タグ: AOR

楽曲への思い入れ

 今は自分はプロジェクトACTiVATEでオリジナル曲をリリースしているわけですが、音楽的に面白いものを、という縛りの他は、別段テーマもありません。といってもやはりAORとか70s-80sポップスっぽい曲になるかとは思いますが。
 作詞・作曲・編曲からミックス・マスタリングまで全部やって、ボーカルだけは「曲に合う」シンガーさんを毎回見つけてきて、それでお願いしているという形。
 あくまで楽曲が先で、シンガーさんはそれに合った(歌える)人を連れてくるという方式です。(実際ベタ打ちである程度完成したところで人を探し始めることが多い)

 そのせいかどうか、一曲一曲の楽曲への思い入れって、あんまり強くないんですね。常に他の曲を書いて(作って)いるんで、同時並行していることばかりだし、もちろん質的には毎回自分で作れる最高レベルのものですが、もうこの一曲に掛けている……という感じではない。
 このあたりは、もしかしたらシンガーソングライターさんとは違う意識なのかもしれません。ある意味醒めているわけだし、客観視しているというか、レーベル代表としては曲は商材……という視点もあるわけです。(音源=商品なので)

 これが良いことなのか悪いことか……という判断は別にしても、サブスク時代である程度ショートスパンでリリースし続けることが求められるようなって、それは楽曲の海に沈んでしまわないようにするためですが、こういう視点は今はシンガーソングライターさんにも求められているかもしれません。
(というか、ある程度長くやっている人は当然そうなってるんでしょうか……)
 楽曲は楽曲、と割り切ってビシバシとリリースしていく、たぶん過剰な思い入れは必要ない、そんな姿勢が求められている時代だと思っています。
(もちろんこれはヒット狙いの場合で、自分のやりたい音楽を自分のペースで作り続ける……という選択肢はある)

 何かを全否定したりdisったり……という(強い)思いでは、自分は曲は書いてません。もっと建設的な思考かな……曲は曲、なので。(まあ音楽の場合はそれだけはないのがまた複雑なのですが)
 全てとは言いませんが、AORやCITYPOPは「物語の世界」なんですね。つまり職業作詞家が作る歌詞といえばいいか、そういった意味では演歌や歌謡曲とも同じです。少なくとも自分にとってはそう。(そういう分析をする評論家の方も実際います)
 結局のところ、思い入れよりは企画や“作戦”が込められているといえるでしょう。

(上に書いたのは自分のプロジェクトの話で、ご依頼の場合はやはり違って、そちらの方が「思い入れ」主体といえるかも。無論その場合もプロデューサー的視点は必要になりますが)

「真夜中のドア〜stay with me」の名カバー

 名曲の素晴らしいカバーを見つけたのでご紹介。

 しばらく前、松原みきさんの「真夜中のドア〜stay with me」をアマゾンミュージックで聞いていたんですね。そうすると、自動リコメンドで同タイトルのカバー曲が出てくるんです。で、インスト含めて色々聞いましたが、その中に島谷ひとみさんのがあって、これ最新アルバムかららしいけど、プレイバックしたら、これがもう筆舌に尽くしがたいほど素晴らしい歌唱。バックトラックもとびきりセンスが良くて、ワンコーラスだけ……と思っていたら止められなくなって最後まで(+何度もリピートw)。
 日本を代表する歌手のお一人だから、上手いなんて褒め言葉は却って失礼かもしれませんが(当然なので)、しかしこんなに上手く歌ったら、天国の松原みきさんが怒っちゃうんじゃないか……ってレベルの歌唱。各サブスクやYoutubeでも聞けるので、ご興味のある方は是非。

 バックのアレンジは、実は原曲を結構なぞっていたりするんですね。当時の演奏を現代でリファインしたらこうなる……という感じ。ちょっと驚いたのが、サビのところのストリングアンサンブル(シンセ)。これ明らかに実機だけど、ソリーナとかじゃなくて、この濃厚なコーラスエフェクトの感じ、ローランドのVP-330じゃないかと思うのですが……。だとしたら当時の機材を引っ張り出してのリスペクト、心憎い限りです(ジャパンドメインだしね。まだ稼働する機材があるのは奇跡)。ミックスも非常に良質。
 全てがハマったカバーでした。

 ちょっと前も別のカバー曲のことを書いたけど、もう無理やり別のアレンジをもってくることはないんじゃないかと。必要なのはリスペクトと、そのシンガー独自の素晴らしい歌唱。これがあれば、アレンジはもう透明でもいい。
 名曲は時代を超えて生き続けていくんだなあと実感。

カバー曲の存在意義

 世界にカバー曲は数あれど、なかなか原曲と比べて「これは……」というものには出会えません。それはやはり、こんなアレンジをしてみました、とか、何々風に歌ってみましたとか、「お仕事」の部分が見えてしまうから。聞くほうも白けてしまうんですね。
 何が足りないのか、それはズバリ原曲へのリスペクトでしょう。ちゃんと原曲を理解して咀嚼しているか、原曲のアーティストまで見て考えているか……残念ながらこの時点で多くのカバーは失格になってしまうでしょう。上から言われてやっただけ……そんな商業主義の限界でもあります。(もちろん中には素晴らしいものもあるが)

 しかしこの10月になって聞いたあるアーティストさんのカバー曲。洋楽のスタンダードで、既にたくさんカバーがある曲だったので、どんな風に料理してくるか楽しみだったのです。しかし実際は、細部をリファインしてあるものの、ほぼ原曲をアレンジまでなぞったものだったのですね。こう書くとネガティブな印象に思えるかもしれませんが――結果を書くと、それはもう素晴らしい出来だったのです。面白いもので、~風にアレンジしたってものより、原曲を現代のレコーディングで再現したものの方が、遥かに心に響くのだから、音楽は何が正解か本当にわかりません。
 もちろんそれは、そのアーティストさんが歌い、コーラスワークをした、ってことに最大の(そして唯一無二の)意味があるのですが。凡百のカバーにはない非常なリスペクトが詰まったトラックでした。これはオリジナルアーティストが聞いても、たぶん喜ぶんじゃなかろうか(調べたらみんなまだ存命で音楽活動してるようだ)。

 そう、なんとこの曲の発表は1975年。文字通りの洋楽全盛時代の世界的大ヒットだったのですね。Wikipediaによると当時としては非常に新しい試みをスタジオワークで行って、誰もが驚くようなサウンド&アレンジを作り上げたらしい。あれから46年か……自分は少年時代にリアルタイムで聞いていますが、歳を取るはずだよ(w)。まあそれは置いといて、半世紀近い時間を一挙に飛び越えるような、良質のカバーでした。
(このカバーのアーティストさん、どうもメインボーカルを逡巡しながら歌唱しているフシがある。理由はわかりません。それがまた歌詞と相まって良い効果を生み出していると思う。いや~お見それしました)

 カバーに必要不可欠なのはリスペクトだ!と改めて確信した秋の夜でした。

迷子とロングテール

 楽曲がデジタル配信主流になって、曲の売れ方がロングテールになったと言われていて、自分も頭ではわかってたつもりだったのですが、最近レーベルの一連のリリース処理をしていてだんだん実感が湧いてきた。

(これもわかっていたつもりだったが)膨大な数の曲が世界中で毎日リリースされるようなったんですよ。例えばSpotifyで「ACTiVATE」って検索するとズラズラと同じグループ名や曲名が出てきます。
 なんと、リリースした曲を見つけられないのです、本人が。これみんなどうしてるんだろうか……。曲名とグループ名を同時に入れてようやくヒットする。本当はグループ名被りなんかは良くないはずで、勝手にサイトでグルーピングされてしまうから、全然関係ない世界のどこかのグループの新曲として分類されてしまったりする(w)。外す方法もあるらしいが、こうまで楽曲が増えたんじゃ無意味だよね、次から次へ出てくるし。だから放置されてるんだろう。

 配信サイト上でこんなに迷子になるんじゃ、もうどこか外のナビゲーションサイトからインデックスを作って指しておくしかない。それこそ弊レーベルのサイトのように。配信サイトは置き場としてみるしかない、よほどランキングに絡めるくらい人気があるなら別だが。
 あとはプレイリストですね、これも今のところ研究中だが、当然有力プレイリストは「利権」にもなるらしく、お金を払って乗っける……というプロモーションもあるらしい。サブスク初期にそれで成功してバカ売れした日本のユニットもあったそうだし。

 とすると、楽曲の売れ方も昔とは変わってきて、某大な楽曲が非常な低コストで長期間世界中に配信できるわけだから、CDやレコードの時代のように短期間で成果を上げて刷った枚数を売り切る、というスタイルを取る必要は全然ない。販売数(再生数数)は少なくともロングテールで売って行けば良いんじゃないか。そして当然楽曲はたくさん用意する。もちろん良質な物であればあるほど良い。

 こうすると近年のシティポップブームのように、どこかで火がつく可能性も出てくるわけで。
 今のところこんな風に考えているわけですが。

 ただちょっと前も書いたが、こうなるといかに埋もれずに曲があることを知ってもらうか、ということが大切になる気がします。ライブをするアーティストさんなら露出の機会は毎回ありますが、弊レーベルのような録音物を売っていこうというところは……。さあどうするか、ということです。色んなプランを考えています。

●お知らせ
 本日「名古屋セントラル・パークウェイ」が主要サイトで聞けるようになりました。


「A’ROUND」MV公開

「A’ROUND」のMVを公開しました。

 Youtubeの細かいところを見てて気づいたが、機能が色々増えているんですね。サムネイルも任意の画像をアップロードできるが、その場合は電話番号登録が必要になるようだ。(ロボット排除のため)

 こうやってレーベルとしてクリップを公開すると、また違うオフィシャルな感じになりますね。面白い。

「名古屋セントラル・パークウェイ」配信開始

 個人プロジェクトACTiVATEの新曲がSpotify/KKBOX/YoutubeMusic等サブスクで先行配信開始です。

あなたにとってわたしって…? Nagoya弁ラップが炸裂する最新シティポップ!

(主要サイトで開始されました)
Amazon iTunes Youtube LINE Spotify

 昨年出した「A’ROUND」も新ディストリビューターで先行開始。

ギターとコーラスの密やかな戯れ。新概念 Vinstrumental Music (vocal+instrumental)

(主要サイトで開始されました)
Amazon iTunes Youtube LINE Spotify

 なんでバラバラになったかというと、ディストリビューターの配信オプションで「一斉配信」を選ばなかったから。一斉にすると遅いところに合わせられてしまうからバラバラでいいかと思ったが、こりゃ告知が煩雑になってしまい堪らん。よって次の次からは一斉にする。(まあ一カ月程度掛かるが)

8月の雑記

 個人的にいま色んなことでバタバタしてますが、ちょっと今後の参考にでもとググってたら、面白いページを発見。ただ内容があまりにアブない…というかアレなので(察して下さいw)、具体的には紹介はしませんが、あまりにブッ飛んだ名言もあって大笑いでした。(パンがないならケーキを…みたいなやつ)。確信犯で書いておられるので余計に凄い。
 前半は非常に業界の現実的な厳しい話が書いてあり、こりゃお先真っ暗だなあと思っていたら、長い記事の後半になって、おっこれは……今自分が志向しようとしている方向が合ってるんじゃないかと、希望が持てる内容で。
 とりあえず、今業界も激変、何がどう売れるかもわからない状態で、これまでと同じことを作曲家や制作がやっていても駄目だろうと(確実にジリ貧、というか今の状態になっていく過程で廃業した人もたくさんいるんだから)、その辺りはやはり前提として考えておかないといけないんでしょう。
(個人どころか消えたレコード会社もあるんだから)

 良い楽曲を書く、というのは当然で、それをどう世の中に広めて売っていくか…というのは、永遠の悩ましいテーマ。大メジャーが莫大な資金で売り出したがさっぱり…という話もたくさんあるわけで。もちろん当方(弊レーベル)にはそんな資金も力もありませんが。もう従来のプロモーションも(特にオールドメディアを使ったもの)そんなに効果がなくなってきてるんですね。といってネットを使ったプロモはみんなやってるし、すぐ埋もれてしまう。さあどうするか、ってとこです。

 それとは別に、もっと歌手やアーティストの皆さんに作詞作曲で個別に作品を提供したい、というのも非常に大きな欲求として自分の中にあります。
 こいつにひとつ仕事を振ってやろうか、という方は、ぜひ以下のアドレスまでコンタクトして頂けましたら幸甚です。メジャー・インディーズに関わらずお待ち申し上げております。

ご依頼・お問合せ: twell2010@outlook.jp

’70-80年代リスペクト洋楽系POPSやらシティポップ・AORだったら飛び上がって喜びます…が、その他ジャンルの場合も飛び上がって喜びます。