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カバー曲の存在意義

 世界にカバー曲は数あれど、なかなか原曲と比べて「これは……」というものには出会えません。それはやはり、こんなアレンジをしてみました、とか、何々風に歌ってみましたとか、「お仕事」の部分が見えてしまうから。聞くほうも白けてしまうんですね。
 何が足りないのか、それはズバリ原曲へのリスペクトでしょう。ちゃんと原曲を理解して咀嚼しているか、原曲のアーティストまで見て考えているか……残念ながらこの時点で多くのカバーは失格になってしまうでしょう。上から言われてやっただけ……そんな商業主義の限界でもあります。(もちろん中には素晴らしいものもあるが)

 しかしこの10月になって聞いたあるアーティストさんのカバー曲。洋楽のスタンダードで、既にたくさんカバーがある曲だったので、どんな風に料理してくるか楽しみだったのです。しかし実際は、細部をリファインしてあるものの、ほぼ原曲をアレンジまでなぞったものだったのですね。こう書くとネガティブな印象に思えるかもしれませんが――結果を書くと、それはもう素晴らしい出来だったのです。面白いもので、~風にアレンジしたってものより、原曲を現代のレコーディングで再現したものの方が、遥かに心に響くのだから、音楽は何が正解か本当にわかりません。
 もちろんそれは、そのアーティストさんが歌い、コーラスワークをした、ってことに最大の(そして唯一無二の)意味があるのですが。凡百のカバーにはない非常なリスペクトが詰まったトラックでした。これはオリジナルアーティストが聞いても、たぶん喜ぶんじゃなかろうか(調べたらみんなまだ存命で音楽活動してるようだ)。

 そう、なんとこの曲の発表は1975年。文字通りの洋楽全盛時代の世界的大ヒットだったのですね。Wikipediaによると当時としては非常に新しい試みをスタジオワークで行って、誰もが驚くようなサウンド&アレンジを作り上げたらしい。あれから46年か……自分は少年時代にリアルタイムで聞いていますが、歳を取るはずだよ(w)。まあそれは置いといて、半世紀近い時間を一挙に飛び越えるような、良質のカバーでした。
(このカバーのアーティストさん、どうもメインボーカルを逡巡しながら歌唱しているフシがある。理由はわかりません。それがまた歌詞と相まって良い効果を生み出していると思う。いや~お見それしました)

 カバーに必要不可欠なのはリスペクトだ!と改めて確信した秋の夜でした。

「Green Afternoon」配信開始

 Passive Physical Bandのインスト曲「Green Afternoon」が、Spotify/KKBOX/YoutubeMusic等で先行配信開始です。

 なおACTiVATEの「A’ROUND」は20日から大半の配信サイトで聞けるようになります。「名古屋セントラル・パークウェイ」は23日から。Dew Ridge Recordsのサイトにリンク載せます。

8月の雑記

 個人的にいま色んなことでバタバタしてますが、ちょっと今後の参考にでもとググってたら、面白いページを発見。ただ内容があまりにアブない…というかアレなので(察して下さいw)、具体的には紹介はしませんが、あまりにブッ飛んだ名言もあって大笑いでした。(パンがないならケーキを…みたいなやつ)。確信犯で書いておられるので余計に凄い。
 前半は非常に業界の現実的な厳しい話が書いてあり、こりゃお先真っ暗だなあと思っていたら、長い記事の後半になって、おっこれは……今自分が志向しようとしている方向が合ってるんじゃないかと、希望が持てる内容で。
 とりあえず、今業界も激変、何がどう売れるかもわからない状態で、これまでと同じことを作曲家や制作がやっていても駄目だろうと(確実にジリ貧、というか今の状態になっていく過程で廃業した人もたくさんいるんだから)、その辺りはやはり前提として考えておかないといけないんでしょう。
(個人どころか消えたレコード会社もあるんだから)

 良い楽曲を書く、というのは当然で、それをどう世の中に広めて売っていくか…というのは、永遠の悩ましいテーマ。大メジャーが莫大な資金で売り出したがさっぱり…という話もたくさんあるわけで。もちろん当方(弊レーベル)にはそんな資金も力もありませんが。もう従来のプロモーションも(特にオールドメディアを使ったもの)そんなに効果がなくなってきてるんですね。といってネットを使ったプロモはみんなやってるし、すぐ埋もれてしまう。さあどうするか、ってとこです。

 それとは別に、もっと歌手やアーティストの皆さんに作詞作曲で個別に作品を提供したい、というのも非常に大きな欲求として自分の中にあります。
 こいつにひとつ仕事を振ってやろうか、という方は、ぜひ以下のアドレスまでコンタクトして頂けましたら幸甚です。メジャー・インディーズに関わらずお待ち申し上げております。

ご依頼・お問合せ: twell2010@outlook.jp

’70-80年代リスペクト洋楽系POPSやらシティポップ・AORだったら飛び上がって喜びます…が、その他ジャンルの場合も飛び上がって喜びます。

「ブルース・ブラザース」の再発見

 名作音楽コメディ映画「ブルース・ブラザース」(1980年)、最近またガッツリ見直しました。ブラックミュージック界のスターたちのパフォーマンスも素晴らしい映画ですが、意外な発見。
 なんと、作中に主人公たちを付け狙う悪役として、ネオナチが登場していたんですね、すっかり忘れていた。当時は完全な出オチのギャグキャラでしたが、今は全く同じ主張をする政治勢力がアメリカで現実の脅威として台頭しているんだから、時代は変わったというか、明らかに民主主義の劣化が進んでいるんだなあと。当時は思ってもみなかったことでしょう(トランプを見ても、現実の”ギャグ”化=リアリティショー化が進んでいる)。

 あと、ブルース・ブラザースのバックバンド、もちろん劇中で音はアテフリですが(存在しないバリトンサックスが聞こえたりねw)、それにしてはかっちり動きが合っているし、どうしてだろうと思って調べたら、スティーブ・クロッパーを始め本物の著名ミュージシャンが演じていた。ちなみに食堂で妻役のアレサ・フランクリンに突き飛ばされているギター弾きマットは、マット・マーフィで、この人も本当にブルースギタリスト。

 そして、教会の牧師に扮したジェームス・ブラウンの大迫力の説教&ライブシーン。これは本当の生収録で、撮影時に音楽も一発録りだったとのこと。流石! バックの聖歌隊にやけに目立つ女性がいるな、と思ったら、チャカ・カーンだった(笑)。

(さすがにブルースブラザースに仕事を横取りされるカントリーバンドの人達は役者さんだよな……)

 ラスト前にスティーブン・スピルバーグがチョイ役で出ていたり、なかなかに配役も面白い映画です。

(あと、主演の一人、ダン・エイクロイドは元々R&Bやブルースに造詣が深く、ブルースハープも弾くとのこと)

歌うシリア・ポールさん

 Youtube見てたらおススメにすごい映像が出てきた。僕ら世代だと若い頃はオーディオブームで、しかもFMエアチェックが流行ってた。今時死語だが、昔はネットもレンタルもないから、FMラジオから流れる曲をラジカセやコンポでカセットテープに録音して、皆楽しんでいた。FM番組を紹介するためだけの雑誌すら3-4誌も出ていたくらい。

 で、洋楽好きだと皆聞いていた番組が、土曜14時からの……もうわかる人いますね?(笑) 「ダイヤトーン・ポップスベストテン」で、毎週ベストテン形式で洋楽が掛かってました。書いてて今ただひたすら懐かしい、随分音楽体験の上でお世話になった。そのDJをしていたのが、シリア・ポールというハーフの女性パーソナリティでした。チャーミングな声の、今にして思えば英語も日本語も噛まない、非常に喋り技術も優れた人でした。ラジオパーソナリティなので基本声だけだけど、何かの雑誌に写真が載っていて、声のイメージそのままのチャーミングで(小柄な)人で、学生の自分はおおーと思ってましたよ。おい前置きが長いな。

 そのシリア・ポールさんが、なんとあの大滝詠一さんとデュエットしている映像が出てきたんだよ。これが驚かずにいられようか。どうも渋谷公会堂らしいけど、70年代のナイアガラレーベル関連のライブのようだ。まあ聞いてみて下さいよ。

https://youtu.be/930dE5c8rMw

 もういっちょ、曲はあの「夢で逢えたら」ですよ。

https://youtu.be/dvLJ-6FuIHY

 ほら、どうですか? こんなに歌が上手かったのか、ってこれもうパーソナリティの余技とかじゃなく本業の歌手だよ。それもそのはず、我ながら無知で恥ずかしいが、シリアポールさんはなんとナイアガラで歌を吹き込んでいたんですね。この「夢で~」をはじめ数曲。昔みたプロフィールにはそんなこと書かれてなかったが、世間的にも知られてなかったのかどうなのか。
 もうこりゃ生きてて良かったレベルのお宝映像っすわ。いやーYoutubeのおススメは侮れない。

The old vinyl I’ve listened

“ALL AROUND THE TOWN” live recording album, it’s a milestone of Fusion Jazz ’80s. Many people listened and enjoyed it in Japan, too.

In “Angela”, we can hear beautiful intro adlib by “Tin” Rhodes. This play is one of masterpiece for Rhodes players.

However, in the end of intro, we can hear a little strange feeling of sound. Probably this solo would have been cut, if so, it’s regret matter. Why? Who did it? 🙂

Lead electric guitar, played by Hiram Bullock, is really great during a song.

In “We’re All Alone”, all star big band plays dynamic arrangement. This song makes everybody excite, great playing, adlib solo “battle”s are so hot.
But Gary King is really “cool”, his solo has a soul.

I listened this song again, and knew it is more funky than my memory. And Earl Klugh’s rhythm guitar is so great.

I hope this Fusion Jazz brings big wave of music again to the world.

On Vacation / Till Bronner & Bob James

  This album is much better than I expected. 🙂 I thought it would be Jazz, but in fact it’s AOR/Fusion. It surprised me and brought happiness here.

  Probably nowadays we have to call it as “Smooth Jazz” or like so, but feel much traditional memes of AOR/Fusion. And it would stand near POPs high quality.

  Space, room, empty or interval — I really don’t know how we should call exactly, but there is beautiful “rest” between notes playing by 2 soloists. Probably it can take by only older great players.
  Rich and Relax, Bright and Transparent, fine combination of Trumpet and Piano/Rhodes. Even synthesizers Mr.James playing, made me glad.
(Mr.H.Mason takes good backing play in calm mood)

  When I found extra-grade arrangement during album, after seeing a booklet, knew Mr.James did it. (It is same experience when hearing Karen Carpenter’s solo album) This is really a magic, in the future I’d like to understand the secret, I wish.

  Meanwhile, Were these vacation photos taken in Sicily Italy? I found 2 god fathers. Oh, you? 🙂

  “On Vacation” must be heard by good listeners more! Excellent album.

映画「ドリームガールズ」観た

 1960~70年代のアメリカを舞台に、新人黒人女性コーラスグループ三人組が、若いプロデューサーと二人三脚で、スターダムまで登りつめていくまでを描いた話。ダイアナ・ロスの自伝が元になっており、グループはシュープリームス、プロデューサーが立ち上げるレーベルはモータウンをモデルにしているそう。アメリカの音楽業界の様子が垣間見えて、この前書いた「イエスタディ」と同様、なかなか面白かったです。

 ただ、ミュージカル仕立てなのですが、題材が題材だけに出てくる曲が全部R&Bで、最初のうちこそ「本物」サウンドでノリノリでしたが、途中で急にウザくなってきます(笑)。それは、劇中でプロデューサーが言う通り、白人リスナーにウケるために、黒人音楽色を抑えてそっち方面におもねるような曲に方向転換したからで(「売るためには仕方ない」そう)、ブロードウェイのミュージカルでありがちな曲ばかりになってしまい、音楽的にはちょっと退屈だった。(極言すればあのテの曲は歌詞以外、本質的には似ているものが多い。もちろん素晴らしい作品も多いが)
 だから、前半の60年代の部分が音楽の多様性があって一番面白かった。(ファッションもコスプレみたいでwキマっていた)

 レコーディング風景も、最初レーベルのスタジオは手作り感満載で、ミキサーもポータブルの8chだが、グループが売れてレーベルも大きくなると、24chはありそうな最新コンソール、モニター環境になっていく。(もちろん70年代だからまだ録音はテープ)このあたりもリアルで面白い。
 最初のスタジオは、プロデューサーが経営していた中古車販売会社の倉庫を改造したもの。資金は閉店セールで一挙に在庫を売り切って作り、それを賭博で増やした……ってのはちょっと都合良すぎる気が(実際、そうでもしないと立ち上げ資金は賄えない、という点はリアルだが)。
 グループ三人組の移り変わる人間模様や、純粋だったプロデューサーが、昔自分たちがされた汚いテも平気で使うようになっていく、なんてところが見所か。
 マービン・ゲイやジェームス・ブラウンを思わせる(合体?)歌手や、ほぼジャクソン5も出てきます(笑)。

 デトロイトが舞台なので、60年代の大暴動や、マーチン・ルーサー・キングの公民権運動にも触れられています。黒人の地位向上にも音楽は大きな役割を果たしたわけですね。
(そしてこの後デトロイトが没落していくのは日本車が原因なんだから、日本人としてはちょっと複雑。余談ながらwikipediaによると、現在のモータウンは永らく活動停止中らしく、レーベルごと転売を繰り返されているようです)

(おまけ:今ググったら元はブロードウェイミュージカルの映画化だそうで、そのテの曲が多いはずですわ)

Master Yoda’s morning class

  In the International Jedi Day, I took a class of Master Yoda. Thank you for your hard work. In your planet, it started in the morning, didn’t it? In far east small country on the Earth, it is just in midnight. Best time to study it! 🙂
  So great pieces of the FORCE, I hope I could receive all of your visions. Bright, Rich and Flow. Feeling more introspective than your usual play. How to face the FORCE, your playing gave us much suggestions.

  I bought your bath album instead of a ticket. 🙂 (But it is just now out of stock! wishing Amazon takes import stock quickly..)

  The FORCE is here, there and everywhere. I believe it’s limitless. Cheers.

映画「レディ・プレイヤー1」観た

 VRゴーグル装着で遊べる超巨大ネットゲームの世界、「オアシス」を舞台にした映画。……というとよくある感じの話だろうと思われるかもしれませんが、正にその通り(w)。ただこの映画の醍醐味は臆面もない他作品からのキャラの引用、パロディというより楽屋オチみたいなことを堂々とやっていること。ハリウッド映画はもちろん日本アニメ・特撮のキャラもたくさん登場します。ネットゲームでプレイヤーがアバター(自キャラ)として使っているという設定です。
 創業者が亡くなるが、ゲーム世界で謎を解いて幾つかの鍵を集めれば、巨大産業となったゲームの運営権を相続させると発表され、世界中のプレイヤーや大企業がこぞって参戦……という、まあ宝探しのようなストーリー。(以下ネタバレ)

 最初のカーレースのシーンで、キングコングが襲ってくるんだけど、これってどこかで見たな……と思ったら任天堂のドンキーコングだった(笑)。映画「シャイニング」の世界が舞台の試練があったり、ゲーム中でアタリのゲームをプレイする試練があったりと、まあ飽きさせない。
 面白いのは、主人公のアバターをホログラムで現実に投影して、敵大企業の社長がアバターと会話するシーン。ARですな(今の技術で可能)。敵に捕まってゲーム世界で強制労働させられるヒロインが、外れないゴーグルを付けられてしまったり。小ネタが笑えます。
 主人公とヒロインがゲーム中のディスコ(死語)でデートするシーンで、ビージーズが掛かっていたりして、バブル世代はフィーバーできるぞ。

 最後の決戦シーンでは、ガンダムやメカゴジラ、春麗など色んなキャラが総出演。何にも考えずに楽しみたい時に良い映画です(w)。
 それにしても、一応実写映画のくくりだけど、映像の8割以上はCGじゃなかろうか。もうハリウッド映画もアニメなのか実写なのか区別が曖昧。そういった意味では、だんだん人間の役者も要らない方向に来てるのかもね。