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アレンジ・リアレンジ

 必要があって、昔のメジャーリリース曲のアレンジの解析を時々行ってますが、聞き流していると判らなくても、詳しくみていくと本当によく出来ていて、先人の仕事は凄いなあ、と感心することばかり。
 実は、この「聞き流す」ってのは、高度なアレンジを施されているからこそ(リスナーが)できるわけで、どこか引っかかったり不自然なところがあったら、聞き流せないんですよね、気になって。いかに自然に、音楽の流れを止めず繋げてゆくか、そして歌の邪魔をせず、歌を最大限盛り立てて聞き手に届けるか、そういうことが全てできているわけです。それが普通に「聞き流せる」曲。

 例えば、先日男女のデュエット曲のアレンジを解析してたら、アルトサックスは女性ボーカルの時だけバックでオブリガート吹いてたりね。男性だと音域が重なりますからね。逆に男性ならソプラノサックスにすべきかもしれない、あるいは重ならないようにする。(思い出したがビリージョエルの「素顔のままで」はアルトサックスだなぁ) しかもうっすらとパンで振ったチェロが鳴っていたり、ちゃんと不足する音域を埋めるような構成になっている。もう達人の技ですわ。

 こういうのは作曲・アレンジの本を見ても載ってるわけじゃなし、楽曲を聴いてノウハウを学んでいくしかない。幸い今はYoutubeもあるし、古い曲のCDだって入手しやすい。あと意外に良いのが、古いEPシングルレコード、オークションやメルカリで出てたりすることもあるのでそれを買っても良い。(当時の雰囲気がジャケットからわかったりする)

 もちろんそのままどんどんテクを盗んでもいいけど、現代の曲ならこれを応用してこうするかなあ、などと考えるのもまた滅茶苦茶楽しいですわ(w)。
 今は高品質サンプリング音源で、事実上古今東西どんな楽器の音でも(非楽器の音でも)使えるわけで、これをDAW内の仮想スタジオで鳴らせる快感。
 もうなんだよ危険なこの底なし沼は、むしろ先陣を切って飛び込みたいぞ(笑)。いや、業界の諸先輩方はとっくに奥深いところまで到達されているわけですが。

 そんな楽しい制作の毎日です。

ガンダムという巨大コンテンツ

 深夜何気なくTV付けたら、NHKでアニメ「ガンダム THE ORIGIN」が流れてて、つい引き込まれてしまう。ちょうど再放送で、1~3話だったかな? 乗り遅れ組への救済策か。最近ドラマもアニメも全然見てなかったが、これは乗っかろうかと。
 時系列的には最初のTVシリーズの前で、シャアがいかにしてシャアになっていったか、辺りから描く話なんですね。ガンダム知らない人には何のことかわからんだろうけど(w)。この最初のシリーズが、もう40年前の放送なんだから、驚くべき息の長いコンテンツです。
 以下、知らない人に無配慮なガンダムネタ続きます。

 若き日のランバ・ラルとハモン(愛人的な?)が出てきたんだが、ハモンはジャズ・シンガーでクラブで歌っていたんですね。ランバラルはそのヒモ&用心棒、ジオン軍を追放されてからそんな生活だったのか。
 このバンドの中にテナー・サックスがいたんですが、この人がどっかで見たことがある感じで、いやこれソニー・ロリンズやないかーい、と(笑)。他には現代風ないかにもバンドマンの方々。演奏シーンは割りとちゃんと動いていたので、ライブアクション(=演奏ビデオを元にアニメを書き起こす)かもしれません。最近はちゃんとバンドのシーンで実際に即した動きになってることが多いですね。

 そこへ悪酔いした連邦軍の不良軍人が絡んきてラルと大立ち回りになるのだが、バンドマンたちが楽器を庇いながら隅に寄る行動がまたリアル。このあたりも、実際にミュージシャンに意見を聞いたのかも? まず楽器庇いますよね、やっぱ。

 大立ち回りといえば、モビルスーツ戦はすべて3DCGなのですが、昔と違ってちゃんと重量感のある動きになってきてて、ほう、かなり見れるようになったなあ、と。このジ・オリジンは人間ドラマ主体でロボットはむしろオマケなので、このあたりも昔と違って面白い。昔のロボットアニメは、玩具メーカーの宣伝のために作られていたんだから。

 音楽ネタ関連だと、しばらく前、やはり深夜にNHKスペシャル・ガンダム1stの秘密的なやつが流れてて、キングレコードの幹部の方が出演されてました、当時のサントラの話。LPレコードで、vol.1はジャケットがいかにも子供向けアニメな感じ、これは数千枚しか売れなかったと(今からするとこれでも凄い数字だけど)。そこでvol.2は安彦良和の描き下ろしジャケ+ポスター付きにしたら、初回だけで10万枚だかの数が出てしまった。実は1の方に主要なBGMはすべて収録してて、2はその残りだったそうですね。音楽的にはそうなのに、そんなことになってしまった。それでキングとしてはアニメに本腰入れるようになったそうです。

 頑張ってリピート見て最新話に追いつくぞ~。

ピンクのデビューアルバム

 また宛先不明が続きます、好きなことしか書かないサイトなので。

 しばらく前からの宿題だった(懸案とも言う?)、ピンク色のデビューアルバム、ようやくしっかり聞かせて頂きました。なんと36年前の作品です。時間が経つのはこんなに早い、まさかこのスケールの時間が自分の人生で普通になるなんて。時にバブル経済真っ只中、日本が一番平和で豊かだった1983年の世界……。

 1曲目を聞いた感想は、まず声がちゃんと出ていない。全体的に固く、歌を歌いきっていない。当時FMで聞いたときと同じ印象でした。とにかくボーカルが縮こまっている。ただこれは、スーパー著名プロデューサーを始め、超豪華ミュージシャンを揃え、20歳だったこのシンガーソングライターさん、さすがに緊張したのだろうな、と思ってました。アレンジも全曲このPさん、素晴らしい、というしかない。全然古びてないし。
 ところが……5曲目から印象が変わりました。あれ?ボーカルがかなり……声がしっかり出てるし、非常に伸びやかです。そのままそんな曲ばかり続き、そして11曲目で終わり。アルバム後半、かなりの力作楽曲が続きます(アレンジも相変わらず凄いが、多分それ以上に楽曲が素晴らしい。どう聞いても完全にパーフェクトなAORだし、歌詞もね(アルバム前半は、アイドルっぽいAORといえるかな?))。

 もしかして、最初は緊張したけど、慣れてきて本調子になったのかな?と思ったのが1周目でした。

 2周目を聞き出した途端、わかりました。これはプロデュース(の結果)だ! 最初の4曲くらいは、アイドルをいわば「演じて」(たぶん正確には「演じさせられて」)いるんだ、と。うひょー、こりゃびっくり。だから声が固い、そりゃそうです、本来の自分の歌声じゃないんだから。当時風にいえば「ぶりっ子」ですね、これはP氏か、あるいはおそらくもっと上からの方針では……。憶測ですよ、憶測ですが、たぶん某アニメから流れてきたファン向けに、こういう「演出」をした。
 当時はまだレコードの時代だったので、A面の4曲はアイドル風AOR+5曲目は本格AORにして、B面に繋げる。B面は5曲を本格AORにして、最後の曲だけまたアイドルAOR、それてA面の頭に繋げる流れ……。たぶんこんな戦略だったのではないでしょうか、だとしたら納得、まあ自分の見方に過ぎませんが。

 昔、メジャーバンド活動をしていた某声優さんの話だと、いわゆる「キャラ声」で歌うのは非常に難しいそうです。声を作ると音域が違ったりして、ベテランでも四苦八苦だそう。まして声優でもない二十歳のアーティストさんには……。こうして、このアルバムの何曲かで声が固い謎が36年振りに解けたのです(笑)(←笑、じゃーねーよw)

 いやー、こうして改めて聞くと素晴らしいですよ、このアルバム。以前キュートAORって書いたけど、それは前半だけですね、後半は完全にハイクオリティなAORっすわ、それこそ世界レベル。
 こんなに素晴らしいデビューアルバムだったのか。もっと早く気付くべきだった。しかし当時からこれAORって言われてたかなあ?、そういう評を見たことがなかったのだけど。やっぱりアイドルシンガーソングライターの……って流れだったと思う。アニメのせいでそう見られていたなら、ある意味不幸だったかも、ぶっちゃけ自分もそんな感じで見てたし。

 後半は歌詞の世界も切ない恋を描いたものが多いし、随分と大人っぽい曲を書く20歳だったのだなぁ……って、これが20歳ってトンデモねーっすわ。実質、18~19で書いた曲もあっただろうし。いやー、改めてガクブルっす。

 確かに、Pさんのアレンジとプロデュースは凄いっすよ、このアルバムの評には、大抵アレンジが良いから高品質な作品になった、というのがあったりしますが、駆け出しながら作家の一人としてこれだけは言いたい。元曲がダメならどんなにアレンジ頑張っても良い曲になりません。それは「華麗なアレンジを施された駄曲」になるだけです。
 万一売れても3年もしたら消えていくでしょう……このアルバム、何度もリマスターされて普通に今もアマゾンで売っています。「In Print」なんですよ。36年前のデビュー作がそのまま普通に買えるアーティストって、日本に何人いますか? それが答えです。
 時間が教えてくれるのは、Pさんのアレンジに「耐える」楽曲揃いだったということです。

 間違いなく80年代のAORを代表する名盤のひとつ、というか80年代音楽のひとつの金字塔といえるでしょう。
 こんなに凄い方だったのか、なんかスイマセンした……(なぜ謝るしw)。

 いやー、36年も経ってから気付くのもかなりアレだが、自分の場合は却って良かったかも。今だからここまで分かった、音楽的にも(楽曲、アレンジ、ミックス)、現代でも通じるヒントが一杯詰まってました。
 ミックスでいえばリバーブがアーリー・デジタルというか、当時の低ビットの感じですごく出てて、カッコイイ。シンセの音のセンスは、もう言うまでもない。
 いやいや、もう大変勉強させて頂きました。
 いつかこれを聞いて、80年代の日本は良かったなぁ、なんてみんな思う日がくるかもしれません、これから斜陽だからw せめて音楽だけは当時に負けないものを作っていきたいですね。

(毎回思うが、こんなことばっか書いてて大丈夫かな…抗議はウケツケマセーン、っておい)

(追記:なんか特に1曲目はそういうディレクションじゃないか(→声を張らない)という気がして再聴。たぶんそうですね…このように音楽の感想を言うのはとても難しい。まだまだ勉強不足、素直に反省)

レコード屋さんの思い出

 誰でもあることだろうけど、定期的に見る夢というものがあり(年に1度とか)、そんななかに、昔家族でやっていた小さな商店の夢、それも閉店間際で引き戸をほぼ閉めている時に、一人店番をしている夢というのがあった。照明も薄暗く、繁華街なのに人通りもなく、灰色でなんとも寂しい夢だが、不思議と懐かしい。この店、バブル時代前後までやってたんだけど、建物の老朽化で取り壊されてしまった。だからもう30年以上前のことなんですね。
 これを思い出したのは、「そういえばあの夢最近見てない」と思ったから(←ややこしいけど)。…というか夢自体を最近見てないが。

 なんでこんなことを書いたかというと、実はこの店の隣がレコード屋さんで、店番の間、ずいぶんと隣から曲が聞こえていたなあ、と。
 戦前からある長屋みたいな建物にずらっと店が入っていて、間口も狭いし扉もない(前面開放)のでそりゃあもうよく聞こえました(w)。

 だから、ここでも歌謡曲やら演歌やら、流行っているものは自動的に聞いてたんですね、偶然なかなか良い音楽環境にいたのかも。
 
 ここの店主が、お袋と同年代でなかなかお綺麗な方でした、今にして思えば昔業界にいたりしたのかなあ?、でも声がキンキン声で、よく隣りから「まぁたこんなレコード持ってきてェ、もっと売れる物持ってきなさいよォ」なんて営業に文句言ってるのが聞こえてました(笑)。
 間口こそ狭いが、場所は超一等地なので、随分と商品は回転させてたと思います、なので強気だったのでしょうね。

 そんな店なので、今でいうインストア・イベントも時々やっていて、といっても商品ぎっちりで場所がないので前の歩道で歌うんだけど、歌手の方が時々来ていたみたい。
 一度見たのは、お名前は覚えてないが女性演歌歌手が着物を着て、自分の写真の立て看板の横で、選挙候補みたいに名前のタスキをかけて歌っていたところ。着替える場所もないので、バンで直接来て、機材も降ろしてそこで歌っていたと思う。

 自分は見てないんだけど、記憶に間違いがなければあの八代亜紀さんも来たことがあるらしい。お袋の話だと、凄い人だかりで全く身動きがとれなかったと、流石に。そして物凄~くキレイだったそう。そりゃそうですよねえ、演歌でバリバリの頃ですね。

 こんな店だったので、前の歩道にいつも立て看板を2~3台は出していて、ここに流行りの曲やらイチ押し曲なんかのポスターもよく張ってありました。宣材は豊富、というかいつも捨てるほどあったらしく、クイーンのポスターも2~3回貰って勉強部屋に貼ってたなあ、そういえば。

 当時アニメ声優をして、それからデビューしたシンガーソングライターさんのアルバムポスターも、立て看板に貼ってあった気がする。このアニメ、ガチで見てました。当時二十歳そこそこで凄いなあと思ったが、自分はもう片方のヒロイン派でしたので(w)(←声優さんにファンレター書いたなあ)。実は、FMラジオで聞いたくらいで、ちゃんと聞いてないのですね、その頃もう自分は洋楽かインストばかり聞いてました。西海岸・東海岸フュージョン、ジャズ、ウェザーリポート、日本なら渡辺貞夫とかカシオペアとか(T)SQUAREとか。

 この店のことで、もっと色々面白い話を思い出したので、また機会があれば書いてみます。

EPレコードを聞いていて

 EPレコードをデジタル録音していたのですが、最初はつい回転数のことを忘れて、「もごぉもごぉ」みたいになって笑いました。
 今でもLPは時々聞くが、EPは久しぶりだったので。45回転/分ね、LPは33回転。もっと古いレコードプレイヤーだと、SP=78回転というのもあったりするが。
(知らないヤングのために解説すると、回転数の切替スイッチというのがあるのだよ)

 レコードも、今は見直されてわざわざそれで曲を出すアーティストさんも増えてますが、深夜にディスクを回していると、なんとも形容し難いゆるやかな良い雰囲気になり、これはわかりますわ。不便であるが故の贅沢さというか。

 人間なんて勝手なもので、昔はCDに飛びついてレコードをお払い箱にした癖に、デジタル全盛で物理的媒体が消滅すると、今度は不便でかさばるレコードが俄然懐かしくなってくるんですね。

 よく言われるけど、あのレコードのサイズというのは、ジャケットのアートや歌詞カード・解説を入れるのに最適で、全てひっくるめて音楽を体験できるような作りになってたんですね。CDサイズではいかにも迫力がなく小さい。その点レコードはEPサイズでさえ、ちゃんとジャケットも楽しめる。
 配信になってしまうと、もう何もない状態ですから……。

 それに今となっては、文字通り「聞くと擦り減っていく音」というのは、何ともファンタスティックで面白い。一期一会で二度とない音楽体験、一回一回のプレイバックがそうなんだから。

 なんか、調べてみたら3Dプリンタ(←これもすっかり下火だがw)でレコードを作るってことも、製品によっては出来るそうで。音質的にはかなり厳しいらしいが、それでも普通は金型を作らないとプレスなんか出来ないので、小ロットの製造には面白いかも。
 インディーズバンドなどで、グッズとしてEPレコードを作ってみるとかね。ジャケットやレーベルなんかは普通にプリンタで作れるだろうし。
(…と思って調べたら、普通にプレスしても今はEP100枚で13万円くらいだそう。案外お手頃ですね)

 ところで、録音している途中、ヘッドフォンをしなくても音がかなり大きく聞こえて、ちょっと面白かったです。(深夜で静かだったこともあるが)
 そうなんです、物理的に溝にそって針が動くので、それを電気信号に変換する前に、すでに針が動いて直接音が聞こえるのです(笑)。

 特に今使ってるプレイヤーは針がMM型なので、これは確か音が大きく聞こえたと思う。MC型だともっと音が小さいんじゃないか?(電気的出力も小さい、しかし音質は良い)。 MC型の針がついているプレイヤーもあるけど、ウチのは既にアームがイカレてて、ほぼ使えなくなってる。

 面白いもので、今は音質的にはよくないMM型のプレイヤーの音でも、却って良く思えたりするんですね、ワウフラッター(回転数の変動)もあったりするけど。
 針を落とす音、針が上がる音、モーターの動くわずかな音なんても、CDやデジタルデータにはないアナログ特有のもので、非常に音楽的に聞こえる。

 ハイファイでノイズのないキレイな音ってのは、CDでも聞けるので、LPやEPにはそうでない別の何かを求めるようになっているんですね、われわれは。
 音楽の聴き方にも選択肢が出来てきていて、本当に面白いと思います。