微小ノイズ

 ミックス作業をしていたんですが、制作手順としてMIDI制作はABLITYで、ミックスからはProToolsにしているんですね。で、今回の曲はモジュラーシンセとハード音源がアレンジの主体なので、レコーディング作業も大量に発生して、20トラックくらい録ったわけです。音質向上のため、この録りもProToolsで行っています。(やっぱりABIで録るのと音が違う)

 ところがいざミックス用のヘッドフォンで全体を聞いてみたら、やけに音が濁って?聞こえるわけです。最初は疲れてるのかなーとか(体調が悪いとこういうことはある)、ヘッドフォンが寿命かな、とか色々考えた。ただとりあえずどんどん作業を進めていたら、この濁りがだんだん消えてきた。それで気付いたんですが、これなんと、20トラック分の微小ノイズが重なって聞こえていたのです。
 実際は、演奏のある部分だけ録ったりしているトラックもあるから、10トラック強かな? このノイズを除去したら、すっきりしていつもの聞こえ方になった。

 このノイズ、波形表示を見ても見えないし、アナライザーにもほぼ表示されないのですが、これだけ重なると濁りとして耳に認識されるんですね。さすがアナログ録音データ。
 これが、ソフトシンセやサンプリング音源の直接バウンスだと、アナログエミュの何かを挟んでいない限り、無音部分は本当に信号ゼロですからね。フルデジタルパスだから。
 これまでそっちに慣れていたからそんなもんかと思っていたが、レコーディング作業が発生するスタイルになると、微小ノイズは気をつけないといけないと思った次第。

 実は前回もこれにちょっと近いことがあって、その時も丁寧に処理したけど、今回は特に酷かった。で、処理の方法ですが、ProToolsには「ストリップサイレンス」という機能があって、演奏波形がない部分(つまりノイズ部分)を、スレッシュホールドをかけてオフラインで自動カットしてくれるんですね。手動でやるとメンドイが超便利です。
 ドラムのトラックみたいに、ほぼ鳴りっ放しのやつは、GATEプラグインでやはり微小ノイズ部分をカットする。(CPU能力食うが動的にパラメータを弄れる)

 ただボーカルトラックは、ブレスの関係があるので、この自動処理はやらないほうが吉。でないと必要なブレスを消したり、逆に不用なブレスが残ったりしかねない。手動で消していくわけです(あるいは一瞬ボリュームを絞るか)。

 ProToolsは、噂に聞いていた通りWAV周りの便利機能がかなり搭載されている感じ。処理後の結果も良い(こんなはずでは…ってのがないw)。痒いところに手が届く。いまのところ2段構えの制作体制はいい感じに進んでいます。