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結構少ないCR-78の音源

 Rolandの往年のリズムマシンの名機・CR-78ですが、意外とちゃんと音源化されていないようです。80年代あたりにはこれ(実機)を使った名曲がたくさんありました。チープでキッチュなある意味可愛らしい音がします。ただMIDI以前なので、決め打ちのリズムパターンのみで外から打ち込みで制御することはできません。(実機の話、そこがまたいいんだが……)
 RolandというとTR-808/909といったハードが有名で、そちらばかりに光が当たっている感じはあります。

 で、ちょっと久々に楽曲で使ってみたくなって、まずはFA-06の内蔵音源を捜したが、残念ながらSuperNaturalやPCMのカテゴリでは入っておらず。(808/909はあるよ、TBも)
 次の試したのは、KontaktのFactory Libraryに入っているCR-78。これは昔使ったことあった、さすがにNIだからインターフェースもマトモだが……。今聞くと、やはりちょっとサンプルの容量が少なく音質が良くない(ある意味ローファイで味はあるが)。こういうの完成トラックで聞くと歴然と違うから。

 昔ArturiaがVColletionのオマケに配っていたドラムマシン音源があって、そいつには結構出来のいいCR-78が入っていたんだが、いつの間にか使えなくなっていた。
 さーて困ったぞ、と思ってググっていると、現存で稼動するCR-78の音をサンプリングしたファイルを配っている人がいた。Alex Ballさんという、ミュージシャン系Youtuberらしい。早速ダウンロードしてみたが、内容は良かった。音質も揃っていて商用でも使えそう。ただ残念ながらEULA(使用許諾契約)の類がない……。ホビーユースにはいいけど、やっぱり商用だと怖いよね。後からああだこうだ言われる可能性もある。(フリーの音源はこの辺りが整備されていない印象)

 で、更にググっていたら、アメリカの大手楽器ショップのReverbが、なんとCR-78のサンプリング音源ファイルをフリーで配っているという。期間限定と書かれていたが、ダメ元で試してみたら、まだイケました。

 解凍すると、なんと元は製品だったようで、ちゃんとEULAが入ってました。音源の身元もちゃんとしてますよ、商用でちゃんと使えますよ、という証明ね。ファイルの質もさすがに有料だったものだから、高品質。で、結局こいつを使うことにした。
 バラバラだからドラムキットにしないといけないが、今回はBattery4を試してみた。こいつは、レイヤーやラウンドロビンも簡単に設定できるんですね。

 で、まあ軽くキットで組んで使ってみたら、結局これが曲に合わないの。苦労して捜してこういう結果……というのは実は結構ある(汗)。結局、AIRのDRUMSYNTH500にしましたとさ。(こいつも弄れば割りとCR-78系のカワイイ音が出ます)

音源の奏法入力・最強の方法

 以前もちょっと試行錯誤中と書いていた、サンプリング音源の奏法(アーティキュレーション)指定のやり方。とうとう自分なりの最強の方法を見つけたのでご紹介。
 ただDAWがABILITYなので、他の製品だとこの方法が使えるかどうかはわからないが、たぶん似た方法でできるはず。

 ピアノロールを開くと、左側のピアノ鍵盤が表示されている部分がありますね。(これは万国共通) ここをクリックすると、鍵盤の代わりに任意の楽器名を表示できるように切り替えられる。あとはもうわかると思うけど、この楽器名のところに奏法名を入力していけば、ひと目でどの奏法を指定するかわかるって寸法。
 ABILITYだとこの楽器名セットをそのままセーブ・ロードができるので、音源ごとにこのセットを用意していけばいい。

 このロード・セーブさえ面倒なら、プロジェクトのテンプレートに最初から組み込んでおけばOKです。

 たぶんこれ以上簡単で明解な指定方法はないと思います。キースイッチでの指定ならこれで最強・最終回答でしょう。

「PSP audioware」割とバグ多い?

 バンドサウンドにフルオケが絡んでくるような野心的アレンジの曲を書いたが(ちょくちょく書いてる)、今回はアレンジ作業よりミックス・マスタリングが滅法難しかった。
 というのは、音場設計を普通とは違う感じにしたからで、スタジオで録ったバンド演奏に、あとから小ホールでオーケストラを重ねた、という体なんですね。
 これだと音場がスタジオ(バンド)とホール(フルオケ)で2種類になるわけで、2mixを作るまでは良かったが、これがマスタリングになると色々な意味でバランスを取るのが激ムズで、3日掛かってしまった。
 いつものやり方(企業秘密)だと、ビンデージ過ぎてフルオケの音がくすんでしまってダメでした。で、そこからトライ&エラーが始まって、最終的には解決したのですが、その作業中に発見した意外な事実。

 「PSP audioware」社のプラグインは結構バグが放置されてる……。しかも致命的なやつ。DAW巻き込んで落ちるから。
 Vintage Warmerなどでお馴染みの、高品質なアナログ系プラグインデベロッパーですが、そういえばワンポイント的に使っている人は多くても、あまりガッツリ使いまくっている人の話は聞かない。そんな理由かも。
 具体例書きますが、MasterCompでOUTPUTノブのところで直接キーボードで数値入力しようとすると、高確率で落ちますね。
 BussPressorも同じでノブの数値入力で、DAW巻き込んで落ちる。
 ま、今回はフルオケ+バンドでかなり重いプロジェクトだったので、その影響があったかもしれませんが……。(当然、ミキシングではWAV化してますよ)

 なかなか好きな系統のプラグインが多いデベロッパーだったので、ちょっと残念。Softubeはそんなことないもんなぁ。
(こういうところが、WAVESなんかはやっぱりしっかりしてる。実用には安定性は重要。そういえば最近ちょくちょくPSPはアップデートしてるが…)

SSLのDrumStrip使ってみた

 この前のバーゲンで良さそうだったので買って、早速使ってみた。これはサードパーティ製じゃなく、SSL自身が出しているオフィシャルなプラグインなんですね。動作や音質等、本家だけに期待できるはずと踏んだ。

 で、買ってからよくよく画面を見たら、こいつはStripと言ってはいるが、汎用チャンネルストリップとは違って、サチュレーターの類というのが正解らしい。(一応、コンプも付いているが、普通のとは効き方が違う)

 ドラム用ではあるが、低音楽器にも使えるのではないかと思い、Session Horns ProのTenor Saxに使ってみたら、かなり良い効き具合。やはりサチュレーターも音源との相性がありそう。
 Softubeなどと同じ、非常に上品な効き方で、トラックにインサートした直後はしっかり掛かっている感じはしないが、ミックスダウン→マスタリングして完成トラックを聞くと、あら不思議。非常に高品位で上質なエフェクトであることがわかります。
 サチュレーターとしては汎用的にサンプリング音源に使えそうなので、なかなか頼もしい感じに働いてくれそうです。

奏法キースイッチを素早く入力する方法

 また音楽制作者の皆様向けの記事。

 サンプリング音源に必ず付いている、アーティキュレーション(奏法)の切り替えスイッチ。多くは音源の音域外の音程を叩くと該当の奏法に切り替わるようなっていますね。例えばヴァイオリンでC1ならサスティン、D1ならトレモロ……みたいなやつ。
 これ、結構入力が面倒なんですね。スコア派の自分としては、毎回ピアノロールに切り替えて、低い方へスクロールして、音源の画面を見ながらこの奏法はどの音だっけ……なんてやっている。

 噂ではメジャーなDAWにはこれに対応した入力機能を持つものもあるそうだけど、ウチのABILITYには付いていない。それでなんとか素早く入力する方法はないか考えてみた。
 例えばポップス楽曲テンプレートの該当トラックに、最初からいくつか主要キースイッチを入力しておく。最初の小節が望ましい。(トラック例:ストリングス、ブラス等)
 コメントで奏法名を入れておき、これを毎回コピペして使えば時短になる。

 あともうひとつ、MIDIキーボードという文明の利器があるから、こいつで入力するのも速い。該当小節の前に来たら、MIDIレコーディングにしてキーボードをポンと叩く。
 キーボードには手製のオーバーレイを作ってそこに奏法名を書いておくという方法もある(自分はまだそこまではやってないが)。
 いっそA4の紙に書き出しておいてクリアケースに入れておいても良いか。

 いかがでしょうか。自分もまだ試行錯誤中なので、また良い方法があったらシェアしたいと思います。

ダイナミックEQの質感

 マルチバンドコンプとダイナミックEQは動作が非常に似ていて、というかほぼ同じと言っていいと思うんだけど、それでも実際に使用してみると、結果としての質感がかなり違いますね。(前者は特定帯域を圧縮する、後者はただゲインを下げる)
 これはサイドチェインで使った場合だが、やっぱりダイナミックEQの方が自然な仕上がりになる。ジグソーパズルをかちっとハメ込んだ感じ、とイメージして頂ければ良いかも。

 といっても、ウチの場合はほぼマルチバンドコンプは使わなくなった。打ち込みで生楽器アンサンブル&バンドサウンドを再現していく音楽制作なので、音圧対策には良いが結果が不自然になりがちなプラグインは、自然と使わなくなりました。
 そもそもちゃんとアレンジすると、2mixで14LUFSくらいの音圧はすぐ出ますからね。フルオケ曲で何もしなくても13-12まで行ってしまうこともある。
 ということで、自ずとこのテのチート(?)プラグインを使う時は、問題の出たミックスを解決する場合になるのだけど、トラックとしては普通に良いが、音域的にどうしても重なってしまう場合。どっちかのパートを動的に抑えないといけない。……こんな時、最近はダイナミックEQにしています。ウチは普通に「Waves F6(RT)」ですね。

 例えば女性コーラスとエレピの白玉。美味しい音域が重なりがちですね。EQで削るのも限界がある。こんな時はサイドチェインでコーラスの信号をエレピのF6に送り、声が出ている時だけ該当音域を動的に3dbくらい削ってやる。非常に自然に溶け込みます。
 これがマルチバンドコンプだとそこまで自然でもない。(まあ好みの領域であることは認めますが)

 しかしF6も操作がなかなか複雑で、うかうかしているとただの静的EQとしてしか動作していない状態になる。あれは動作するとちゃんとモニタラインが「へこっ」と下がるので、目視で確認は必須ですね。

 ダイナミックEQは昔はなかったと思う(手コンプならぬ手EQで下げてたエンジニアもいたかも?w)、こいつはプラグイン時代の文明の利器といえそうです。

音源の「音痴状態」を直す方法

 フルートの音源を曲の中で使っていたんだが、何度聞いても音程が狂っているように聞こえる箇所があった。イントロなので目立つこと目立つこと。何度スコアやMIDIを確認しても合っているし、どう考えても自分の勘違いではない。
 こんな時は、意外とバックのコード楽器の構成音が一音だけ半音ずれているとか、そんなパターンもある。間違ったコードが鳴っているため単音楽器が外れて聞こえるやつね。しかしこれも違う。ちなみにベースが半音ずれて……ってもあるが、これでもない。
 フルートのパートは後にピッチベンドを使っているので、それがちゃんと0に戻ってないのか……と思ったがこれも違う。

 これはいよいよ音源のサンプルの音程自体を疑わないといけなくなったのだが、さすがにそっちを直接編集は面倒。しかも悪いことにUVIのやつなので、あれは内部弄れないんですね。
 そこでふと思い立った。あ、これもしかしたら「Waves Tune」で修正できるんじゃないかと(w)。(ご存じない方へ、主にボーカルの音程修正に使われるプラグインです)

 で、やってみたのですが、これがずばり効きましたよ。ちゃんと該当部分の音程を譜面通りに修正できて、きれいにイントロが決まりました。ちなみに狂った箇所の音程をプラグイン画面で見ると、かなり暴れて縦線が出てたので、サンプルの音痴ではなく、たぶんレガートエンジン等がバグってるか挙動不審なのでしょう(w)。まあこんなこともある。
 Waves Tuneはボーカルにしか使えないかと思ったら、そんなことはなかった。普通の単音楽器ならたぶん全部イケるんじゃないだろうか。こいつはMelodyne等より音質が良いです。
 ニーズがあるかわからんが、ハーモニーを作ったりビブラートを掛けたり、ってこともボーカルと同様可能なはず。(まあ音源があればそっちで鳴らせばいいが)

 ちなみ、音源出力を直に食わせてリアルタイム音程変更できるプラグインじゃないので、一旦WAVに書き出してからの修正になります。(リアルタイム版は Tune RTというやつで、また別製品。負荷はたぶん高い)

NIのNTKdaemonのトラブル

 どうも最近DAWを使っていると定期的にブチブチ音が入ってきて、これが非常に軽いプロジェクトの時でもそうなんですね。大抵こんな時はオーディオインターフェースのドライバをアップデートすると直るんだけど、YAMAHAのサイトを見たら去年が最新の更新という、非常に安定したバージョンだった(ここは不具合は放置しないメーカー)。

 何だかネット絡みな気がして、試しにネット切断したら途端にノイズが止まった。どうやら不審なプロセスがバックグラウンドで何かを送信してる可能性が大。タスクマネージャーでネット接続のグラフを見ると、なんと10秒ごとに送受信の山が出来てやがる。
 で、モニターとにらめっこして色々やって、何が犯人か突き止めました。その名は「NTKdaemon」。なんとNative Instrumentsのデーモンプロセス(常駐ソフト)であった(w)。試しにこいつを終了させるとピタリと送受信とノイズが止まったからね。おいおい……。なにしてくれてんの?

 ググってみたら、以下のNIのフォーラムで話題になっていた(2019年)。

https://www.native-instruments.com/forum/threads/ntkdaemon.348397/

 NIの公式回答があるが、sound.com (Machineなんかで使えるサウンドライブラリ)との連携を図るために動いているデーモンプロセスなんだって。今のところ自分は利用予定ないからサクっと停止させちゃって問題なさそう。
 で、やっぱりこのプロセスのせいでトラブルが起きているというMachineユーザもいるようだ。

 ということで、”Native Instruments is watching you”――ただし同社のソフトを使っている人だけですが。

(ノイズはパソコンリセットしたら直りました。たぶんそっちは複合的な要因だろうと推測)

サンプリング音源の国別カラー

 楽曲制作してて気付いたんだけど、サンプリング音源にも国別のカラーが厳然としてあるね。国別といってもざっくりヨーロッパ・アメリカくらいの区別だが。
 普段使っている音源は欧州製で固めているけど(現在の制作環境だと皆そうなると思う)、そこへSoundironの音源を入れてみたんですね。(Traveler Organ、Reedオルガンの親玉みたいな奴で、かなり高品質)
 ミックスしてCDに焼いて色んな環境で聞いたみたんだが、どうもそのパートだけ音がクリアで明るすぎて浮いてしまう。気のせいかと思ったが違和感が拭えないので、理由を考えたら「ああアメリカ製だから…」と思い付いた。
 それでトラックにWavesのKramer Master Tapeをかましてみたら、いい感じにサチュレーションが掛かって馴染みました。

 Soundironが非常に高品質なデベロッパーなのは事実だけど(価格もリーズナブル、笑えるネタ音源も多い)、やっぱりアメリカだから、サウンドのカラーがクリアで明るいんですね。他の音源を聞いてもやっぱりそうなっている。
 で、現状の欧州勢の中に入れるときは、多少汚してやるといい感じに溶け合ってくれるようです。逆にいえば欧州の音源は独特のダークさと深みがある。
 このあたり、実際のレコーディングと同様、機材やエンジニアや空気感、更に風土や文化的な違いなんかもあるし、そのあたりは録音物でもあるサンプリング音源にも確実に影響しているようで、面白いところです。機材なんかほぼ世界共通で、なんならみんなProTools使っているのに、やはり違いは出てくる。
(こうやって考えると日本の音源は世界からどう見られているのか興味ある。今は有力デベロッパーもあるし。もしや独特の湿度感があったりする?w)

 Soundironのネタ音源はオモロイし、本気で作った楽器やコーラスの音源は非常な高品質で、UI設計なんかも使いやすい。サウンドのキャラさえ理解していれば、今後もっと使っていけそうです。

(ここのライバルになるのかなぁ? イギリスのSpitfireは、いかにもコテコテのブリティッシュサウンドだもんね←特に管弦楽系。比較するとよくわかる)

音源レビュー「Session Strings Pro2」

 例によってボヤっとしたレビュー(感想)です、まだ一度使っただけなので。

 音質はSSP1に比べて向上している気がするが、かなり大編成になったので(20数人)、Modernパッチを使っても、結構クラシカルな感じになる。というか、これ人数の問題というより録り方が大きいかもしれない。ちなみにデフォルトのプリセットしかまだ試していない。
 インターフェース周りは、整理されて使いやすくなっている気がする。でもまあこれも好みの問題か……。

 たぶんSSP1を置き換える製品ではなく、別の雰囲気を出したいときに使ってくれ、ということだろうか。1もそのままだとシンセっぽく聞こえることがあるけど、ちょっと設定を弄るとかなりいい感じになるので、こいつもパラメータを弄ってやれば変わるかも。

 とりあえず少し聞いただけで大編成だな、ってわかる音なので、普通のポップス曲には大仰すぎる気がします。それこそストリングスをフィーチャーしたバラードとか、そういう方面に合いそうだ。(一言でいって音が「強い」。他のパートの邪魔になる可能性がある)

 あと、チェロを鳴らしていて気付いたが、一部のアーティキュレーションで、ちょっと位相が狂ってるような音に聞こえるやつがある、ミックスすると。本当に狂っているのか、音質の加減でそう聞こえるのは詰めてないが、少なくも1ではなかった現象なので要注意。
(これが事実ならアップデートして欲しい)

 今のところ自分の中では、SSP1の再評価に繋がった使い心地です。

(NIにこの製品を供給しているe-instruments社ですが、国はどこだろうと思ってHP見たらCompanyのところに住所一切書いてない。音源デベロッパーにありがちですが。で、更に調べたら普通にドイツだった、まあクラシカルなのも納得)