カセットテープの可能性

 前々からやってみたかったことで、カセットテープに楽曲の特定トラックを録音して、それを再度DAWに読み込んで、サチュレータ代わりにするっていう計画。フルアナログだし、かなりローファイな感じになって良いんじゃないかと予想してた。
 ただ手元にカセットレコーダーが無かったので、なかなか実現できずにいたが(実家にはあるが大型で移動が面倒)、この度ラジカセの出物を入手したので、これで試すことにした。
 ラジカセなら何でもいいってわけじゃなく、ステレオのAUX入力、ヘッドフォン出力がないとダメ。ラジカセなので音質はそこそこだけど、今回はむしろ音質変化を期待しているので、ローファイな方がいい。(コンポのカセットデッキになると、結構音が良い、mp3くらいはある)

 とりあえずオーディオI/Fのヘッドフォン出力からラジカセのAUX入力にケーブルを繋いで、手持ちのカセットテープに録音。元のパートの演奏があるところだけ録音すればいいので、作業自体はものの3分で終り。時間かかると思っていたので拍子抜け。
 今度はラジカセの出力をI/Fに繋いで、カセットを再生してDAWに録音。レベル合わせも順調でこれもすぐ終り。
 WAVを切り貼りして、楽曲の元のトラックと同じ場所にWAVを貼る。これで終了。

 音の方はというと、意外にもローファイ感よりもマイルド&スムースな印象の強い仕上がり。強引に例えれば、スムーサー(?)みたいな感じ。こんな簡単なのに効果は絶大で、まずプラグインでは再現できないと思う。こりゃいいぞ、ってなりました。

 久々にカセットの音を聞いたけどやっぱりいいわ、これ。なんだかもう全てが音楽的なんだよ。カセット入れて、再生ボタン押して、巻き戻して……ってやってたら涙滲んできました。周波数特性やら、ワウフラやら、ダイナミックレンジやら、全てがデジタルデータに敵わないはずなんだけどね。音楽的な音質とは何か、考えさせられました。
 上がったきたデータを聞くとヒスノイズ(「サー」みたいなやつ)も入ってたりして、楽曲の中に入れると聞こえなくなるけど、これも良い隠し味。

 流石にテープでマスターを作る気はまだないが、もしかしたらパラレルミックスくらいやってみると、音圧が上がっていいかもしれない。マキシマイザーが不用になる可能性。このあたりは今後の研究課題(ラジカセでも、案外音は悪くないです)。