日: 2020年12月22日

巨大SNSと言論規制

 今回はなんとなくWIRED誌っぽいネタをGIGAZINE風に書いてみよう。違うか。

 トランプによるデマツイートとTwitter社の警告ラベル案件、Qアノンやユダヤ人差別のグループを排除したFacebook、そしてやはり不正選挙陰謀論などの動画を削除したYoutubeと、巨大SNSによる言論規制の動きが続いていますが。

 本当はどこの会社もやりたくないと思うんだよね、そうすることで色々と批判を浴びるし、トランプによる圧力もある。最悪訴訟も覚悟しなくちゃいけないし、監視にはお金も人員も必要。何より、人を驚かせるようなデマや陰謀論は、SNS企業としては実は推奨したいくらいの「優良コンテンツ」でしょう。それでSNS利用時間が延びて広告も一杯入れられるからね。
 だから従来は放置していたんだけど、流石に社会に(世界に)悪影響が強すぎて、放置すれば国が大混乱に陥る可能性が現実に出てきた。それでようやく重い腰を上げたということでしょう。トランプが去ったあと、今後同じことが起こる可能性はあまり高くないが、それでもどうなるかはわからない。社会の情報インフラとして、GAFAも管理責任が発生するような事態になってしまったのですね。それだけ影響力が拡大したということもであって、世界を壊しかねない力があると今回露見した。言うまでもなく歴史上初めてのことです。

 むろん自分も民主主義国家に生きる者の一人だから、言論の自由は最大限尊重されるべきだと思いますが、今回の巨大SNSの規制・統制については賛成します。よく言われることだが自由には責任が付いてきますし、様々な人々が暮らす社会の中で生きている以上、一定の規範はあるべきです。(例えば、差別・陰謀論・デマなどは、言論の自由のうちには入りません。むしろ言論テロ・情報テロでしょう。困ったことにトランプはこの3つを兼ね備えていたんだけどw)
 言うまでもなく、これらについてどう判断するかは非常に微妙な問題もあり、だからこそ連中もやりたくなかったのだろうが、今後は言論機関並みの判断を迫られるシーンも増えるでしょう。(だから一部のファクトチェックで外部の機関と連携する動きもある)

 やりすぎればそれは簡単に言論統制になるし、政府が悪用すれば中国のSNSのようなデジタルディストピアになります。あれは天安門事件や習近平批判は、例え隠語を使ってもたちどころにAIが発見して削除されてしまうそうですね。下手をすれば公安が家に踏み込んできて、そのまま行方不明です。(クマのプーさんの写真が削除されるのだから呆れます。習近平が気にするからですねw)

 いってみればトランプのツイートと選挙陰謀論規制は、巨大SNSにとってパンドラの箱を開けてしまったようなものでしょう。言論の自由と社会規範の闘いという、無限の泥沼にはまりました。もう旨い商売ではなくなっていく可能性もあります。独禁法違反でもダメージがありそうですしね。

 まさか’90年代半ばにアメリカの通信品位法を巨大違憲訴訟で(事実上)潰した時には、こんなことになるなんて思わなかったでしょう。あの時の原告はアメリカのIT企業・言論機関総出のドリームチームでした。通信(コンテンツ)を政府が一切検閲するな、という訴訟だったから。
 時代の流れとともに社会も規制への考え方も変わっていくんですね。特に世界がIT化してから変化の速度は大きくなっていると感じます。

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