ベリンガーのmoogサウンド

 ドイツのベリンガーといえば、品質イマイチだけど価格はお手頃……みたいなメーカーとして業界では永らく知られてきました。ところがアナログシンセのブームに乗って、名機のリイッシューやらオリジナル製品を出すようになって、評価は一変、高品質プロダクトも出せる会社として大いに名を上げています。(むろん、今でも早い・安い・旨い系の製品も作っている)

 自分が使っているモジュラーシンセのSystem100シリーズも、無論80年代にRolandが出していたSystem100mのリイッシューです。入手不可の部品があったり、ユーロラック向けに機能を追加していたりで、完全なデッドコピーではありません。こうなると当時の音を再現するのはかなり難しいと思うけど、この製品は見事にやりきっていますね。
 自分は、80年代のオリジナルの100mの実機に触れたこともあるし、使われている曲も知っているので、一応当時の音は知っているつもり。本物の音は、ベリンガーのよりもっと荒々しかったと思うけど、ベリのは現代的にキレイにまとめている感じ。決して別物とは感じられないから、非常にうまく作り上げていると思います。
 このあたり、導入前にYoutubeで海外勢の動画を色々見てみたが、やっぱり多くのユーザーは同じ意見でした。彼らが実際に曲を演奏させている動画を見て、こりゃイケると判断したわけです。
 で、ベリンガーすごい!ってなったわけです、ここまでは……(w)。

 ベリは、同じようにユーロラック規格でモジュラーシンセの決定版、moog system55のリイッシューも作っているんですね。通称タンス、フルセットでは巨大な壁のようになってしまいますが、これはユーロラックなので、実はかなりコンパクトになっています。とはいえフルで揃えるとかなり壮観で映えます。ところが……。

 結論をいうと、これ結構moogと音が違う。
 ベリの公式動画を見ると、ちょっとイケてるベリのおじさんがモジュールを紹介していますが、音を出した時に、「あれ、なんか違うな」って顔してる(笑)。結構正直なんですね。どうかな、他人の空似、みたいな音じゃないかなコレ。moogというよりgoomみたいな感じ。
 なんか違うよな、と思いつつユーザーの動画を色々見てみたが、やはり皆微妙な空気。面白いですね、system100のやつはほぼ絶賛なのに、sytem55はやはりリイッシューとして出来が悪いんじゃないかろうか。
 実はmoog自身がsytem55はフルサイズで何度かリイッシューを出していますが、海外勢で本物とベリのやつを並べて、音を比較している動画までありました。これは意地悪だ(w)。当然、誰が聞いても違うよね……ってなります。なんか惜しいんだけどな……。

 リイッシュー品なら当時と必ず同じ音、とは限らないという話でした。特にmoogは有名メーカーで、みんな音を知っているし、評価は厳しくなります。