月: 2020年12月

聞きかじり三島由紀夫

 NHKラジオを聞いていたら、昭和のラジオ番組アーカイブから歴史的に面白いものをピックアップして解説する番組をやっていて、それで3回くらいに渡って三島由紀夫の話が流れていました。
 三島自身が肉声で話している番組が流れるわけで、例の市ヶ谷突入の演説以外では、あまり普通に喋っているところは知らなかったので、なかなか興味深かったです。非常に論理的で明瞭な話し方をされる方ですね。もちろん映画出演したり劇団を率いたりという活動もしていたので、そのためもあったのでしょうが、やはり根本的には非常な知性からくるんでしょう。当時華々しかった左翼学生運動集会での対話もあったりして、三島自身は右翼であったといえるでしょうが、意見が正反対の側との対話を厭わない、いやむしろ積極的に話し合う・議論するという姿勢があって、今更ですが流石としか言いようがない。今の与党議員はぜひ爪の垢でも煎じて飲んで欲しい。
(そういった意味では非常に民主主義的な人だったといえるのでは?)

 で、その三島が当時の番組で、『葉隠』について言及して、この中に書かれていることを自分は評価しているが(武士道とは死ぬここと見つけたり……というアレ)、もう戦争が終って戦後になり、平和の世になった。自分は大儀のために死ぬというチャンスもなく、ただ老いて無様に死んでいくのだろう、という意味のことを言っていました。
 また、前述の学生運動での対話では、質問者からモロに「葉隠には死について書かれているが、あなたが心酔しているならいつ死ぬのか」みたいな無茶苦茶な質問もあり(w)、それに三島は苦笑混じりに、やはり自分は死ねずに老いていくのでしょう、みたいに答えているんですね。(これで怒らないのは大したもの。対話がむしろ楽しかったのでしょうか)。

 そしてなんと、死の2週間前に三島の自宅へ文芸評論家が訪れて録音されたというインタビューもあり、そこで色々と答えているのですが、上に書いた番組での声とは違って、かなり沈んだ、覇気のない声で、度々聞き取りにくい感じでした。もう自決の計画作成は全て終え、あとは実行のみという段階だったでしょう。今風にいえばあきらかに鬱っぽかった。

 今回気付いたが三島由紀夫という人は、メディアに出まくっていた人もであったのですね。現代的な作家像を体現していた人ともいえそうです。

 個人的には、三島が実は特撮怪獣映画の大ファンで、あの有名人が誰にも言えずこそこそ一人で映画館に入って楽しんでいたこと(なんかわかるがw)、日本画家の東山魁夷も全く同じで、何かの拍子にそれがお互い知れて、雑誌の往復書簡で嬉しそうに相互カミングアウトした、って話がツボです(w)。
 『美しい星』っていう全然宇宙人ぽくない宇宙人が出てくる長編さえあるからなあ……。かなり空飛ぶ円盤はお好きだったらしい。
 著名なSF同人誌『宇宙塵』の初期の会合では、三島や安倍公房も顔を出していたそうですね。ほんと、この時期の作家は一筋縄ではいかないですわ。

伊勢佐木あたりに点る灯は…

 タイトルを見てピンと来たあなたは、少なくともアラフィフ以上のはずw そう、青江三奈さんが歌った「伊勢佐木町ブルース」の話です。イントロで扇情的なハイストリングスと、青江さんのハスキーで低い「アン、アン」という”喘ぎ声”(音楽的にはスキャットと考えられる)が呼応しあう、一度聞いたら絶対に忘れられない名曲ですね。
 なんか、いきなり聞きたくなったんですよ、Youtubeにも音源が上がっているけど、例によってあまり良いエンコーディングじゃないし、結局ベスト盤CDを買って聞いたがこれがやはり大変良いものなのですよ。聞こえない楽器の音がちゃんと聞こえる、アレンジが立体的によくわかる。ともかくこれは大人のPOPSだなあと、これもムード歌謡になると思います。
(ストリングスは音域の関係で少しピッチが悪いんだけど、そこがまた生の味。絶妙の効果です)

 作詞・川内康範、作曲・鈴木庸一、編曲・竹村次郎。この中で川内さんは、昭和の数々の演歌・歌謡曲を手がけた希代のクリエイターですね。なんと、あの『月光仮面』の原作者でもあり(日本の特撮ヒーロー物の元祖!)、そして70年代にはこれまた大ヒットした子供向け特撮物『レインボーマン』も手がけられた方。自分はそっちは小学生のとき直撃世代なので、敵の「死ね死ね団」は怖かったなあ(一説ではこれがオウム真理教にまで影響したとか)。
 ちょっと話が逸れましたが、そんなこんなで歌詞がまた素晴らしい。じっくりと聞き込んでいると、引き込まれてしまいます。

 青江さんは、今から思うとクラブシンガーっぽいな、などと思っていたのですが、Wikipediaを見ると本当にクラブシンガー出身で、高校時代既に有名な「銀巴里」で歌っていらしたのですね。この曲のアレンジはジャズっぽいけど(アフタービートだし)、だから見事に歌いこなしておられるのかと納得。川内さんに見出されたのだそうで、この曲の他にも作詞担当は多数。
 いや、しかしこのハスキーで低い声、これで冒頭の煽ぎ声のパートは、今から聞いても非常に良いですわ。凄いアイディアです、サビでまたスキャットが入るしね。
 そして、ジャズだからこの曲を昔の歌番組の生ビッグバンド(+ストリングス)でやると、実に決まるんですね。カッコいいブレイクもありますよ、これがビッグバンドブラスで決まると超クール。そんなところまで考えられたアレンジであったといえるでしょう。

 ま、この曲は大人が聞いても嬉しいが子供が聞いても楽しいんだよね(w)。なんかお姉さんがアンアン言ってるしシュビドゥバーとか言ってるし、子供にも大ウケ。真似してましたよ。青江さんはドリフの「8時だョ!全員集合」にもよく出演して歌唱されていたような記憶。

 横浜には、この歌を記念した歌碑まであるそう。
 平成も終り、令和の世からはるかに昭和中期のムード歌謡に思いを馳せる、そんな夜です。売れた枚数じゃなく、この頃のヒット曲は本当に大人から子供まで皆知っていました。
(ベスト盤には、後年リリースしたシティポップ調の曲まで入っていました。イイっすぜ)

Other practical points

  To make a song with an oversea lyricist, we have to decide how we proceed the work practically.

  After agreeing a main concept (idea), it starts like this:

(1) A lyricist writes lyrics at first, then a composer makes a whole music.

(2) A composer makes a music (melody) at first, then a lyricist writes lyrics. After that, a composer(arranger) makes a whole music.

  In Japanese music producting scenes, (2) is popular method. I heard it is same in USA, too.

  However, (2) gives much working to a lyricist. And this time, lyrics is very important. Therefore, we may take (1) method.
(I know rhyme is very difficult to make, Japanese lyrics has no rhyme except rap etc)

  Probably, after a lyricist makes the first verse, a composer should receive it and make a music for the moment. Then we can share the image and feeling of the song.

  And frankly speaking, I must remember a biggest matter of the project — it is a reward. Can I pay enough reward for the world-famous lyricist? Oh, I should know the answer. 🙂

  Like this, there are many critical points in the project. If we take a human vocalist, it costs too. (and there is a difficulty of singing management, if she(he) is a native speaker. Really can she(he) take a best singing for a great lyrics? Would you have a time for advice to a singer?)

  This is a difficult project to make succeed after all. Should we continue it? I would like to ask the sirs to think about it carefully with enough time.

From a stray-sheep composer, in the field of December.