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続・お宝雑誌発掘

 実はひとつ前に書いた80年代の音楽雑誌「KB Special」の件、翌月号も見つかりました(1988/6)。2号続けてCASIOPEAの最新アルバム「EUPHONY」が特集されていたのですね(それだけ音楽的にも面白い作品だったといえそう)。
 紙面に登場されているのは……

 当時のトレンディードラマに出ていた俳優さんです、って言ったら今の若い子は信じますね(w)。
 もちろんリーダーでギタリストの野呂一生さんです。今も昔もカッコイイ。ここで色々書くのも恐れ多いですわ……。文字通り日本を代表するミュージシャンのお一人です。

 ギターのコードプレイで、テンションノートがハイに行くほどコードの機能が強くなるって話。キーボードとの比較で、どうしてもボイシングに制限が出てくるので苦労するって話。作曲のとき、転調はするが基本となる調の調性感は大切にしているって話。あまり転調してやろうと思って転調しないそうです、あくまで楽曲の流れを見て、一時転調とか臨時転調とか。(やっぱり、これがカッコイイのですね)
 前回も出てきた「m7(b13)」は野呂さんが発明された表記とのこと。

 実はこの特集だけでなく、別の新製品紹介のページでYAMAHAのMIDIギターシステムG10のレビューがあり、そこで野呂さんが実際の利用者として登場されています、
 このG10、「EUPHONY」の中でも使われていたのですね。「SENTIMENTAL AVENUE」や「SOLID SWING」でTX802やRoland D-50をドライブしていたとのこと。G10は純粋にMIDIコントローラーに絞った製品で、今のようにピックアップでギターとしても使えるものではなかったようです。またハマリングオン等、細かいテクは拾えなかった。ただしチョーキング等でクォータートーンを出すのは可能だったらしい。

 この号、表紙は坂本龍一さんでした。当時からオーケストラと共演するスタイル。もうこれだけでも30年以上の積み重ねがあるってことになりますか。

 そしてKORGからは驚異の新製品が……!

 うーん物凄い時代だったよ、80年代。実はこの頃の音楽雑誌は一杯実家に取ってありました。また面白い記事があったらシェアします。

新表記法: 4度堆積和音

 雑誌の音楽理論の記事を見ていて思ったこと。フュージョンやジャズはやはり4度堆積和音の利用頻度が高く、だからこれらの音楽をずっと聞いていた自分も、知らず知らすのうちに馴染んで好きになっていたんだな、と。
 ボカロ曲を書き始め、コードを自分で決められるようになって(最初は、なんとDAWの自動判定機能に頼っていた!←メロから判定)、結構初期からsus4コードが好きで、なんでこんなに惹かれるか分からなかった。結局既存のコード体系のなかで、一番4度堆積と親和性があるコードだからなんですね。なんせ4度の音がしっかり入っている。
 そしてこいつは、メジャーでもマイナーでもない不思議なフレーバーで、ちょっと浮遊感があり、オリエントな雰囲気もある面白いやつでもあります(作曲勢の皆様は先刻ご承知ですね)。
 昔のポップスなんかだと、「Csus4 | C 」みたいな進行が常套句だったのですが、自分は結構知らん顔して他のコードに進んじゃったりとか(笑)、理論知らないうちからやってましたが、これは正しかったのだと後に知りました。現代曲だとそういうのは結構ある、違うsus4が連続したりとか。もう独立した和音のようなっている。これなんかも、たぶん考え方としては4度堆積の方から引っ張ってきたと思っていいのでしょうね、あちらは明確なコードケーデンスもないから(むしろ既存のケーデンスに組み込まれていない、という言い方のほうが正しいか)、どうやら感覚的に使う世界のよう。非機能というより脱機能っていう感じですかね。自分も曲では結構こういう使い方です、昔よりは控えているけどw こうやってちょっと解析不能なところを作っておくと、やっぱり曲のアクセントになって面白いんですよ。

 まあそれはともかく(長い前置きだw)、音楽理論(コード理論)は3度堆積和音を主眼に考えられているから、ここに4度堆積を持ち込もうとすると、コードネームの表記に非常に苦労するわけです。それでも皆さん、なんとかかんとか既存の和音の展開形を使うことで、4度堆積を表現しているのですが、いかんせんやはりパッと見わかりにくい。譜面にコメントで書いておくという方法もありますが、できればそろそろ4度堆積を表すコード表記を考えてもいいんじゃないか、とふと思いました。まあこれが必要なのは、フュージョン&ジャズ業界が中心になるのでしょうが……。オンコードだのオミットだの、オプションがたくさん付いてしまう現状を、なんとか打破できないか、というひとつの試案です。

 例えばCからの4度堆積

    C-F-Bb

 こんな和音があったとします。既存の表記だと「C7sus4 omit5」ですね。
 これを、CM7とかCmとかと同じく、簡単に書きたい。
 だったらQUAD(ラテン語で4が語源)からもってきて、4度堆積和音には「Q」を付けてはいかがでしょうか。
 「CQ」です。若干アマチュア無線を思い出しますが、それならCMだってコマーシャルですからね。
 今のは3和音(トライアド)でした。4和音(テトラド)の場合は、「CQ#9」あたりがよろしいのではないでしょうか。4音目が#9になるので。

 この表記が良いのは、ひと目でベースになる音がわかること。CQならCだし、FQならFです。いかがですか?
 もしかしたら、というか絶対こういうことを考えている人は世界のどこかにいると思うのですが、自分が知る限りでは見当たらないので、とりあえず提唱してみました。
 今後4度和音が理論に組み込まれていく(というか、モード理論とかあるけど)過程があるなら、絶対に簡便なコード表記は必要になるはず。

 まあこういうのは広まらないと意味がないので、このローカルブログで言っていても仕方ないのですが(笑)、とりあえず、自分はこの表記で便利になるかどうか、自分で書いていく曲では使ってみてセルフ人体実験してみることにします。DAWのコメント機能でスコアに入れればいいだけだからね。何か新しい知見が生まれるかもしれないし、そうなったらまた報告します。

(世の中には5度堆積ってのもあるそうで、こっちは表記するとしたらPentaのPかな?)

(何か致命的に変なこと書いてないか、ちょっとドキドキ)(笑)

お宝雑誌が発掘された

 実家で古い雑誌を整理していたら、お宝(もちろん音楽的な意味で!)発見。
 ちょっと若手芸人感のあるこの方、どなただと思います?(色々と各方面で怒られそうだなぁ…)

 キーボーディストの向谷実さんでした!(すいませんすいません、土下座←大汗) 若い!細い!黒が似合う、カッコイイ。

 すごいなあー、弾いてるのモロにDX7ですね。ビンテージでも何でもない、現役機種だった頃だから。なんとこの雑誌、1988年5月号。リットー社の「KB Special」(今は休刊)。32年前ですよ。ほぇー。

 当時、CASIOPEAの最新アルバムだった「EUPHONY」にあわせての特集で、リットーの雑誌なので理論的に踏み込んだインタビューが載っています。それによると、「m7(b13)」がバンドサウンドにとって重要なファクターになっている、とのこと。4度堆積コードです。これは半音下降のような進行でdimの代わりに使っても、かなり上品で良い響きになる、と。
(しかし、当時読んでチンプンカンプンだったけど、まさか自分が理解できるようになるとは思わなかったw)

 他にも当時のCASIOPEAライブでのキーボード構成とか、巻頭にカラー特集で。まさにお宝中のお宝。こういうものは秘蔵して誰にも見せません(笑)。なんでも価値ある情報をシェアすると思ったら大間違いだよ。秘匿してライバルに差をつけろ!違うか。

 他の記事で、当時新進女性シンガーソングライターだった方のインタビューもあって、のけぞりました。LAレコーディングの6枚目新作アルバムの話。カラー写真、今と変ってないなー、驚異。32年経ってるのに、本当は絶対おかしいでしょ?
(しかしこのインタビュアーは、今読むと少し悪意がある気がする。ピアノは何曲弾いたの、とか、アレンジはどうしたの、とかやや詰問調。若手苛めって気もしないでもない。アーティストさんも大変だ。なおMajor7thコードがお好きということですw いいっすよねー)

 もう永久保存版ですね、ダンボール箱にしまい込んでいたので状態も良いです(外気に触れず酸化しない)。他にも清水信之さんや久石譲さんの連載とか、デヴィッド・ペイチとか。
 いやー、しかしびっくりしましたわ(w)。

(追記:まさかここを読んでいる人で向谷実さんを知らない人がいるとは思えないけど、日本を代表するミュージシャンの一人でっせ。最近では社長業の方でもよくメディアに出ておいでです)

さりげない冒険的ミックス?

 例によって古い洋楽コンピのCDを仕入れて聞いていたら、またもや面白い発見。AORベストという、まあ名前からして80年代あたりの曲しか入ってないやつですわ(w)。

 クリストファー・クロス、この人は非常に美しいボーイソプラノのような歌声のアーティストでしたが、その大ヒット曲「セイリング」。アンプを通しただけのようなナチュラルな音のストラトのアルペジオが印象的な曲です。このストラトが手動ダブリング(つまり2回重ねて弾いている)なのは知っていたけど、今回じっくり聞いてみたら、大編成のストリングスがかなり面白いミックスなのに気付きました(チャンバーオケくらいの陣容)。
 だいたい定石だと、こういうストリングスはスケール感を出すために左右一杯くらいに広げて迫力を出すじゃないですか? こいつはなんと、モノラルか、ってくらいに中央に寄せてあって、これがまた曲全体のサウンドの中で非常にハマっててカッコイイんですわ。逆転の発想。
 この曲は、ちょっと内向的というか、インナーワールドな哲学的な詩の曲でもあるし、アレンジもそうなので、これはミックスした人がわかっててやったんだろうなあ。ちょっとクラシカルな感じがイイネな弦でもあります。

 こうなってくると、今時の派手なミックス処理でなくても、こういうさりげない処理だけでも(定位変えただけなので)、もう立派にアレンジの一要素だなあ、と思えてしまいます。
 これはリアルではありえない定位、逆に他の楽器、例えばドラムのタム類は定石通り派手に左右に振ってあるし。ミックスをするときはついリアルに引っ張られがちだけど、あまり固定概念に捕らわれるのも良くないなあ、と思った次第。
(リアルだと弦だけ50m位奥にいたらこういう音場になるか?w)

 今月に入って急に気温が下がってきました、年末年始お忙しい方ばかりだと思いますが、皆様もどうかお身体にはお気をつけて。

音感について

 作曲家と称しているからは当然かと思いますが、ボカロ曲を書いていた時代よりは、確実に準絶対音感的なものがついてきてる。
 まあしょうもない自慢っぽいけど、聞いて下さい(笑)。つい先日、日本が誇るインストのフュージョンバンド、カシオペアの名曲「ギャラクティック・ファンク」を、ふと思い返してたんですよ。
 長年活動しているバンドなので、幾つかバージョンがありますが、1982年にリーリトナー・バンドとがっぷり四つに組んでセッションしたアルバム「4X4」に収められていたやつ(どうでもいいが煩雑に80年代話が出てくるブログだなw)。延々とソロ回し、いわゆるバトルというやつがあるんですが、あのバックのコード(進行)。あれってずっとディグリーの「I」っぽいな、と思って。しかもあのコードって、テイストがなんかEっぽいけど違うかな? と。

 ここでカシオペアのリーダー、野呂一生さん監修のギタースコア「Best Selection」という伝家の宝刀を参照するわけです(自分なんかからすると、まさに神様レベルの音楽家)。公式スコアです。……これがね、ずばり合ってたんですわ。
 ワイもなかなかやるな、と(笑)、まあ自画自賛ですよ。
 たださすがにテンションまではわからなかった、「D/E」だそうですね(オンコード表記でなく、アッパーストラクチャー・トライアド=2段重ねのコード表記)。普通の書法だと「E7(9,11)」ですか。
 まあ長年聞いていた曲なので(今でも聞いている)、わかりやすかった、ってのはある。
(しかもこの曲、実はレコードには公式バンドスコアが付いていた。なぜか長年ミッドマンハッタンのスコアだと思っていたw 何を見ていたんだろう……当時は一杯#がついていて難しいなあとしか)

 コードのテイストやフレーバーで、これはメジャーセブンスとかディミニッシュとかオーギュメントだな、ってのはもう直感的にわかる。曲をずっと書いているとこういう感覚がついてくるんだな、と判りました。
 これはテンションについてもいえて、9/11/13あたりはかなり判る。オルタードテンションになるとちと難しいが。複数ってのも無理かなあ、これはもう聴音の技能になってくるかもしれませんが。
 基本的なところで、V7-IVなんて進むと、どうも落ち着かなかったり(音楽の流れがぶちっと切れた感じがする)、V7sus4-IVならアリだけど。こういうコード進行感も結構前についた。あと禁止系テンションもダメね、結局アレンジの時、音が当たって気持ち悪くて直す羽目になる。だから音楽理論というのは本当によく出来ているんだな、と。

 しかしこんなことを自慢気に書いているようじゃ、まだまだですか(w)。我←加油!

時代の流れから影響大なもの

 ある曲を聞いていたら、効果音が入っていてふと思った。これ電話のダイヤルを回す音だけど、今の子はこの「ジーコ、ジーコ」って音何かわからないだろうな、と(w)。ダイヤル式電話機ってもの自体を知らない可能性もある、生まれてからプッシュホンしか見たことないとか。あれはダイヤルを回す間に色々と思ったりするのだけど(回して戻るまで時間掛かるしね)、このあたりの機敏も想像できないよな、とかね(相手が気になる異性だったりすると……)。考えたらこの「間」は、なかなか文学的でそれこそ歌にするには持ってこい。ワンタッチでどこでもすぐ「繋がる」時代ではなかったのですよ。昔は家に一台の電話機が普通だったから、相手の親が出たりね(笑)。

 ちょっと脱線したけど、電話というかコミュニケーション手段の描写というのは、時代の変遷で如実に影響をうける領域ですね。非常に身近でなくてはならないものだから。(電話すらない時代は手紙だったわけで……)

 まあダイヤル式電話が登場する歌は数あれど、拝聴しましたよ白いアルバムのラスト曲で。
 このアルバムがデビューから2枚目かあ、と思うと、(僭越ながら言わせて頂けば)かなり尖がっていたんじゃないでしょうか。名女性アーティストをプロデューサーに迎え、某アニメのあのポップな曲が60年代洋楽フレーバーないぶし銀のアレンジに……ってもあったし、それでいてアルバム後半にいくにつれ曲調が明るくなっていくんですね。アーティストさん自身が希望したプロデューサーだったとのこと、1枚目に続いてサウンドもアレンジも驚きです。こんな作品が35年前にあったのか……(おいおい、今更w)。

 しかしこれはジャケットから音が全く想像できませんでした。アングラっぽいモノクロームのカラーが似合う(あっ、でも白か)。1枚目がフルカラーなら、2枚目は白黒映画。
 80年代という枠には収まらない異端のアルバムでした。プロデュースについて、学ぶこと多々。いやはや勉強させて頂きました。

ディスコサウンドはどこに消えたか

 古めの、しかし年代バラバラの洋楽コンピCDを聞いてたんだけど(時々良曲が見つかるので)、今回はハズレかなあと思ってあきらめかけた矢先。ロッド・スチュワートの「Da Ya Think I’m Sexy?」(邦題・アイムセクシー)が流れ始めて、懐かしいなあ大ヒット曲、と思って聞いていたのですが。

 これ、当時はロックかと思っていたが(ロックのスーパースターなので)、かなりサウンド志向でアレンジも良いし、普通に素晴らしいキレキレPOPチューンだったのですね。中学生の頃新曲で聞いて、ボーカルに変った処理をしているなあ、と思った記憶がある(笑)、凄い昔だぞ40年近く前か……調べたら1978年だって、41年前じゃん!全然古びてない驚き。

 今聞くと、あの印象的なリフで鳴っているシンセ(当時はハードしかない)は、2台を手動レイヤーしているようだ。片方はソリーナ・アンサンブル、もう片方はたぶんオーバーハイムかな?どうかな?(もしや3台?) かなり新しいサウンドメイキングだったのでは。
 そしてサビでは、Eベースにユニゾンしてやっぱりベースシンセが鳴っているんですね。刻みのエレキギターも2本あるわ、サックスまで乱入してくるわ(ソロもある)、かなり聞かせる曲でした。改めて見直した、もっと単純明快なロックのイメージだった。

 調べてみると、この曲は当時ディスコサウンドといわれていて、例によって「(売るために)ディスコなんかに魂を売った!」と欧米ではかなり批判されたらしい。ロッドは「ローリングストーンズもやっている」などと反論、意に介さなかったとか。全英・全米、そして日本でも大ヒット、この人の最大のヒット曲になったのでした。

 当時、その批判は知らなかったのですが、普通にカッコイイ曲だと捉えていました。それは今も変らないのですが、今の耳で聞くと、ビート感を(踊れるように)極度に強調した、いわゆるディスコサウンドには聞こえないんですね。こういうことは往々にして他の当時のディスコ曲にもある。

 なんでかと考えてみましたが、この時代からPOPSはビートを強調する方向にどんどん進化していて、これくらいのビート感は今は普通になってしまった、ということでしょう。むしろ今の音圧ガシガシに慣れているヤングメンは、ちょっと大人しいと感じてしまうかも。
 だからディスコサウンドやそれ系アレンジは、発展的にPOPSの中に取り入れられて普遍化してしまったということなんですね。現代の曲の直接の祖先のひとつと言えるかもしれません、EW&Fなんかもそうだけど。

 Youtubeで調べてみたら、割と最近出たDNCEというバンドのカバー曲が見つかったのですが、これは逆にかなり…ダメだった(笑)。原曲へのリスペクトがない、というかたぶん昔の曲のツボを理解してないように思える。こうなると悲惨です。(上からの指示でやらされた系か?)

 逆に最近聞いた日本のCDで、’70-80年代の洋楽や、なかんずくサンタナまでちゃんと研究して取り入れている若手アーティストさんがいて、これはリスペクトと換骨奪胎という意味ですごく良かった。わかっている人がやるのとそうでないとでは全く違う、当たり前だけど。

 まだまだ、新しい曲、そして古い曲からも、大きな発見がありそうです。でもあんまり音楽聞けなくなったなあ、制作をやっているとどうしてもね。ある程度は耳を空けてないと耳がバカになっちゃうし。といって聞いてないと刺激が貰えない。悩ましい毎日です。

(追記:どうもサビのシンセは3台ユニゾンっぽい…。しかもこれ、プロフェット5に聞こえるが、まさかと思って調べたらなんとこいつも1978年発売。ソリーナ、オーバーハイム、プロフェットのレイヤーだとしたら最強っすわ。いかに当時の音作りがセンスあったか)

ちょっと面白いアジアの民族楽器

 つらつらと、民族楽器といっても例によってサンプリング音源の話です(w)。まあ実物の写真はググってみたり、Youtubeで演奏動画を漁ったりはしてるんだけど、最低限。でもさすがに情報量は少ないですね、日本語のページも軽く触れている程度のものが多く、といって英語圏で詳しいページがあるかというとそうでもなく。Wikipediaにコンパクトにまとまっているだけとか。例えばこれ、なんだと思います?→「Er Hu」 なんと、日本語だと「二胡」なんですね。例の、人の声のような音色の素朴な(そして素晴らしい)弦楽器です。

 世界の民族楽器をいじっていると、本当に様々音があって退屈しない。便宜上音程の出る楽器は、もちろんちゃんと西洋音階にチューニングして収録されています。本来は、きっちり割り切れる音階がないものも多いんでしょうが。
 で、まあ、やっぱりこういうのはアレンジでスケールを使った方がなんだかしっくりくるんだよなあ(といってもチャーチモードだったりしてねw これも実は今の西洋音楽成立前の世界だから)
 楽音のイメージ想起力みたいなものが半端ないですね、やっぱり民族楽器は各民族の長年の文化・伝統が染み込んでいるから、知らない国の知らない楽器でも、ちょっとフレーズを作っただけで、中東に飛ばされたり、ケルトの世界に飛ばされたり。本当に音の魔法といえると思います。

 打楽器もヘンなのが多くて面白いでっせ、ドラムセット+ラテンパーカッションに加えたら、かなり面白いリズムセクションになるはずです。

 ただ、民族楽器は個性が強いだけに、使い方が難しい。すぐ浮いてしまう。あんまり使っている人(曲)もないから、どう現代の楽曲に取り入れるかは、トライ&エラーみたいにして定石を見つけていくしかない。
 その中でも、特にアジアの楽器というのは、比較的使われていることがないから、新しいことをやりたい人間には穴場だと思っております。(インドとか、アフリカとか、中東とか、東欧なんかは割りとありますよね? ラテンなんかは言うに及ばず)
 アジアの楽器でも、意外と、ああモンゴルだ~とか、ああチャイナだ~とか、そういう系統の曲でしか普通は使われていないんですね。だからこれを(ラテンパーカッションのように)汎用的にPOPSの中に入れてみたらどうなるか。かなり面白いんじゃないか。

 まあ、こういうことを書くということは、つまり、そういうことですので(笑)。
 本当に無限の可能性があるなあ、音楽は。まあエスニックというくくりでムーブメントになったことは過去何度かあるとは思うので、偉大な先人の功績を横目で見つつ、自分もチャレンジあるのみです。

 聞くべきCDはたくさんあるが、音楽制作が忙しくてなかなか後回しになりがちなのが、最近の悩み。

ハープの不思議

 アレンジしてていつも思うのが、ハープという楽器の音色の美しさ。まあ自分の場合はサンプリング音源(バーチャル楽器)ですがw それでも現在の音源は、ただ録音した音を並べただけのものとは大違い、ちゃんと演奏エンジンで奏法も網羅して、音の強弱で音色まで変わり、同じ音程・強さの音を複数用意して自然に聞こえるようにしたりと、驚くべき細かな作り込みがされています。これはもう便宜上でなく本当にVirtual Instrument=仮想楽器といって差し支えない。特にヨーロッパのデベロッパの音源は素晴らしい物が多い、音楽への愛がないと作れないってのばかり。
 ちょっと脱線したけど、ハープの話。もちろんハープの音色が美しいといっても、おいしい音域ってのはやっぱりあるわけで、高すぎるところ低すぎるところは、やはりイマイチ響かなかったりする(このあたりは音源毎の差もある)。それで、アレンジでちゃんとハマるように使うわけです、そうするとああハープだね美しいねってなるw

 で、なぜかハープでアレンジを書いていると、ホールトーンスケール(全音音階)が使いたくなるんですよね。多分これ自分だけじゃないでしょ?作曲勢の皆様も同じじゃないかなぁ。
 わからない方は、鉄腕アトムのオープニングの不思議なフレーズを思い出して下さい、あれがホールトーンです。(何?アトムがわからんて?w 白黒のやつだしな)
 ねえ?ピアノとかでやると、ちょっと不自然な感じもあるんだけど、ハープでやると非常に美しく響くんです。チューニングの関係もあるんだろうけど、どうもこれハープという楽器に内在している、なんらかの根本原理的なものに触れるからちゃうかと、思えてきます。むしろこのスケールこそ本来のハープだったのでは?とかね。

 今僕らが思い浮かべる一般的なハープは、オーケストラのどでかいグランドハープですが、あれは非常に洗練された複雑な楽器で、あのフレームの中に精密メカが入っていて、ペダルを踏むと弦が半音(全音)上がったり下がったり、というシステムですからね。
 昔のハープはむしろ民族楽器で、ハープ類のリラなんか手で持てるくらいの大きさだったわけで(その代わり音域も狭い)、当然西洋音楽確立前からあるわけで、その頃はメジャースケールなりマイナーなりにチューニングされてたわけじゃない。むしろ今でいう民族音楽スケールだったり、それこそホールトーンだったかもしれない。その名残りなのかもしれないですね。
 グランドハープは、これらのハープを発展拡張してオーケストラでも使いやすいようにしたものだから、やっぱり昔を引きずっているわけです。

 民族楽器を使うと、それがたとえ仮想楽器でも、つい違うスケールを使いたくなるのは、やはり知らず知らずのうちにその楽器の歴史に影響されているんだなあと。それくらい一つの楽器の背負っている背景・文化は重い。そしてそういうスケールを使うと、また非常に美しく鳴ったりするのだから不思議ですね。
 面白いなあ、と日々思っています。

(そこへ行くとピアノやギターは、歴史はあるが明らかに根無し草で汎用的だなあ。楽器界のコンビニってとこか? 更にシンセサイザーは……って広げるとキリがないのでこの辺で)

お手軽Wall of Sound

「隣りのスタジオに防音壁が出来たってね」
「ウォール」

 …いつも知的な論考を心がけている弦央昭良です。皆様いかがお過ごしですか。

 某有名プロデューサーが得意とした制作手法、Wall of Sound。明確な定義はなさそうですが、文字通り音の壁のように広い音域に様々な楽器の音を配置したり(これは発展型の定義らしい?)、あるいは多重録音によって重厚で音圧感のある楽曲に仕上げる感じ、でしょうか。随分ぼやっとした認識ですが。これをやると実際に音圧が上がって、マスタリング等で無理しなくても聞きやすくなりますね。

 ところが、最近気付いたのですが、これをたった一台で実現できる夢のような楽器がこの世にはあるんです。お気づきの方もおられるでしょうが、それは……パイプオルガン。

(BGM:「トッカータとフーガ」ニ短調 JSバッハ)

 あれは様々な音色だったり音域の音をレイヤーしてるので、単音でも実はたくさんの音が“ブレンド”されていたります。これでコードでも弾いた日にゃ、かなり広い音域に渡って音の壁が出来て、教会なり施設にその音が(ナチュラルエコーを伴って)響き渡り、聞き手を圧倒します。これをWall of Soundといわず何といいましょう。
 しかもペダル(足鍵盤)までありますからね。これで凄まじい重低音をズドーンと響かされた日にゃ、まさに無敵!という感じ。楽器の音域表などを見ても、一番低いところはパイプオルガンなんですね。

(蛇足ながらアレンジの本なんかに出てくるペダル・ポイントは、このパイプオルガンのペダルが語源。鍵盤を踏んでる間中、どこまでも音が伸びる)

 つい先日Youtubeを見ていたら、パイプオルガンの演奏動画を上げられているオルガニストの方がいらして。手元と譜面と足元が映るという、作曲勢にとっては非常に有難い映像でした。

(BGM:「主よ、人の望みの喜びよ」JSバッハ)

 ここで気になったのが、足元のカットに、足鍵盤以外にボリュームペダルっぽい代物が2つ映っていたこと。エレキギターでバイオリン奏法をやるときに使うやつ、っていうかモロに車のアクセルっぽい形態のやつ。こりゃなんだろう、と。

 パイプオルガンは、自分の知識ではボリューム操作は基本できずに、音を大きくしたかったらレイヤーいていく、って認識でした。
 ただ、むろんパイプへ送る空気圧を調整すれば理論上音量の大小はつけられるはずなので、それかな?と。

(昔は、お金持ちが葬式すると、教会のパイプオルガンの音が大きくなるので、街の人はすぐわかったらしい。なんせポンプを回す人をたくさん雇えるのでw)

 ちょっと調べてみたら、ヤマハの楽器解体全書のページに解説があって、パイプをひとまとめにして箱の中に入れるような構造があるらしく。その箱のスリットを開け閉めすることで音量を調整できるらしい。
(ただ、巨大な低音パイプみたいなのは無理だろうな)

 木管系の音、金菅系の音、音域も様々で、実はシンセサイザーに一番近い「生楽器」がパイプオルガンだな、と常々。皆さんもそう思ってるでしょ?
 元々最初のシンセサイザーの開発目的の一つに、パイプオルガンを再現する、ってのがあったと聞きます。その前のハモンドオルガンもそうでしたね。

 正に楽器の王者、パイプオルガン。いや、王者がピアノなら究極帝王みたいな感じか(w)。
 オーダメイドなので一台一台全て違っているという点も興味深い。

 最近アレンジに入れてみて面白かったので、秋の夜長にだらだらと書いてみました。