレンジも自分でやってしまうシンガーソングライターがいて、こうなると普通より一段深いところまで音楽をコントロールし、創造しているわけです。専業がいるようなアレンジまで自分でやってしまうのだから、普通より高度な音楽制作といえると思います。

 このレベルの人は、プレイヤーも自分のお気に入りを連れてきて、ミキシングもオキニのスタジオのエンジニアに頼み、さらにマスタリングも……となると、もうこれは何段にもハードルが上がって、パッケージとしての楽曲の全てをコントールし、表現の場としているわけですよ。

 シンガーソングライターといっても、前者のようにほんとうに歌の作詞・作曲しかやらない方と、後者のように全ての段階にコミットしていく方の2種類いるわけで、後者のほうを同じシンガーソングライターと呼ぶのは、どうかな、という話です。
(別に前者が一般的に劣っていると言いたいわけでないので、念の為)

 後者の場合、もう「シンガーソング・マイスター」なり、「シンガーソング・プロデューサー」と呼ぶべきですよね。こういう方は、実は内外問わずAORの分野等にたくさんいます。楽曲のすべての音が表現領域なので、メロや歌詞だけでなくアレンジやサウンドまで含めて聞かないと、本当にはその曲を理解したことになりません。(当然、リスナーにもかなりの音楽リテラシーみたいなものが要求される)

 で、なんで今回こんなことを回りくどく書いているかというと。

 先日ここにちょっと書いた大先達の曲が、Youtubeにご本人が責任を持つ形で上がっていてまして、早速聞いてみたら……サウンドが全然違ってて、全く別の曲に聞こえまして、「あーこれは”1曲目”で正解だわ」と、まあしっかり痛い目に遭った、という話なのですわ(お約束)。
 いわんこっちゃない(笑)。

 いやいやいや、あのときはストリーミング酷かったですよ、中低域から低域にかけてベチャっと音が潰れてて、ステレオイメージもぐちゃぐちゃだったし、それでいて変にバスドラの音だけはっきり聞こえたりね。
 やっぱり想定外のエンコーディングが施される配信なりストリーミングは音楽にとって鬼門ですね、特にこういうサウンド全てをコントールしているアーティストさんにとっては。この方はまさに、シンガーソングプロデューサーそのものですから。
 まあそもそも、アーティストさんが渾身の表現をこめてリリースした曲を、ちょっと聞いたくらいで感想を言おうなんて、無茶な話なのですわ(言い訳見苦しいなあw)。

 大変お優しい、心の広い方だと伺っていますので、たぶん許してくださるんじゃないかな……だといいな(冷汗)、とかね。そもそも音楽聞いて感想を言うって怖いっすからね、それによって自分の音楽力みたいなものも、見抜かれてしまいます。経験豊かな音楽家の洞察力は、そりゃ凄いもんがありますから。

 結論:近々CDを入手します。