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Guitar Rig 6 Proを軽く試用

 先日導入したKomplete13CEに入っている「Guitar Rig6」を試しに軽く使ってみた。音質はRig5よりリアルな感触で、少なくともAmplitubeに近い感じになってると思った。……ところが、Ampliと同じく、いざトラックに入れるとそのままでは使いずらい。たぶん本物のギタートラックと同じ処理をミックスでやらないといけない感じ。痛し痒しってとこ。こんなんなら最初から音が作りこまれているRig5で良いんじゃないかと思えてくる。
 たぶん本物のギターを繋いでアンプシミュとして使いたい人には6がいいが、ギター音源で打ち込み曲作るなら5かなあ。まだ少し触ったくらいなのでボヤッとした感想です。とりあえずいきなり5から6にすることはできんな自分は。まず自分の曲で使ってみて様子見ですね。
 今回からギター用のエフェクトラックだけでなく、汎用化されているんですね。シンセやキーボード類にも使えってことらしいが、どの程度使い物になるか、その辺りも徐々に見極め。

 K13で生楽器類も増えたが、なかなか試用してる時間がない。もちろん最初からクライアントさんの曲に使えないから、これもまず自分の曲で試すってことですね。

(Expansionsって、MACHINE用だから関係なかろうと思っていたら、なんとBattery用のデータもあるんですね。今のところノータッチ。Massive X? Super8? 存在すら忘…)

オーケストラ曲のミックスの気付き

 今回は極意……というものではありませんが、フルオケ曲を書いていた時の気付き。
 結局打ち込みオケ曲も最終的に楽曲データとして完成させるには、ミックス作業が必要になってきます。生オケだってミックスが要るんだから、まあ当然といえば当然(あれはステレオマイク1本で録ってるわけではない→この話はまた今度)。
 とはいえ、さすがに作りこまれた最近のオケ音源であれば、EQ処理はほぼ要らないと思っていいでしょう。するとしても微調整で、バンド曲のようにエレキギターの低域バッサリとか、あんな乱暴な処理は要らないはず。
 では何かというと、ミックスの基本中の基本、各トラック(楽器)の音量調整と、定位(パン)の調整ですね。これが実際は意外に難しい。とはいえ、弦のパート5本は、最初からパンが振ってある(+ステレオ幅調整済)ことが多いようです。
 あとのパートは、振ってあったりそうでなかったり。このあたりは音源によって違ってくるので、オケの楽器配置を睨みつつ、慎重にパンとステレオ幅を決めていくしかない。(アナライザーと、そして最後は自分の耳で) 一旦決めてしまえば楽なので、あとはその設定を他の曲に流用していけば良いのです。

 さてここからが今回の「気付き」なのですが、もう一つ忘れてはいけないのがリバーブ(残響)の処理ですね。当然、ステージで奥の方にある楽器ほど「遠く」にあるわけで、理屈ではリバーブを深くかけないといけないのですが。ここで落とし穴。音源の内蔵リバーブを切っても、実はあれって「デッド」な音にもアンビエンスが入っているんですね、実際にホールでサンプリングしたりしているから。
 だから、音源によっては、もうちゃんと音の「遠近」がついていたりします。それで、奥の方の楽器(たとえばクラリネットとか)に深めのリバーブをかけてしまうと、お風呂場か!ってくらいのワンワンした残響が付いてしまうのです。こりゃあかんて。
 リバーブの音量は全部一緒か、それとも微調整くらいで良かったというオチ。もちろん音源によって違うので、結局最後は自分の耳で判断するしかないんですわ。流石にこんなところまでは音源のマニュアルに書いてないから、普通は。
(収録マイクポジションで分けている音源もあるが)

 どうですか。フルオケ曲ならノーミキシングでいいかと思うとさにあらず。却ってアナライザーより自分の耳で判断しつつミックスしないといけないという、より難しい処理を迫られるってオチ。まあエフェクター類やコンプは出てこないので、そこは楽ですが……。

(同じ理由で、オケ音源に他の音源、例えばソロバイオリンなんかを持ってきたときも、アンビエンスやマイクポジの処理が全然違っているので、リバーブ処理等も気をつけないとチグハグになります。ボーカルを加える時も同じ)

Komplete13U CE導入

 無事10Uから最新版にアップグレードしました。(ご存知ない方へ、業界標準的な位置にある、音源やプラグインのバンドルセットです。たぶん全部使いこなすのは無理なくらいの分量で、ハードディスクに入れて売られています)

 パッケージが随分シンプルになってしまっていて、軽いので最初入れ忘れてるのかと思ったくらい。ほぼ昔のガラゲーくらいのイメージだな。10Uの時はまだ国語辞典くらいのサイズと重量感がありました。

 で、USBで本体を繋いで、専用ソフトNative Accessでインストールしていくわけだけど(この点はシンプル)、まず既存製品のアップデートを16個くらい溜めてしまっていて、最初はその処理w。それが終るといよいよ追加された製品を導入していくわけだが、これてっきりHDDから全部転送できるかと思ったら、結構アップデートされた製品があり、どうもそうなるとダウンロードしにいくんですね。サンプリング音源だと時間が倍増のイメージ。
 あまりに時間が掛かるので、まず初日は5~6個にしておいた。考えたら1日で全部やらず、ボチボチ入れていっても良いわけだ。
 「もったいないから全部」とか欲を出さない方が絶対いいな。わけのわからない音源は、よく見極めてからにしないと。あとReatcor系のシンセは自分は使いません。

 実はいくつかインストール予約して裏で他の仕事をしていたら、デスクトップ画面がいつの間にか真っ青になってタスクバーやら何やらが消滅(w)。昔から結構バグがあるみたい、Native Accessは。サインオフして再サインインしたら直りました。

 生楽器系の音源は随分増えたので、ぼちぼち試用していこうと思います。

Spitfire Solo Violinは結構アレな製品

 ちょっと前「バイオリンのミックス処理」という記事を書いたが、あれからハマりにハマってようやく完成形まで持ってこれた。(というのが先日upした曲)

 で、使用した「Spitfire Solo Violin」ですが、これはアンビエンスまでしっかり含んだ(録音した)音源になっていて、どうやらあくまでフルオケの曲でバイオリンソロの時に使ってね、という位置付けの製品のようだ。アナライザーで見ると、定位もアンビエンスも、まさにオケをバックにソリストが立つ位置で録音されている。一種の時短音源だなこりゃ。
 たとえクラシックでも弦楽四重奏なんかでは全く使えないと思うので、その意味ではフルオケ曲専用って書いておいて欲しかった。
 ご想像通り、そのままではバンドサウンドなんかには全く馴染みませんねえ(w)。
 前述の通り、アンビエンスを全切りするとかなり音の細いモノラル音になってしまうので、それでバンドに入れると(他の楽器は大抵ステレオ収録だし)浮いてしまう。かといってわずかにアンビエンスを入れただけで(一応ステレオ信号になる)、背景に大ホールが見えてしまう(笑)。バンドの中で一人だけホールしょってたら、そりゃ変だよね。

 で、色々やってみたのですが、解決法だけ書きます。アンビエンスを全切り(ドライ)して、コンプ2段掛けで潰して、最後にAIR Stereo Width(モノ信号をステレオに変換するプラグイン、多分類似品OK)をかまします。これでバンドサウンドにいれてもなんとか違和感になく馴染みました。
 ということで、「Spitfire Solo Violin」は、ちょっと癖のある音源といえそうです、検討中の方はご注意あれ。
(なんか、よく読むとソロ弦バンドルの中から、更にバラ売りしているパッチみたい。ケチ臭いことせずに、ステレオパッチもユーザーに公開しろ~! ←こんなことで文句言ってるとクレーマーみたいで怖いか)

使える音源・使えない音源

 皆様お馴染みNI Komplete(U)に入っている音源の話。

 買ってから一度も使ってない、というか存在すら忘れていた音源があって、それが「The Giant」(アコースティックピアノ音源)。
 昔一度使おうとしたら音がなんだか不自然だし、ビルみたいなサイズのアップライトの絵が描いてあるし、なんじゃこりゃ色物音源かと思って放置してたんだけど、ちょっと前思い出して試用してみたら、これシネマチック音源なんですね(いわゆる劇伴用)。そして、ピアノ鍵盤以外の部分を弾いた時の効果音系のやつも入っている。ああそういう用途なのかと納得。しかしどちらにせよ歌物ではなかなか使う機会がなさそう。

 効果音系の音源は使う機会がほぼないのは仕方ないにしても、「Action Strings」なんかも使えそうで使えません。これも劇伴によくあるストリングスの刻みを簡単に再現できるやつですね。
 あと民族音楽系のやつ、ガムランのとかインド・中近東なんかは仕方ないにしても、キューバのやつもなんか駄目。この系統は音色を作り込みすぎていて、本当に民族音楽やりたい時くらいしか使えない。それかやっぱり劇伴か。歌物でこんなにアクの強い音源持ってきたら全体のバランスが悪くなるもんね。
(その意味ではUVIの「World Suite」はよく出来ていて、絶妙のバランスで歌物や普通のインストにもハマります)

 で、結局使うのは……「Abbey Road Studio Drummer」「Session Strings Pro」「Session Horns Pro」「Alicia’s Key」、あとScarabeeのベース全般。なんだか夢の無い話ですが仕方がない。(うちはまだK10Uなので、クロスグレードしたら増えるかな?)あと、ARのドラマーシリーズは、適宜替えて使っています。さすがに録音が抜群に良い。

 Kompleteには不思議と雰囲気ボーカル音源が入ってないので、次の版ではくるかもしれませんね。まあこれもシネマチック音源になっちゃうんだけど(w)。
 クワイア音源も欲しいといえば欲しい。いまはKontaktのFactory Libraryの低品質のしかないので。

 全体的に、歌物制作勢にとってはシネマチック音源というのは鬼門です。楽器音源というより効果音系の用途へ最適化されてることが多いので、作り込みが結構甘かったりする。なので、歌物勢の皆さんは購入時に注意したほうがよろしいかと思います。(プロ諸氏には釈迦に説法かw)

(追記:今日「The Giant」をもう一度確認したら、非シネマ系のパッチもありましたわ。しかしやっぱ楽器音源としては音が変)

ミックスの極意とは

 著名ミキサーの方のミックスデモ動画を見ていて思ったことがあって、とにかく手際がいいのと、一切迷いがないってこと。あとどんな道具を使ってもきちんとまとめてしまう。下手なミックスというのは道具のせいではなく、100%腕のせいなんだなあ、としみじみ。
 よく言われることだが今のDAWについているプラグインだったら、もう普通にプロユースで使える品質ですからね。それをずばり証明した動画を見てしまい、確信しました。まあぶっちゃけそのDAWはABILITYなんだけど、EQやコンプはともかく、実はこいつのオリジナルリバーブだけは酷い(笑)。スプリングでもないのに音が金属的なので自分はキンキンリバーブと呼んでいた、ってもう何年も使ってなかったが(下位エディションにも付属)、これを使って見事にボーカルトラックをまとめたので感心した。弘法筆を選ばずの境地。
 あと、凄いと思ったのは、ボーカルトラックの処理前の音が、アンビエンス(部屋鳴り)をかなり含んでいたんですよ。たぶん宅録だと思うが、これプロのはずなのにどうかと思った。どうするのかと思ったら、SonnoxのEQを使って(ABILITY付属←これは贅沢)、100Hzくらいから下をshelvingで-6dbくらいササッと絞って、これでおしまい、見事に部屋鳴り消えました。(ミキサーはこんな風に、問題あるトラックも解決しなくちゃいけないので大変です)
 パラデータもたぶん前処理されていたと思うけど、とにかく手早く終わって結果は良好、あんまりクドクドあーでもないこうでもないとやりませんね。シンプルで美しい感じ。ただ、各トラックの音量バランスはかなり慎重に微調整してたと思う、これが本来の仕事ですからね…。

(まあもっとも、これはデモのミックス作業なので、本番はもっと色々と凝ったこともやるんでしょうが…。あともちろん音楽ジャンルにもよる)

 結局こういうのって、最終的には良いミックスの音がどういうものか、ってところがミキサーがわかってないと、どうしようもなさそう。良い演奏のパラデータなら、そんなに手を加えなくてもいいわけだし(この場合はそうだった模様)。

 そういえば、大ベテランミキサーの吉野金次氏だったと思うけど、若い頃どうやって良いミックスの音を勉強したかというと、給料を全部洋楽レコードにつぎこんで聞きまくっていたそうです(1960年代後半)。食費が無くなってキャベツばかりかじっていたら、栄養失調で鼻血を出した、って笑えない逸話もあるくらい。(立花隆の『青春漂流』より。当時の吉野氏は東芝所属)
 結局、作曲と同じで、何が良い音楽なのかわかっていないと最終的には良いミックスには辿り着けないじゃないだろうか。いやまあ、一応ミックス作業はエンジニアリング(工学)なんで、決まったフォーマットと手順を踏めばある品質には到達するとは思いますが。そこから向こうはやっぱりね。吉野氏をはじめ著名ミキサーの方々は音楽活動の経験がある方も多いですね。

(最後に、実はABILITYにはSonnoxのリバーブが入っていて、これは最強なのです(笑)。だから自分は普段そっちを使っている)

Session Horns Proでビッグバンド

 たまには実用記事。
 少し前から、Native Instrumentsのブラス音源「Session Horns Pro」(以下SHP)を、なんとかビッグバンド曲に使えないかと色々やっていたんだけど、良い方法が見つかったので情報書いてみます。
 ビッグバンドブラスの構成の主流は、以下のような感じ。

トランペット x 4
トロンボーン x 4
アルトサックス x 2
テナーサックス x 2
バリトンサックス x 1

 これにドラムス・ベース・ピアノ・ギターが入ったのがビッグバンド。ピアノやギターはいないこともある。ベースは歌伴なんかだとウッドでなくエレキのことも。

 残念ながらこれを再現しようというのはSHPではやや弾数が足りない。なので普通はこうするでしょう。

トランペット x 2 (Tp1 + Tp2)
トロンボーン x 2 (TenorTb + BassTb)
アルトサックス x 1
テナーサックス x 1
(バリトンサックス x 1)

 これでも歌物のバックだとかなり大きな編成で、充分すぎるほど迫力あるブラスセクションになります。余裕で4声のアレンジをクリアできるしね。
 ただビッグバンドと比べると半分くらいの陣容になっちゃうので…。

 個別の同じトランペット音源を重複して使う……って方法は、どうしても位相やらの関係で気持ちの悪いうねりや濁りが出てしまうようです。なんだか音が不自然です。自分はちょっとチューニングを変えたり試行錯誤したがあきらめました。
 他の音源のブラスを持ってくるともっと最悪で、たとえばお馴染みIKのSample Tankとかね、あきらかに不自然なハーモニーになってしまう。全く違うスタジオで録音ミックス実装された音源なんで、合うほうがおかしい。シンセも同じ。
 Kontaktのファクトリーライブラリも駄目でした。あれはSHPの前世代の音源のはずなんだが。

 そこで、なんとかSHPだけで更にスケールを大きくできないかと考えていたのですが、よく見れば個別音源として使えそうな奴がちゃんとあるではないかと。そこでこうした。

トランペット x 3 (Tp1+Tp2) + Fluegelhorn
トロンボーン x 3 (TenorTb+BassTb)+ Tuba
アルトサックス x 1
テナーサックス x 1
バリトンサックス x 1

 バッチリです。実際ビッグバンドにフリューゲルホーンが入ることもあるし、チューバはトロンボーンセクションの最低声部に入ると、不自然さはまったくなし。バリトンサックスは結構音域広いので、汎用的にサックスアンサンブルで使える。

 SHPはそんなに重くないわりに音は非常に良いし、アーティキュレーションも使いやすいのが揃っているので最高。
 たぶんこういう使い方も想定して、チューバやフリューゲルホーンを入れているんだろうな。さすがNIはよく考えてるわ、って改めて納得した次第。

 ミュートトランペット音源だけは、さすがにこのアンサンブルの中には入れないが、ソロなんかでは使えますね。これもかなり自然でバランスがいい音源。

 いかがですか。ビッグバンドは、今はほぼアレンジで使うこともないんで、それ専用音源入れるのも疲れるしお財布に優しくない。SHPなら持っている人も多いからどんどん使いましょう。

 もし足しても不自然でない音源を見つけたらまた報告します。まあアーティキュレーション等が合わなくなるんだけどね。

コーラス音源に希望の光

 引き続き、コーラス音源として権利的に問題なく使える歌声合成ソフトはないかと、少し調べていました。この種のボーカル・シンセサイザーは、皆様ご存知のとおりボカロの成功で他社からも数種出ていましたが、ボカロほど商業的に成功したものはこれまでありませんでした。最近また幾つか新しいものが出ていましたが、その中で「これはかなり自然でいい歌声だな」と思った「Synthesizer V」というソフト。AIやサンプリング等を組み合わせた発声方式だそうですが、こいつのライセンスを調べてみたら、ドンピシャで使えるものでした。
 ライセンスのページは以下にあります。

https://www.ah-soft.com/synth-v/eula.html

 ・商業、非商業を問わず利用可能
 ・カラオケ利用等における許諾要請がない
 ・法人リリース等の制限もなし

 どうやら、普通のサンプリング音源と同等の自由な利用が可能なライセンスのようです。
 ただひとつ心配なのが、いつでもメーカーが利用規約を無断で変更できる、という点だけど、これは一応この種のライセンスにはいつも書かれている一文(こういう契約が実際に有効なのかはちょっとわからない?)。
 もう一点、新興の小さなソフトハウスだと、製品の継続性が心配だけど、なんとこのソフトは発売がボカロ音源もたくさん出しているあのAHS社なんですね。こりゃ一応安心(開発は別)。まだ製品が出たばかりの発達段階のソフトだけど、ここなら無茶なことはしないでしょう。

 憶測だけど、後発のソフトなのでライセンスを緩くしたんじゃないかという気がする。なんにせよ、権利的な心配をしなくてもちゃんと使えそうなボーカル音源が出てきたのは嬉しいところ。しばらく注目してみます。
(もちろんキャラ等は勝手に使ってはダメよ)

VOCALOID5は一般の音楽制作向け

 手短に、ヤマハからの返事には、VOCALOIDという登録商標やキャラ名を明記しないのであれば、一般的な商用利用は問題ないと書いてありました。つまり、楽曲の中でコーラス音源などに使うのは問題ないということ(作曲家の立場からクライアントさんに曲を作る時も同様のようだ)。
(上記はVOCALOID5の付属ボイスバンクの場合ね、なぜか正式なEULAは製品を買わないと見られないらしいw)
 このあたりはメーカー・製品によって利用条件は様々なので、使いたいならいちいち確認するしかない。ただ、既存の他社ボカロ製品においても、ほぼ標準になっているライセンスのようです。

 まあ、こういうややこしさが本来のソフト音源として「表」では使われることがほぼなくなってしまった理由かも……(仮歌ではよく使われていますが)。実際「(株)インターネット」のKokoneというボカロのライセンスを見ると、法人がボカロを使って音楽制作した場合は許諾が必要、なんてトラップ文があったりする。怖いよね、お客さんに渡した曲が、どこかに売られて法人から勝手にリリースされちゃったら、責任問題だし。だから怖くて誰でも使わないのだろうな。

 そろそろキャラ商売もいい加減下火だし、ちゃんとこの技術を本来のボーカル音源として利用してもいい段階に来ているのではないかと思う。
 それには権利関係をもっと明確にすべきで、製品ページなどにFAQなどとして明記しておくべきだよな。そうればもっと利用者は広がるはずなのに。
 私見ですが、どうもボカロやそれ系音源は、権利関係がクリアじゃなくて、一般の音楽制作側からは手が出しにくいイメージがある。もう「絵」を付けるのはいいから、ちゃんと制作のことを考えて欲しい。製品を買うのは本来そっちの人間のはずなので。(たぶんそのあたりを考慮したのが、ヤマハのVOCALOID5だと思うけど)

●追記 2020/11/14
 恐ろしいことが判明した。YAMAHAのVOCALOID3のライセンスを見ていたら、「商用カラオケでの利用」は許諾が必要と書いてある。つまり、クライアントさんに渡した曲が勝手にカラオケ配信されちゃったらアウトってことですね。こりゃーやっぱり使えないわw 自分の立場だと国産ボカロの利用は無理。逆にZero-Gの英語ボカロはOKってことになります。…と思ったが、まさかマスターライセンスがヤマハにあって、そっちのも実は適用される(謎の理由で外国は野放しだが国内ユーザーだけは厳しい)じゃなかろうな(汗)。
 やっぱりコーラスに使うの止めますわ。こりゃ危ない。

スラップベース音源の暴発

 スラップベース、自分の世代だとチョッパーベースって言っていたけど、いつの間にかスラップという名になったんですね。これはエレキベースの弦を叩く・はじくなどしてパーカッションのような強烈なアタックをつける奏法で、名前は知らなくても音を聞けば誰でもすぐわかると思います。ちなみに超カッコイイ音です、フュージョンで多用される奏法でもある。
(この奏法の登場で、ベーシストがソリストとしてスポットライトを浴びる機会が格段に増えた)

 そのスラップですが、当然サンプリング音源でもそれを再現したものがありまして、先日それを使って曲を書いていたんですよ。今の音源は、何度も書くけど本当に優秀で、まあミックス前でも実際の演奏と聞き分けは非常に難しい。ミックスしちゃうと、ちゃんと打ち込めばほぼリアル演奏との区別は無理、と思われます。
 ところが、その優秀な音源が、曲の特定の箇所で暴発のような状態になるわけです。意図してないのに「バイーン!」と爆発音のような感じになる。おっかしいなあ、さすがにスラップだからサンプルが均一じゃないのかなあ、とか、ベロシティを下げても同じだし、奇妙でした。それも曲の最初から再生するとそうなるが、途中からだとならない。「???」となりつつも、しばらく放置していたのですが。

 ある時、ミキサーに刺さってたコンプのプラグインを見つけました……ははぁこれかと、いやもっと早く気付けよと。オフにしたら音圧は下がったが、非常に安定した音になりました。犯人こいつでした、って随分杜撰な捜査だなこれ(笑)。
 有名ハードコンプをモデリングしたやつだったので、非常に正直に挙動を再現していたんですね。途中からと最初からで挙動が違ったのもそのせい。
 ただ音質や音圧感は自体は非常に良かったので、解決策としては、こいつのあとにもう1個コンプを挿して更にダイナミクスを潰しました。これで「バイーン」現象も解消して安定した音になりました。

 やはりスラップベースのような、アタックが非常に強い癖のある楽器の処理には、念入りなダイナミクス管理が必要なのかと痛感。昔も使ったけどその時はどうしてたっけか。
 あんまり潰すと音がペタペタになって、スラップベースがスクラップになっちゃう。オヤジギャグが出たところでまた今度。