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貴重なインタビューご紹介

 何かの用で検索していたら、「13歳からのハローワーク」というサイトに冨田勲さんのインタビューが載っているのを発見。このサイト自体、もちろん怪しいものではなく、村上龍さんの同名書籍にヒントを得て、ご本人公認で運営されている、学生向けの職業探求(啓蒙)サイトらしいです。
 そういう系統の場所なので、作曲家とはどういう職業なのかを体験談をまじえて述べておられるようで、貴重なインタビューといえそう。結構長めですがスラスラ読めるので、皆様も是非。

著名人インタビュー この人に聞きたい!
冨田勲さん[音楽家]
https://www.13hw.com/interview/07_01.html

 他にも色々な著名人がインタビューされているのですが、作曲家としてはもうお一人、三枝成彰さんも答えておられます。実は冨田勲さんとは正反対のことを述べておられる箇所もあるのですが、これは深慮があって、どちらも本当だと思えます。

著名人インタビュー この人に聞きたい!
三枝成彰さん[作曲家]
https://www.13hw.com/interview/19_01.html

 いずれにしても他では読めない、かなりざっくばらんで本音の話、読み応えあります。特に業界関係者の皆様は読まれた方が良いと思います。

ドラムアレンジの盲点

 バンドアンサンブルの要のひとつ、ドラムスのアレンジ。定番的なパターンはあっても、和声理論のようなものがリズムにあるわけでもなし、このジャンルのこの曲調ならこんな感じと、世にある楽曲を思い起こしつつ、毎回その場で作っていくわけですが。
 ドラムスは録音も難しいので、ギターやキーボードは宅録でも、ドラムだけは打ち込みということも多いと思います。そんなニーズもあり、現代のドラム音源は非常にリアルなわけで、ちゃんと打ち込めば非常に高品質なトラックが出来上がります。そこで最終的にはアレンジが重要になってくるわけですね。

 自分の場合は、メロディとコードを付け終わったら、大抵すぐドラムのアレンジを作り始めます。それはやはりバンドアンサンブルの土台だから、ここからアレンジを作っていくと非常にやりやすい。(もちろんこの時点で全体のアレンジプランは頭にあるが。次はご想像通りベース)

 ここでキック、スネア、タムあたりは非常にはっきりした音で、ピアノロールに入力するとしっかり聞こえますが、問題はハイハット(特にクローズ)。これ、案外音が小さくて聞こえないのですね(特に他にコード楽器なんかが乗ってくると埋もれてしまう)。最近の音源はオーバーヘッドでちゃんと拾っていたりするもんね、で直接のマイクの音は小さかったりする。
 そこで自分は解決策として、ドラムのアレンジを始める段階で、事前にバスコンプをドラムバスにインサートしてしまいます。これで大抵はっきりとハイハットが聞こえるようになる。最終的なミックスをした後のバランスに近いので、いざ出来上がったらハイハットのアレンジが変だった……なんてトラブルもない。なのでこの方法をやってない方がいたら、お勧めです。

 制作の最終段階まで埋もれているのに、意外とハイハットは完成トラックになると急に存在感を増すので注意。たぶん被っている音域を削っていくと残るからでしょう。モニターヘッドフォン等ではミックス中は(他の音が)「聞こえすぎる」ってことでもあると思います。

 実際のアレンジでいうと、あまり細かいスカした刻みを入れてしまうと、途端に打ち込みっぽくなってしまうのがハイハットでもあります。といってあまりに”透明”なアレンジもつまらないし、この辺りはさじ加減次第といったところ。

JASRAC信託開始

 申し遅れましたがこの7月1日からJASRACと著作権の信託契約を締結しています。J-WIDデータベースに楽曲情報が載ったのを確認しましたので、この場にてご報告させて頂きます。
 諸先輩方の素晴らしい作品に倣って、今後とも高品質な楽曲を制作して参ります。皆様どうぞよろしくお願い致します。

(信託のこともあり、今後はデモ曲はもう書かない方向になると思います。いきなりリリースでしょうね…。現在様々な展開を構想中)

バイオリンのミックス処理

……といっても例によってサンプリング音源なのですが、今の音源は超リアル志向で、扱いにくいものは扱いにくいままで音源化されている物が多いから、生収録と同じミックス処理をしないと、ちゃんと普通に楽曲の中で使われているようには聞こえないんですね。(まあ多少はプリプロセスしてあるが)

 で、バイオリンですよ。とにかくそのままだと音が細いわ、アタックが揃いづらいわ、掠れ・ヨレなんかも含まれているわで、散々だよ(w)。Spitfire AudioのSolo Violinだけど。余程酷い製品なのか?デモ曲と違う!……と思ったが、レビューやユーザーデモを聞いてみるとそうでもないから、使い方やミックスが悪いのだと悟った。うーん、とりあえずこれはポピュラー音楽用というより、どうやらクラシック・劇伴向けの製品のようだ。
 とりあえず定位がなぜか左に寄っているのと(たぶんこのままアンビエンス込みで、フルオケで弾いてる感じになるからだろう)、クローズ(接近)100%にするとモノになるので、そのあたりで処理が必要。これをバンドサウンドの中に組み入れるにはどうしたらいいか。
 どうもコンプを2段掛け位で抑揚をペタンと潰さないと、みんながイメージするバイオリンの音にならないことが解った。しかもこいつは結構強めにアタックが出せるんですね、ベロシティで。なので気をつけないと「コンプ圧縮丸出し」の音にもなりがち。
 サンプルの品質はまあまあだけど、こういう処理がやっかいで。まだ試行錯誤の途中。バイオリン複数台=ストリングスならともかく、ソロバイオリンはまた非常にやっかいな代物だと判明しました。(他の製品だとそんなことないのかなぁ?)
 オーケストラ音源に入っているソロバイオリンはわりと扱いやすいが、そのままソロで聞かせるのはやはりキツイ(大抵オマケレベルなので)。
 普段あまりアレンジで使わない楽器は、こういった地道な研究が必要ですね。そういう仕事が来たら困っちゃうもんな。

バターノート物語

 突然ですが業界で語り継がれるべきジャズ物語シリーズ。

 若き日のハービー・ハンコックがマイルス・デイビス・クインテットでピアノを弾いていた時のこと。

「最近僕スランプだなあ。つまらないソロしか弾けてないのがわかるし。……そうだ、マイルスに相談してみよう。あのーボス、ちょっと相談が」
「ソーワット?」
「なんか最近スランプなんすよー。色々グダグダで。どうしたらいいでしょうか」
「バターノートを弾くな」
「あ!バターノートですか、はいはい、あれですね。そうじゃないかと思ってました、有難うございます」
(後ほど)
「バターノートって何だっけ? 困ったなぁ(汗)」

 ちょっと脚色しましたが、20年くらい前雑誌で読んだハンコック先生のインタビューだと、実際こういうことがあったそうです。
 なんなんでしょうか、バターノート。直訳だと脂っぽい音符てことになるけど。当時読んだ記憶では、コードの中で調性感やその後コード進行を決めてしまうような音、みたいなことが書いてあったのです。今の知識だと、ああたぶんあれだな、とわかるんですが、それが正解か確証がない。

 ところが、時は2021年なのですよ諸君(笑)。なんと、ちょっと前Youtubeを開いたら、お勧めのところに正にこのことを言っているハンコック先生の動画が出てきたよ、こりゃビックリ。

ハービーがマイルスから受けたアドバイス 「バターノートを使うな」”Don’t use Butter Note” Important musical tips given by Miles
https://youtu.be/kErrRt-Wtag

 正解は、4和音の3度と7度の音、それがバターノート。正に「脂っぽい」音で、これを弾いてしまうと、結局理論的にはありきたりの進行しか出てこない(あるいはその可能性が高い)。で、結果ソロが陳腐になってしまうんですね。
 実際、ピアノを弾いて説明しているので、みんな絶対見た方がいいぞ。こりゃ世界一贅沢な授業だ。

 自分の記憶だと、ハンコック先生がマイルスに相談したって体だったけど、動画ではマイルスが察してあちらからアドバイスをくれた、となっている(ええ人やw)。
 結局、考え抜いてそのことに気付いて、面白いソロが出来るようになってスランプ脱出、マイルスバンドをクビにならずに済んだそう(笑)。

 制作屋としても、このことは応用できそうですね。別に絶対弾くなと言っているわけでもないし、また逆に典型的なモダンジャズピアノを書きたいなら、バターノートを積極的に弾けばいいってことでもある。

 わかる人にしかわからないアドバイスをする辺り、さすがにマイルスはマイルスだなあ、と。

「Eベースは偉大な発明」説

 現代の音楽制作環境は、パソコン上でソフトシンセだけでなく、サンプリングでの生楽器も縦横無尽に使えるわけですが(それも極限までリアルなものが多い)、こうなると理論上は古今東西のどんな楽器でも組み合わせて曲が作れるわけです。オーケストラをバックに三味線が演奏してもいいし、ラテンパーカッションとカリンバとシタールが共演しても良い。とはいえ前衛音楽でなく、一応人様に聞いて貰ってナンボの商業音楽なら自ずから制限もあるわけですが、どんな編成にするにせよ、意外と選択の幅がない部分があります。制作やっている方はもうお気づきでしょうが、それは(楽器でなくパートとしての)ベース。

 普通の音楽(機能和声を主体にした西洋音楽)だったら、ベースはとても重要なパートですね。コードのルートを決める部分であるし(ここがしっかりしてないとコードが正しく響かない)、大半のポピュラー音楽にとっては、ドラムスと一体となって楽曲のグルーブ感を司るパートでもあります。普通のミックスでは意外と聞こえづらいことが多いのですが、とはいえ重要度は高い。ご存知の通り、ここで使われるのはほとんどの場合エレキベースなのです。

 実は、低音にも関わらず音がクリアで(ブーミーでもなく)、しっかりダイナミクスが付けられ、細かいグルーブ感も自在に出せるという低音楽器は、案外ないのですね。

 鍵盤ならピアノ、オルガン、エレピ、どれも違うし(各々他の仕事あるし)、可能性があるならクラビネットか。あとキーボードならシンセベースくらい。

 金管楽器ならチューバ、ユーフォニウムなど、ただ音がブーミーで独特なのでハマる曲が限られてくる。
 木管ならベースクラリネットかファゴット、これも独特で汎用性は低い(音量も出ません)。

 弦楽器ならウッドベース、これもジャズならともかく、色々な制限がある。(ミックス処理も必須) 弓弾きならまた曲が限られてくる。

 いかがですか? こうしてみると、意外と汎用的に使える低音楽器というのはEベースしかないんですよ。エフェクターにも通せるし、アンプに繋いでもダイレクトでも良い。クラシック以外どんな分野でも使えるスーパーワイドルカードという感じ。(ジャズでも使われる、代表例ジャコを思い出せw)。チョッパー(スラップ)という強力な奏法もあるしね。
 ミックス的にも、一般に低音楽器は録音や処理が難しく、ライン録りできるEベースは非常に楽ということもいえる。もちろんこれはPAでも同じ。

 逆に、Eベースが無かった時代はどうやってバンド演奏等でベースを鳴らしていたんだろうと不思議になる。ディキシーランドジャズの時代はチューバだったり、モダンジャズも最初期はウッドベースを弓弾きしていたと聞いた。
 あとはピアニストがベース音を鳴らしたり……という方法でしょうか。(オルガンなら足鍵盤がありますね)
 バンドアンサンブルにとってEベースはEギターと並んで、いやもしかしてそれ以上の大発明だったかもしれません。……という話でした。

(オーケストラだと、コントラバスとチェロをオクターブユニゾンで鳴らしたりして、意外とベースパートの安定化・音量稼ぎには苦労することがある。そこもEベースなら問題ない)

デモ曲追加・アコースティックAOR

 くしゃみ連発花粉症の春の午後、またデモ曲追加です。

「憶えていても」

 ベース以外アコースティック楽器だけを使ったAORを書いてみました。ある部分ボサノバですが、ミームとしてはやはりAORの方が強い。アレンジのニュアンスでどうとでも変わるのが面白い。

 歌は「ぱらちゃん」さんに歌って頂きました。なかなか難易度の高いトラックを見事に仕上げて頂きました。歌は独学だそうですが、そのせいか非常に良い個性をお持ちの方です。

 今回は音圧を上げず音量はしっかり稼ぐマスタリングをしてみた。なので歪み感ほぼないはず。

デモ曲追加・声楽風ポップス

 ここでまたデモ曲追加です。声楽+ボカロ+チャンバーオーケストラという組み合わせで曲を書いてみました。

「9番目のアリアドネ」

 歌はフリーボーカリストのkayumai(粥塚舞)さんにお願いしました。このブログでも以前書きましたが、声楽が本来の持ち味の方で、最近ではEテレの番組でも歌唱曲が流れているそうです。ボカロと二重唱のような構成の難しい曲を抒情的に歌い上げて頂きました。

 オケといってもチャンバーなので、フルオケと違ってなかなか面白かったです。ミックスで変な苦労をしたが、その話はまた今度。

デモ曲追加・エレクトロニカ

 ここでまたデモ曲追加です。冬枯れの街に雪がふわふわと降ってくるところをイメージしました。ソフトシンセだけを使ったインスト曲。

「Winter Drop」

 夢のない話だが、シンセといっても普通の楽曲の中で使う限り、それほど奇抜な音は使えないもんです。帯域を丸っと使うわけにはいかないしね。