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ディスコの名曲2

 アース・ウィンド&ファイアーの「ブギー・ワンダーランド」のCDをとうとう棚から発掘して(w)、ステレオコンポで聞いてみたが、やっぱりええわ~。演奏もむろん最高だが、ミックスが良い楽曲なので、音量を上げても全然うるさくならない。
 逆にミックスが悪い曲は、小さい音でもうるさく感じるし、大きくしたら聞いていられません(騒音)。実は音圧を上げすぎると、もれなくそういう状態になる。(現代の多くのポップス曲は、だからコンポで聞くことを想定していない、ということでもある…)

 それにしても、ちょっと前も書いたが、共通クレジットされているジ・エモーションズのコーラスワーク、もう信じられないくらいの冴え。局面によっては、モーリス・ホワイトのボーカルを喰ってしまっているような…。決して添え物コーラスではありません。
 そしてコーラスに煽られるように、リズムセクションも後半にかけて熱狂してゆく。

 エモーションズ単独名義の曲も聞いてみたが、普段はもっと力を抜いたムーディなコーラスをしているので、ブギー…の時が特別だったみたい。心技体じゃないが、何かの周期で全ての頂点がこの日に来てしまったか。それを見事にテープが記録した、正に録音芸術が完成した瞬間ですね。

 その意味で、曲のクレジットでfeatでもwithでもなく同格の「&」でEWFとエモーションズが結ばれているのに、心底納得です。

 この曲、1979年だから無論普通にレコードで発売されたんだが、EPだけじゃなく、LPサイズのロングバージョンも出たって当時聞いて、仰天したなあ。今だと珍しくないが、そういう文化がアメリカのダンス音楽にはあるのか、という驚きでした。カッコ良すぎでしょ。
 実はそっちもCDで持ってるが、長い分それだけ展開も多彩で、踊れるようになっています。全体的な印象だけど、ちょっとEP版よりクールかもしんない。
 「Let’s Groove」にも12インチ版はありますね。

音圧つれづれ

 サブスクで色々な時代の曲を聴いていて思ったんだが、やっぱり時代が下るに従って明らかに曲の音圧が高くなっていくんですね。現代的なミキシングが完成したのが1970年代後半だとすれば、それを受け継いだ80年代はまだしも、90年代からだんだん音圧が上がっていき、2000年代前半には、世界で音圧戦争とでもいうべき状態になってしまっていた。
 音圧こそ正義、もうありとあらゆる手段で音圧を稼ごうという風潮でした。この時代の幾つかの楽曲を今聞くと、もう奇音とでも言うべき凄まじいク●音質で、おいおいMXRのペダルディストーションでもマスターに掛けたのかこれは、みたいな歪みだらけの、聞くに堪えないものが散見します。いっそもう、おぞましい音、と断言しても良いくらい。
(別にMXRのペダルをけなしているわけじゃないよ、適切にギターに掛ければ素晴らしい効果。でもマスターに挿しちゃダメだろうw)
 確かに見かけ上の音は大きいかもしれないが、音質が犠牲になって楽曲が死んでしまってる。音圧のために音楽が壊されたんですね。風船を限界を超えて膨らせている感じか。実際やり過ぎてクリップノイズまで出した曲もあるらしいし。

 で、流石にこれはまずかろう、ということで、2010年代頃からは、そこまで音圧は重視されない風潮になってきてはいる、一応は。まあプラグイン等の発展で、歪ませずに音圧を上げることもできるようになってきてる、ってのはある。
 ただ注意深く良いオーディオ機器で聞くと、やっぱり現代の音圧が高い曲は、かなり無理をしているのがわかる、音が不自然なんですね。(歪みも聞こえます…)

 やはり音質的なことを考えれば、70-80年代のミキシングや音圧が最高なんですけどね。おかしな音圧歪みも全くないし、ステレオコンポで大音量で鳴らしても、非常にバランスが良く気持ちいいわけです。逆に現代の高音圧曲は、とても居心地の悪い、奇ミックスに聞こえます。(なんせスマホのイヤフォンに合わせあるからな、トホホ…)

 これらの話は、無論ジャンルによっても違ってきますが(クラシックやジャズなどは、音圧など完全無視でしょう)、なんと「高音圧化」の話は、演歌にさえ当てはまります。

 そこで弊レーベルの戦略は…って話は、まあ一応置いておきますが。とりあえず、いま音圧を気にしないといけない曲をマスタリングしているので、例によってぼやっと書いてみました。

(余談。あれだね、最近の洋楽のチャート上位曲が、ほぼボーカルと簡単なリズムとコード鳴らしているだけ、みたいなパターンが散見するが、ラップの影響と言えなくもないが、実はスマホのイヤフォンでは情報量の多い曲を鳴らしづらいからじゃないか? ハードウェア的にドライブできないってこと。テクノロジーが音楽を単純にした、って言えるかもしれない?)

EDMって何だったのか

 Electroric Dance Music――EDMといっても狭義のEDMの方。もう10年程前ですか、いきなりえらくプリミティブ(原始的/未加工)なシンセをフィーチャーしたダンスビートが世界を席巻したわけですが(といっても日本を除く)。結局、1-2年で消えましたね。当初から日本では流行らないだろうと言われてたが、その通りだった、ほぼかすりもせずといったところですか。
 詳しくチェックしていた訳ではないのでアレですが、今にして思えば、高度に専門化した制作手法も世界共通になって、「工業製品」のように平準化・単一化した現代の音楽へのアンチテーゼ、ちょっとした流行病のようなものだったのかもしれません。なんせ道具さえ世界共通なんだから、金太郎飴のように同じものばかりになってしまった、特にダンスミュージックの分野。ただラップやR&Bなんかもほぼ同じでしょう。
 それで誰かがEDMをやり出すと、また売れるということでシーンがそればっかになっちゃって、結局自縄自縛……という形、なんではないでしょうか。ちょっと意地悪過ぎるか。
 展開も音色もえらく単純だったような……それでいてそれが狭義EDMの特徴だった。音楽的には、例えばシティポップなんかとは対極にあるものといえそうです。
(別に、敵視しているわけではありませんが)

 こういう、画一化したプロダクト・ミュージックへのアンチテーゼは、ディアンジェロもそうですね。現代のブラックミュージックでありがちな作り込みを徹底的に拒否して、一発録りに近い形で楽曲を完成させる。こっちの方が、だから正統派かもしれません、それこそモータウンサウンドに近いので。(なんせEDMがアンチテーゼだったとしたら、その作り方もまた手法化されちゃったんだから、皮肉というかなんというか)

 日本人の一人としては、これが日本で流行らなかった理由の方に興味が出ますね。やはり日本人は作りこまれた音楽の方が好きだからか……? わざとセンスレスに振舞うことが、日本ではダサいと思われがち、だからかもしれません。そういう捉え方をすると、ヘタウマならぬ「ダサカッコイイ」が受け入れられるかどうか、ってところに落ち着きそう。
 まあ、今回は自分でもかなり浅い論考だと思うが、暴言妄言何卒ご勘弁を(w)。

 この狭義EDMを取り入れるとしたらどうなるのか、ってところを考えたら面白いけど、流行が終ってから流行物を取り入れるのはまたアレだし。例のフィルター開閉やら特徴的なフレーズを持ってくる、程度に留めた方が安全かもしれません。まあ実際そうなってますね。
 この狭義EDMが懐かしい…って言われて後に振り返られることがあるのかどうか。ちょっと興味があります。

ディスコの名曲

 ふと聞きたくなって、アース・ウィンド&ファイアーの「ブギー・ワンダーランド」をサブスクで流していたんだけど(CD持ってるのに場所がわからんw)、改めて気付いたことがひとつ。この曲はアレンジ的には、女性コーラスが非常に重要な役割を担っているんですね。クールなのにホット、アンサンブルもキレキレの3声コーラスが、時にモーリス・ホワイトのリードボーカルよりも重要な役割を果たしています。

 これはジ・エモーションズという女性3人組のグループで、曲の名義的にも、正式にはアースに加えてエモーションズがクレジットされている。モーリスホワイトが彼女たちをプロデュースしてヒット、その恩返しの形でアースのレコーディングに参加したらしい。そしたらこれまた全世界レベルの超絶ヒットになっちゃって……話。
 ディスコ曲は色々と分析されているが、女性コーラスに注目したものはあまりなかった印象。非常に重要なヒントを貰ったので早速制作で活かしてます。

 Youtubeにレコード会社の上げた正式なクリップが上がってますが、もうめっちゃくちゃカッコイイぞ。エモーションズが歌うところも見られます。これが40年以上前の曲って、本当に信じられない話。
 自分の世代だと、ちょうどティーンエイジャーの時で、FMラジオを聞いているとアースの新曲です、ってこれがいきなり流れてくるわけですよ。この信じられないグルーブ感、魂消たよ。いや昭和か、ってまあ昭和54年(1979年)だけどね。本当に音楽の黄金時代だった、他にも今も残っている名曲が次々に「新曲」としてチャートに出てくるんだから。(ちなみ、演奏も凄いがミックスも最高)

 おっと「Let’s Groove」のことも書くつもりだったが、長くなったのでまた今度。

インタビュー掲載

弊社サイトにインタビューを掲載しました。

 インタビュー第4回は、音楽プロジェクトACTiVATEのシングル「Chandelier Mallets」で、featボーカルを担当したなぐさ。さん。EDMやAOR、ケルトやクラシックもブレンドした盛りだくさんの曲を、芯のあるしなやかな歌唱で締めてくれました。

http://dewridge-records.official.jp/interview/iv4.html

大物二人のマル秘エピソード?

 先日ヤフーニュースで読んだ話。ユーミンさんのラジオ番組へ小室哲哉さんがゲストで来た(10年振り)という紹介記事。その中に書いてあった話で、面白いエピソードを記憶を頼りにぼやっと紹介。

 小室哲哉さんは、アーティスト活動よりもプロデューサーになるのが夢というか目標で、一時期は本当にそういう仕事ばかりになって、表舞台からは離れた時期があった。(なんと、これが理想の状態だったそう)。ただそうとばかりはしておられず、結局表舞台に呼び戻された。作詞や作曲なら工程の中で次に渡して終わり、だけど、プロデューサーはありとあらゆることに関わる、それこそ納品まで、だから面白いとのこと。

 小室さんは、昔番組で共演したとき、ユーミンさんと(夫の)松任谷正隆さんの仲睦まじい距離感を直に見て、羨ましいと思っていた。
 ユーミンさんは、夫とは二人で一つのユニットだと思っている、とのこと。ただ長い間には色々あって、もう無理、ユニット解散よ、なんて思ったことも何回かあったそう(w)。音楽的に自分は尖った方向でやりたいが、夫は割とスタンダードなところに落とし込むとのこと。小室さんは、それがプロデューサーの正しい姿、とのお答え。

 ユーミンさんがプライペートでアメリカのフロリダ方面を旅行していて、偶然音楽スタジオ付きのホテルのカフェで休憩することになった。するとそこのスタッフが、今日本のミュージシャンが来てるから見学したら、と言ってきたそう。それが小室さんだった。マイアミサウンドマシーンと一緒にやってた時だそうです。ただちょうど食事に行っていて、二人は会えなかった。

 小室さんがユーミンさんの昔の曲を聞いて、グルーブ感が物凄くよく感じる、とのこと。いいミュージシャンを使っているから古びない訳です。

(多少記憶違いがあるかもしれないので、間違っていたらごめんなさい)

TOTOの名曲「George Porgy」

 少し前からの流れでTOTOの名曲「George Porgy」を、懐かしいなあと思いながら聞いていた。ちゃんと聞くのはそれこそ20年振りくらい。これ1stアルバムに入っていてシングルカットされ大ヒット、発売1978年なんですね。

 意外に思ったのは、非常にシンプルなアレンジだったってこと。まずAメロからボーカルのメロディと、それをハーモナイズするピアノがユニゾン。B1になると、今度はギターまで単音でメロとユニゾンしてくる。この時点で、メロディをピアノ・ギター両方がなぞる形。ある意味素朴というか、しかし非常に効果的で美しい響きが出ています。

 たぶんアレンジャーの意図としては、メロを楽器でも「歌いたかった」のでしょう。これがスティーブ・ルカサーとデヴィッド・ペイチですから、まあボーカルを超える表現力で、非常にハマっています。ただのロックバンドじゃないぞ、AORだぞってことを世に知らしめた名曲ですね。
(凡百のプレイヤーだったら、あるいは陳腐なアレンジにしか聞こえないかも。プレイヤーの腕があってこその仕掛け)

 やっぱりTOTOはとんでもない人達だ、ってことを再確認。そしてまた、この頃ポップミュージックは一度完成しているんだなあ、と。