フルオーケストラをバックにしたJ-POP

 何日か前、深夜にTVつけたらコブクロがフルオーケストラをバックに歌っていて、興味深く見てました。
 どうやら4K8K放送の開始記念番組らしく、ホールに観客を入れて、完全なライブ収録でした。さすがコブクロというデュオの実力は凄くて、フルオケをバックにしても堂々として全く負けてません、この圧倒的な歌の迫力。

 それで、J-POPの典型的な歌物とフルオケの組み合わせは珍しいので、どんなアレンジになっているかと興味津々。やっぱり、というか、歌物のバックだと弦はあまり音域を広げることはできず、高音部はせいぜいメロと同じくらいの音程までで、全ての弦が比較的狭い音域で鳴っている感じだった。
 そうでないとボーカル(メロ)の邪魔をしてしまいますからね。

 当然、クローズドボイシングです(クラシック用語だと近接声部?)。だから、声部は狭いレンジで集中してるわ、ひとつの声部に多数の弦がユニゾンしてるわで、ポピュラー的にいうと超・豪華なストリングスセクションになってるのね(笑)。

 反面、金管の使い方は普通のポピュラーと似てて、まあいわゆるソフトブラスみたいな使い方でした。あと打楽器あたりは同じかな。

 で、面白かったのがコンサートの最後で(といっても、ほぼこの最後の曲しか見られなかったが)、歌が終って、コブクロのアコースティックギター(+コーラス)担当の小渕さんのソロパートがあって(アコギのストラムの見せ所)、ジャジャジャ……って弾いて、最後ジャン!で終わるかと思ったら、「止め」のまま後ろを振り向いて。

 そしたら、ここでオーケストラがようやく本来の、弦は超オープンボイシングの、金管は華やかに歌いの、木管はカラフルに、打楽器はドコドコやって、これが8小節くらいだったかな、これぞジ・オーケストラ!みたいなアウトロ、そして最後にジャン!で終わりましたよ。この仕掛け(ギミック)ものすごく面白かった。ボーカルのバックでなければ、本来フルオケはこうですからね。

 自分ごときが言っては怒られるだろうけど、ポピュラー音楽もクラシックも両方精通されている、かなり優秀なアレンジャーの方が編曲されたのだと思います。
(ググってみたが、さすがにどなたの担当かはわからなかった。オケは東京フィルハーモニーです)

 あと、書き忘れてたけど、勿論バンドの皆さんもステージの一番奥の方にいて、エレキギター(テレキャス)、エレキベース(ジャズベだったか)、ドラム、あとキーボードはいたかどうか。オケの方にピアノはいましたが。
 これ、ミキシング・PAは難しいだろうなあ、フルオケと共存させないといけないのだから。
 フルオケだと弦の低音奏者はステージの右側にいるので(チェロ・コントラバス)、やはりバランスを取るためか、ドラムス&ベースは左端にいました。
 面白かったのは、ドラマーのかたがオケの指揮者をガン見してたこと、指揮者の方もかなりドラマーをチラ見してました(笑)。この二人がそれぞれのセクションのテンポを握っているからですね。ちょっと他では見られない光景。

 もうこの演奏、世界のどこに出しても恥ずかしくないですね、どころか、ここまで出来る方々って、そうそういない。バックもコブクロの歌も本当に素晴らしいですよ、やはり現代日本の音楽レベルは非常に高いと思った。