カテゴリー: MIX

アナライザーで音質変化?

 先日ミックスしてて気付いたこと。
 どうやらプラグインのアナライザーが、音質に影響を与えることもあるんじゃないかって話。
 使っていたのは(皆さまご存知)Meldaというロシアのデベロッパーの「MMultiAnalyzer」というプラグインです。動作が軽い割りに高機能で、トラックごとに周波数の被りなんかを発見するのに便利に使える。このMeldaという会社は、デザインとか操作性は洗練されていないが、その分たくさんオプションやパラメータを調整できるマニアックな製品をたくさん出しています。

 で、DAWはProToolsなんだけど、どうもこのプラグインをONにしたままだと、非常に微弱ではあるが音質変化があるように感じられたのです。具体的には、ほんの微かに中高域の解像度が落ちる気がする。
 最初はまさか……と思ったけど、シグナルパスとアナライズルーチンは設計的には分離されていても、これだけ弄れるパラメータが多いと絶対に影響がないとは言い切れないんじゃないか。
 さすがにバイパスしたら正常になったが、やはり気分が良くないので使い終わった時点で外した。

 当然規格はVSTでなくAAXですが、以前もMMultiAnalyzerがポップノイズ出していた話をポストしていますね。だから、結構AAX版はバギーなのかもしれない。

 アナライザー系は使い終わっても、割と挿したままということが多いけど、こんなことがあると、さすがに全部外そうと思いますね。WavesのPAZやVU Meterもこうなってくると、ちょっと信用できない。(こっちは音質変化を感じたことはないけれども)

 バイパスしてても、プラグインは挿しているだけでCPUパワーを喰うので、やっぱり使い終わったらコマメにリムーブが鉄則といえそうです。

声:音読さん

オーケストラ音源の定位話

 これまでフルオケ曲はUVIのOrchestra Suiteで書いてました。
 今回新たに、NI Kompleteバンドルに入っているシンフォニーシリーズ音源で書いてみたんだけど、定位の調整で大ハマリ。
(UVIの時も苦労したなあと思い出しつつ…)

 不案内な方のために説明すると、オーケストラって楽器ごとに舞台上の位置が決まっているわけですね。これを再現するために、サンプリング音源でもちゃんと位置(定位)を本物と合わせないといけないわけです(ガン無視でも良いが、リアリティが落ちる)。

 更に、左右の位置(+幅)だけでなく、奥行きのほうも、リバーブ量の増減で調整しないといけない。音が大きい金管楽器(トランペット等)や打楽器(ティンパニ等)はステージの奥の方にあるから、リバーブ量は大きめになります。逆に弦楽器は最前列だから少なめ。
 これらの仕掛けでオーケストラのスケール感を演出する。作曲というよりミックスの話ですね。

 これらのパラメータを、楽器グループごとに、オーケストラの楽器配置図と見比べながら、実際に聞いて不自然にならないよう調整していくわけです。

 ここで事態をややこしくするのが、実はオーケストラの楽器配置は、完全に固定されたものではない、ということ。現代では音響的に良いということで、弦楽器はバイオリン1・2、ビオラ、チェロ、コントラバスと左から右に並べられることが多いですが、これとて変わることがある。金菅・木管・打楽器に至っては、色々な配置があるようです。(一応代表的なものはあるが…)
 更にややこしいのが編入楽器(ゲスト参加の楽器)。サキソフォン、ユーフォニアム、ピアノetc。これらも位置は決まっていない。

 今回は、結局ヤマハのWebサイトで見つけた、オーケストラ配置図のPDFを参考にした。ググると色々な配置の図が他でも見つかります。全部微妙に違っている。(実際、オケごとに違ったり、下手をするとステージの広さの都合で会場ごとに変わることもあるらしい)

 実家にあったクラシックのレコードの写真を見ても、やっぱりオケごとに細かいところは違ってます。

 そんなこんなで最初に決めた音源の配置は、CDに焼いて楽曲をステレオコンポで再生してみると、センターがスカスカの状態で失敗。アナライザーとステレオイメージャーの画面に頼りすぎたのが敗因。
 こんな場合はちゃんとミックス時モニタースピーカーで鳴らすのと、ヘッドフォンならスピーカー音場を再現できるプラグイン、Waves Nxが良い。
 で、何回か微調整を続けて、ようやく自然な定位になりました。

 とりあえず、一度決めてしまえば、あとはテンプレートにして使い回せば良いのでそこは楽。ただ常用音源を変える度にこの作業が発生するのは気が重い(w)。

 以下おまけですが。
 今回、定位決めの参考に何枚かクラシックのCDを聞いていて気付いた衝撃の事実。同じ組曲の中でも、例えば第一曲と第二曲で楽器の定位が変わっている場合がある。ティンパニが左から中央に移ってたりとか。
 びっくりですね。音響的なことを考えて、たぶんレコーディングの合間に移動させたりするんでしょう。指揮者の方は大変だ。ティンパニが左にいると思って指揮棒振ったら他の楽器だったりしてね(w)。きっと演奏会でも目立たないだけで、こういうミスは起きてるんだろうなあ。

声:音読さん

暴れ馬シンセ?

 最近感心したこと。ある曲のベースパートをアナログシンセmoog mother-32で作って、アレンジ完成したのでProtoolsでレコーディングしていたんですね。(ハードシンセなので録音作業が必要になる)
 MIDIでドライブしているので、レコーディング自体はスムースに終わりました。
 ところが、録った音を聞いたらまあ暴れてるのなんの。単品で聞くとそうでもないが、他のパートと一緒にすると、エッジが効き過ぎてブチブチとまるでノイズみたいな音が頻発。
 mother-32は割りとキレイに音がまとまる系統のシンセだと思うが、パッチングでFM変調を入れていたので、そのせいらしい。
 さすが本物のアナログシンセ、まさか破綻するまで暴れるとは、モデリングとは違うな……などと感心している場合じゃなく(w)、なんとかしないと2mixが完成しない。

 で、エンベロープでAttackを僅かに遅くして再録音したり、コンプの設定変えたり、果てはWavesのSibilance(ボーカルの歯擦音を抑えるプラグイン)をコンプの前後に入れたりと色々やって、なんとか抑え込んだ。最後に一つだけ残ったノイズは、もうボリューム処理ですよ。そこだけ一瞬ベースの音を絞ることで乗り切った。
 ここに至るまで、書き出した2mixの数なんと17本。他のところは全く問題なく終っていたので、この対応だけでそれでけ掛かりました。

 まあ考えたらエレキギターだって、設定によっては録音が破綻することなんて珍しくないもんね。ほんとにアナログシンセは生楽器だな、と妙に納得した日でした。
声:音読さん

音質追い込み問題

 これは以前も書いたが、弊社制作曲はマスタリング後にCDに焼いて、フルサイズのステレオコンポで音質を確認しています。すると、往々にして音に違和感を感じるトラック(パート)があるんですね。
 大抵サンプリング音源のパートで、まあギターなりピアノなりストリングス……ってあたり。やっぱり生演奏を直接録ったパートではないから、どうしても取って付けたような音になる。自分のような制作側の人間なら、ここはサンプリング音源だな……と音質だけでわかってしまう。
(もちろん元々はサンプル音源も生楽器ですが、膨大な調整作業済なので、単純なレコとは別のもの)

 有体にいえば、音質がバラバラだから、収まりが悪い、格好悪い。
 といっても、実は他の環境ではほぼわからない音質の差なんですね。GENELECのモニターでも、Audio Technicaのヘッドフォンでも、気になりません。サブスクをスマホのイヤホンで聞く……というリスニング環境では、絶対に問題にならない差だったりします。

 従来はそれでも苦労して音質を合わせてましたが、ふと、これがDAW時代のスタンダードな音なのでは……という悪魔の囁きが聞こえました。ねえ?どうですかこれ。
 うちのコンポのような、30cmウーファーの3ウェイスピーカーなんて、国内メーカーは生産してない時代になりました。(ヤマハは受注生産だったかな?) 昔はどのメーカーもイヤっていうほど作ってたのに、メーカー自体が消えています(w)。このサウンド環境で音質追い込むのはもしかしたらオーバースペックなのでは、という「気の迷い」が生じたのです。

 大型コンソールとラージモニターでミキシングしているスタジオならともかく、弊社のようなDAWで全てまかなっているところは、どこもここまでやってないだろうな、と……。
 ただし、この環境で追い込むと、実際CDでもmp3でも非常にバランスよく高音質になります。これはスピーカーでもヘッドフォンでも同じ。なのでリファレンスとして考えるのは正しいんですけどね。

 結局、自分としては音質を詰めずにリリースするのは気持ち悪いし、レーベルの信頼性にも関わるから、今後も続けるのは変わりませんが。その分時間が掛かることは事実なので、ちょっと悩ましい問題だったりします。
(といいつつ、慣れとは怖ろしいもので、今はせいぜい3回くらいCDに焼くだけでマスター完成しますが……。最初は平均10回だった)

(これは音質の問題であって、音圧はまた別の話。音圧上げすぎると非常に醜い音になるよ、コンポだとそういうの全部見えちゃうから)

 ご依頼を受けた曲は、もちろん全部この工程を行っていますよ、ご安心下さい。
 まあ、今使っているアンプがソニーのやつだから、このメーカーはコンシューマー向け製品でも、昔からクソ真面目に音源のアラまでそのまま再生する(w)。四角四面のモニタリング音質系だから、余計にね。

オーケストラ曲のMIX/マスタリング

 ここでいうオーケストラ曲とは、歌モノをフルオケアレンジしたものです。つまり、映画音楽のようなインスト曲ではない。以下メモ書き風に。

 実は、ドラムスやエレキベースが入らないなら、つまりバックがフルオケだけなら、ミキシングは意外と簡単です。だいたいフルオケ音源って音が作ってあって、つまり一部ミキシング済だったりします。下手をするとパンまで振ってあるやつもある。
 パンが振ってなくても、オケの楽器配置図なんかを参考に、パンとリバーブで位置を決めてやるだけで、まあ一応は終りですね。一応、低音楽器なんかは周波数の下の方を、適宜EQ処理した方がいいかもしれない。ティンパニなんかは、ゲートでリリースを短くしたり、くらいですか。
 下手にEQで色々弄ると、途端に嘘っぽくなるので、特に今の主流音源はバンド曲のノリで弄っては駄目です。念のため、コンプなんかもってのほか(笑)。
(おっと、ミキシングの超基本タスク、ボリューム決めはその分慎重に)

 ちょっと話が逸れたけど、ボーカルもまあできればナチュラルな処理に抑えて、パッツンパッツンにしないほうが吉。ただ、普通のシンガーはオペラ歌唱ではないから、ここはコンプがないと流石につらいと思います。バランス的にオケに埋もれてしまいます。不自然でなければOK。ブレス処理注意ね、目立つから。

 で、ここからがマスタリングの出番ですが。普通はフルオケアレンジなら、静かなところと大迫力のところのメリハリが大きいから、どんな方針でやるか。やっぱり、フルオケとはいえ「POPS」なので、聞きやすさが大切です。クラシックみたいに音圧無関係、という態度では駄目だと思います。で、結局色々と様子を見ながらOzone等で調整していくしかないのです。曲ごとにアレンジも違うから必勝方程式みたいなものはありません。ただ不自然なところギリギリまで音圧を上げ、場合によってはマスターフェーダーも動かして、音圧・音量を(ある程度は)一定にした方が良い結果が出るようです。

 もっとも、これだけ苦労して良いマスターを作っても、配信サイトに投げたら各社の内部処理でメチャクチャにされる可能性だってあるので、まあとりあえずベストを尽くしたら最後は腹を括ろう。身も蓋もないがそれが現実。

(Ozoneなら、プリセットは使わない方がいい。フルオケ曲なんか確実にメタメタにされる。アシスタンスも駄目でしょう。自分の耳を信じて調整していくしかないのです。逆にダイナミックEQやマルチバンドコンプは不要、バランスや定位が崩される)

「ハナミズキ」データ公開

 既に諸サイトでニュースが流れていたのでご存知の方も多いでしょうか、なんと「ハナミズキ/ 一青窈」のパラデータがTuneCoreで配布開始されました。詳しい内容は以下を参照して頂くとして。

Rework with「ハナミズキ」
https://www.tunecore.co.jp/cover-wanted/rework-with-hanamizuki

 あの大ヒット曲、現代のスタンダードといえそうな名曲の完全パラデータが、TuneCoreに登録(無料)するだけで入手できてしまうので、少しでもミックスに興味のある方はもちろん、プロ諸先輩方も全員ダウンした方がいいってレベルのお宝です。前代未聞の大盤振る舞い。一青窈さんを始め、関係者の皆様の大英断に拍手喝采です。
 しかも、期間限定で勝手にアレンジやコラボしてリリースして良いっていうんですから、ちょっと世界的に見ても珍しいプロジェクトではないでしょうか。

 で、自分もすぐDLしてみました。流石に大きなファイルでした。一青窈さんのアー写も入っています。
 パラデータは48k/24bitになっています。現在の制作での標準形式ですね。

 早速DAWに入れて軽くミックスして聞いてみましたが、このままでもかなりの迫力。全トラックに軽くEQ・コンプ処理済のようです。パンやボリュームを整えて、反響系を適切に設定すれば、「ハナミズキ」の楽曲がそのまま完成する仕掛け。(このデータを見たり、色々設定を変えてみるだけでかなりの勉強になるはず)

 特にピアノが、名演なのはもちろん、非常に美しい音で録られて(処理)います、絶品ですね。ストリングスも素晴らしい。一青窈さんのボーカル・コーラスは表現力が突き抜けていて、生トラックをソロで聞いてすら巨きな熱量が伝わってきます。
 面白いのはドラムのトラックで、たぶんドラマーの方の声が入っている箇所があること。大熱演なので拾ったのでしょうか。
 更に、いくつかのトラックで、演奏がない時に不思議な被り(音の回り込み)があるので、どうも全パート(あるいは主要部分)一発録りだった可能性がある。

 さーて弊社はどうするか、って聞いた瞬間に参戦することを決断したんだけど、まあこれだけ素晴らしいデータを公開されてアレンジ/リリースするなって方が無理。ウチみたいなインディーズレーベルのためにあるような企画ですからね、やりまっせ。

Yo- Yo- ひととよう
俺たち参加で曲変容
クロームテープは録音用
トガった企画で俺高揚 Ah

(こんなラップが入るアレンジではありませんw)

テープで新感覚エフェクト

 ラジカセが音のスムーサーになるって話は書きましたが、それは録音メディアとして「テープ」の良い部分(特性)が出たからでした。ところが、良い部分があれば悪い部分(?)もあるわけで……。メモ的に書いてみます。

 テープ処理したトラックを使った最初の曲は、楽曲のほんの一部分(2小節)だったんですね。DAWで録った元の音は使わず、テープ録音のフレーズに差し替えた。
 これが上手くいったので、次の曲では、打ち込みっぽさが抜けないトラックに、テープの音を薄く重ねて生楽器感が出せないかやってみた。結果は非常にうまく行って、スムーサー+リアライザーみたいな良い仕上がりになりました。

 ただ、曲の前半は良いものの、サビくらいになってくると、だんだんフレーズが二重に聞こえてくる。特にギターの刻みだったので大変目立ちました。
 察しのよい皆様はもうおわかりでしょうか……。そう、テープ録音→再生したことで、テンポが狂ってしまっていたのです(w)。カセットテープレコーダーは、往々にして再生/録音速度が相当アバウトなんですね。再生と録音がきっちり同テンポなら、理論上はこういうことは起こりませんが……。
 弦央と同年代か年上の皆さんは、カセットがこういうものだと体験的に知っているはずです。ラジカセどころか、カセットデッキでさえ結構怪しい。自分も、今回のことがあるまですっかり忘れてましたが、100Vで動かしてもこんなもので、電池駆動だった日にゃ、最後はモゴモゴ言い出しますからね(笑)。

 で、今回はどうしたかというと、演奏がない部分でテープのWAVを分割して、適宜頭を合わせて解決しました。厳密にいうとフレーズの最後では若干のズレがあるけど、この程度なら問題なかった。というか、これ一種のダブルトラッキングといえなくもない。(テンポが狂っているということは、音程もその分変化してます。デチューンですな)。

 弊社は転んでもタダでは起きません(w)。なんと、スムーサー+リアライザー+ダブルトラッキング(ディレイ?)のエフェクトとなってしまいました。これは新しいな。プラグインではまず出せない味です。
 いやー、アナログ機器は本当に面白い。

プレートリバーブ試作

 プレートリバーブってありますね(プラグインでなく実機の方)。今回はその試作の話。

 リバーブの歴史を簡単に書くと、最初はエコーチャンバーという仕掛けで残響を作っていました。これはお風呂場エコーそのもので、タイルなどを張った専用室にスピーカーとマイクを置いて、部屋の反響でリバーブを拾ってました。これだと場所を取るし大掛かり過ぎということで開発されたのが、プレートリバーブ。ドデカい鉄板に振動子(スピーカーと同じ)を押し付け、貼り付けたコンタクトマイクで振動を拾って、その結果残響を作ってました。
(これでも場所を食うということで開発されたのがスプリングリバーブ、その次がテープやBBDが出てきます)

 で、そのプレートリバーブですが、調べたら構造も簡単だし、小型のものなら自作できそうな気がしてきた。とりあえず実証実験的に、ありもので作ってみようと思い立ってやってみた。

 まず振動子ですが、これは小型スピーカーで代用することにした。実家の電子部品箱に1個入っていたはずだがこのン十年間に紛失w で、パソコン用の外付けスピーカーユニットを分解して取り出した。4Ωだったがコーヒー缶ほどの直径でいい感じ。

 次に鉄板ですが、当時の名機と言われたEMT140なんかは、畳3-4畳分くらいの面積がある鉄板を使ってます。さすがに今回は無理なので、ダイソーでA4サイズ/0.2mm厚の鉄板を買ってきた。ほんとに何でもあるな(w)。これなら前述のスピーカーで楽にドライブできそう。で、鉄板をマイクスタンドに吊るし、コンタクト(ピエゾ)マイクを貼ります。

 当時のプレートの振動子は、スピーカーでいうとコーン紙がなく、中央の電磁石に円錐ヘッドをつけて、テンションをかけて鉄板に押し付けていたらしい(正式名トランスデューサー)。
 今回もコーン紙を取って同じにするかと思ったが、まあまずはスピーカーのまま押し当てることにした。

 スピーカーは、死蔵していた小型中華アンプでドライブします。アンプにはラジカセで再生したCDを入力。
 ピエゾはオーディオI/FのHiZ(ギターと同じ)に繋ぐ。これをヘッドフォンでモニターします。
 今回は試作なので、スピーカーは固定せず手で鉄板に押し当てた。

 こんな簡単な仕掛けでリバーブが掛かるのかと半信半疑でしたが、音を聞いてみると、ちゃんと残響がついています。さすがにプラグイン等の美しい響きではないが、色んな意味で「脱力お風呂場カラオケ」(字面から感じて下さいw)でした。曲の特定楽器/音域のところで急に残響が大きくなったり、たぶん固有振動数なんだろうけど、面白かった。

 スピーカーを当てていると、鉄板がビンビン振動するのがわかりますね。あと下手に鉄板をつついたりすると、ドーンという音が入ってしまう。このあたりはスプリングリバーブと同じで、物理エフェクターの面白いところ。当然、スピーカーの振動が伝わった鉄板も「鳴り」ますので、深夜には使えないなこれは。

 実は、どうせならもっとビザールな感じの音を期待していたんだが(あまりに本物と比べて構成要素がプアなので)、わりとマトモに中途半端なリバーブとして動作してしまった。
 今後はビザールな鳴りを求めて、もう少し追及してみたい。

微小ノイズ

 ミックス作業をしていたんですが、制作手順としてMIDI制作はABLITYで、ミックスからはProToolsにしているんですね。で、今回の曲はモジュラーシンセとハード音源がアレンジの主体なので、レコーディング作業も大量に発生して、20トラックくらい録ったわけです。音質向上のため、この録りもProToolsで行っています。(やっぱりABIで録るのと音が違う)

 ところがいざミックス用のヘッドフォンで全体を聞いてみたら、やけに音が濁って?聞こえるわけです。最初は疲れてるのかなーとか(体調が悪いとこういうことはある)、ヘッドフォンが寿命かな、とか色々考えた。ただとりあえずどんどん作業を進めていたら、この濁りがだんだん消えてきた。それで気付いたんですが、これなんと、20トラック分の微小ノイズが重なって聞こえていたのです。
 実際は、演奏のある部分だけ録ったりしているトラックもあるから、10トラック強かな? このノイズを除去したら、すっきりしていつもの聞こえ方になった。

 このノイズ、波形表示を見ても見えないし、アナライザーにもほぼ表示されないのですが、これだけ重なると濁りとして耳に認識されるんですね。さすがアナログ録音データ。
 これが、ソフトシンセやサンプリング音源の直接バウンスだと、アナログエミュの何かを挟んでいない限り、無音部分は本当に信号ゼロですからね。フルデジタルパスだから。
 これまでそっちに慣れていたからそんなもんかと思っていたが、レコーディング作業が発生するスタイルになると、微小ノイズは気をつけないといけないと思った次第。

 実は前回もこれにちょっと近いことがあって、その時も丁寧に処理したけど、今回は特に酷かった。で、処理の方法ですが、ProToolsには「ストリップサイレンス」という機能があって、演奏波形がない部分(つまりノイズ部分)を、スレッシュホールドをかけてオフラインで自動カットしてくれるんですね。手動でやるとメンドイが超便利です。
 ドラムのトラックみたいに、ほぼ鳴りっ放しのやつは、GATEプラグインでやはり微小ノイズ部分をカットする。(CPU能力食うが動的にパラメータを弄れる)

 ただボーカルトラックは、ブレスの関係があるので、この自動処理はやらないほうが吉。でないと必要なブレスを消したり、逆に不用なブレスが残ったりしかねない。手動で消していくわけです(あるいは一瞬ボリュームを絞るか)。

 ProToolsは、噂に聞いていた通りWAV周りの便利機能がかなり搭載されている感じ。処理後の結果も良い(こんなはずでは…ってのがないw)。痒いところに手が届く。いまのところ2段構えの制作体制はいい感じに進んでいます。