日別: 2019年1月26日

作曲(音楽制作)における作家性の話

 つい最近、自分が書いた曲をとても客観的に聞いてみる、というか聞かざるをえない状況になって、改めて新鮮な気持ちで耳を傾けると、色々な発見がありました。

 面白いことに、例えばロックな作家が書いた曲は、全く違うジャンルの曲でも、やっぱりどこかロックな感じになってしまうんですね。メロの作り方から、オブリガートの入れ方、ブラスやストリングスアレンジ、さらに言うならドラムやベースの動きまで、どうしてもそれは出てしまう。
 さらに今は、アレンジまでの段階で既に打ち込みや宅録でトラックが出来ていたりするから、余計に作家の色が出やすくなっている。
 ミックスまでやっていたら、尚更です(ミックスも、現代的な制作ではアレンジの一種といっていい)。

 自分の聞いてきた音楽のDNAみたいなものが、作曲していても出るんですね、驚いたことに。そして全身全霊を傾けたような突き詰めた制作の場合、たぶん人間性みたいなものも、曲のなかに見えてしまう。ある意味怖い話だけれど。

 考えてみれば、普通にアーティストさんの曲を聞いていても、「ああ、この人は育ちがいいんだろうなあ」とか「なんだか竹を割ったようなストレートな感じだな」と思っていたりすると、実際のアーティストさんの性格もそうだったり……するんですか、どうなんでしょう(汗)。それはやっぱりアーティストの方々は、いつも全精力を傾けて音楽を創っているから、そうなるんですね。

 そういえばテナーサックス奏者でソニー・ロリンズというジャズ界の巨人がいますが、高校生のときに初めてFMでライブを聞いて、ものすごい衝撃を受けたんですよ。その時の印象が「なんてタフな音楽性なんだ。殺されても死なないような超絶的なバイタリティじゃないか」、言葉にすればこんな感じでした。
 その後、雑誌のインタビュー記事で、ロリンズが若い頃に麻薬で一度廃人同様になり、ジャズ界から引退して、それから血の滲むような努力で再起した人だった、と知って、これまた魂消ましたよ、それであんなに音楽がタフなのか、と。
(ジャズ界、ロック界もそうですが、よく知られているように昔は麻薬中毒で亡くなった人もたくさんいるんで、再起できたのは本当に奇跡)
 これは極端な例だけど、やっぱり真面目な人が作った音楽はそうなるし、人が悪い人なら人を喰ったような……ね。どうもこういうの、本当にあるようです。

 さて、冒頭に戻って、ごく客観的に聞いた自分の曲(クライアントさんへの提供曲)の印象ですが。白状すると、「あれ?なんかこれ普通と違う、(ある意味)ひねくれてないか?」でした。ボイシングなのか、楽器の組み合わせなのか、リズムなのか、あるいは(多分そうなんだろうけど)その全てが組み合わさった後の、独特のムードとスタイル。結構こいつ、オリジナリティあるんじゃないか、などと、率直な驚きが。

 なんか風に書いてやろうとか、自分の色を思い切り出してやろうとかではなく、本当にベストの曲を書きたくてその時々全ての段階で最良の選択をしている、その結果なので。これは結構嬉しい発見でしたねえ。なんか自画自賛風になってきたが、トライアド中心の普通の機能的なコード進行なのに、なぜかそうなってた、今回は。

 自分は和音でいったらテトラド+テンション、リズムだったらオフビートや16ビート(=ジャズ&フュージョン)、あとラテンとか、そっち系の音楽を聞いてきたわけですが、冒頭のロックな作家と同じように、全然違うジャンルの作曲でもDNAが染み出しているんですね。

 もしこういう感じが面白いと思ってもらえるなら、それは作家としての個性だろうから、とても有難い話です。というか今そう思って貰えているわけですが。
 それで、透けてみえる人間性ですか? やっぱりひねくれているんじゃないですか?(笑)

 音楽は面白い、そして怖いって話でした。
(まあ、全身全霊を掛けた表現でなければ、人の心には何も響かない、ってのはどの分野でも同じ)