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EDMって何だったのか

 Electroric Dance Music――EDMといっても狭義のEDMの方。もう10年程前ですか、いきなりえらくプリミティブ(原始的/未加工)なシンセをフィーチャーしたダンスビートが世界を席巻したわけですが(といっても日本を除く)。結局、1-2年で消えましたね。当初から日本では流行らないだろうと言われてたが、その通りだった、ほぼかすりもせずといったところですか。
 詳しくチェックしていた訳ではないのでアレですが、今にして思えば、高度に専門化した制作手法も世界共通になって、「工業製品」のように平準化・単一化した現代の音楽へのアンチテーゼ、ちょっとした流行病のようなものだったのかもしれません。なんせ道具さえ世界共通なんだから、金太郎飴のように同じものばかりになってしまった、特にダンスミュージックの分野。ただラップやR&Bなんかもほぼ同じでしょう。
 それで誰かがEDMをやり出すと、また売れるということでシーンがそればっかになっちゃって、結局自縄自縛……という形、なんではないでしょうか。ちょっと意地悪過ぎるか。
 展開も音色もえらく単純だったような……それでいてそれが狭義EDMの特徴だった。音楽的には、例えばシティポップなんかとは対極にあるものといえそうです。
(別に、敵視しているわけではありませんが)

 こういう、画一化したプロダクト・ミュージックへのアンチテーゼは、ディアンジェロもそうですね。現代のブラックミュージックでありがちな作り込みを徹底的に拒否して、一発録りに近い形で楽曲を完成させる。こっちの方が、だから正統派かもしれません、それこそモータウンサウンドに近いので。(なんせEDMがアンチテーゼだったとしたら、その作り方もまた手法化されちゃったんだから、皮肉というかなんというか)

 日本人の一人としては、これが日本で流行らなかった理由の方に興味が出ますね。やはり日本人は作りこまれた音楽の方が好きだからか……? わざとセンスレスに振舞うことが、日本ではダサいと思われがち、だからかもしれません。そういう捉え方をすると、ヘタウマならぬ「ダサカッコイイ」が受け入れられるかどうか、ってところに落ち着きそう。
 まあ、今回は自分でもかなり浅い論考だと思うが、暴言妄言何卒ご勘弁を(w)。

 この狭義EDMを取り入れるとしたらどうなるのか、ってところを考えたら面白いけど、流行が終ってから流行物を取り入れるのはまたアレだし。例のフィルター開閉やら特徴的なフレーズを持ってくる、程度に留めた方が安全かもしれません。まあ実際そうなってますね。
 この狭義EDMが懐かしい…って言われて後に振り返られることがあるのかどうか。ちょっと興味があります。

ディスコの名曲

 ふと聞きたくなって、アース・ウィンド&ファイアーの「ブギー・ワンダーランド」をサブスクで流していたんだけど(CD持ってるのに場所がわからんw)、改めて気付いたことがひとつ。この曲はアレンジ的には、女性コーラスが非常に重要な役割を担っているんですね。クールなのにホット、アンサンブルもキレキレの3声コーラスが、時にモーリス・ホワイトのリードボーカルよりも重要な役割を果たしています。

 これはジ・エモーションズという女性3人組のグループで、曲の名義的にも、正式にはアースに加えてエモーションズがクレジットされている。モーリスホワイトが彼女たちをプロデュースしてヒット、その恩返しの形でアースのレコーディングに参加したらしい。そしたらこれまた全世界レベルの超絶ヒットになっちゃって……話。
 ディスコ曲は色々と分析されているが、女性コーラスに注目したものはあまりなかった印象。非常に重要なヒントを貰ったので早速制作で活かしてます。

 Youtubeにレコード会社の上げた正式なクリップが上がってますが、もうめっちゃくちゃカッコイイぞ。エモーションズが歌うところも見られます。これが40年以上前の曲って、本当に信じられない話。
 自分の世代だと、ちょうどティーンエイジャーの時で、FMラジオを聞いているとアースの新曲です、ってこれがいきなり流れてくるわけですよ。この信じられないグルーブ感、魂消たよ。いや昭和か、ってまあ昭和54年(1979年)だけどね。本当に音楽の黄金時代だった、他にも今も残っている名曲が次々に「新曲」としてチャートに出てくるんだから。(ちなみ、演奏も凄いがミックスも最高)

 おっと「Let’s Groove」のことも書くつもりだったが、長くなったのでまた今度。

大物二人のマル秘エピソード?

 先日ヤフーニュースで読んだ話。ユーミンさんのラジオ番組へ小室哲哉さんがゲストで来た(10年振り)という紹介記事。その中に書いてあった話で、面白いエピソードを記憶を頼りにぼやっと紹介。

 小室哲哉さんは、アーティスト活動よりもプロデューサーになるのが夢というか目標で、一時期は本当にそういう仕事ばかりになって、表舞台からは離れた時期があった。(なんと、これが理想の状態だったそう)。ただそうとばかりはしておられず、結局表舞台に呼び戻された。作詞や作曲なら工程の中で次に渡して終わり、だけど、プロデューサーはありとあらゆることに関わる、それこそ納品まで、だから面白いとのこと。

 小室さんは、昔番組で共演したとき、ユーミンさんと(夫の)松任谷正隆さんの仲睦まじい距離感を直に見て、羨ましいと思っていた。
 ユーミンさんは、夫とは二人で一つのユニットだと思っている、とのこと。ただ長い間には色々あって、もう無理、ユニット解散よ、なんて思ったことも何回かあったそう(w)。音楽的に自分は尖った方向でやりたいが、夫は割とスタンダードなところに落とし込むとのこと。小室さんは、それがプロデューサーの正しい姿、とのお答え。

 ユーミンさんがプライペートでアメリカのフロリダ方面を旅行していて、偶然音楽スタジオ付きのホテルのカフェで休憩することになった。するとそこのスタッフが、今日本のミュージシャンが来てるから見学したら、と言ってきたそう。それが小室さんだった。マイアミサウンドマシーンと一緒にやってた時だそうです。ただちょうど食事に行っていて、二人は会えなかった。

 小室さんがユーミンさんの昔の曲を聞いて、グルーブ感が物凄くよく感じる、とのこと。いいミュージシャンを使っているから古びない訳です。

(多少記憶違いがあるかもしれないので、間違っていたらごめんなさい)

TOTOの名曲「George Porgy」

 少し前からの流れでTOTOの名曲「George Porgy」を、懐かしいなあと思いながら聞いていた。ちゃんと聞くのはそれこそ20年振りくらい。これ1stアルバムに入っていてシングルカットされ大ヒット、発売1978年なんですね。

 意外に思ったのは、非常にシンプルなアレンジだったってこと。まずAメロからボーカルのメロディと、それをハーモナイズするピアノがユニゾン。B1になると、今度はギターまで単音でメロとユニゾンしてくる。この時点で、メロディをピアノ・ギター両方がなぞる形。ある意味素朴というか、しかし非常に効果的で美しい響きが出ています。

 たぶんアレンジャーの意図としては、メロを楽器でも「歌いたかった」のでしょう。これがスティーブ・ルカサーとデヴィッド・ペイチですから、まあボーカルを超える表現力で、非常にハマっています。ただのロックバンドじゃないぞ、AORだぞってことを世に知らしめた名曲ですね。
(凡百のプレイヤーだったら、あるいは陳腐なアレンジにしか聞こえないかも。プレイヤーの腕があってこその仕掛け)

 やっぱりTOTOはとんでもない人達だ、ってことを再確認。そしてまた、この頃ポップミュージックは一度完成しているんだなあ、と。

TOTOの「ハイドラ」(2枚目)

 サブスクでTOTOのアルバム「ハイドラ」を発見、しばらく聞いていました。後にグラミーを取るバンドですが、当時から大人気で皆聞いていたなあ。今にして思えば、アメリカの洗練された新世代ロックバンドが出てきた、という感じですね。自分なんかはティーンエイジャーの時の直撃世代。

 で、ギタリストのスティーブ・ルカサーが一挙にスターダムにのし上がったのですが、アメリカの超一流スタジオミュージシャンが集まったという触れ込み通り、というかそんなこと知らなくても演奏のセンスは抜群でした。

 今の耳で聞いて思うのは、ギターもそうだけど、ピアノがとてつもなく上手いってこと。単純なテクニックを遥かに超えたセンス。デヴィッド・ペイチですが、こりゃお高いと思う(ギャラが)。
 ボズ・スキャッグスのバックバンドが前身ですが、兄弟同士のメンバーが複数いたり、実は意外と血縁もアンサンブルに影響していたかも。

 これ、ずっと80年代だと思っていたら、なんと1979年だった。これは新しいと思う、もちろん今聞いても古びていない。
 ヒロイックファンタジー、今風に言えばRPGみたいな内容のコンセプトアルバムになってましたね。
 AORバラードの名曲「99」も入っていますが、今からするとアルバム全体がもうロック寄りのAORだな、と。

 ちなみにミキシングも神業で、ラウドなのにうるさくない、醜い音圧上げなんかとは無縁。なんでここから今みたいに退化しちゃったのか、って元凶はスマホですが。
 43年前のアルバムが古びてない、むしろリファレンス、という。本当にこの頃の洋楽はオソロシイ。

(余談、「99」は、当時のインタビューだとわざと王女の名前を数字にしたラブソングだ、という話でした。ただハイドラはニューヨークを魔法世界に見立ててあるので、もしやマンハッタンの99th Streetに何かある?と思い、今回ちょっと調べてみた。ストリートビューで見ると、なんと通りの端に、とてもいい感じの教会がある。写真を見るとプロテスタント。たぶん何か関係してるんじゃないか)

アマゾンデジタルミュージックで15位獲得

「氷雨レイジネス/rina」がアマゾンデジタルミュージックの新着ランキング(ポップス)で15位を獲得しました。売れ筋ランキングだと99位。

 ディストリビューターから配信依頼するとき、ジャンルを「歌謡曲」にしていましたが、アマゾンが気を利かせて「ポップス」に変えたようです。

 なお名前が違って登録された件は、何らかの理由でLINAというアーティストと関連付けをされてしまったことが原因のようで、修正依頼を出しました。(数日後には直るとのことです)

インタビュー第2回公開しました

 Dew Ridge Recordsのサイトで、インタビューの第2回を公開しました。

第2回 すいむさん(シンガーソングライター)

「無理やりブルーノ・マーズを歌わされて…」

 インタビューの第2回は、音楽プロジェクトACTiVATEの第4弾シングル、「錆色ペイロード」でfeatボーカルを担当したすいむさん。往年のボズ・スキャッグスを思わせるような、ちょっとアイロニカルなテイストのユニークなボーカルです。シンガーソングライターとして、自身の音楽プロジェクトも展開されています。

→続きはこちら
http://dewridge-records.official.jp/interview/iv2.html

カラフルな3枚

 サブスクでコツコツ聞いている音源シリーズ。

 グリーンのやつ聞いた。最初はアイドル路線なのかな?と思ったが、レコード時代のB面からはAORになって素晴らしかった。たぶんA面とB面で方向性を変えたのかな、上からの指示的なもので。(←前2作の振れ幅が大きかったので、安全策的な) これはキュートAORですね、ちょっと他に例を見ないかも。敢えていえば初期のTさんとかか。プロデューサー&アレンジャーの方が達人のような職業作家なので、これも間違いのない出来。

 続けて灰色のやつ。演奏やミックスは流石に海外録音盤で素晴らしいが……実はアレンジはあまり評価できない。というのは、やはり彼らは日本語の歌詞がわからないし、曲調や歌詞の世界も本当には理解できてない。なのでほぼ全部ツボを外しちゃってる感。サウンドは格好良いのに、どこかチグハグな印象を受ける。海外プロデュースあるあるな仕上がりになってしまった。

 青色のやつ。あれれレコード会社が違う、なんかありましたか(汗)。てな話はおいといて、前半はかなり雰囲気沈滞。落ち着きというより落ち込み。アレンジも単調で「?」な感じ。ところが……後半からの巻き返しが凄い。特に肖像曲。これはたぶんこのアーティスト最高レベルの、自力で曲そのもの=単体で勝負できる作品では。隠れた名曲でしょうか、シングルカットされてないし。セルフプロデュースだったそうで、この1曲だけで成功といえそうです。見事なAOR/CITYPOPのアルバムでした。

 この方はもっと評価されてしかるべきだと思っています。このシティポップ/80sブームの中で、何かのきっかけで再ブレイクも有り得るのでは。というかそうなることを祈っています。本当にリスペクトできるアーティストさんです。リスペクトですよ、それ以外にないですよ。

Tomboさん(シンガーソングライター)インタビュー

 先頃リリースした音楽プロジェクトACTiVATEの新曲「1983」で、ボーカルを担当して頂いたTomboさん。今回特別にインタビューをお願いして、コンテンツを公開しました。

[Interview]
第1回 Tomboさん(シンガーソングライター)
http://dewridge-records.official.jp/interview.html

 自身の楽曲がメキシコデイリー4位に入った…そのことを知らされたのは、なんと意外な…。
 ――続きは本編でどうぞ。