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「シンガーソングライター」を超えて

 最近思っていること。一口に「シンガーソングライター」と言いますが、実はその範疇からはみ出すような活動をしている方々がいて、新しい呼称や概念が必要じゃないかなあ、ということ。
 たとえばシンガーソングライターと聞いて、世間が思い浮かべるイメージは、ピアノやギターを弾きつつ、自作の歌を歌う人のことでしょう。名前の通りだから、これで合ってますね。

 ここで、ソロの弾き語りでなくバンドがバックについた場合、そこにはアレンジという作業が介在してくるわけです。この場合大抵は、専門のアレンジャーに発注されるわけですね(バンドマスター(=バンバス)が兼ねていることも多々ある)。
 この段階ですでに、シンガーソングライター個人の範疇を超える作業が発生しています。世に出回っている彼ら/彼女らの曲は、実はアレンジャーとの合作ともいえるわけです。メロと歌詞だけでは曲になりませんから。

 ところが世の中には、このアレンジも自分でやってしまうシンガーソングライターがいて、こうなると普通より一段深いところまで音楽をコントロールし、創造しているわけです。専業がいるようなアレンジまで自分でやってしまうのだから、普通より高度な音楽制作といえると思います。

 このレベルの人は、プレイヤーも自分のお気に入りを連れてきて、ミキシングもオキニのスタジオのエンジニアに頼み、さらにマスタリングも……となると、もうこれは何段にもハードルが上がって、パッケージとしての楽曲の全てをコントールし、表現の場としているわけですよ。

 シンガーソングライターといっても、前者のようにほんとうに歌の作詞・作曲しかやらない方と、後者のように全ての段階にコミットしていく方の2種類いるわけで、後者のほうを同じシンガーソングライターと呼ぶのは、どうかな、という話です。
(別に前者が一般的に劣っていると言いたいわけでないので、念の為)

 後者の場合、もう「シンガーソング・マイスター」なり、「シンガーソング・プロデューサー」と呼ぶべきですよね。こういう方は、実は内外問わずAORの分野等にたくさんいます。楽曲のすべての音が表現領域なので、メロや歌詞だけでなくアレンジやサウンドまで含めて聞かないと、本当にはその曲を理解したことになりません。(当然、リスナーにもかなりの音楽リテラシーみたいなものが要求される)

 で、なんで今回こんなことを回りくどく書いているかというと。

 先日ここにちょっと書いた大先達の曲が、Youtubeにご本人が責任を持つ形で上がっていてまして、早速聞いてみたら……サウンドが全然違ってて、全く別の曲に聞こえまして、「あーこれは”1曲目”で正解だわ」と、まあしっかり痛い目に遭った、という話なのですわ(お約束)。
 いわんこっちゃない(笑)。

 いやいやいや、あのときはストリーミング酷かったですよ、中低域から低域にかけてベチャっと音が潰れてて、ステレオイメージもぐちゃぐちゃだったし、それでいて変にバスドラの音だけはっきり聞こえたりね。
 やっぱり想定外のエンコーディングが施される配信なりストリーミングは音楽にとって鬼門ですね、特にこういうサウンド全てをコントールしているアーティストさんにとっては。この方はまさに、シンガーソングプロデューサーそのものですから。
 まあそもそも、アーティストさんが渾身の表現をこめてリリースした曲を、ちょっと聞いたくらいで感想を言おうなんて、無茶な話なのですわ(言い訳見苦しいなあw)。

 大変お優しい、心の広い方だと伺っていますので、たぶん許してくださるんじゃないかな……だといいな(冷汗)、とかね。そもそも音楽聞いて感想を言うって怖いっすからね、それによって自分の音楽力みたいなものも、見抜かれてしまいます。経験豊かな音楽家の洞察力は、そりゃ凄いもんがありますから。

 結論:近々CDを入手します。

リチャード・カーペンターのプロデュース力が結晶「TIME」

 カレンのソロを聞いたので、次はいよいよ兄リチャード・カーペンターのソロ1作目「TIME」を入手。
 これが非常に味わい深い作品で。5周くらい聞いたけど、聞くほどに魅力が増すワンダースルメ感覚。
 世間的には、カレンが亡くなったあとはパッとしなかった人、という扱いかもしれないし、このソロも評価されているとはいえない現状でしょうが、音楽マニアとか制作をやっている人間には、堪えられない内容でした。

 1曲目・2曲目あたりは、王道80年代サウンドみたいな、ミックスでスネアが強エコーでバーン、キックドラムがドンの、ベースもタイトで大き目、キラキラピカピカなドンシャリサウンド、リバーブもレキシコンーみたいな、そんな感じの曲ですよ。シンセも入ってきたりね。1曲目なんかボイスのサンプリングも使ってますからね。(このアルバムは1987年発売)

 ……で、やっぱ滑ってるんですわこれは(w)。いや、楽曲の出来はそれはいいですよ。まあ例えるなら高校で優等生だった真面目君が、大学デビューでお洒落トレンディ野郎にイメチェンして大失敗みたいな(←我ながらイジワルか?)。
 なんとなく「ぼくのかんがえたさいきょうのAOR」感が漂う。

 うん、もしかして昔聞いて挫折した人がいたら、この最初の2曲で止めた人かもしんない。それくらい浮いてる。で、ライナーを見ると、この2曲は実はリチャード作曲じゃないんですね。その意味では、ご自身もこの手の曲は得意じゃない、という自覚があったのかも。(アレンジはすべてやられてます)

 そして3曲目でようやくリチャードのバラード曲、女性ボーカルはダスティン・スプリングフィールド。ここで一挙にああ、これはカーペンターズの流れから進化してきた楽曲だ……という雰囲気になります。

 4曲目、これも80年代的な、リチャードの一人多重録音によるアカペラ曲。後半、リチャードのピアノが入ってくるのですが、それと一緒にフリューゲルホーンの音が聞こえてきて、ドキッとします。この16小節ほどのソロのまあ素晴らしいこと。まさか?と思ってライナー見たら、やっぱり! ハーブ・アルパートでした。社長美味しいところ持ってくなぁ、最高じゃないか。

 5曲目「TIME」、リチャードのピアノをフィーチャーしたインストの小品。これが実にお洒落70年代フィーリングで良い感じ。それこそ、ちょっとクレイダーマンを思い出す出来かもしんない(w)。

 ちょっと前後するが6・8・10曲目再びリチャードのボーカル曲、そして7曲目はディオンヌ・ワーウィックのボーカル曲。すべてミドルテンポ~バラード調で、まさに作曲家リチャードの真骨頂。

 さて問題は9曲目ですが……。これがね、一見かなり元気でティーンな感じの女性ボーカル曲……ですが、前述の二人とは違うようで。ライナーみたら、歌「Scott Grimes」とあって。ああスコットね、そういう女性名があるのだろうな、と思ってググったら。
 なんとれっきとした男性(笑)。え!って感じ。これ言われなきゃ(言われても)絶対男性に聞こえない。当時15歳の新人らしいけど、フェミニンで凄いわ。実はライナーの巻頭でリチャードはこの人について、非常に面白いアーティストで大きな期待を持っている、などと書いてる。
 この曲、ただでさえキーが高いのに、なんと後半で半音上へ転調するんですよ。一種の音楽的ユーモアだよね、まさにハードル上げた。

 歌詞がまた面白くて、どうやらカレンがアイドル化して、みんなの心の中に勝手に棲み始めたことを揶揄するような内容なんです。兄貴として実は複雑な心境だったということか(笑)。
(日本だと、カーペンターズはほぼ100%音楽性で評価されてるんですが、海外ではアイドルとしてウケていた面が大きかったのかも?と時空超えて透視)
 まさかこんな斜め上からのクスグリを入れてくるとは、本当に予想外。プロデュース力の勝利ですね。
 まあこれを青春真っ盛りの15歳男子が爽やかに「女声」で歌うのだから、もう非常に面白いとしか。いやはや。

 全体的に見て、これはアーティストとしてより、プロデューサー・リチャードの仕事を前面に出したアルバムといえそうです。ゲストボーカル3人だし、そもそもソロアルバムでこんな構成って他に例がないでしょう。
 その意味では「自分」をもプロデュースしてるんですが、こうなるとメタ的で面白い。
 
 全て聞いたあとでは、4曲目のハーブ・アルパートとリチャードのデュオの掛け合いの部分、ほんとに短いですが、この楽器同士の「会話」が、このアルバムの白眉かもしれません。これがあるとないとでは印象が全く違う。それくらい重い。
 カーペンターズを見出したアルパートは様々な思いがあったと思うし、それがジャズでもメキシカンでもない、フリューゲルホーンの「歌心」に結晶してます。怖ろしいほどの表現力。

 そして、レーベルオーナーが自ら「演らせろ」と言うわけがないから、これは起用したリチャードのプロデューサーとしての勝利でもあります。

 色々な意味でスペシャルなアルバム、1985年6月にレコーディングが終わり、ミックスダウン~完成が87年7月という、完璧主義者リチャードが磨き上げたアルバムです。
 ご興味のある方は、何かの機会にでもぜひ。自分自身は、音楽制作の様々な点で、非常に大きな示唆とインスパイアを与えられました。

(書き忘れてたが、バックはカーペンターズのレギュラーバンドで固めています。正に鉄壁)

(更に蛇足ながら「Scott Grimes」さんですが、現在までアルバム2枚、歌手としてはあまり成功しなかったが、役者として成功して「ER緊急救命室」にも出てたらしい。いいオジサンになってます)

リチャード・カーペンターと小林明子

 「リチャード・カーペンター」で検索していたら、意外なアルバムがヒット。小林明子の「City of Angels」が、なんとリチャードのプロデュースなんですね。1988年だから、カレンの死後5年。声が似ている(?)からとダメ元で依頼したら、デモが気に入ってもらえてOKが出た、とのこと。
 当時はバブル時代でもあり予算が今より潤沢だったのは確かですが、これは素晴らしい展開。

 間違いやすいけど、ダイヤル回して電話したのが小林明子(実はしてない)で、小さな家を建てた(建ててない)が小坂明子ですね。そもそもヤングメンは電話とダイヤルがもう結びつかないな……わからない人はお父さんお母さんに聞いてみようw

 早速入手して聞いてみましたが、良質なポップスに仕上がっていて、オプティミティックでとてもいいアルバムでした。半分くらいは英語詩の曲です。サウンドは80年代と70年代をミックスした感じで、さすがリチャードのプロデュース。あんまりAORな感じがしないのは、R&B色が薄いからかな?
 バックはカーペンターズの元レギュラーバンドで固め、アンサンブルは鉄壁です。鍵盤はもちろんリチャードで、バッキングコーラスとしても参加。作曲は小林さん自身、リチャード、海外の作曲家と様々で、アレンジはすべてリチャード。
 レコーディングはA&Mスタジオを始め米国数ヵ所で、ミックスダウンはA&Mスタジオで行われました。なんとも贅沢な企画だなあ。

 小林明子さんにとっても、このアルバムはもちろん非常に大切な1枚になったようで、このあと渡英して結婚し音楽活動を続けており、折に触れてカーペンターズの曲を取り上げているらしい、と今回知った(wikipedia情報)。

 このアルバムの中で日本語詩と英語詩が混じった曲が何曲かあり、日本語詞を書いたのは「Reiko Yukawa」……誰であろう、今日本の音楽業界でもっとも元気と噂される、湯川れい子先生ではないですか!w
 さすが、道理で詩が深いと思ったよ。

 実は、って知っている人は知っているんだろうけど、小林明子を世に知らしめた大ヒット曲「恋におちて」(ダイヤル回すやつね)も湯川先生の作詞なんですね。洋楽に精通してらっしゃるし、実際他に考えられない人選です。

 話をリチャードに戻すと、これまでも海外の著名プロデューサーに依頼した日本人アーティストがいましたが、往々にしてどこかツボがずれてて「ん?」てな出来上がりだったりして。でもリチャードはガチでした。全部ズバッとハマっていますね。やはりこの人は名プロデューサーだと思う。

 本当に日本と縁が深い人です。そもそもこれだけカーペンターズをちゃんと評価できるのは、日本の音楽ファンは誇っていい。それがしっかりリチャードにもわかっているんだろうなあ。

 リチャード・カーペンターの力量を再確認した2018年初秋でした。

(追記:小林明子さんは、シンガーソングライターであると同時にいわゆる作家でもあり、当時数々のアーティストに楽曲提供されていますね。不勉強で今回知りました)

デモ曲追加・夏だAORだフルオケだ!

 まだ暑いのでギリギリ秋じゃないということで。
 実は夏のボーカル曲三部作でした、なんとか間に合った。

 世界よ、これが2018年版Orchestral AORだ!
 なんと驚異のフルオケ曲です。弦、金管、木管、打楽器、クワイアすべて入っています、文字通りのオーケストラ総力戦。では早速いきましょう。

「届かないラヴレター」
 feat.寺島 稔

 今回はフルオケが主人公のアレンジですがAORなので、エレキギター、チョッパーベース(スラップ)、エレピ(ローズ)、ドラムスも入っています。特にドラムはツインドラムであり、曲のテーマに合わせてポップミュージックとしては最大級の重厚長大な編成にしました。
 フルオケの弦を使ったAORはあっても、ここまですべて入れ込んだ曲は世界を探してもないのでは?…なかったらいいな、と思ってます(w)。世界初だからね。

 しかしあれだね、フルオケのアレンジといってもそれほど苦労しなかったというか、オケの楽器編成(パート)ってそりゃ長年の蓄積で非常に整理されていて、音域ごとに楽器の持ち分って決まっているし、弦・管・打楽器…と使い方も(前衛音楽でない限り)決まっているじゃないですか? 普通はバイオリンの下にビオラ、チェロ…と重なっていくわけだし。それぞれ楽器の使い方なんて、クラシック聴いてれば典型的なやつはほぼわかるから、それを参考にすればいい。
 アカデミックな管弦楽法を知らなくても、ここまで形になりますよ、ってことでこれが実例です。
(さらにいえば、フルオケは楽器の「定位」(場所)も決まってるんで、ミックスで悩む必要はない)

 とはいえ、ツインドラム、ティンパニ、チョッパーベース、コントラバスと低音のモンスターが揃ってましたので、その点でミックスは苦労した(w)。定位はバラけているんだけど、コンサートホールでライブ録音…を想定したミックスなので、低音の反響もぐわんぐわんくる。
 そのあたり、どう避けたかは、今回は企業秘密にしますか(笑)。
 気が向いたら別記事で書くかも。

 今回は、ご自身でアーティスト活動もなさっている寺島稔さんに歌って頂きました。
 ほとんど類似曲がない、キーも女性ボーカル並みに高い曲を、ファルセットのシャウトを交えて、見事に歌いきっていただきました。大感謝です。(ほんと、あっしが好きに書いた曲はシンガー泣かせだよなあ、とつくづく思っていますw)

 この曲は最近やってきたことの集大成だったので、ミックス・マスタリングも無事終わってこうして公開でき、ひと安心です。フルオケ曲は書いてて楽しいのでまた挑戦したい。

デモ曲追加・夏だ16ビートだFusionだ

 デモ曲追加です。夏曲第二弾間に合った!

「わすれじ」

 夏なのでちょっとアンニュイで退廃的なミドルナンバー書こうとしたら、ベースをスラップ(チョッパー)にしたばかりに、各パートが16ビートで応酬をくりひろげるフュージョンになってしまった。が、無論後悔はしていない。
 アップテンポで元気のいい曲ですが、ちょっと懐かしい感じも狙いました。これでエレピとストラトなら定石すぎるので、生ピアノとアコギにして現代的な感じに。
 ブラス、ストリングス、シンセも入ってきます。
 アウトロで少しおっと思っていただけたら大成功。

 今回は「まよ」さんにボーカルをお願いしました。声に安定感と華やかさ、ほんのりとした大人っぽさもある、上品な感じのボーカルです。曲にぴったりのテイクを一発で仕上げて頂いて大感謝。
(お願いしておいてなんだけど、この曲難しいんですよ。「どう歌うか」ってところがね…。毎度ボーカルさんたちの優秀さにテンション上がりまくりですよ)

 ミックス、またも苦労しました。スラップベースはダイナミクスが大きいので扱いが難しい。アレンジ的には打楽器と同じ効果があると再確認。しかしベースライン考えるの超・楽しかった。
 中域が混雑してて、ボーカルパートに被って音が濁りがちだったので、ピアノとアコギをコンプのサイドチェインで抑えました。

 な~んか、デモ曲作ってるのが一番自分の勉強になってると思う、心から。

(Dedicated to the faraway diva)

AORの名盤と過ぎ去った時間と

 昨年末にYoutubeのリコメンドでボズ・スキャッグスの名曲「Jojo」が出てきて、そういえばちゃんとアルバム聞いてなかったなあと思い、Amazonで5枚組ボックスをGET。(最近よくある廉価版のやつです)
 それでまず、これまたAORの名盤「MIDDLE MAN」から聞いてみたんだけどね。……これがもう、あまりに素晴らしくて(逆に)打ちのめされました。1曲目が「Jojo」なんだけど、アレンジも演奏もミックスも飛び抜けてハイクオリティ、もちろんメロ&ボーカルも極上だし、非の打ちどころがない。なんだこのカッコ良さ。久々に聞いたけど、今の耳で聞くともうとてつもない。

 歌詞をネットで調べてみると、どうやらベトナム帰還兵らしき危ないヤツのことを歌った歌。ブロードウェイは浮かれているが、奴はどう思っていると思う?お前らそんなんで本当にいいのか?みたいな、硬派で社会派の内容。アイラブユーとか、一切出てきません。
 こんな詩だったとは、当時は全然知らずに、とにかくサウンドがカッコイイ曲だと思って聞いてましたが。

 当時――驚くなかれ1980年ですよ。80年代をつい昨日のことのように思ってるオレと同年代の皆さん、目を覚まして下さい(w)。今から38年前ですんで。(自分はティーンエイジャー、歳を取るはずだよ)。
 で、まあそれがまた衝撃で。果たしてこのカッコ良さを今のPOPSは超えられているんだろうかと。無理だと思う……。全然古びてないし、サウンドからして今リリースされても全くおかしくない。うへぇ。どうなってんだ、魔法かこれ。

 あ、一応解説しておくと、ボズは当時のAORムーブメントの中心人物の一人です。バックには結成前のTOTOのメンバーも参加。この曲にはあのデイヴィッド・フォスターも共同作曲者に名を連ねてますので、TOTOのデイヴィッド・ペイチと共に制作にも携わっているんでしょう。もう化け物みたいなセンスです、スタジオ録音芸術と呼んでも過言ではない。
(今英語版のWikipediaみたら、カルロス・サンタナも参加してるじゃないか……。ぐへぇマイッタ)

 このアルバム、ジャケットも超キャッチーで。もしやジャケだけは知っている人がいるかも。タキシード姿のイカしたオジサン(ボズ)が目を瞑って煙草をふかしているんだけど、膝枕にしているのが網タイツの女性の太ももなんですね。(女性だと思う…線の細い少年だったらどうしようね?w)興味のある人はググって下さい。
 久々にこれ見て、音も聞いて浮かんだキーワードが「不良中年」。だってそうとしかいいよがないでしょう。
 案外、「不良中年のための音楽」というのは、AORを形容する適切なフレーズかもしれない。ドナルド・フェイゲンなんかも不良中年っぽいしなあ。
(もう一派あって、そっちはアダルトチルドレン・コースかな? クリストファー・クロスとかJDサウザーとか。歌声が中性的でほぼボーイソプラノですからね)

 こうしてみると、音もそうだけどジャケもバブルっぽい。当時のアメリカはバブル日本に経済侵略されて大変だったんだけど、それでも景気は今より遥かに良くてこういう雰囲気もあったんでしょう。世界同時進行の時代の空気を、まさに当時の名盤が映してる。

 アレンジといいミックスといい、勉強になることといったら、もう。音楽制作ソフトでよく70年代の機材を再現した製品があるんだけど、こりゃ当然だわな。こんなにいい音、誰でも手に入れたくなる。この時代のアメリカは冴えまくりです。

 さて、それでですね。このアルバムの3曲目「Simone」に差し掛かった時に、リアルに「あっ」と声を上げました。「アッー」ではありませんよ、ええ。
 この聞き覚えのある音。信じられん。
 それは。
 アコーディオン!(ドドーン、波ザバーッ)

 おいおい、AORの名盤、というかもうアメリカンPOPSの代表作のひとつとさえいえるこの歴史的アルバムに、かよ?
 しかも、もう大フィーチャーといっていいアレンジ。
 しばし茫然。

 ほら、やっぱり。トレンディなハイセンスピーポーにはちゃんとわかってるんだよ。死語だらけだけどこれ1980年だから(w)。
 いやー驚いた。そしてもうニンマリですよ。世間はわかってくれないだけで、やっぱわかっている人はわかってんだねえ、と。(ふふふ)
 こんな化け物みたいなセンスのクリエイター達がひしめくアルバムで、この存在感。欧米ではかなり身近な楽器だそうですが、これはオシャレ楽器のお墨付きを貰ったようなもの。なんせAORの名盤ですから。

 またオレ得オレ情報を書くと、これ気付いたの実は元旦なんですよ。ね、すごいでしょ?(笑) なんちゅう縁起のいい年や。

 いやー、AOR。まだまだ研究&勉強が必要ですわ。
 まあ、実はちょっと大それたことを考えていて、もし自分がAORに何か付け加えられるとしたら、それはアコーディオンかな、と漠然と。ところが既に38年前ド名盤の中でやられていた。
 ただ、まだ2つばかりテはありますよ。この場合、38年という時間はこちらの味方。音楽史的には様々なことがあったわけだから。
 それは、今後書いていく曲の中で試していきたい、と思っとります。

とうとう完成!世界よ、これが2017年版ブランニューAORだ

記事タイトルは威勢いいけど、いざとなるとなかなか気後れするもんですね(笑)。
いかんよね、デモ曲なんだからもっとこうバーン!といかないと。
とりあえず無事公開です。

タイトル / unbreathin’ blue
作詞・作曲・アレンジ・MIX&マスタリング / Gen-oh Akiyoshi
ボーカル / 飯岡あこ

unbreathin’ blue feat.Ako Iioka

 下のプレイヤー(ブログに直接アップ)の方が音が良いです。
 色々やってみたが、Soundcloudは無料ユーザにはかなり音質を絞ってきてるようだ。mp3で128/320とwavでチェックしてみたが、どれもかなり劣悪。全部128にエンコードしてるじゃ?という話があったが、下手をすると96位じゃないか。昔アップした奴の方が音がいいんで、経営難で方針変更したかも。

 それはともかく、どうですか!このボーカルさんの歌唱。不思議な仕上がりです。少年っぽい、と言ったら女性に失礼だけど、少し中性っぽい爽やかさがありますね。それでいて女性的な情感もたっぷり。相反する要素が矛盾なく同居してて、アップしてらっしゃるサンプル曲もこんな感じの歌唱だったので、一発で気に入ってお願いしました。こうなるんじゃないか?と思っていた以上の結果です。

 今回は仮歌ではなく本歌なので、かなり綿密に打ち合わせしつつ、じっくり取り組んで頂きました。楽曲の意図を考えつつちゃんと練習して下さる方だったので、待った甲斐はありました。この場を借りて深く感謝します。

 あとミキシングとマスタリングは難航したな、やはり本歌だから。どんどん欲が出て「こうしたらもっと良くなる」ってのがたくさん出てきて。経験した方はわかると思うけど、こうなるとマスターまで終わっているのにまたミックスに戻って……のが延々(笑)。まさにドツボです。

 かなり後まで悩んだのは、どうも音にクリアネスが欠けてたこと。余分な帯域は削ってるしなんでだろう?と、色々なヘッドフォンやスピーカーやPCで聞くうち、ふとダイソーの100円ヘッドフォンで聞いてみたら、なんと。エレピの中域が異常に膨らんでいて、これだ!と。意外とバカになりません、ダイソーヘッッドフォン。本格モニター用や音楽用は全帯域が聞こえる故に、聞こえすぎる欠点もある。バランスが悪いとダイソーの奴は一発でおかしなところが目立つので。これはミックスのチェックにオススメ。
(当たり前だけど、上手いメジャー曲のミックスはこういうのでもバランスが全く崩れません)

 で、ミックスに戻って調べたらエレピとボーカルの帯域がかなり被っていて、エレピはそれを見越してミドルを下げてたんだけど、それでも足りなかった。で、それ以上削るとエレピも痩せた変な音になってしまうので、今回はコンプのサイドチェインで逃げました。
 こいつの原理は、ボーカルの音量に合わせてエレピ側のコンプレッサーを深くかけて圧縮を大きくします、とすると当然音が小さくなるので、帯域の被りを軽減できるわけ。これがダイナミックに変化するので、リスナーには自然に聞こえます。
 プロの本格ミキシングだとこういう細かい作業を限りなくやってる。

 こういう苦労話はまた今度。なんか今後の展望も開けてきた感じだな。やはりデモ曲、作っていかないと絶対駄目だと思った。