月: 2018年1月

Kontaktトラブってるの巻

 ソフトのアップデートが来ても安定しているうちはなるべく適用しない。というのは長い経験からの鉄則でいつもは守っているのですが。

 ちょっとコンペが途切れたので、これを機会にkompleteバンドルの溜まっていたアップを消化してた。膨大な製品が含まれるバンドルですが、今は、Native Accessという専用アプリでインストールやアップデートが簡単にできるようになってる。

 起動すると、ずらっと製品一覧とアップ通知が出るんですが、このアプリがまず曲者。アップデートを個別選択すると、エラーが出て止まってしまう。個別にやりたかったら、1個終わったらまた1個、という面倒な手順になる。
 一括更新だと、なんせKomplete Ultimateは巨大バンドルだから、時間が掛かってたまらんという。

 で、まあその中の中心製品であるKontaktも随分アプデさぼってたんで(5.2とかじゃなかったかな?)、最新の5.7にアップしたんですよ。GUIも若干カッコよくなってて、サンプルの読み込みも高速化され、なかなかいいじゃないか?と思った矢先。

 サンプルを鳴らす度に盛大にブチブチノイズ出しやがる。
 その頻度、ほぼ2秒に1回(笑)。
 こりゃひでえと、色々ASIOの設定触ってみたり、256sampleから1024にすると5秒に1回位になるから、アプリが重くなったせいか?とか。しかしこんな設定使い物にならない。4コアCPU対応オプション出来たから、ここの設定切ったりとか。それでも改善しない。
 ウイルス検知ソフト止めて、ネット切って、リセットしても変わらず。

 万策尽きて、バージョンダウンするかと思ってやり方調べたら、古いバージョンのファイルもズラッとサイトに載せてるんですね、NIは。やっぱりこういうことがちょくちょくあるからだろうな。
 それで無事5.66を上書きインストールして、ブチブチノイズがパタッと出なくなりました。
 どうやら5.7はライブラリの追加に前述のNative Accessを使うよう改訂されてるから、ここでなんらかの悪さをしているらしい。(といっても、同じような症状出ている人はいないようなので、当方の環境のせいかもしれない)

 ASIOはYAMAHA/SteinburgのUR242についてたドライバなので、主にこいつとの相性か。こっちもこっちで、Win10環境で不具合が出るらしく、最近煩雑にアップデートしてる(汗)。

 いやはや、パソコン1台ちゃんと運用するのも大変ですわこれ。下手すりゃマイクロソフトのアップデートでパソコン止まるしなあ、インテルの例の超絶バグもあるし。どうなってるやら。

(実は年末くらいにNTTの光隼にして、これまたオーディオ再生でブチブチノイズが出るようになって、ようやくこいつを解消した矢先だった。原因は、なんと溜まったWindows Update。掛けたら止まりおった。どうもバックグランドの更新チェックが影響してるらしい?)

 あれだね、今音楽やりたい!って思って、DAW使うのももう必須だから、勉強し始めた人なんか、地獄を味わうんじゃなかろうか。オレみたいなIT屋でもウンザリするのに、いくらヤングメンがデジタル機器に慣れてるといっても、この面倒さは度を越している。いちばんいいのはDTMが趣味の友人を作ることだろうなあ……。
 ただ、DAWがあれば事実上自分のスタジオと腕のいいミュージシャン(バンドからオケまで)雇えるのと同じだから、そこは便利になったとはいえるけど。

 ただ便利になった分、自分で全部やらないといけない時代になっているので、もうコマネズミのように働かなくてはいけないのです。
 今音楽をやりたかったら、パソコンオタクになることは必須条件です。楽器できるとかよりも重要度は上じゃなかろうか(w)。

 激変してるんですよ、音楽制作も。

(実際、DAWと音源を自在に扱えるようになるには、楽器をひとつマスターするのと同じくらいの時間と労力が掛かると思う。逆に現代の音楽制作者にとって、DAWは楽器、という考え方もできます)

AORの名盤と過ぎ去った時間と

 昨年末にYoutubeのリコメンドでボズ・スキャッグスの名曲「Jojo」が出てきて、そういえばちゃんとアルバム聞いてなかったなあと思い、Amazonで5枚組ボックスをGET。(最近よくある廉価版のやつです)
 それでまず、これまたAORの名盤「MIDDLE MAN」から聞いてみたんだけどね。……これがもう、あまりに素晴らしくて(逆に)打ちのめされました。1曲目が「Jojo」なんだけど、アレンジも演奏もミックスも飛び抜けてハイクオリティ、もちろんメロ&ボーカルも極上だし、非の打ちどころがない。なんだこのカッコ良さ。久々に聞いたけど、今の耳で聞くともうとてつもない。

 歌詞をネットで調べてみると、どうやらベトナム帰還兵らしき危ないヤツのことを歌った歌。ブロードウェイは浮かれているが、奴はどう思っていると思う?お前らそんなんで本当にいいのか?みたいな、硬派で社会派の内容。アイラブユーとか、一切出てきません。
 こんな詩だったとは、当時は全然知らずに、とにかくサウンドがカッコイイ曲だと思って聞いてましたが。

 当時――驚くなかれ1980年ですよ。80年代をつい昨日のことのように思ってるオレと同年代の皆さん、目を覚まして下さい(w)。今から38年前ですんで。(自分はティーンエイジャー、歳を取るはずだよ)。
 で、まあそれがまた衝撃で。果たしてこのカッコ良さを今のPOPSは超えられているんだろうかと。無理だと思う……。全然古びてないし、サウンドからして今リリースされても全くおかしくない。うへぇ。どうなってんだ、魔法かこれ。

 あ、一応解説しておくと、ボズは当時のAORムーブメントの中心人物の一人です。バックには結成前のTOTOのメンバーも参加。この曲にはあのデイヴィッド・フォスターも共同作曲者に名を連ねてますので、TOTOのデイヴィッド・ペイチと共に制作にも携わっているんでしょう。もう化け物みたいなセンスです、スタジオ録音芸術と呼んでも過言ではない。
(今英語版のWikipediaみたら、カルロス・サンタナも参加してるじゃないか……。ぐへぇマイッタ)

 このアルバム、ジャケットも超キャッチーで。もしやジャケだけは知っている人がいるかも。タキシード姿のイカしたオジサン(ボズ)が目を瞑って煙草をふかしているんだけど、膝枕にしているのが網タイツの女性の太ももなんですね。(女性だと思う…線の細い少年だったらどうしようね?w)興味のある人はググって下さい。
 久々にこれ見て、音も聞いて浮かんだキーワードが「不良中年」。だってそうとしかいいよがないでしょう。
 案外、「不良中年のための音楽」というのは、AORを形容する適切なフレーズかもしれない。ドナルド・フェイゲンなんかも不良中年っぽいしなあ。
(もう一派あって、そっちはアダルトチルドレン・コースかな? クリストファー・クロスとかJDサウザーとか。歌声が中性的でほぼボーイソプラノですからね)

 こうしてみると、音もそうだけどジャケもバブルっぽい。当時のアメリカはバブル日本に経済侵略されて大変だったんだけど、それでも景気は今より遥かに良くてこういう雰囲気もあったんでしょう。世界同時進行の時代の空気を、まさに当時の名盤が映してる。

 アレンジといいミックスといい、勉強になることといったら、もう。音楽制作ソフトでよく70年代の機材を再現した製品があるんだけど、こりゃ当然だわな。こんなにいい音、誰でも手に入れたくなる。この時代のアメリカは冴えまくりです。

 さて、それでですね。このアルバムの3曲目「Simone」に差し掛かった時に、リアルに「あっ」と声を上げました。「アッー」ではありませんよ、ええ。
 この聞き覚えのある音。信じられん。
 それは。
 アコーディオン!(ドドーン、波ザバーッ)

 おいおい、AORの名盤、というかもうアメリカンPOPSの代表作のひとつとさえいえるこの歴史的アルバムに、かよ?
 しかも、もう大フィーチャーといっていいアレンジ。
 しばし茫然。

 ほら、やっぱり。トレンディなハイセンスピーポーにはちゃんとわかってるんだよ。死語だらけだけどこれ1980年だから(w)。
 いやー驚いた。そしてもうニンマリですよ。世間はわかってくれないだけで、やっぱわかっている人はわかってんだねえ、と。(ふふふ)
 こんな化け物みたいなセンスのクリエイター達がひしめくアルバムで、この存在感。欧米ではかなり身近な楽器だそうですが、これはオシャレ楽器のお墨付きを貰ったようなもの。なんせAORの名盤ですから。

 またオレ得オレ情報を書くと、これ気付いたの実は元旦なんですよ。ね、すごいでしょ?(笑) なんちゅう縁起のいい年や。

 いやー、AOR。まだまだ研究&勉強が必要ですわ。
 まあ、実はちょっと大それたことを考えていて、もし自分がAORに何か付け加えられるとしたら、それはアコーディオンかな、と漠然と。ところが既に38年前ド名盤の中でやられていた。
 ただ、まだ2つばかりテはありますよ。この場合、38年という時間はこちらの味方。音楽史的には様々なことがあったわけだから。
 それは、今後書いていく曲の中で試していきたい、と思っとります。

デモ曲追加・クラシック

 新春ということで、コンペ制作の合間に新しいデモ曲を書いてみた。
 いいオルガン音源が入荷したので(ハモンドじゃないやつね)、こいつを使ってみたかったというのもあった。面白いですね、いまの音源のいいやつは本当にクオリティ高いから、少し弄っているだけでインスパイアされることがちょくちょく。昔のサンプリング音源とは大違いですから、みんなソフトウェア・エンジンで駆動される設計なんで、もうほんと芸術品だと思うよ。こんなのバーゲンで買ってしまって申し訳ないw

 おっと、くどくど前置きの前に聞いて頂きましょう。

「彼方の光、天に満ち」

 今回はバロック音楽です。オルガンといえばやっぱりね。ただバッハの「トッカータとフーガ」みたいないかにもなパイプオルガンじゃなく、木管系の柔らかい音がするオルガンです。いい音でしょ?
 ソロの木管はオーボエ、金管にトランペット2本。あとはコントラバスとハープシコード、そして(意外と?)大迫力のボーイズクワイア(少年合唱)。

 バロックの時代は、後年のオーケストラのように楽器の組み合わせが固定化されていないので、結構色々なアンサンブルを試すことができて、アレンジャーとしては面白い、かも。とかなんとかいいつつもちゃんとしたクラシック系の曲を書くのは初めてなので(笑)。一応、なんちゃってバロック、略してなんバロとさせて下さい(←なんじゃそりゃ)。クラの世界は大変厳しいルールが一杯あって。たぶん知っている人が聞けばツッコミ所満載なんじゃないかと。

 テーマとしては、謹賀新年~皆様のご多幸ご健勝をお祈りします、ということです。

 楽器の歌わせ方、ミックスの様子も普段とはかなり違って面白かった。具体的には、EQは空間系(リバーブ)の微調整の他は使ってませんし、コンプで音を揃える、なんてこともしません。オリジナルダイナミクス命の世界ですから。
 さすがにマスタリング(?)ではハイを少し持ち上げて聞きやすくした。たぶん実際のクラのライブ録音でもこれ位はホールの残響を調整するためにやっているハズ。

 やっぱり色々な曲を書いていかないといかんなあ、と思った次第です。
 今年もやるぜー!