オーケストラ曲のミックスの気付き

 今回は極意……というものではありませんが、フルオケ曲を書いていた時の気付き。
 結局打ち込みオケ曲も最終的に楽曲データとして完成させるには、ミックス作業が必要になってきます。生オケだってミックスが要るんだから、まあ当然といえば当然(あれはステレオマイク1本で録ってるわけではない→この話はまた今度)。
 とはいえ、さすがに作りこまれた最近のオケ音源であれば、EQ処理はほぼ要らないと思っていいでしょう。するとしても微調整で、バンド曲のようにエレキギターの低域バッサリとか、あんな乱暴な処理は要らないはず。
 では何かというと、ミックスの基本中の基本、各トラック(楽器)の音量調整と、定位(パン)の調整ですね。これが実際は意外に難しい。とはいえ、弦のパート5本は、最初からパンが振ってある(+ステレオ幅調整済)ことが多いようです。
 あとのパートは、振ってあったりそうでなかったり。このあたりは音源によって違ってくるので、オケの楽器配置を睨みつつ、慎重にパンとステレオ幅を決めていくしかない。(アナライザーと、そして最後は自分の耳で) 一旦決めてしまえば楽なので、あとはその設定を他の曲に流用していけば良いのです。

 さてここからが今回の「気付き」なのですが、もう一つ忘れてはいけないのがリバーブ(残響)の処理ですね。当然、ステージで奥の方にある楽器ほど「遠く」にあるわけで、理屈ではリバーブを深くかけないといけないのですが。ここで落とし穴。音源の内蔵リバーブを切っても、実はあれって「デッド」な音にもアンビエンスが入っているんですね、実際にホールでサンプリングしたりしているから。
 だから、音源によっては、もうちゃんと音の「遠近」がついていたりします。それで、奥の方の楽器(たとえばクラリネットとか)に深めのリバーブをかけてしまうと、お風呂場か!ってくらいのワンワンした残響が付いてしまうのです。こりゃあかんて。
 リバーブの音量は全部一緒か、それとも微調整くらいで良かったというオチ。もちろん音源によって違うので、結局最後は自分の耳で判断するしかないんですわ。流石にこんなところまでは音源のマニュアルに書いてないから、普通は。
(収録マイクポジションで分けている音源もあるが)

 どうですか。フルオケ曲ならノーミキシングでいいかと思うとさにあらず。却ってアナライザーより自分の耳で判断しつつミックスしないといけないという、より難しい処理を迫られるってオチ。まあエフェクター類やコンプは出てこないので、そこは楽ですが……。

(同じ理由で、オケ音源に他の音源、例えばソロバイオリンなんかを持ってきたときも、アンビエンスやマイクポジの処理が全然違っているので、リバーブ処理等も気をつけないとチグハグになります。ボーカルを加える時も同じ)