日: 2018年10月1日

リチャード・カーペンターと小林明子

 「リチャード・カーペンター」で検索していたら、意外なアルバムがヒット。小林明子の「City of Angels」が、なんとリチャードのプロデュースなんですね。1988年だから、カレンの死後5年。声が似ている(?)からとダメ元で依頼したら、デモが気に入ってもらえてOKが出た、とのこと。
 当時はバブル時代でもあり予算が今より潤沢だったのは確かですが、これは素晴らしい展開。

 間違いやすいけど、ダイヤル回して電話したのが小林明子(実はしてない)で、小さな家を建てた(建ててない)が小坂明子ですね。そもそもヤングメンは電話とダイヤルがもう結びつかないな……わからない人はお父さんお母さんに聞いてみようw

 早速入手して聞いてみましたが、良質なポップスに仕上がっていて、オプティミティックでとてもいいアルバムでした。半分くらいは英語詩の曲です。サウンドは80年代と70年代をミックスした感じで、さすがリチャードのプロデュース。あんまりAORな感じがしないのは、R&B色が薄いからかな?
 バックはカーペンターズの元レギュラーバンドで固め、アンサンブルは鉄壁です。鍵盤はもちろんリチャードで、バッキングコーラスとしても参加。作曲は小林さん自身、リチャード、海外の作曲家と様々で、アレンジはすべてリチャード。
 レコーディングはA&Mスタジオを始め米国数ヵ所で、ミックスダウンはA&Mスタジオで行われました。なんとも贅沢な企画だなあ。

 小林明子さんにとっても、このアルバムはもちろん非常に大切な1枚になったようで、このあと渡英して結婚し音楽活動を続けており、折に触れてカーペンターズの曲を取り上げているらしい、と今回知った(wikipedia情報)。

 このアルバムの中で日本語詩と英語詩が混じった曲が何曲かあり、日本語詞を書いたのは「Reiko Yukawa」……誰であろう、今日本の音楽業界でもっとも元気と噂される、湯川れい子先生ではないですか!w
 さすが、道理で詩が深いと思ったよ。

 実は、って知っている人は知っているんだろうけど、小林明子を世に知らしめた大ヒット曲「恋におちて」(ダイヤル回すやつね)も湯川先生の作詞なんですね。洋楽に精通してらっしゃるし、実際他に考えられない人選です。

 話をリチャードに戻すと、これまでも海外の著名プロデューサーに依頼した日本人アーティストがいましたが、往々にしてどこかツボがずれてて「ん?」てな出来上がりだったりして。でもリチャードはガチでした。全部ズバッとハマっていますね。やはりこの人は名プロデューサーだと思う。

 本当に日本と縁が深い人です。そもそもこれだけカーペンターズをちゃんと評価できるのは、日本の音楽ファンは誇っていい。それがしっかりリチャードにもわかっているんだろうなあ。

 リチャード・カーペンターの力量を再確認した2018年初秋でした。

(追記:小林明子さんは、シンガーソングライターであると同時にいわゆる作家でもあり、当時数々のアーティストに楽曲提供されていますね。不勉強で今回知りました)