オーケストラ曲のMIX/マスタリング

 ここでいうオーケストラ曲とは、歌モノをフルオケアレンジしたものです。つまり、映画音楽のようなインスト曲ではない。以下メモ書き風に。

 実は、ドラムスやエレキベースが入らないなら、つまりバックがフルオケだけなら、ミキシングは意外と簡単です。だいたいフルオケ音源って音が作ってあって、つまり一部ミキシング済だったりします。下手をするとパンまで振ってあるやつもある。
 パンが振ってなくても、オケの楽器配置図なんかを参考に、パンとリバーブで位置を決めてやるだけで、まあ一応は終りですね。一応、低音楽器なんかは周波数の下の方を、適宜EQ処理した方がいいかもしれない。ティンパニなんかは、ゲートでリリースを短くしたり、くらいですか。
 下手にEQで色々弄ると、途端に嘘っぽくなるので、特に今の主流音源はバンド曲のノリで弄っては駄目です。念のため、コンプなんかもってのほか(笑)。
(おっと、ミキシングの超基本タスク、ボリューム決めはその分慎重に)

 ちょっと話が逸れたけど、ボーカルもまあできればナチュラルな処理に抑えて、パッツンパッツンにしないほうが吉。ただ、普通のシンガーはオペラ歌唱ではないから、ここはコンプがないと流石につらいと思います。バランス的にオケに埋もれてしまいます。不自然でなければOK。ブレス処理注意ね、目立つから。

 で、ここからがマスタリングの出番ですが。普通はフルオケアレンジなら、静かなところと大迫力のところのメリハリが大きいから、どんな方針でやるか。やっぱり、フルオケとはいえ「POPS」なので、聞きやすさが大切です。クラシックみたいに音圧無関係、という態度では駄目だと思います。で、結局色々と様子を見ながらOzone等で調整していくしかないのです。曲ごとにアレンジも違うから必勝方程式みたいなものはありません。ただ不自然なところギリギリまで音圧を上げ、場合によってはマスターフェーダーも動かして、音圧・音量を(ある程度は)一定にした方が良い結果が出るようです。

 もっとも、これだけ苦労して良いマスターを作っても、配信サイトに投げたら各社の内部処理でメチャクチャにされる可能性だってあるので、まあとりあえずベストを尽くしたら最後は腹を括ろう。身も蓋もないがそれが現実。

(Ozoneなら、プリセットは使わない方がいい。フルオケ曲なんか確実にメタメタにされる。アシスタンスも駄目でしょう。自分の耳を信じて調整していくしかないのです。逆にダイナミックEQやマルチバンドコンプは不要、バランスや定位が崩される)