タグ: ムード歌謡

ヒカリ真王子さん新曲配信開始

「風に吹かれて / ヒカリ真王子」

作詞:上江ヨシキ
作編曲:弦央昭良
ミックス&マスタリング:弦央昭良
発売:アイフィールドレコーズ

●弦央からひとこと
コロナ前に制作した曲ですが、コロナ禍で発表が延期になり、ここで念願の配信開始です。
ヒカリ真王子さんはソフトなミドルトーンのボーカルのイメージですが、この曲では
低音の魅力にフォーカスして孤独な男の心情を歌い上げています。令和のムード歌謡、
あるいは歌謡ポップスといえる曲です。

音楽ジャンルとミーム

 昔のムード歌謡曲をアレンジし直していた時の話。元の編曲がそれはもう見事なアレンジ(+演奏)で、本当にさりげなくお洒落なことがしてある。メロやコード拾っている最中に思わず「いいアレンジだなあ」と3回位呟いたほど(w)。むろん演奏は全て生で、スタジオストリングスやブラスを使いまくり。でもベタな使い方ではなく、力抜いてさらりと。
 で、拾ったコードをみると、ほぼトライアドだったりして、多少メロディック&ハーモニックマイナーや、ブルーノートが入るくらい。これでジャズのフレーバーがしっかり入っていて、アレンジワークの妙を見せて貰った感じ。テンションとかテトラド関係なくこんなにお洒落になるのかと。

 で、これならリハーモナイズ不用で新アレンジ作れるとふんだ。リハモすると、曲のイメージが大きく変わってしまいます。コード進行は楽曲の基礎工事部分だから。
 そのまま作り始めて、もう少しジャズっぽくしてみようと色々と、ちょっと楽器やハーモニーのヴォイシングを変えただけなのに、結果今度はドン引きするくらいジャズになった(笑)。なぜなのか。

 結局これって、音楽ジャンルのミームのなせる業という仮説を立てた。ミーム、つまり文化的遺伝子ですね。コード進行と同程度か、あるいはそれ以上の影響力があるかも。新発見。
 振り返ると新アレンジはリズムをスイング風に強調したり、譜面には出ないところでも無意識にミームに従っている。(ただしラテン色も入れたので、そんなに単色には染まってないはず)
 自分もジャズを聴いてきて、こんな時はこんなフィーリングで……(大意)ってわかるので、当然そうしますからね。

 ジャズというと、みんな音楽理論ばかり血眼になって勉強するけど、たぶん同じくらい総合的なミーム、そしてリズム・グルーブも大事なんだな、と思った次第。
(ストランヴィンスキーがジャズの譜面だけを見て書いた、トンデモジャズ曲ってありましたね。あれもミームを意識してないからそうなる。音楽マニア的にはとても面白いがw)

伝説の歌謡曲

 懐かしの大ヒット曲、伊東ゆかりさんの「小指の想い出」(1967年)を聞いていました。
 古い曲なので、今と比べたら時代を感じるところはありますが、それでも逆に音楽にとってハイファイ(高音質)ばかりがベストなわけではない、と思えてきます。
 もちろんこの録音も当時は最高品質のものだったわけですが(ミックスも良い)、今聞くと現代の録音物とは随分違います。

 まず圧倒的に音が太い。録音機材はアナログのものばかりで、歪み感も感じられるわけですが、むしろ温かみのある存在感があって、透明感はなくとも心地よい訳です。ご想像通り、今この音を再現しようとしても、どんなレコーディングスタジオでも無理でしょう。
 マイクが写し取った当時の空気感・時代の色合いみたいなものは、特別のものですね。
 イントロのトランペット、mp3で聞くと歪んでいるように聞こえるんだけど、確かCDだとギリでクリップしてない感じだと思った。これなんかむしろ、曲と合っていて却って良いくらい。
 そのイントロから、ラテン調の素晴らしいアレンジのバンド演奏が聞けます(これはルンバかな?)。

 もちろん当時はオープンリールのテープレコーダーが回っていたわけだけど、1967年というと、メジャーのスタジオでもせいぜい12トラック、もしかすると8トラックしかなかったかも。(発売はキングレコード)
 ……ということは、こんな大編成のバンド演奏を多重録音で録れるわけがないから、少なくともストリングス以外は一発録りじゃないかと思いますが、ぜひ業界の諸先輩方にご意見を伺いたい(w)。この演奏、アンサンブルも非常に良くいかにも手馴れた楽団が一発で録った感じなんですね。
 エレキギターとハモンドをユニゾンで演奏させて(今でいうレイヤー)、シンセみたいな効果を出したりと、アレンジも抜群。
 事実上のスタジオライブだったとしたら、生々しい躍動感は、そのせいだと思われます。
(もしやストリングスも一発録りかも…。レイヤーのところに入ってくるし)

 器楽演奏のことばかり書いたが、むろん伊東ゆかりさんの可憐で切ないボーカルがあってこその名曲です。当時20歳。
 面白い話があって、後年ご本人のインタビューで、当時は歌詞の意味なんて全然判っていなかったそうです(w)。ただ出されたものを歌っただけ、とのこと。それでこのクオリティは、やっぱり一時代も二時代も作った歌姫です。

 こういう扇情的で濃い感じの歌、正に歌謡曲の王道といえるものでしょうが、今はなかなかないですね。まあこの曲なんかも、時代が生んだ奇跡の録音芸術だと思うわけです。
 一説ではなんと150万枚売れたという大ヒット曲。当時まだオリコンは無く正確な数はわからないとか。全てが伝説です。

ヒカリ真王子さんイベント出演

 ヒカリ真王子(まおじ)さんが、LALAガーデンつくばのイベントに出演します。

日程:
2022/7/16(土)
時間:
11:00~14:15
場所:
1F プラザ広場 ※雨天時は中止とさせていただきます。

【CIMS歌謡コンサート】
演歌、歌謡、ポップス他多彩なジャンルが奏でる歌の祭典

【時間】
第1部
11:05〜11:30 ikam
11:30~11:55 正家
11:55〜12:20 武田空月
12:20〜12:45 藤生憲治
第2部
13:00~13:25 ヒカリ真王子
13:25〜13:50 CHIHO → カバー曲メドレー に変更
13:50~14:15 日向野まち子
14:15~14:30 CD販売会 

https://mitsui-shopping-park.com/lalag-tsukuba/event/2197726.html

観覧無料ですので、お近くの方はぜひお越し下さい。
(7/16追記 雨天中止となりました)