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Grand Cassaとは?

 自分のオーケストラ曲は、「UVI Orchestral Suite」という音源で作っているのですが、打楽器類も充実していて、その部分も下手な専用音源より使えたりする。まあガチのクラシックより、ポップス・オーケストラや劇伴向けだと思う(ハリウッド系のオケ音ではないが)。

 で、ここに入っている打楽器で、Timpani、Cymbal、Snare、と来て、Taikoというのがあって。これまさか太鼓じゃないなよなあ?と思って調べたみたら、本当に和太鼓(大太鼓)だったのです。
 なんと、欧米のオーケストラで、別にジャポン風の曲でなくても、現代では大太鼓が割と普通に使われることがあるらしい。確かにティンパニとはかなり質感の違う音なので。保守的に思えるフルオケも、案外打楽器については柔軟なんですね。
 考えたら銅鑼も、Chinese Gongですが、元々中国の楽器だけどオケでよく見かけるもんね。

 ここで問題ですが、この打楽器のパッチのならびに、Grand Cassaという名前がありました。さてこれはなんでしょうか?(ヒント:皆様よくご存知のアレです)
 答えは、ドラムセットの必需品……一番デカイの……そう、バスドラムでした。
 なんでこんな変テコな名前になのかわからないのですが、どうもペダルでドコドコやるんじゃなくて、ティンパニのようにマレット等で叩く感じらしい。
 大太鼓の本家本元的なやつらしく、Youtubeで検索すると演奏動画が出ますが、結構サイズは大きい。ティンパニより下の音域。

 同じ楽器でもジャンルが違うと呼び方が全然変わったりして面白いですね。コントラバスも、軽音楽の方に持ってきたらウッドベース、ダブルベース、アップライトベース、アコースティックベースと色々と名前が変わってしまうし。
 自分はバイオリンとフィドルが全く同じ楽器だとは、結構最近まで知りませんでした(w)。(厳密にいうと違う部分もあるらしいけど…)
 バイオリンも、由緒正しい正統派クラシック楽器に思えるけど、意外と民族楽器としても使われているんですね。

ハープシコードの不思議

 先日書いた曲でハープシコード音源を使ったのですが、面白いことに気付いた。あの楽器というのは、ピアノの前に発明された鍵盤楽器なので(バロック時代)、鍵盤をどんな風に弾いても、音の強弱がつかないのですね。つまりずっと同じ大きさの音。
 で、まあサンプリング音源の方も、ちゃんとそのあたりを再現していて。鍵盤を弾く強さは全く関係なく音が出ます。
 クラシックのバロック系の曲ならそれで良いのですが(インストとか)、今回は歌物だったので、このベロシティ固定はどうか、とふと思いました。やっぱり歌物なら鍵盤楽器は強弱付けたいし。

 で、音源をよく見ると、これが手回しよくベロシティ(強弱)付きのパッチも入ってました。ベロシコード、とかなんという無様な名前(w)。これは、と早速使ってみたのですが。
 結果……大失敗(笑)。あのきらびやかな音で、ベロシティが付くと、とんでもなく奇妙な感じ。具体的には、音だけハープシコード似の超ヘンテコ楽器。すぐに元のパッチに戻したよ。

 だから、人間の耳ってのは本当に優秀で、ハープシコードは強弱固定、というところまで含めて認識してるんですね。自分なんかはクラシックをそれほど聞いているわけじゃないが、明白。
 楽器というのは、制限があるからこそ楽器、そこまで含めて楽器なんですね、特に世界に広まっているものは全部そう。
 だからまたまた、今のサンプル音源は本当に優秀だなあ、と思ってしまった次第。

(正確にいうと音を大きくする方法はあって、それは打鍵に対してスイッチでオクターブ上や下の弦を重ねるって方法。オルガンと同じで8’に16’とか4’を足すってことらしいです←ボヤッとしてるな、おいw)

●おまけ

 この数日、アーティストさんのYoutubeライブやインスタライブを拝見。インスタは最初PCでライブ見られないのを知らなくて、見逃してストーリー?(録画)になってしまった。恐れ多い話ですが、生放送は人となりが見られて身近に感じられて良いっすね。でも見てる時間捻出するのがもう今の時点で限界(w)。何はともあれ流石最前線にいる方々の生演奏は素晴らしいのひとことに尽きます。もちろん普通にYoutubeの演奏動画も拝見してます。こういうのもネット完結で見られる時代になったんですねー。

「UVI Orchestral Suite」の使用感

 ちょっと前から導入してフルオケ系の曲で使っている標記の製品ですが、かなり良い感じです。(最近の自分のそれ系の曲は全部コレ)
 といっても、実はガチ・クラシックの音じゃなくて、かなりPOPS/劇伴の方にターゲティングしてある印象。だから、DTMで本格クラシックをやりたい!という人は、買うと後悔するかも? 自分はまさに軽音楽系なので良いのですが。

 具体的な音の方向としては、かなり印象派っぽい感じかな? 全体的に濃密で色彩感が強い雰囲気。上品で華やかです。やはりこんなところはフランスっぽいなーと思う。(UVIはフランスのデベロッパー)
 よくあるハリウッド系オケの音とは一線を画してますね。

 お値段お手頃で容量が少し抑え目ですが、決して安かろうナントカでなく、かなり考えて奏法とか厳選してある感じで、悪い印象はありません。ストリングスなんてクラシックでしか使わないようなアーティキュレーションはない代わり、Run Up/Run Down(駆け上がり・駆け下がり的な?)なんてのがあったりする。割り切って劇伴なんかに使ってくれ、ということなんでしょうね。

 その証拠に、そっち方面で出番の多いパーカッションは種類も奏法もかなり充実してる。下手をすると単独製品より奏法が揃ってるのもあったりする(笑)。
 弦や管のソロの音も、いかにも劇伴なんかでメロを弾いたりすると合うような音。奏法は必要最小限ですが。

 クワイア(コーラス)まで入っていますが、男声・女声・混声、そして少年合唱まで入ってる(!)。これ、かなり力の入った出来で、少年合唱だけ奏法がたくさんあったりする。非常に美しい収録です。

 何もいつも全部一緒に使う必要もなく、単独のパートだけ使ってもいいし、かなり使い勝手は良い。
 今思い出したけど、こういうPOPS系の音って、ボストン・ポップス・オーケストラみたいな、あっち方面を狙っているのだろうな(→ボストンフィルがPOPSや映画音楽なんかを演る時の別名。日本でも新日本フィルが別名で色々録音してたりしますね、昔は世界中でこういう企画が一杯あった)
 まさにそういう系統の音で、なかなか良いところを狙ってきたなあという印象。正直UVIはMelloとかシンセサンプルのが酷かったんで、かなり心象悪かったんだけど(笑)、これで結構見直しました。