坂本龍一と東北ユースオーケストラ

 先日ラジオを付けたら、偶然「復興の奏で 坂本龍一の意志を継ぐ」という番組が流れてきて、興味深く拝聴。記憶を頼りに内容を書いてみます。
 東北ユースオーケストラは、東日本大震災で被害を蒙った東北を元気づけようと、坂本龍一さんの発案で始められた学生中心のオーケストラで、10年以上に渡って坂本さんが音楽監督として指導してきた団体。
 今回、メンバーや出演者の話を中心に構成された番組でした。

 楽団員たちは、坂本さんを「教授」でなく「監督」と呼んでいたようで、かなりの親しみが感じられた。異口同音に、音楽だけでなく人間としての生き方や思想まで学ばされてもらったという話。距離は本当に近かったようです。

 演奏会は音楽だけでなく朗読も入る形態の演奏ですが、そのため教授が誘う形で「のん」さんや吉永小百合さん(初期から参加)も出演しています。

 その吉永さんの話で面白かったのは、かなり初期に坂本さんが小三のバイオリンの女の子を指導していた話。子供相手でも指導は厳しく、なかなかできずに何度もやり直していたそう。そのうちウトウトして、その子は教授に抱きついて寝てしまった(w)。それを見て吉永さんは、本当の親子みたいと思ったとか。それ位、厳しい中にも距離が近かった。その子は大学生になるまで在籍していたそう。
 去年までは、吉永さんも役者として完璧にこなせたと思うが、坂本さん逝去のあとの今年だけは、舞台で込み上げてくるものがあって困った、というお話。

 坂本さんが震災をテーマに東北ユースのために書き下ろした「いま時間が傾いて」という曲の演奏が流れていましたが、本当に不思議な色彩感や質感があります。いわゆるアンビエントな感じ、まあプロ級というか、到底学生オケとは思えない。この曲は途中で無調になる箇所があり、不協和音が流れますが、これは震災のショックや不安感を表しているとのこと。最後に流れる11回の鐘の音は、3.11や9.11を表しているそうです。
 坂本さんは、合宿までこなして団員たちと寝食をともにして指導していたそうです。距離が近くなるわけです。

 調べてると東北ユースはなんと社団法人になっています。これは坂本さんの生前からのようです。
 ここで指導されたことは、学生メンバー諸氏にとって一生の宝になることは間違いありません。(やらしい話、プロフィールに堂々と書ける経歴でもある)
 これからもずっと続いていってほしい団体ですね。