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戦メリ楽譜公式・自分専用

 坂本龍一さんの名曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」(映画『戦場のメリークリスマス』テーマ曲)ですが、1983年に発表されてから、なんと今まで公式の楽譜がなかったそうですね。そのため独自にアレンジされたもの、あるいは誤っているものが多数流通する結果になったんだとか。(楽譜の出版にもJASRACでの手続きがいるのですが、それでもこんな具合…)

 そこでこの度、坂本龍一さんご自身が監修された公式楽譜(ピアノソロ用)が発売されたのですが、このリリース方法が素晴らしくて、PDFによる電子出版なのですが、なんと楽譜に購入者のメアドが入るんですよ。不正コピー防止のためと、「世界でひとつ=自分だけのもの」というレア感が両立するという、コクレターズアイテム。そこで先日購入して眺めてニマニマしているところです。
 普通のPDFだから変な電子書籍にありがちなDRMもないし、自己使用ならコピーしても問題ない。これ良いと思いませんか?
 今後、楽譜の出版はこんな風になっていくんじゃないか、と思った次第です。
(なおオンデマンドのプリント版もある)

坂本龍一オフィシャルスコアストア – Ryuichi Sakamoto Official score store
https://score-jp.sitesakamoto.com/

 なんか、公式サイト開設と前後して、戦メリの一音一音がNFTでも販売されたらしい。瞬殺で売り切れだったそう。

(余談。世の中に出ている楽譜は、ほぼアルバイトが作ったような滅茶苦茶なものが多いから……。某有名シンガーソングライターの著名曲をヤマハの「ぷりんと楽譜」で買ったことがあるが、メロの音程どころかリズムさえ違うという、恐るべき詐欺物件だった……。こうしてみると公式というのは大きいですね)

「これがわが社の黒歴史」ヤマハ編

 数日前夕方にTV付けたらNHKで流れていた番組、これってピアノや楽器類が映っているしヤマハじゃないか、と思ったらやっぱりそうだった(w)。NHK攻めてるなあ、まあこれに出られる企業は現在は絶好調なわけですからね。(今回2回目で、第一弾がバンダイだったらしい)

“総合楽器メーカー”の黒歴史から、今を生き抜くヒントを探る!
神田伯山のこれがわが社の黒歴史
11月23日(火・祝)[総合]後6:05
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=31753

 以下内容ウロ覚えなのでご容赦。

 電子楽器=エレクトーン(TM)の発売後、海外製半導体の品質の悪さに何度も泣かされてきたそう。そこでいっそ内製してしまえと、ヤマハの半導体事業が始まった。半導体技術の第一人者である西澤潤一教授に教えを乞い立ち上げ成功。電子楽器も高度化し、’80年代にはFM音源搭載のデジタルシンセサイザーDX7などのヒットで絶好調。(当ブログ読者なら皆さんご存知、もちろんヤマハ製のカスタムLSIが使われていた)
 このFM音源チップはパソコンにも採用され、特にWindows95旋風からのマイクロソフトとの協業で売れに売れた。楽器も右肩上がりだったが、それを遥かに上回る利益をもたらした。
 ここまで良かった。この時点で半導体事業をヤマハの主軸に据えようとしていたそう(既に少子化で楽器事業は頭打ちだった)。

 そこへ今度はインテルが、自社のパソコンにチップを組み込みたいと言ってきた。そこで800億円掛けて浜松に最新鋭半導体工場を建設したが……。稼動直前になって、インテルが「もう要らん」と。ソフトの高度化でチップがなくても高品質な音が出せるようになったから。
 さあ大変、他のメーカーを当たるも価格面で折り合いが付かず、半導体を供給していたセガなどのゲーム機に掛けたが、プレステとの競争に敗れてこれも駄目。結局工場で何も作るものがないまま、1年後に工場ごと売却。特別損失250億円、リストラ500人というヤマハ最大の危機を招いてしまう……。(インテル詐欺ってる! Intel Insane)

 当時は地獄だったそうですが、ここからどうやって立ち直ったかというと、それは意外な製品がきっかけでした。それは……携帯電話、ガラゲー全盛時代が始まろうとしていたのです。もう皆さんお分かりでしょうが、着メロの需要にFM音源チップがずばり応えられたのです。ある時期のガラゲーは全てFM音源チップ入りといっても過言ではありません。これでV字回復を遂げるのですが、さらに着メロそのものにもヤマハのビジネスが生かせたのですね。これだけで1000億円規模の商売だったらしい。
 この大事件を教訓に、ヤマハはチップの研究設計だけを行い、製造は他社に任せる、いわゆる「ファブレス企業」の走りになりました。また半導体事業は、今はネット回線用ルーター事業に活かされているとか。選択と集中は社是らしいですからね。

 ヤマハの社長がSGギターで「ギュウーン」なんてクランチ系サウンドでコード鳴らしながら登場したり(現社長は楽器プレイヤー)、なかなか楽しい番組でした。たぶん収録場所はヤマハの楽器ショールームだったと思う(笑)。

VOCALOID5は一般の音楽制作向け

 手短に、ヤマハからの返事には、VOCALOIDという登録商標やキャラ名を明記しないのであれば、一般的な商用利用は問題ないと書いてありました。つまり、楽曲の中でコーラス音源などに使うのは問題ないということ(作曲家の立場からクライアントさんに曲を作る時も同様のようだ)。
(上記はVOCALOID5の付属ボイスバンクの場合ね、なぜか正式なEULAは製品を買わないと見られないらしいw)
 このあたりはメーカー・製品によって利用条件は様々なので、使いたいならいちいち確認するしかない。ただ、既存の他社ボカロ製品においても、ほぼ標準になっているライセンスのようです。

 まあ、こういうややこしさが本来のソフト音源として「表」では使われることがほぼなくなってしまった理由かも……(仮歌ではよく使われていますが)。実際「(株)インターネット」のKokoneというボカロのライセンスを見ると、法人がボカロを使って音楽制作した場合は許諾が必要、なんてトラップ文があったりする。怖いよね、お客さんに渡した曲が、どこかに売られて法人から勝手にリリースされちゃったら、責任問題だし。だから怖くて誰でも使わないのだろうな。

 そろそろキャラ商売もいい加減下火だし、ちゃんとこの技術を本来のボーカル音源として利用してもいい段階に来ているのではないかと思う。
 それには権利関係をもっと明確にすべきで、製品ページなどにFAQなどとして明記しておくべきだよな。そうればもっと利用者は広がるはずなのに。
 私見ですが、どうもボカロやそれ系音源は、権利関係がクリアじゃなくて、一般の音楽制作側からは手が出しにくいイメージがある。もう「絵」を付けるのはいいから、ちゃんと制作のことを考えて欲しい。製品を買うのは本来そっちの人間のはずなので。(たぶんそのあたりを考慮したのが、ヤマハのVOCALOID5だと思うけど)

●追記 2020/11/14
 恐ろしいことが判明した。YAMAHAのVOCALOID3のライセンスを見ていたら、「商用カラオケでの利用」は許諾が必要と書いてある。つまり、クライアントさんに渡した曲が勝手にカラオケ配信されちゃったらアウトってことですね。こりゃーやっぱり使えないわw 自分の立場だと国産ボカロの利用は無理。逆にZero-Gの英語ボカロはOKってことになります。…と思ったが、まさかマスターライセンスがヤマハにあって、そっちのも実は適用される(謎の理由で外国は野放しだが国内ユーザーだけは厳しい)じゃなかろうな(汗)。
 やっぱりコーラスに使うの止めますわ。こりゃ危ない。

CASIOPEA 3rdライブ拝見

 10月4日の「CASIOPEA 3rdライブ」をネット配信で視聴しました。いや~堪能したあ、最高でした!……で、実は感想が終ってしまうw(だって本当だし)

CASIOPEA 3rd ONLINE SHOW ~LIVE LOVERS~ from Billboard Live supported by CASIO【Streaming+】
日時: 10/4 20時開始

 当日、8時からは外でスマホ+WiFiで見ていたのですが、開演後映像が来るのにかなり時間が掛かって、ギターの野呂一生さん、ドラムの神保彰さん……という具合に「静止画像」が順番に切り替わるので、ああオープニングムービーなんだな、と思っていたら、単に自分の回線が遅くて追いついていないだけでした(汗)。その後映像が動くようになり、音も出てのですが、ここで驚愕の事実が判明。なんと野呂さんのギターの音だけが全く聞こえないw(←嘘のような本当の話) アンビエンス成分だけはかすかに聞こえるので、わぁこれは配信トラブルだぁ~と思い、必死にアンビエンスだけ聞いて3ピースバンドになってしまったカシオペアを補完してました。で、家に一旦帰ってきてパソコンで見たら全く問題なくギターの音が聞こえるんですね。自分の環境が悪かったのか、今もって不明。やはりスマホなんかで見ていちゃいかんですね(当然か)。それでも生放送の臨場感はたっぷり味わえたので(スリリングなところも含めてw)、スマホは動画ラジオみたいな捉え方で良いのかも。

 で、日曜の夜から水曜一杯まで録画がストリーミングで何度でも見られたので、結局生以外で2周半くらい見ました。(もっと見たかったがこれが限界でした残念) 録画も映像・音声ともに非常に安定してて安心感あった。映像の綺麗さはいうに及ばず、音声もほぼFMラジオ並みの音質で楽しめました。

 しかし凄い音を出すバンドだな、と改めて。第1期・2期のカシオペアに比べて、やっぱりキーボードが大高清美さんに変わっているから、よりソリッドな感じのリズムアンサンブルになっているように思えました(といってももう8年目なんですね)。ベースの鳴瀬喜博さんのファンキーなカラーも勿論あります。
 キリキリ緊張感マックスの感じでなく、大人の余裕・遊びがある円熟の鉄壁アンサンブルですね。それでも神保さんの叩き出すリズムがジェントルなので、冷たい感じは全くしない。……うーん幾ら語っても語りつくせないなあ。

 実はカシオペアのライブを生で見たのは20年振りくらいで「Be」の時だったと思いますが、考えたらその頃から全く変わっていないリズムセクションなので(というか進化してるし)、驚異としか言いようがありません。
 弾きまくる野呂さんのギターの圧倒的な表現力、アドリブソロのスピードと溢れ返るパワー……やっぱり進化してますね、オソロシイ…。

 正しくマスターピースとしか、もう言い様がない。ここまで現役バリバリでエッジな音を聞かせてくれるバンドって、世界でもなかなかないんでは。日本だともちろんT-SQUAREもあるけど、海外だとFourplayかスパイロジャイラくらいになっちゃう、懐メロ主体でなく現在の音楽を進化させている系統のフュージョンバンドは。
 いや~良いものを見せて頂きました。なかなか、ファンとしてだけでなく音楽制作をやっている人間としても、勉強になるシーンが多々。(バンドアンサンブルのお手本ですからね)

 ところで元(現?)シンセマニアとしては大高さんのキーボードスタックにどうしても目が行ってしまうw 一番上がJupiter-50、次がメインのオルガンVK-8、その下がFantomG7というRolandで固めた構成なんですね。Jupiterでいわゆるシンセっぽい音やブラス、オルガンは後ろのレスリースピーカーに繋げてメインKB、Fantomはエレピやパッドっぽいゴージャスな音の使い分け、のようにお見受けしました。
 前任の向谷実さんはヤマハ主体の構成だったので、この点だけでもかなり違うサウンドになっていて、とても面白かったです。

 やはり個人的にはカシオペア(3rd)が最高峰です。あと20年は現役でいて欲しい方々ですね。

「JIMSAKU in the house」in youtube

 実は、先日の野呂一生さんの「A・RI・GA・TO」に続いて、このような超・見逃せない参加型動画もアップされています。

 JIMSAKUといえば、言わずと知れたドラマーの神保彰さんとベーシストの櫻井哲夫さんのフュージョンのユニットです。ちょうど結成30周年だそうで、プロジェクトが立ち上がっているのだとか。
(この曲は、神保さんがこの企画のために書き下ろした新曲)

 カシオペアを聞いて育った人間としては、何もしないわけにはいきません。いや、むしろやるな!と言われてもやります(笑)。
 ドラムだけ、ベースだけ、という動画もアップされているので、かなり面白いことができそうです。
 というか、もう数日前から色々と試行錯誤してます、例によって仕事の合間を縫って。
(大変有り難い話なのですが、また2曲ほどお仕事を振って頂いています、今←もちろん別口ですよ)

 完成したらまだ動画にして公開したいと思います。乞うご期待!?

続・お宝雑誌発掘

 実はひとつ前に書いた80年代の音楽雑誌「KB Special」の件、翌月号も見つかりました(1988/6)。2号続けてCASIOPEAの最新アルバム「EUPHONY」が特集されていたのですね(それだけ音楽的にも面白い作品だったといえそう)。
 紙面に登場されているのは……

 当時のトレンディードラマに出ていた俳優さんです、って言ったら今の若い子は信じますね(w)。
 もちろんリーダーでギタリストの野呂一生さんです。今も昔もカッコイイ。ここで色々書くのも恐れ多いですわ……。文字通り日本を代表するミュージシャンのお一人です。

 ギターのコードプレイで、テンションノートがハイに行くほどコードの機能が強くなるって話。キーボードとの比較で、どうしてもボイシングに制限が出てくるので苦労するって話。作曲のとき、転調はするが基本となる調の調性感は大切にしているって話。あまり転調してやろうと思って転調しないそうです、あくまで楽曲の流れを見て、一時転調とか臨時転調とか。(やっぱり、これがカッコイイのですね)
 前回も出てきた「m7(b13)」は野呂さんが発明された表記とのこと。

 実はこの特集だけでなく、別の新製品紹介のページでYAMAHAのMIDIギターシステムG10のレビューがあり、そこで野呂さんが実際の利用者として登場されています、
 このG10、「EUPHONY」の中でも使われていたのですね。「SENTIMENTAL AVENUE」や「SOLID SWING」でTX802やRoland D-50をドライブしていたとのこと。G10は純粋にMIDIコントローラーに絞った製品で、今のようにピックアップでギターとしても使えるものではなかったようです。またハマリングオン等、細かいテクは拾えなかった。ただしチョーキング等でクォータートーンを出すのは可能だったらしい。

 この号、表紙は坂本龍一さんでした。当時からオーケストラと共演するスタイル。もうこれだけでも30年以上の積み重ねがあるってことになりますか。

 そしてKORGからは驚異の新製品が……!

 うーん物凄い時代だったよ、80年代。実はこの頃の音楽雑誌は一杯実家に取ってありました。また面白い記事があったらシェアします。

お宝雑誌が発掘された

 実家で古い雑誌を整理していたら、お宝(もちろん音楽的な意味で!)発見。
 ちょっと若手芸人感のあるこの方、どなただと思います?(色々と各方面で怒られそうだなぁ…)

 キーボーディストの向谷実さんでした!(すいませんすいません、土下座←大汗) 若い!細い!黒が似合う、カッコイイ。

 すごいなあー、弾いてるのモロにDX7ですね。ビンテージでも何でもない、現役機種だった頃だから。なんとこの雑誌、1988年5月号。リットー社の「KB Special」(今は休刊)。32年前ですよ。ほぇー。

 当時、CASIOPEAの最新アルバムだった「EUPHONY」にあわせての特集で、リットーの雑誌なので理論的に踏み込んだインタビューが載っています。それによると、「m7(b13)」がバンドサウンドにとって重要なファクターになっている、とのこと。4度堆積コードです。これは半音下降のような進行でdimの代わりに使っても、かなり上品で良い響きになる、と。
(しかし、当時読んでチンプンカンプンだったけど、まさか自分が理解できるようになるとは思わなかったw)

 他にも当時のCASIOPEAライブでのキーボード構成とか、巻頭にカラー特集で。まさにお宝中のお宝。こういうものは秘蔵して誰にも見せません(笑)。なんでも価値ある情報をシェアすると思ったら大間違いだよ。秘匿してライバルに差をつけろ!違うか。

 他の記事で、当時新進女性シンガーソングライターだった方のインタビューもあって、のけぞりました。LAレコーディングの6枚目新作アルバムの話。カラー写真、今と変ってないなー、驚異。32年経ってるのに、本当は絶対おかしいでしょ?
(しかしこのインタビュアーは、今読むと少し悪意がある気がする。ピアノは何曲弾いたの、とか、アレンジはどうしたの、とかやや詰問調。若手苛めって気もしないでもない。アーティストさんも大変だ。なおMajor7thコードがお好きということですw いいっすよねー)

 もう永久保存版ですね、ダンボール箱にしまい込んでいたので状態も良いです(外気に触れず酸化しない)。他にも清水信之さんや久石譲さんの連載とか、デヴィッド・ペイチとか。
 いやー、しかしびっくりしましたわ(w)。

(追記:まさかここを読んでいる人で向谷実さんを知らない人がいるとは思えないけど、日本を代表するミュージシャンの一人でっせ。最近では社長業の方でもよくメディアに出ておいでです)

お手軽Wall of Sound

「隣りのスタジオに防音壁が出来たってね」
「ウォール」

 …いつも知的な論考を心がけている弦央昭良です。皆様いかがお過ごしですか。

 某有名プロデューサーが得意とした制作手法、Wall of Sound。明確な定義はなさそうですが、文字通り音の壁のように広い音域に様々な楽器の音を配置したり(これは発展型の定義らしい?)、あるいは多重録音によって重厚で音圧感のある楽曲に仕上げる感じ、でしょうか。随分ぼやっとした認識ですが。これをやると実際に音圧が上がって、マスタリング等で無理しなくても聞きやすくなりますね。

 ところが、最近気付いたのですが、これをたった一台で実現できる夢のような楽器がこの世にはあるんです。お気づきの方もおられるでしょうが、それは……パイプオルガン。

(BGM:「トッカータとフーガ」ニ短調 JSバッハ)

 あれは様々な音色だったり音域の音をレイヤーしてるので、単音でも実はたくさんの音が“ブレンド”されていたります。これでコードでも弾いた日にゃ、かなり広い音域に渡って音の壁が出来て、教会なり施設にその音が(ナチュラルエコーを伴って)響き渡り、聞き手を圧倒します。これをWall of Soundといわず何といいましょう。
 しかもペダル(足鍵盤)までありますからね。これで凄まじい重低音をズドーンと響かされた日にゃ、まさに無敵!という感じ。楽器の音域表などを見ても、一番低いところはパイプオルガンなんですね。

(蛇足ながらアレンジの本なんかに出てくるペダル・ポイントは、このパイプオルガンのペダルが語源。鍵盤を踏んでる間中、どこまでも音が伸びる)

 つい先日Youtubeを見ていたら、パイプオルガンの演奏動画を上げられているオルガニストの方がいらして。手元と譜面と足元が映るという、作曲勢にとっては非常に有難い映像でした。

(BGM:「主よ、人の望みの喜びよ」JSバッハ)

 ここで気になったのが、足元のカットに、足鍵盤以外にボリュームペダルっぽい代物が2つ映っていたこと。エレキギターでバイオリン奏法をやるときに使うやつ、っていうかモロに車のアクセルっぽい形態のやつ。こりゃなんだろう、と。

 パイプオルガンは、自分の知識ではボリューム操作は基本できずに、音を大きくしたかったらレイヤーいていく、って認識でした。
 ただ、むろんパイプへ送る空気圧を調整すれば理論上音量の大小はつけられるはずなので、それかな?と。

(昔は、お金持ちが葬式すると、教会のパイプオルガンの音が大きくなるので、街の人はすぐわかったらしい。なんせポンプを回す人をたくさん雇えるのでw)

 ちょっと調べてみたら、ヤマハの楽器解体全書のページに解説があって、パイプをひとまとめにして箱の中に入れるような構造があるらしく。その箱のスリットを開け閉めすることで音量を調整できるらしい。
(ただ、巨大な低音パイプみたいなのは無理だろうな)

 木管系の音、金菅系の音、音域も様々で、実はシンセサイザーに一番近い「生楽器」がパイプオルガンだな、と常々。皆さんもそう思ってるでしょ?
 元々最初のシンセサイザーの開発目的の一つに、パイプオルガンを再現する、ってのがあったと聞きます。その前のハモンドオルガンもそうでしたね。

 正に楽器の王者、パイプオルガン。いや、王者がピアノなら究極帝王みたいな感じか(w)。
 オーダメイドなので一台一台全て違っているという点も興味深い。

 最近アレンジに入れてみて面白かったので、秋の夜長にだらだらと書いてみました。

YAMAHA CP80に別バージョンが

 何かの拍子にシャカタクの「Night Birds」の来日ライブがYoutubeで出てきて、懐かしくて見てました。イギリスのフュージョンバンドで、80年代に一世を風靡したグループですね、といっても世間的には前述の曲だけの一発屋状態ですが、インストバンドで一般の人まで知っているような大ヒットがあるんだから、まあとんでもない話。
(しかし、なぜインストが流行らなくなってしまったのか、本当に不思議)。

 といっても、このライブ’00年代のものですが、昔と結構グルーブ感が違うなこれ。
 まあこれはこれでいいんですけどね。

 で、Night Birdsなんで、ビル・シャープが本来ならピアノでメロを弾くんですが(念のため、吉幾三さんは別に出てきませんよw)。アコースティックピアノではなく面白い構成になっていまして。
 ここからがようやく本題(笑)で、なんとこれ、今どき往年の名機・YAMAHAのCP80でした。’70-’80年代に使われまくっていたあの電気ピアノですね、生ピアノと同じように弦が張ってあって、ピックアップで振動を拾います。アタック感の強い腰のある音なんですぐわかります。しかしデカい、重い、運搬時は二分割という、もちろん定期的にチューニングは必要だし、今世紀に入ってからは完全に絶滅したかと思ってましたが、ビル・シャープは拘りがあったんでしょうね。普通、もう電子ピアノを使うだろうから。

 これで結構すごいわと見直したんだけど(笑)、このCP80、アップになった時によく見ると、微妙に前面パネルのツマミ配置が違う。調べたら、なんとMIDI対応になってたバージョンが後期に作られていたんですね。CP80Mという品番だけど、どうもそれを使っているらしい。おお、流石やないかい。

 そして、メロだけはこのCP80Mで弾いて、その上の電子ピアノ、RolandのたぶんRD-800かその前の機種か、こいつでコード出して、その上にアナログっぽい矩形波が出せるシンセ、これはKORGだけど機種未確認、なんと日本の電子楽器メーカー3社の製品を使いまくりでした。やっぱりフュージョンは日本メーカーの力がないと成立しないよな、ってよくわかるキーボード構成ですわ。

 そんなこんなで、文句を言いつつ色々と楽しめた映像でした。
(もうYAMAHAにもCP80は補修部品はないって聞いたことがある。メンテはさぞかし大変かと。ビルシャープ兄さん、お疲れっす)

(追記:このMIDIはMIDI OUTで、要はCP80が超大型MIDI鍵盤になるというわけです)

曲作りの周辺

 お陰様で、確定申告が全然終らないうちから、本業でなぜか繁忙期が来てしまい、目の回るような忙しさ。ところが、こんな時に限って曲想も湧くんだなあ、これが。で、スキマの時間にちょこちょこ曲を書いていたりするんですが、これが結構捗るのです。考えたら、一日中音楽制作ばかりやっていたら、こんなに曲は書けないかもしれない、少なくとも自分は。オン・オフの切り替えがあったのほうが、うまく行くようです。

 実家にヤマハのポータトーン(というと、ミニ鍵盤を思い浮かべがちだが、あの系列は廃版で、今は標準鍵盤の家庭用キーボード)の普及機が置いてあって、これでスマホの音声メモのメロから、音を探ってキーも決めて……って作業をちょくちょくやってます。これは半自動伴奏やリズムパターンも入ったりとか、音色も弦・菅・シンセまで網羅してて(アコーディオンも一応ある)、プリプロダクション的なテストには持ってこい。といってもアレンジまではやらないが、決め打ちリズムマシンが入ってますからね。
 とはいえ、さすがに最近は耳が肥えてきたので、こいつのピアノの音はきっつい(笑)、デジタル丸出しなので(他の音も強烈チープ)。まあ価格が価格なので、贅沢はいえない。この系列で最上級が実売6万位だったかな?買い換えたいが、高級機は操作系が複雑になるからなあ。
 結構プロの作曲勢の皆様も愛用者が多いのでは? ヤマハだからやっぱり作りもしっかりしてますよ、しかも軽い。
(自分のメインキーボードはRolandのFA-06)

 歌詞を書くときは、スマホのメモに書くことが多かったが、最近のマイブームは100円ショップで買ったメモ帳。これに書くと変換の手間が省けるから、すらすら書ける。変換ミスでイライラすることもない。欠点は急いで書くと字が汚くてあとで読みづらいこと(笑)。やっぱり、一覧性は電子メモより紙ですね、自分は手書きの暖かさ~どうこう、は一切気にしないタイプだけど。

 最近は、自分の生きてきた時間を思うことがちょくちょく、音楽制作でほんと人生が大きく変わりましたからね。普通に若くして結婚してたりすれば(僕らの時代は、まだ若い時に結婚、がギリ普通だった)、もう成人した子供がいるような歳ですから。下手をすると、孫……って歳にもなりつつある(汗)。健康には気を付けたいですねえ、この歳になってわかるのはホント健康は大切。若い時に無茶しすぎると、歳食ってからガタガタッといくから。養生養生、鍛錬鍛錬。

 そんな毎日です。(花粉の飛散が始まる前に、なんとか確定申告終わらせたい…)