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Spitfire Solo Violinは結構アレな製品

 ちょっと前「バイオリンのミックス処理」という記事を書いたが、あれからハマりにハマってようやく完成形まで持ってこれた。(というのが先日upした曲)

 で、使用した「Spitfire Solo Violin」ですが、これはアンビエンスまでしっかり含んだ(録音した)音源になっていて、どうやらあくまでフルオケの曲でバイオリンソロの時に使ってね、という位置付けの製品のようだ。アナライザーで見ると、定位もアンビエンスも、まさにオケをバックにソリストが立つ位置で録音されている。一種の時短音源だなこりゃ。
 たとえクラシックでも弦楽四重奏なんかでは全く使えないと思うので、その意味ではフルオケ曲専用って書いておいて欲しかった。
 ご想像通り、そのままではバンドサウンドなんかには全く馴染みませんねえ(w)。
 前述の通り、アンビエンスを全切りするとかなり音の細いモノラル音になってしまうので、それでバンドに入れると(他の楽器は大抵ステレオ収録だし)浮いてしまう。かといってわずかにアンビエンスを入れただけで(一応ステレオ信号になる)、背景に大ホールが見えてしまう(笑)。バンドの中で一人だけホールしょってたら、そりゃ変だよね。

 で、色々やってみたのですが、解決法だけ書きます。アンビエンスを全切り(ドライ)して、コンプ2段掛けで潰して、最後にAIR Stereo Width(モノ信号をステレオに変換するプラグイン、多分類似品OK)をかまします。これでバンドサウンドにいれてもなんとか違和感になく馴染みました。
 ということで、「Spitfire Solo Violin」は、ちょっと癖のある音源といえそうです、検討中の方はご注意あれ。
(なんか、よく読むとソロ弦バンドルの中から、更にバラ売りしているパッチみたい。ケチ臭いことせずに、ステレオパッチもユーザーに公開しろ~! ←こんなことで文句言ってるとクレーマーみたいで怖いか)

バイオリンのミックス処理

……といっても例によってサンプリング音源なのですが、今の音源は超リアル志向で、扱いにくいものは扱いにくいままで音源化されている物が多いから、生収録と同じミックス処理をしないと、ちゃんと普通に楽曲の中で使われているようには聞こえないんですね。(まあ多少はプリプロセスしてあるが)

 で、バイオリンですよ。とにかくそのままだと音が細いわ、アタックが揃いづらいわ、掠れ・ヨレなんかも含まれているわで、散々だよ(w)。Spitfire AudioのSolo Violinだけど。余程酷い製品なのか?デモ曲と違う!……と思ったが、レビューやユーザーデモを聞いてみるとそうでもないから、使い方やミックスが悪いのだと悟った。うーん、とりあえずこれはポピュラー音楽用というより、どうやらクラシック・劇伴向けの製品のようだ。
 とりあえず定位がなぜか左に寄っているのと(たぶんこのままアンビエンス込みで、フルオケで弾いてる感じになるからだろう)、クローズ(接近)100%にするとモノになるので、そのあたりで処理が必要。これをバンドサウンドの中に組み入れるにはどうしたらいいか。
 どうもコンプを2段掛け位で抑揚をペタンと潰さないと、みんながイメージするバイオリンの音にならないことが解った。しかもこいつは結構強めにアタックが出せるんですね、ベロシティで。なので気をつけないと「コンプ圧縮丸出し」の音にもなりがち。
 サンプルの品質はまあまあだけど、こういう処理がやっかいで。まだ試行錯誤の途中。バイオリン複数台=ストリングスならともかく、ソロバイオリンはまた非常にやっかいな代物だと判明しました。(他の製品だとそんなことないのかなぁ?)
 オーケストラ音源に入っているソロバイオリンはわりと扱いやすいが、そのままソロで聞かせるのはやはりキツイ(大抵オマケレベルなので)。
 普段あまりアレンジで使わない楽器は、こういった地道な研究が必要ですね。そういう仕事が来たら困っちゃうもんな。

ミックスの極意(2)

 チャンバーオーケストラ(フルオケより小人数、バロック音楽あたりの時代はこの編成だったそう)のデモ曲をミックスしていて気付いたこと。当たり前かもしれませんが、楽器の配置が違っているんですね。
 もともとフルオケの楽器の配置も、調べてみると昔はそんなに厳密には決まってなかったらしいが、ある時今のような配置にすると音響的にとても良いとわかり、それが広まったとのこと。(弦でいえば、客席からみて左から右へ順に第1バイオリン、第2バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスと半分に切った扇のような形態で並ぶ)
 これをそのまんま小人数化したのがチャンバーと思っていたが、調べたら全然違っていた。

 第1バイオリンが左前列にズラッ、第2バイオリンが右前列にズラッ、そしてビオラ以下はどこに配置するかはそんなに厳密には決まってないらしい(w)。今回は写真があったオケに合わせてイメージしてたが……。金菅、木管、パーカッション等はもっとはっきりしない(資料や写真ごとに違っていたり、わからない楽器もある→多分定石なし)。
 フルオケ=100人、チャンバー=30人なので、音響的にも最適解が違ってくるのでしょうね。そしてバロック時代の配置資料はほとんどないと思われる。

 なんでオケの配置がミックスに関係してくるかというと、それはもちろん楽器の定位(パン)決めに直接影響するからです。面白いもので、打ち込みのオケでも、というかだからこそ、ちゃんと実際に即した定位にするとリアリティが段違いです。人間の耳はほんとに優秀で、不自然な配置だとすぐ違和感を覚えますので。普段そんなところは聞いてないようで聞いてるんですね(リバーブの分量もそう、奥にいくほど深くする)。

 で、まあ第1・第2バイオリンの配置を資料の通りに左右に振ったら、これが驚くべき左右泣き別れ状態(最初期のステレオ音源みたい)、どうも変だと元に戻したら自然に混ざった。そう、最初から定位を振った状態で収録された音源(パッチ)だったのです(w)。まあクラシック系のオケ音源ではよくある話なのですが、チャンバーのやつはアナライザでみるとアンビエンスもたくさん入っていて、いかにも振ってないように見えたのよ(人数少ないから相対的に反射音が大きくみえる)。

 結局、最後はアナライザーより自分の耳を信じろって話ですわ。

(話を簡単にするために定位って書いたが、むろんイメージャーで振ってますよ、モノラル音源じゃないんだから。ステレオ幅の設定も大切)

 あと、単品の楽器のパッチ(例トランペット)とかもステレオ収録なんだけど、イメージャーで幅を絞るかモノにしないと、トランペット奏者だけ「目の前」に来て吹いている状態になってしまう。そんなオーケストラはいやだ!(笑)
 いかにリアリティを“作る”かっていう話になってくるんですね、最後は。これは実は打ち込み音源だけでなく、本物のオケの収録でも同じ。多数のマイクで収録するわけで、それをミキシングの段階で整理しないとオケの音にならないので。意外ですけどね。

使える音源・使えない音源

 皆様お馴染みNI Komplete(U)に入っている音源の話。

 買ってから一度も使ってない、というか存在すら忘れていた音源があって、それが「The Giant」(アコースティックピアノ音源)。
 昔一度使おうとしたら音がなんだか不自然だし、ビルみたいなサイズのアップライトの絵が描いてあるし、なんじゃこりゃ色物音源かと思って放置してたんだけど、ちょっと前思い出して試用してみたら、これシネマチック音源なんですね(いわゆる劇伴用)。そして、ピアノ鍵盤以外の部分を弾いた時の効果音系のやつも入っている。ああそういう用途なのかと納得。しかしどちらにせよ歌物ではなかなか使う機会がなさそう。

 効果音系の音源は使う機会がほぼないのは仕方ないにしても、「Action Strings」なんかも使えそうで使えません。これも劇伴によくあるストリングスの刻みを簡単に再現できるやつですね。
 あと民族音楽系のやつ、ガムランのとかインド・中近東なんかは仕方ないにしても、キューバのやつもなんか駄目。この系統は音色を作り込みすぎていて、本当に民族音楽やりたい時くらいしか使えない。それかやっぱり劇伴か。歌物でこんなにアクの強い音源持ってきたら全体のバランスが悪くなるもんね。
(その意味ではUVIの「World Suite」はよく出来ていて、絶妙のバランスで歌物や普通のインストにもハマります)

 で、結局使うのは……「Abbey Road Studio Drummer」「Session Strings Pro」「Session Horns Pro」「Alicia’s Key」、あとScarabeeのベース全般。なんだか夢の無い話ですが仕方がない。(うちはまだK10Uなので、クロスグレードしたら増えるかな?)あと、ARのドラマーシリーズは、適宜替えて使っています。さすがに録音が抜群に良い。

 Kompleteには不思議と雰囲気ボーカル音源が入ってないので、次の版ではくるかもしれませんね。まあこれもシネマチック音源になっちゃうんだけど(w)。
 クワイア音源も欲しいといえば欲しい。いまはKontaktのFactory Libraryの低品質のしかないので。

 全体的に、歌物制作勢にとってはシネマチック音源というのは鬼門です。楽器音源というより効果音系の用途へ最適化されてることが多いので、作り込みが結構甘かったりする。なので、歌物勢の皆さんは購入時に注意したほうがよろしいかと思います。(プロ諸氏には釈迦に説法かw)

(追記:今日「The Giant」をもう一度確認したら、非シネマ系のパッチもありましたわ。しかしやっぱ楽器音源としては音が変)

Session Horns Proでビッグバンド

 たまには実用記事。
 少し前から、Native Instrumentsのブラス音源「Session Horns Pro」(以下SHP)を、なんとかビッグバンド曲に使えないかと色々やっていたんだけど、良い方法が見つかったので情報書いてみます。
 ビッグバンドブラスの構成の主流は、以下のような感じ。

トランペット x 4
トロンボーン x 4
アルトサックス x 2
テナーサックス x 2
バリトンサックス x 1

 これにドラムス・ベース・ピアノ・ギターが入ったのがビッグバンド。ピアノやギターはいないこともある。ベースは歌伴なんかだとウッドでなくエレキのことも。

 残念ながらこれを再現しようというのはSHPではやや弾数が足りない。なので普通はこうするでしょう。

トランペット x 2 (Tp1 + Tp2)
トロンボーン x 2 (TenorTb + BassTb)
アルトサックス x 1
テナーサックス x 1
(バリトンサックス x 1)

 これでも歌物のバックだとかなり大きな編成で、充分すぎるほど迫力あるブラスセクションになります。余裕で4声のアレンジをクリアできるしね。
 ただビッグバンドと比べると半分くらいの陣容になっちゃうので…。

 個別の同じトランペット音源を重複して使う……って方法は、どうしても位相やらの関係で気持ちの悪いうねりや濁りが出てしまうようです。なんだか音が不自然です。自分はちょっとチューニングを変えたり試行錯誤したがあきらめました。
 他の音源のブラスを持ってくるともっと最悪で、たとえばお馴染みIKのSample Tankとかね、あきらかに不自然なハーモニーになってしまう。全く違うスタジオで録音ミックス実装された音源なんで、合うほうがおかしい。シンセも同じ。
 Kontaktのファクトリーライブラリも駄目でした。あれはSHPの前世代の音源のはずなんだが。

 そこで、なんとかSHPだけで更にスケールを大きくできないかと考えていたのですが、よく見れば個別音源として使えそうな奴がちゃんとあるではないかと。そこでこうした。

トランペット x 3 (Tp1+Tp2) + Fluegelhorn
トロンボーン x 3 (TenorTb+BassTb)+ Tuba
アルトサックス x 1
テナーサックス x 1
バリトンサックス x 1

 バッチリです。実際ビッグバンドにフリューゲルホーンが入ることもあるし、チューバはトロンボーンセクションの最低声部に入ると、不自然さはまったくなし。バリトンサックスは結構音域広いので、汎用的にサックスアンサンブルで使える。

 SHPはそんなに重くないわりに音は非常に良いし、アーティキュレーションも使いやすいのが揃っているので最高。
 たぶんこういう使い方も想定して、チューバやフリューゲルホーンを入れているんだろうな。さすがNIはよく考えてるわ、って改めて納得した次第。

 ミュートトランペット音源だけは、さすがにこのアンサンブルの中には入れないが、ソロなんかでは使えますね。これもかなり自然でバランスがいい音源。

 いかがですか。ビッグバンドは、今はほぼアレンジで使うこともないんで、それ専用音源入れるのも疲れるしお財布に優しくない。SHPなら持っている人も多いからどんどん使いましょう。

 もし足しても不自然でない音源を見つけたらまた報告します。まあアーティキュレーション等が合わなくなるんだけどね。

名言 in 理論書

 スキマ時間に音楽理論書をツマミ読みしていて思う。こういうものは、あんまり根を詰めて読んでも身に付かないんですね。それでこういう勉強の仕方が最適。知識をすぐ作編曲で使えるわけではないですが、次の機会に、そういえばこれはこうだったな……みたいに出来るのが大きい。詰まった時・困った時に調べても大抵は遅いわけです(w)。

 しかし、商業音楽での作曲というのはメロ作りとコード進行くらいで、実際に理論なんかが役に立つのは編曲だよな、と。その編曲も無論理論だけではダメで、実際にこんな曲調の時はこんな楽器の組み合わせで音域はこうで、ボイシングは、リズムは……なんてところまでくると、これはもう単なる理論では対応できない分野。実際にその分野の音楽を聞いていて、その知識から応用するか、改めて聞いて調べてみるしかない。その場合でもあんまりパラノイア的にコピーしても仕方がないんですね。
(プラス、現代的な制作では、音源の使いこなし・選定も重要)

 ちょっと脱線したけど、まあ音楽理論書類のことです。「管弦楽技法」(ゴードン・ヤコブ著)という本を読んでいたのですが、この本は名前の通りオーケストレーションの実際について書いてある本。理論書というよりノウハウ、いわゆるTIPS集みたいな感じで、弦はこう、金菅はこう、木管は…などと実例に即した編曲のヒントが書いてあって、実戦的でなかなか役立つ感じ。しかし、最初に総論みたいな章があるのですが、ここに意外なことが書いてありました。ざっとまとめると……

「オーケストラ曲だからといって、張り切りすぎるな。お前の編曲技術を披露する場所ではない。肩の力を抜いて、何のために曲があるのか考えよ。細部に神が宿るという言葉もあるが、細かすぎると誰も気付かないし無駄。常に曲全体を考えて細部を作れ」

 これ読んで大爆笑ですよ。まさか理論書を読んで笑わされるとは思わなかった。確かに、自分も気負ってどんなことが書いてあるんだろうか、とページをめくってたからね。
 更にこれって、オケ曲だけでなく一般のポップスにも完全に当てはまる概念ですね。
 これを読んで、著者のヤコブ先生は信用できる人だ、と思いましたよw たぶん目を血走らせた(?)生徒をたくさん見てきたんだろうな。
 いや、これは改めて名言だな、と思う。自分なんかもつい解析不能系コード進行とか奇抜なアレンジをやりたくなるんだけど、時と場合は考えないといけないよね。(そりゃ自分名義の曲ならどんどんやりますが……。あとやっていい場合ですね)

コーラス音源に希望の光

 引き続き、コーラス音源として権利的に問題なく使える歌声合成ソフトはないかと、少し調べていました。この種のボーカル・シンセサイザーは、皆様ご存知のとおりボカロの成功で他社からも数種出ていましたが、ボカロほど商業的に成功したものはこれまでありませんでした。最近また幾つか新しいものが出ていましたが、その中で「これはかなり自然でいい歌声だな」と思った「Synthesizer V」というソフト。AIやサンプリング等を組み合わせた発声方式だそうですが、こいつのライセンスを調べてみたら、ドンピシャで使えるものでした。
 ライセンスのページは以下にあります。

https://www.ah-soft.com/synth-v/eula.html

 ・商業、非商業を問わず利用可能
 ・カラオケ利用等における許諾要請がない
 ・法人リリース等の制限もなし

 どうやら、普通のサンプリング音源と同等の自由な利用が可能なライセンスのようです。
 ただひとつ心配なのが、いつでもメーカーが利用規約を無断で変更できる、という点だけど、これは一応この種のライセンスにはいつも書かれている一文(こういう契約が実際に有効なのかはちょっとわからない?)。
 もう一点、新興の小さなソフトハウスだと、製品の継続性が心配だけど、なんとこのソフトは発売がボカロ音源もたくさん出しているあのAHS社なんですね。こりゃ一応安心(開発は別)。まだ製品が出たばかりの発達段階のソフトだけど、ここなら無茶なことはしないでしょう。

 憶測だけど、後発のソフトなのでライセンスを緩くしたんじゃないかという気がする。なんにせよ、権利的な心配をしなくてもちゃんと使えそうなボーカル音源が出てきたのは嬉しいところ。しばらく注目してみます。
(もちろんキャラ等は勝手に使ってはダメよ)

VOCALOID5は一般の音楽制作向け

 手短に、ヤマハからの返事には、VOCALOIDという登録商標やキャラ名を明記しないのであれば、一般的な商用利用は問題ないと書いてありました。つまり、楽曲の中でコーラス音源などに使うのは問題ないということ(作曲家の立場からクライアントさんに曲を作る時も同様のようだ)。
(上記はVOCALOID5の付属ボイスバンクの場合ね、なぜか正式なEULAは製品を買わないと見られないらしいw)
 このあたりはメーカー・製品によって利用条件は様々なので、使いたいならいちいち確認するしかない。ただ、既存の他社ボカロ製品においても、ほぼ標準になっているライセンスのようです。

 まあ、こういうややこしさが本来のソフト音源として「表」では使われることがほぼなくなってしまった理由かも……(仮歌ではよく使われていますが)。実際「(株)インターネット」のKokoneというボカロのライセンスを見ると、法人がボカロを使って音楽制作した場合は許諾が必要、なんてトラップ文があったりする。怖いよね、お客さんに渡した曲が、どこかに売られて法人から勝手にリリースされちゃったら、責任問題だし。だから怖くて誰でも使わないのだろうな。

 そろそろキャラ商売もいい加減下火だし、ちゃんとこの技術を本来のボーカル音源として利用してもいい段階に来ているのではないかと思う。
 それには権利関係をもっと明確にすべきで、製品ページなどにFAQなどとして明記しておくべきだよな。そうればもっと利用者は広がるはずなのに。
 私見ですが、どうもボカロやそれ系音源は、権利関係がクリアじゃなくて、一般の音楽制作側からは手が出しにくいイメージがある。もう「絵」を付けるのはいいから、ちゃんと制作のことを考えて欲しい。製品を買うのは本来そっちの人間のはずなので。(たぶんそのあたりを考慮したのが、ヤマハのVOCALOID5だと思うけど)

●追記 2020/11/14
 恐ろしいことが判明した。YAMAHAのVOCALOID3のライセンスを見ていたら、「商用カラオケでの利用」は許諾が必要と書いてある。つまり、クライアントさんに渡した曲が勝手にカラオケ配信されちゃったらアウトってことですね。こりゃーやっぱり使えないわw 自分の立場だと国産ボカロの利用は無理。逆にZero-Gの英語ボカロはOKってことになります。…と思ったが、まさかマスターライセンスがヤマハにあって、そっちのも実は適用される(謎の理由で外国は野放しだが国内ユーザーだけは厳しい)じゃなかろうな(汗)。
 やっぱりコーラスに使うの止めますわ。こりゃ危ない。

スラップベース音源の暴発

 スラップベース、自分の世代だとチョッパーベースって言っていたけど、いつの間にかスラップという名になったんですね。これはエレキベースの弦を叩く・はじくなどしてパーカッションのような強烈なアタックをつける奏法で、名前は知らなくても音を聞けば誰でもすぐわかると思います。ちなみに超カッコイイ音です、フュージョンで多用される奏法でもある。
(この奏法の登場で、ベーシストがソリストとしてスポットライトを浴びる機会が格段に増えた)

 そのスラップですが、当然サンプリング音源でもそれを再現したものがありまして、先日それを使って曲を書いていたんですよ。今の音源は、何度も書くけど本当に優秀で、まあミックス前でも実際の演奏と聞き分けは非常に難しい。ミックスしちゃうと、ちゃんと打ち込めばほぼリアル演奏との区別は無理、と思われます。
 ところが、その優秀な音源が、曲の特定の箇所で暴発のような状態になるわけです。意図してないのに「バイーン!」と爆発音のような感じになる。おっかしいなあ、さすがにスラップだからサンプルが均一じゃないのかなあ、とか、ベロシティを下げても同じだし、奇妙でした。それも曲の最初から再生するとそうなるが、途中からだとならない。「???」となりつつも、しばらく放置していたのですが。

 ある時、ミキサーに刺さってたコンプのプラグインを見つけました……ははぁこれかと、いやもっと早く気付けよと。オフにしたら音圧は下がったが、非常に安定した音になりました。犯人こいつでした、って随分杜撰な捜査だなこれ(笑)。
 有名ハードコンプをモデリングしたやつだったので、非常に正直に挙動を再現していたんですね。途中からと最初からで挙動が違ったのもそのせい。
 ただ音質や音圧感は自体は非常に良かったので、解決策としては、こいつのあとにもう1個コンプを挿して更にダイナミクスを潰しました。これで「バイーン」現象も解消して安定した音になりました。

 やはりスラップベースのような、アタックが非常に強い癖のある楽器の処理には、念入りなダイナミクス管理が必要なのかと痛感。昔も使ったけどその時はどうしてたっけか。
 あんまり潰すと音がペタペタになって、スラップベースがスクラップになっちゃう。オヤジギャグが出たところでまた今度。

意外なジャンルの意外な楽器

 作曲家、ことに打ち込みで全ての演奏まで作っている人間からすると、特定楽器の音源起用というのは一種の用兵論みたいなところもあって、まあ起用しただけではダメでアレンジしないといけないが(w)、曲全体を俯瞰して、これを使ってこんなアレンジにするか~みたいなところは、取り掛かる前に色々と考えるわけです。実際にちょっとフレーズ作ってみて、こりゃダメだな変更しよう、ってことも勿論ありますし。

 といっても、ポップミュージックである以上、あまりに奇抜なアレンジ(楽器の起用)はできないわけで、そこは前衛芸術ではないので、リスナーのことも考えないといけません(その前にクライアントさんがこんなの求めてないだろうな、ってことはわかるはず)。色々なジャンルの音楽がありますが、各ジャンルでスタンダードな楽器編成やアレンジってのもあるわけで、それがジャンルの構成要素である以上、それを尊重するのは当然ですね。
(まあちょっと冒険してもいい、って時も有難いことにありますが…)

 例えば、日本ではほぼ最近まで忘れ去られていて、その逆に欧米ではギター並みにずっと使われている楽器、それはボタンが一杯付いている(鍵盤付きもある)精密機械のような楽器――アコーディオンですが。こいつはなかなか現代日本では目立つ場所で見かけることがありません。シャンソンやラテン系音楽などで使われていることがある他は、一部のグループで使われている位、なのですが。
 実は、ずっとポップミュージックのメインストリームに近いところで、頻繁に使われているジャンルがあるんですね、これが。なんだと思いますか?

 ほとんどの方が意外と思われるでしょうが、それは「演歌」です。そうなんですよ、ガットギターやストリングス使用はよく知られているでしょうが、その次くらいの頻度でアレンジに入ってくるのがアコーディオンだったりします。面白いですね。多くの人が、実際耳にして音は知っていてもそれと気付いてない可能性が高いと思います。非常にきれいなオルガンのような音です。演歌の生演奏ライブも少なくなったので、実際演奏を見る機会もそんなにありませんしね。

 で、まあジャンルの定番楽器だけに、演歌のアレンジでアコーディオンを入れても全然違和感ない、というか大歓迎みたいな雰囲気が、リスナーさんにもクライアントさんにもある。他のジャンルだったら大冒険になってしまうんでしょうが、演歌は違うんですね。結構他の生楽器もアレンジにガンガン入ってきます、それが演歌のフォーマットなので。自分なんかはこういうのも高品質な打ち込み音源で再現していますが。

 ここで有言実行、実例を紹介しますね。
 アレンジにアコーディオンを入れた曲が、昨年発売のヒカリ真王子(まおじ)さんのCD「女ごころ」という曲になります。


 作詞作曲は「あいたかし」さん、この曲はカバーで、弦央昭良が編曲・ミックス・マスタリングを担当させて頂きました。もし機会がありましたら一度どこかで是非。どの音がアコーディオンか当ててみてください。

(アコーディオンという楽器は面白くて、昔は日本でも大流行したり、本当によく使われていたんですね。RolandのV-Accordionを待たずとも、電子化もされていて、’70年代にはトンボ楽器が電子アコーディオンを作っていたようです。同じ頃KORGも電子アコーディオンを出しているはず。面白い展開でした)