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TOTOの名曲「George Porgy」

 少し前からの流れでTOTOの名曲「George Porgy」を、懐かしいなあと思いながら聞いていた。ちゃんと聞くのはそれこそ20年振りくらい。これ1stアルバムに入っていてシングルカットされ大ヒット、発売1978年なんですね。

 意外に思ったのは、非常にシンプルなアレンジだったってこと。まずAメロからボーカルのメロディと、それをハーモナイズするピアノがユニゾン。B1になると、今度はギターまで単音でメロとユニゾンしてくる。この時点で、メロディをピアノ・ギター両方がなぞる形。ある意味素朴というか、しかし非常に効果的で美しい効果が出ています。

 たぶんアレンジャーの意図としては、メロを楽器でも「歌いたかった」のでしょう。これがスティーブ・ルカサーとデヴィッド・ペイチですから、まあボーカルを超える表現力で、非常にハマっています。ただのロックバンドじゃないぞ、AORだぞってことを世に知らしめた名曲ですね。
(たぶん凡百のプレイヤーだったら、ただの陳腐なアレンジにしか聞こえないかも。プレイヤーの腕があってこその仕掛け)

 やっぱりTOTOはとんでもない人達だ、ってことを再確認。そしてやはりこの頃ポップミュージックは一度完成しているんだなあ、と。

シンセとコンプ

 ミキシングでちと痛い目に遭ったので、とりあえずメモ。

 シンセポップ調の曲を書いて、バックをふわっとした感じにしたかったんですね。(ドラムもベースもシンセ)
 それで、一応普通にリズムもある曲だったので、ミックスで普通のバンド曲と同じように、ほぼ全トラックにコンプを掛けて音を抑える感じで揃えた(つもりだった?)。
 どうもミックス中から違和感があって、アレンジを間違えたのか……いやそんなはずは、とか、マスタリング後も、なんだか音が不自然。全般的に平板で、ついでにハイも足りないのでここでもEQで持ち上げたり。
 CDに焼いて色んな環境で聞くと、どうもハイファイな環境になるにつれ音がダンゴになってるな、と、まあ歴然と。

 ここまで読んで理由がわかった人もいるだろうけど、そう、コンプが原因だったんですね。しかし掛け過ぎってほど掛けてなくて、ほぼピークで若干かかるRATIO1.5-3くらいの軽いやつ。これでも音がダンゴ化した。
 シンセは、生楽器に比べてエンベロープもはっきりしているから、わずかな圧縮でもメタメタに効くってこと。今回はシンセポップだったので、余計にその点が目立ってしまった。
 というか、バンドサウンドの中のリードシンセなら、そんな感じでコンプを掛けておくと、他のパートと馴染むので良いんですがね。
 今回は、ふわっとした感じを目指したのでコンプを念入りに挿したんだが、ダイナミクスが死んだだけでした。

 解決策は、ほぼ全てのコンプを外した。そりゃあもう見事にダンゴが解消して、副次効果として、高音域の成分が自然に復活して、変なハイ上げも不必要になった。現代のソフトシンセは上品で、ハイも非常にきれいに出てるからそこを弄るとおかしな音になるんですね。(コンプを掛けると低音に比べてエネルギーの弱い高音が死にがち)

教訓:無駄なコンプは休むに似たり。

(といっても、普通のバンド歌物だと、耳がコンプの音に慣れてるから、掛けないわけにはいかないが……。ボーカルにも絶対掛けるので)

Session Strings Pro2の起用術

 NIのSession Strings Pro2(以下SSP2)ですが、なんとなく利用法が掴めてきたので簡単にメモ。これは編成が大きいストリグスセクションなんですね。ほぼチャンバーオーケストラ(室内管弦楽団)級。というか、普通のやつよりこっちのが編成は大きい。

 そこで、通常のストリングスではなく、チャンバーオケの弦だと思って使うといいかもしれません。(例によってボヤっとしてるが……断定するほうがおかしいよね 汗) 当たり前っぽいが、要はSSP1の高級版(高音質版)だとは思わないこと。あくまで別の扱いが必要になる。
 やっぱり大編成だけに、迫力や印象の強いストリングスが欲しい時に起用すると良いようです。
 とにかく単音でも、音が「強い」そして「太い」「濃い」。あんまり繊細な表現よりド迫力が欲しい時なんかに合うかも。ポップスだと他のパートを喰ってしまうこともあるので、アレンジのバランスには注意が必要。
(ピチカートなんか音のパンチ力が凄い)

 しかしやっぱり欧州の製品だからか、基本的にはクラシカルなトーンなんですね。
 意外にも思えるけど、高品質のサンプリング音源はやっぱりお国柄が出てくるようです。あくまで基本は人間が弾いてミックス処理した録音物なので、こういう結果になるんでしょう。

(ということで先日GETした米国Soundironの弦を試用中)

CD-BOX「Yumi Arai 1972-1976」聴いた

 初期ユーミン(「荒井由美」時代)のアルバム作品を集めたCD-BOXを聞いたんだけど、音楽制作をやっている人間として非常に収穫がありました。
(「Yumi Arai 1972-1976」)

 デビュー作は、「ひこうき雲」が入っているものの、さすがにまだ少し色々と未整理でした。ミックスもあまり良くなかった印象。最初ユーミンさんはアレンジもやってたらしいですね。もう松任谷正隆さんや細野晴臣さんを始めキャラメル・ママがバックに入ってますが。
 それが2枚目から、いきなりアレンジもミックスも超A級になってしまうんですね。ユーミンさんのボーカルも素晴らしい。もう楽曲から風格さえ漂うようなクオリティ。以前も書いたけど、まぶゆいような才能の輝き。かなりメンバー間で時間を掛けて作戦を練ったんじゃないでしょうか。初期ユーミンが文学的と言われる理由もわかった。ちょっとクラシカルなアレンジがあったり、売れ線は全然狙ってない。これ今聞いて喜ぶのは音楽マニアだけだと思うけど(汗)、当時これがちゃんと受け入れられて売れたのは、若いリスナーの耳も良かったんだなあ、と。
 3枚目も同じ路線、更にクオリティに磨きが掛かった印象。キャラメルママ(ティン・パン・アレー)とユーミンさんのコラボが更に深化・進化したってことでしょう。「卒業写真」が入ってるけど、今聞くと非常にジャズっぽい。これちゃんと売れたのか、なんだか凄いよ。本当にリスナーがレベル高かった。
 4枚目、文学的なところから売れ線への移行期ともいえる。「中央フリーウェイ」入ってます。これ76年なんだからほんとため息が出る。完全にシティポップですからね。改めて凄いセンスだなあ……。これだけ音楽的にハイレベルなことをやって、ちゃんとリスナーがわかって売れてしまうんだから。音楽状況は非常に良かったんだと、しつこいけど。

 アレンジとかプロデュースという面でも、自分なんかにはもう宝の山でした。
 これは皆聞いておいたほうがいいと思う。

SSLのDrumStrip使ってみた

 この前のバーゲンで良さそうだったので買って、早速使ってみた。これはサードパーティ製じゃなく、SSL自身が出しているオフィシャルなプラグインなんですね。動作や音質等、本家だけに期待できるはずと踏んだ。

 で、買ってからよくよく画面を見たら、こいつはStripと言ってはいるが、汎用チャンネルストリップとは違って、サチュレーターの類というのが正解らしい。(一応、コンプも付いているが、普通のとは効き方が違う)

 ドラム用ではあるが、低音楽器にも使えるのではないかと思い、Session Horns ProのTenor Saxに使ってみたら、かなり良い効き具合。やはりサチュレーターも音源との相性がありそう。
 Softubeなどと同じ、非常に上品な効き方で、トラックにインサートした直後はしっかり掛かっている感じはしないが、ミックスダウン→マスタリングして完成トラックを聞くと、あら不思議。非常に高品位で上質なエフェクトであることがわかります。
 サチュレーターとしては汎用的にサンプリング音源に使えそうなので、なかなか頼もしい感じに働いてくれそうです。

ダイナミックEQの質感

 マルチバンドコンプとダイナミックEQは動作が非常に似ていて、というかほぼ同じと言っていいと思うんだけど、それでも実際に使用してみると、結果としての質感がかなり違いますね。(前者は特定帯域を圧縮する、後者はただゲインを下げる)
 これはサイドチェインで使った場合だが、やっぱりダイナミックEQの方が自然な仕上がりになる。ジグソーパズルをかちっとハメ込んだ感じ、とイメージして頂ければ良いかも。

 といっても、ウチの場合はほぼマルチバンドコンプは使わなくなった。打ち込みで生楽器アンサンブル&バンドサウンドを再現していく音楽制作なので、音圧対策には良いが結果が不自然になりがちなプラグインは、自然と使わなくなりました。
 そもそもちゃんとアレンジすると、2mixで14LUFSくらいの音圧はすぐ出ますからね。フルオケ曲で何もしなくても13-12まで行ってしまうこともある。
 ということで、自ずとこのテのチート(?)プラグインを使う時は、問題の出たミックスを解決する場合になるのだけど、トラックとしては普通に良いが、音域的にどうしても重なってしまう場合。どっちかのパートを動的に抑えないといけない。……こんな時、最近はダイナミックEQにしています。ウチは普通に「Waves F6(RT)」ですね。

 例えば女性コーラスとエレピの白玉。美味しい音域が重なりがちですね。EQで削るのも限界がある。こんな時はサイドチェインでコーラスの信号をエレピのF6に送り、声が出ている時だけ該当音域を動的に3dbくらい削ってやる。非常に自然に溶け込みます。
 これがマルチバンドコンプだとそこまで自然でもない。(まあ好みの領域であることは認めますが)

 しかしF6も操作がなかなか複雑で、うかうかしているとただの静的EQとしてしか動作していない状態になる。あれは動作するとちゃんとモニタラインが「へこっ」と下がるので、目視で確認は必須ですね。

 ダイナミックEQは昔はなかったと思う(手コンプならぬ手EQで下げてたエンジニアもいたかも?w)、こいつはプラグイン時代の文明の利器といえそうです。

カバー曲の存在意義

 世界にカバー曲は数あれど、なかなか原曲と比べて「これは……」というものには出会えません。それはやはり、こんなアレンジをしてみました、とか、何々風に歌ってみましたとか、「お仕事」の部分が見えてしまうから。聞くほうも白けてしまうんですね。
 何が足りないのか、それはズバリ原曲へのリスペクトでしょう。ちゃんと原曲を理解して咀嚼しているか、原曲のアーティストまで見て考えているか……残念ながらこの時点で多くのカバーは失格になってしまうでしょう。上から言われてやっただけ……そんな商業主義の限界でもあります。(もちろん中には素晴らしいものもあるが)

 しかしこの10月になって聞いたあるアーティストさんのカバー曲。洋楽のスタンダードで、既にたくさんカバーがある曲だったので、どんな風に料理してくるか楽しみだったのです。しかし実際は、細部をリファインしてあるものの、ほぼ原曲をアレンジまでなぞったものだったのですね。こう書くとネガティブな印象に思えるかもしれませんが――結果を書くと、それはもう素晴らしい出来だったのです。面白いもので、~風にアレンジしたってものより、原曲を現代のレコーディングで再現したものの方が、遥かに心に響くのだから、音楽は何が正解か本当にわかりません。
 もちろんそれは、そのアーティストさんが歌い、コーラスワークをした、ってことに最大の(そして唯一無二の)意味があるのですが。凡百のカバーにはない非常なリスペクトが詰まったトラックでした。これはオリジナルアーティストが聞いても、たぶん喜ぶんじゃなかろうか(調べたらみんなまだ存命で音楽活動してるようだ)。

 そう、なんとこの曲の発表は1975年。文字通りの洋楽全盛時代の世界的大ヒットだったのですね。Wikipediaによると当時としては非常に新しい試みをスタジオワークで行って、誰もが驚くようなサウンド&アレンジを作り上げたらしい。あれから46年か……自分は少年時代にリアルタイムで聞いていますが、歳を取るはずだよ(w)。まあそれは置いといて、半世紀近い時間を一挙に飛び越えるような、良質のカバーでした。
(このカバーのアーティストさん、どうもメインボーカルを逡巡しながら歌唱しているフシがある。理由はわかりません。それがまた歌詞と相まって良い効果を生み出していると思う。いや~お見それしました)

 カバーに必要不可欠なのはリスペクトだ!と改めて確信した秋の夜でした。

お仕事とJASRAC関連のメモ

 現状で、クライアントさんから楽曲制作を依頼された場合、どうなるか、調べた分をまとめてメモ書き。
 以下クライアントさんが出来ることです。

●JASRACへの申請なしにできること

・Youtube、ニコニコ動画、nana等への楽曲使用動画の投稿
 (国内主要サイトはほとんどがJASRACと包括契約済)

・ライブハウスでのライブの楽曲利用
 (ライブハウスがJASRACと包括契約をしているか、主催者・イベンター・レーベル等が手続きしている場合)

・ブログへの歌詞のポスト
 (国内主要ブログサイトでJASRACと包括契約済の場合)

・SpotifyやiTunesなどへの配信
 (配信サイト側で利用料をJASRACへ支払うため)

・Youtubeやニコ生などでの生配信での楽曲利用

 ネット中心の活動なら意外と色々自由に出来ると思います。一方で……

●JASRACへの申請が必要になる場合

・ホール等大規模会場でのライブ
 (主催者・イベンター・事務所等が手続きしている場合を除く)

・CDやレコードの発売

 さすがにここまでくると、許諾が必要になります。ほぼインディーズからはみ出している(CDは今は簡単に作れるが)。以下おまけで権利関係。

●権利関係

・著作権は移譲不能なのでこちら

・原盤権はクライアント保有
 (でないと、動画投稿などでいちいち許諾がいる状態になる)

・JASRAC登録後は、一般公開作品データベースJ-WIDに楽曲名が載る
 (条件付きだがアーティスト名も載せることが可能)

 J-WIDの件はなかなかのアドバンテージに思えますが、いかがでしょうか。
 今のところはこんな感じです。

ドラムアレンジの盲点

 バンドアンサンブルの要のひとつ、ドラムスのアレンジ。定番的なパターンはあっても、和声理論のようなものがリズムにあるわけでもなし、このジャンルのこの曲調ならこんな感じと、世にある楽曲を思い起こしつつ、毎回その場で作っていくわけですが。
 ドラムスは録音も難しいので、ギターやキーボードは宅録でも、ドラムだけは打ち込みということも多いと思います。そんなニーズもあり、現代のドラム音源は非常にリアルなわけで、ちゃんと打ち込めば非常に高品質なトラックが出来上がります。そこで最終的にはアレンジが重要になってくるわけですね。

 自分の場合は、メロディとコードを付け終わったら、大抵すぐドラムのアレンジを作り始めます。それはやはりバンドアンサンブルの土台だから、ここからアレンジを作っていくと非常にやりやすい。(もちろんこの時点で全体のアレンジプランは頭にあるが。次はご想像通りベース)

 ここでキック、スネア、タムあたりは非常にはっきりした音で、ピアノロールに入力するとしっかり聞こえますが、問題はハイハット(特にクローズ)。これ、案外音が小さくて聞こえないのですね(特に他にコード楽器なんかが乗ってくると埋もれてしまう)。最近の音源はオーバーヘッドでちゃんと拾っていたりするもんね、で直接のマイクの音は小さかったりする。
 そこで自分は解決策として、ドラムのアレンジを始める段階で、事前にバスコンプをドラムバスにインサートしてしまいます。これで大抵はっきりとハイハットが聞こえるようになる。最終的なミックスをした後のバランスに近いので、いざ出来上がったらハイハットのアレンジが変だった……なんてトラブルもない。なのでこの方法をやってない方がいたら、お勧めです。

 制作の最終段階まで埋もれているのに、意外とハイハットは完成トラックになると急に存在感を増すので注意。たぶん被っている音域を削っていくと残るからでしょう。モニターヘッドフォン等ではミックス中は(他の音が)「聞こえすぎる」ってことでもあると思います。

 実際のアレンジでいうと、あまり細かいスカした刻みを入れてしまうと、途端に打ち込みっぽくなってしまうのがハイハットでもあります。といってあまりに”透明”なアレンジもつまらないし、この辺りはさじ加減次第といったところ。