作曲家・弦央昭良のサイト

アナライザーで音質変化?

 先日ミックスしてて気付いたこと。
 どうやらプラグインのアナライザーが、音質に影響を与えることもあるんじゃないかって話。
 使っていたのは(皆さまご存知)Meldaというロシアのデベロッパーの「MMultiAnalyzer」というプラグインです。動作が軽い割りに高機能で、トラックごとに周波数の被りなんかを発見するのに便利に使える。このMeldaという会社は、デザインとか操作性は洗練されていないが、その分たくさんオプションやパラメータを調整できるマニアックな製品をたくさん出しています。

 で、DAWはProToolsなんだけど、どうもこのプラグインをONにしたままだと、非常に微弱ではあるが音質変化があるように感じられたのです。具体的には、ほんの微かに中高域の解像度が落ちる気がする。
 最初はまさか……と思ったけど、シグナルパスとアナライズルーチンは設計的には分離されていても、これだけ弄れるパラメータが多いと絶対に影響がないとは言い切れないんじゃないか。
 さすがにバイパスしたら正常になったが、やはり気分が良くないので使い終わった時点で外した。

 当然規格はVSTでなくAAXですが、以前もMMultiAnalyzerがポップノイズ出していた話をポストしていますね。だから、結構AAX版はバギーなのかもしれない。

 アナライザー系は使い終わっても、割と挿したままということが多いけど、こんなことがあると、さすがに全部外そうと思いますね。WavesのPAZやVU Meterもこうなってくると、ちょっと信用できない。(こっちは音質変化を感じたことはないけれども)

 バイパスしてても、プラグインは挿しているだけでCPUパワーを喰うので、やっぱり使い終わったらコマメにリムーブが鉄則といえそうです。

声:音読さん

ブログ記事読み上げ

 突然思い立って、ブログの記事を読み上げソフトで音声化してみた。
 使用したのは「音読さん」です。

 無調整なのに、結構いいところまでいっている。「ははーん」を「わはーん」と読んでいるのと、固有名詞の発音が多少おかしい他は、充分聞き取れるし実用になると思った。
(エンジン非公開らしいので分からないが、生成AI的な技術が使われているっぽい)

1月の雑記

 これまでニコニコモンズにフリーBGMをアップしてきましたが、JASRAC登録曲は、一般会員には試聴もDLもできませんでした(プレミアム会員のみ)。そこでニコ動本体に動画として曲をアップして、簡単に試聴できるようにしてみた。意外とコモンズからの利用者より、ニコ動本体だけでカウンタが回っているようだ。そして気付いたが、ニコ動側から、簡単にコモンズにも同時登録できるようになってた。こりゃ便利。しかも楽曲登録時に、JASRAC/NexTone登録曲はきちんと作品コード等を設定できる。かなり著作権周りは整備されている印象。

 アマゾンからメールが来てて、あなたの口座に1円振り込んだがこれは口座確認の措置で、気にしないで下さいみたいな内容。ははーん、それで銀行口座を聞き出そうって寸法か、だんだん詐欺メールも巧妙になってるな…と思ってた。ところがメールのヘッダを見るとamazonesから来てるし、どうも本物っぽい? 実際に銀行口座をブラウザで見たら、ちゃんと1円入金されていた(w)。本物が詐欺っぽいことしてどーすんの。ややこしい世の中だ。(ググると同様の体験談が見つかります)

 avexの「BIG UP!」という楽曲配信ディストリビューションがありますが、サイトを見ていたら、関連サービスで「minc」というプロモーション代行がありました。なんと、TikTokのインフルエンサーに有料でプロモを頼めるってことらしい。色々な人が登録してて、プロモ内容も値段も様々。いわばステマならぬオプマ代行サービスですね。音楽だけに限りません、美容ファッション健康食品等、様々。現代は色々なことが商売になるんだなあ、と感心。

声:音読さん

Dew Ridge Recordsアップデート

 一昨日くらいから、このサイトやDew Ridge Recordsのサイトに手を入れていました。
 特にこれまでレーベルサイトは、従来のレコードレーベルのイメージで構成していたんだけど、ネットドメインということを意識して、一覧性を高めました。
 またこのサイトとレーベルサイトも別々でなく、組み合わせて有機的にマッシュアップしていきます。
(実は同じサーバーレンタル会社のサービス上で稼動してる)

 まだ試行錯誤中だけど、せっかくある楽曲カタログを見ていただけるようにと工夫を重ねたいと。

 とりあえず、公開しているフリーBGMのプレイリストを作ってみた。

 右上の「1/10」というアイコンをクリックすると、登録曲リストが表示されます。Youtubeのリストはちょっとわかりにくい。

 今後このリストも増えていくので、その辺りもどうしたら使いやすいか検討課題。
(ウチはJASRAC全信託なので、楽曲本体は包括契約のあるYoutubeやニコ動に置くしかない)

2023紅白感想

 リアルタイムでは見られなかったが、NHKプラスで紅白歌合戦見ました。一応完走したが、ダンス主体と思われるアイドルグループは全部早送りです、スマン。
 時系列バラバラだが、印象に残ったところだけ軽く感想。

 まずYOASOBI、満を持しての「アイドル」披露だったが、あの演出はちょっと……。ほぼ“バックダンサー”の皆さんしか映ってない。NHKは正に無能な働き者ですな。まあ口バク・当てぶりなんだけど、それでもみんなYOASOBIの雄姿を楽しみにしてたはず。

 寺尾聰さんの「ルビーの指環」、バックバンド最高でしたね。イントロで演奏のあまりのカッコよさに悶絶。もちろん歌もそれに増して素晴らしかった。この曲が売れていた80年代の世界は、ほんと音楽好きにとっては楽園でした。寺尾さんは、横に置いたミキサーのフェーダーをご自分で動かされてましたね。(イヤモニ用?) ご存知ない方へ、この曲こそが「AOR」といわれるジャンルの代表曲です。

 Official髭男dism、不勉強で知らなかったが、今年の歌コンの課題曲をやっていたんですね。ドラマチックでメロディラインの美しい、ちょっとトリッキーさもある良曲でございました。バーチャル合唱コラボも面白かった。

 伊藤蘭さんのキャンディーズメドレー、これまたバックバンドの音に仰天。正に70年代の歌謡曲バンドの音を再現しています。ちょっと他では聞かれない音、コーラス2人とあわせてキャンディーズを再現、楽しかったです。

 石川さゆりさんは、ウクライナの民族楽器とデュオでの「津軽海峡・冬景色」で不思議な世界を魅せてくれました。演歌は、実は日本の民族音楽=民謡のDNAも入ってるから、こういう異色コラボも意外と合うんですね。

 そして忘れちゃいけないクイーン(+アダム・ランバート)。流石の貫禄で、エッジ効きまくりのロックサウンドを聞かせてくれました。ブライアン・メイのギターのワイルドさは当時より進化してるかも。ロジャー・テイラーのドラムは、ちょっとPAが良くなかったようで平坦に聞こえた、そこだけは残念。
 ここか、あるいは寺尾さんが今回のMVPかなあ、と思ってたが……。

 ディズニーメドレーの女性司会者二人の歌。ネット記事になりまくってましたが、自分も心の準備をして臨んだものの、パソコンの前で冒頭から爆笑してました(ゴメン)。画面の豪華絢爛さと、歌声の微妙さのギャップが凄い。でもきっと、初めての紅白歌唱で緊張したんですね。次回リベンジ期待。ここに、期待を込めて個人的MVPを贈りたいと思います。

追記
 あのちゃん忘れてた。たぶん実際に歌ってたと思う(録音に重ねる形で)。部分的に完全に生だったはず。久々の大型ソロアイドル、いいんじゃないでしょうか。今の時代はネタ曲っぽく売っていく、という戦略も見えて面白い。作り声で歌うのってそもそも難しいので。
 あと純烈の皆さん。曲も歌唱も極めて正統派でレベルが高いのに、あんなことをやらされて、いいんでしょうか。この件もネット記事になってましたね。

声:音読さん

12月の雑記

 TikTokの再生数、早くも頭打ち。合計30000回前で足踏みしてる。ここの場合、どうもアルゴリズム(AI)の采配で表示回数がほぼ決まるっぽい。当然、ユーザーのことも把握していて、この視聴者にはこの動画……なんて割り当ても行うでしょう。今のところ上限があるっぽい。それ以上はハッシュタグから来た人か、外部から誘導された人が回す感じ。当然ながら、公式プロモーションプランもあって、要は課金すると回数増やすよ、ってこと。なかなか商売上手。

 実家の小さな庭の生垣が、前方と上方に育ちすぎて見苦しい&枯れ葉が落ちて面倒なので、上部30cmくらいを強制的にハンディチェーンソーでカットしてる。種類はツゲだと思うけど、上部は他の蔓っぽい植物に結構乗っかられ、かなり枯れかけてた。それでガンガン前方へ枝を伸ばしてたらしい。蔓類は本当にやっかい。枯れたあとも落ちずに絡まったままだから、下の植物も巻き添えを食う。植物も生存競争大変だが、こいつらだけは剪定していかないと。(他の庭木でも同じ状態のがある)

 なんと、最近の音楽ライブ配信の流れに乗って、ライブ映像詐欺ってのがあるそうですね。人気バンドのライブがある日、本当は生配信してないのに、配信中と偽ってカード番号を入力させる。確かにこれはファンだったら騙されやすいかも。どの会社が配信してるかなんて、普通は確認しないものね。公式のやつでも事務所やレーベルと別会社がやってたりするし。ということで皆様もお気をつけて。来年もどうぞよろしくお願いします。

オーケストラ音源の定位話

 これまでフルオケ曲はUVIのOrchestra Suiteで書いてました。
 今回新たに、NI Kompleteバンドルに入っているシンフォニーシリーズ音源で書いてみたんだけど、定位の調整で大ハマリ。
(UVIの時も苦労したなあと思い出しつつ…)

 不案内な方のために説明すると、オーケストラって楽器ごとに舞台上の位置が決まっているわけですね。これを再現するために、サンプリング音源でもちゃんと位置(定位)を本物と合わせないといけないわけです(ガン無視でも良いが、リアリティが落ちる)。

 更に、左右の位置(+幅)だけでなく、奥行きのほうも、リバーブ量の増減で調整しないといけない。音が大きい金管楽器(トランペット等)や打楽器(ティンパニ等)はステージの奥の方にあるから、リバーブ量は大きめになります。逆に弦楽器は最前列だから少なめ。
 これらの仕掛けでオーケストラのスケール感を演出する。作曲というよりミックスの話ですね。

 これらのパラメータを、楽器グループごとに、オーケストラの楽器配置図と見比べながら、実際に聞いて不自然にならないよう調整していくわけです。

 ここで事態をややこしくするのが、実はオーケストラの楽器配置は、完全に固定されたものではない、ということ。現代では音響的に良いということで、弦楽器はバイオリン1・2、ビオラ、チェロ、コントラバスと左から右に並べられることが多いですが、これとて変わることがある。金菅・木管・打楽器に至っては、色々な配置があるようです。(一応代表的なものはあるが…)
 更にややこしいのが編入楽器(ゲスト参加の楽器)。サキソフォン、ユーフォニアム、ピアノetc。これらも位置は決まっていない。

 今回は、結局ヤマハのWebサイトで見つけた、オーケストラ配置図のPDFを参考にした。ググると色々な配置の図が他でも見つかります。全部微妙に違っている。(実際、オケごとに違ったり、下手をするとステージの広さの都合で会場ごとに変わることもあるらしい)

 実家にあったクラシックのレコードの写真を見ても、やっぱりオケごとに細かいところは違ってます。

 そんなこんなで最初に決めた音源の配置は、CDに焼いて楽曲をステレオコンポで再生してみると、センターがスカスカの状態で失敗。アナライザーとステレオイメージャーの画面に頼りすぎたのが敗因。
 こんな場合はちゃんとミックス時モニタースピーカーで鳴らすのと、ヘッドフォンならスピーカー音場を再現できるプラグイン、Waves Nxが良い。
 で、何回か微調整を続けて、ようやく自然な定位になりました。

 とりあえず、一度決めてしまえば、あとはテンプレートにして使い回せば良いのでそこは楽。ただ常用音源を変える度にこの作業が発生するのは気が重い(w)。

 以下おまけですが。
 今回、定位決めの参考に何枚かクラシックのCDを聞いていて気付いた衝撃の事実。同じ組曲の中でも、例えば第一曲と第二曲で楽器の定位が変わっている場合がある。ティンパニが左から中央に移ってたりとか。
 びっくりですね。音響的なことを考えて、たぶんレコーディングの合間に移動させたりするんでしょう。指揮者の方は大変だ。ティンパニが左にいると思って指揮棒振ったら他の楽器だったりしてね(w)。きっと演奏会でも目立たないだけで、こういうミスは起きてるんだろうなあ。

声:音読さん